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今年の読書(9)『家庭調査官・庵原かのん』乃南アサ(新潮文庫)

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生年は違いますが、誕生日が同じということで、デビュー作『幸福な朝食』(1988年11月・ 新潮社)以来読みつないできています<乃南アサ>の作品です。
 
ここしばらくは、台湾の紀行シリーズが続きましたが、ようやく本書『家庭調査官・庵原かのん』となり、2022年8月の単行本から、2025年2月1日に文庫本が発売されています。
 
本書の主人公「庵原かのん」は、大学卒業後ホテル業界で3年働き、その後家庭調査官に転職した35歳で、福岡家庭裁判所北九州渋に勤務、中学の同級生で動物園に勤めるゴリラ担当の彼氏「栗林(クリリン)」を東京に残し、遠距離恋愛のなか、仕事に励んでいます。
 
少年少女たちは、なぜ罪を犯してしまったのか、その原因を探るのが「家裁調査官」です。本書には7章が収められ、「庵原かのん」はそれぞれの章で、自転車窃盗、女子高生の売春、バイクの暴走族、女性猥褻行為など毎日数多くの事件に直面し、当事者である子どもたちの声に耳を傾けるうちに、彼女はそれぞれの事件の深層を探り出し、少年少女たちの更生に期待をかけていきます。
 
3年ごとに移動がつきものの家庭調査官の仕事ということで、続編では、新天地での活躍と〈クリリン〉との関係も気になる新シリーズになりそうですが、すでに2冊目として2023年6月に『雫の街―家裁調査官・庵原かのん―』 が、刊行されていますので、また文庫化を待ちたいと思います。
#ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(8)『死の扉』小杉建治(双葉文庫)

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今年の読書(8)『死の扉』小杉...
本書『死の扉』は、2020年10月21日より単行本が刊行され、2025年1月15日文庫本が発売されています。
 
横浜地検の「華岡徹検事」は元プロ野球選手である「三和田明」の妻の殺人事件を起訴しましたが、犯人逃走を目撃した「田中真司」の証言が決め手で無罪となりました。
 
証言した「田中真司」の息子「田中淳」は、飛び降り果事故死か不明のまま「マンションからの落下で入院後、亡くなっていました。「華岡徹検事」は、「田中淳」に対する安楽死問題で、担当した「山中征爾」医師を取り調べているところでした。
 
全く関わりのない2つの事件に共通点が発見され、徐々に真相が明らかになっていきます。同時期に「華岡検事」の母親に対する終末期鎮静についても、義父から決断を迫られていました。
 
法廷劇が得意な著者ですが、本署は事件調査する検事の手腕もさることながら、家族の終末期医療・安楽死問題のあり方を問う、ヒューマンミステリー仕立てで、考えさせられる一冊でした。
#ブログ #安楽死 #文庫本 #終末期医療 #読書

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今年の読書(7)『機械仕掛けの太陽』知念実希人(文春文庫)

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今年の読書(7)『機械仕掛けの...
著者<知念実希人>は現役の医者ということで、『幻影の手術室』『時限病棟』『生命の略奪者』などを読み、評価は高くありませんでしたが、この『機械仕掛けの太陽』を読み、見直しました。
 
単行本として、2022年10月24日に刊行され、文庫本として、2025年1月10日に発売されています。刊行当時すぐに読んでおれば、感動もひとしおだったのではないかなと感じる内容でした。
 
主な主人公3人が登場、未知のウイルスとの戦いに巻き込まれ、戦場に身を投じた主人公たちの目線でのコロナ物語です。
 
大学病院の勤務医で、呼吸器内科を専門とする「椎名梓」は、彼女はシングルマザーとして、男の児を育てながら、基礎疾患のある高齢の母と同居していました。コロナ病棟の担当者として、最前線に立つことになり、ホテル暮らしで帰宅できない状況が続きます
 
同じ病院の救急部に勤務する20代の女性看護師「硲瑠璃子」は、結婚目前の彼氏「定岡彰」と同棲中ですが、独身であるがゆえに、コロナ病棟での勤務を命じられます。
 
そして、70代の開業医「長峰邦昭」は、地域に根差した町医者として、開業から30年が過ぎ、息子にはそろそろ引退を考えるように勧められていますが、コロナ禍で思い掛けず、高齢で持病もある自身の感染を恐れながらも、町医者の使命感で現場に立つことを決意します。
 
コロナ禍が進んでいく中、あのとき医療の現場では何が起こっていたのか、時系列でリアルな現場の描写が進んでいきます。立場の違う 3人は、それぞれの立場に苦悩しながら、医療従事者としての自己犠牲を強いられていくのかノンフィクションかと思わせる現場の状況と共に描かれていきます。
 
全人類が経験したあの未曾有の災厄の果てに見いだされる希望とは。自らも現役医師として現場に立ち続けたからこそ描き出せた久々に感動した(525ページ)の人間ドラマの一冊でした。
#ブログ #文庫本 #新型コロナウイルス #読書

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今年の読書(6)『告発者(下)』ジョン・グリシャム(新潮文庫)

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今年の読書(6)『告発者(下)...
『告発者(上巻)』では、「マクドゥーヴァー判事」と結託しているマフィアのボス「デュボーズ」の悪事の告発者の真意を確かめようと調査を始めました「レイシー」と「ヒューゴ」でした。
 
自動車事故と見せかけ、二人を消そうとした「デュボーズ」の企みで、「ヒューゴ」がなくなりました。重症の「レイシー」も。おせっかいな兄「ガンサー」の看病もあり、無事に復帰となり、今度はFBIと組み、調査を進めます。
 
「デュボーズ」は先住民のカジノから上納金を巻き上げ、金と暴力で部下を支配していました。邪魔者は躊躇なく始末し、海外企業を使って身を隠しているため、正体は誰にも知られていません。
 
FBIは、「アリー・パチェコ」を中心として、自動車事故の関連を調べ、実行犯を逮捕、司法取引で「デュボーズ」たちの犯罪を暴いていきます。
 
上巻での伏線を踏まえながら、小気味よいテンポで下巻は進み、捜査の顛末は、前代未聞の大規模な逮捕となり、マフィアの幹部たちは収監されて「ヒューゴー」の仇は一応取れ、死刑の冤罪の人物は助け出され、魂を売った悪徳判事「マクドゥーヴァー」も裁かれて、悪人は全て報いを受ける理想的な幕切れでした。
 
解説によりますと続巻があるようで、捜査協力した「アリー・パチェコ」と「レイシー」の関係が進展しそうで、シリーズとして楽しめそうです。
#ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(5)『告発者(上)』ジョン・グリシャム(新潮文庫)

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今年の読書(5)『告発者(上)...
弁護士でもある著者<ジョン・グリシャム>ですが、『評決のとき』・『ザ・ファーム法律時事務所』『ペリカン文書』『依頼人』・『レインメーカー』など多くの著作が映画化されています。
 
本書『告発者』は、単行本としての刊行はなく、いきなり文庫本として2024年11月1日に(上・下)2冊の文庫本として発売されています。文庫本(上下)で1980円、おそらく単行本では、4000円近くになり、売れないと判断されたんだと思います。
 
物語は、判事の不正を調べる「司法審査会」が舞台です。フロリダ州司法審査会に、「マクドーヴァー」という女性判事が、コーストマフィアと組んで、無実の人間に死刑判決を下したという情報が寄せられます。不当判決はほかにもあり、見返りに多額の賄賂を毎月受け取っているといいます。この告発は真実なのか、独身の女性調査官の「レイシー」と5人の父親である「ヒューゴ」が捜査を進めていくと、先住民が経営するカジノとの関係が浮き彫りになってきます。
 
文中に「マクドーヴァー判事」が、現金を受け取る場面や、裏金旅行の詳細が語られていますので、読者は「マクドーヴァー判事」が黒だと分かった上で読み進むことになりますので、痛快に解決する結末に期待がかかりますが、上巻の終わりで、調査を中止させるために「レイシー」と「ヒューゴ」の車に自動車事故が起こり、「レイシー」は重傷を負いますが、「ヒューゴ」が亡くなってしまいます。読者としては、思わぬ展開で進み驚くと共に、下巻へ引き継ぎことになります。
#ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(4)『ゴジラvs.自衛隊 アニメの「戦争論」』小泉悠・他(文春新書)

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<小泉悠>、<高橋杉雄>、<太田啓之>、<マライ・メントライン>が手がけた(文春新書)が『ゴジラvs.自衛隊 アニメの「戦争論」』です。
 
本書は、アニメや特撮の世界を軍事専門家らが語る構成になっています。
 
「『機動警察パトレイバー』首都防空通信は実際に自衛官の目にどう映ったのか」・「『新世紀エヴァンゲリオン』の世界ではソ連は崩壊していない」・「『風の谷のナウシカ』のバカガラスはナチスドイツで開発されたギガントと同様の運用がなされている」・「『宇宙戦艦ヤマト』の多層式航宙母艦の運用構想は、日本海軍の三段式時代の空母『赤城』と同じなのか」・「『シン・ゴジラ』で使用が検討される核兵器は、名前が違う?」といったトピックが語られています。
 
私たちがアニメや特撮や仮想戦記について語るときには、いつの間にかそこに仮託された何か別のものについて語っているという形がが多いようです。「ゴジラ」に投影された「戦後ニッポン像」というテーマは、本書に限らず繰りし語られてきたものですが、では「エヴァゲリオン」の中の日本ではどう扱われているのでしょうか。
 
本書は、アニメをきっかけとしたサブカル風時事評論集としても楽しめることができる一冊です。
#ブログ #新書 #読書

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今年の読書(3)『リドリー・スコットの全仕事』イアン・ネイサン(東京ニュース通信社)

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今年の読書(3)『リドリー・ス...
映画ファンとして、イギリス出身の映画ライターである<イアン・ネイサン>が執筆した気になる書籍『リドリー・スコットの全仕事』(3630円)です。
 
1937年11月30日生まれとして 87歳の現在でも第一線で活躍する映画監督<リドリー・スコット>です。2024年11月15日には、『グラディエーター』の24年ぶり続編となる監督作『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』が封切られました。
 
本書では、デビュー作品『デュエリスト/決闘者』(1977年)にはじまり、『エイリアン』(1979年)・『ブレードランナー』(1982年)・『テルマ&ルイーズ』(1991年)や、<高倉健>と<松田優作>が出演した『ブラック・レイン』(1989年)など、<リドリー・スコット>が手がけてきたすべての作品の制作秘話や背景を豊富なビジュアルともに紹介しています。
 
様々なジャンルに関わりながら、その根底にあるテーマやモチーフには共通点があり、長きにわたり積んできたキャリアの集大成こそが『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』である理由が見えてきます。
#ブログ #単行本 #映画 #読書

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今年の読書(2)『クリント・イーストウッド』イアン・ネイサン (フィルムアート社)

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今年の読書(2)『クリント・イ...
<イアン・ネイサン>による本書『クリント・イーストウッド 気高き〈アメリカ〉の放浪者』は、アカデミー賞を2度受賞し40本もの映画を監督してきた、映画界の重鎮のひとり、<クリント・イーストウッド>を掘り下げています。
 
<クリント・イーストウッド>は、2025年5月31日に95歳の誕生日を迎えるも、ハリウッドの常識など意に介さず、三四半世紀に近い時間を、ほとんど休むことなく映画業界で働き続けてきました。
 
本書では監督としての〈クリント・イーストウッド〉のみならず、初期の代表作『ローハイド』、セルジオ・レオーネ「ドル箱三部作」(『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』・『続・夕陽のガンマン』)、師と仰ぐ<ドン・シーゲル>とタッグを組んだ『ダーティハリー』『アルカトラズからの脱出』以来の、自身の監督作でも継続している俳優〈クリント・イーストウッド〉のあり方についても深く見つめ直しています。
 
初監督長編『恐怖のメロディ』、アカデミー賞(作品・監督)を受賞した『許されざる者』・『ミリオンダラー・ベイビー』、硫黄島の戦いを日米双方の視点から描いた『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』、劇場公開が望まれていますテレビドラマ最新作『Juror #2』(原題)に至るまでの全キャリアを、すなわち俳優や監督として、〈アメリカ〉の象徴になるまでの人生の軌跡を、豊富なスチール写真やオフショットとともにふりかえっています。
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今年の読書(1)『熔果』黒川博行(新潮文庫)

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今年の読書(1)『熔果』黒川博...
「武本・潮崎」や「新垣・上坂」などバディーモノのエンターティメント小説シリーズが楽しめる<黒川博行>ですが、本作は「堀内・伊達」シリーズの4作目として、2021年11月に単行本(2090円)が刊行され、2024年12月1日に文庫本(1100円)が発売されています。
 
主人公となる「堀内・伊達」のふたりは、元大阪府警の刑事でしたが、品行不漁の悪徳刑事で、府警を辞めたあと、競売専門の不動産会社「平山総業」の調査員となった「伊達誠一」と、それを手伝う「堀内信也」とが織りなす裏家業のクライムサスペンスです。
 
五億円相当の金塊強奪事件が博多駅付近で発生します。「堀内信也」は、狂言強盗だと見抜き金の匂いを嗅ぎ取った競売屋・ヒラヤマ総業調査員の「伊達誠一」に誘われ、金塊の行方を追うことになります。二人は大阪府警の元刑事で現在も仲の良い仕事仲間としてバディを組んでいます。主犯と見極めた男を、大阪、由布院、博多、名古屋、岐阜を、購入したばかりのBMW「A4」で駆け抜けながら、「堀内」と「伊達」は、ヤクザ、半グレ、愛人、ブローカー、汚職警官らと対決しながら、金塊を追い求めます。筋読みと暴力の〈調査〉から無事に金塊に辿りつけるでしょうか。
 
小気味よいテンポで読み進める625ページで、イリーガルな裏社会に浸りながら、面白く読み終えた一冊です。
#ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(69)『花散る里の病棟』帚木蓬生(新潮文庫)

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今年の読書(69)『花散る里の...
前回(69)での<柚月裕子>の『ミカエルの鼓動』は、二人の心臓外科医を中心とする物語で、医療現場と医者のあるべき姿を見事に描いていました。
 
本書『花散る里の病棟』は、2022年4月に刊行され、2024年11月1日に文庫本が発売されています。
 
九州で四代100年続く「野北家」を1936年から、2021年までを、全10章の構成で、日本の近代史を織り交ぜながら、医者としての視線で、医療現場を眺めながら、医療と医学に対して、精神科医でもある著者の視線を織り込みながら、医療の現場を見事に描いています
 
大正時代、蛔虫退治で評判を取った初代「野北保造」にはじまり、第二次世界大戦に軍医としてフィリピン戦線を彷徨った二代目「野北宏一」。高齢者たちの面倒を見る三代目「野北伸二」。そして肥満治療を手がけてきた四代目の「野北健」はコロナ禍に巻き込まれ、恋人の「理奈」共々奔走します。
 
医者でありながら、フィリピン戦線での、命を助ける医者でありながら消毒液で、命を終えさす命令に従う立場の『兵站病院』の章は、戦争の実態を克明に描いています。隠された歴史の『胎を堕ろす』の章など、九州大学医学部卒業ならではの背景が見て取れ、最後の章として記憶に新しい新型コロナウイルス関連の『パンデミック』の実情が詳しく描かれ、この先地域に生きる町医者としての期待と五代目の医者へとその思いをつなげてほしいと思わせる感動作でした。
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