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今年の読書(81)『赤の呪縛』堂場瞬一(文春文庫)

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本書『赤の呪縛』は、著者<堂場瞬一>の作家デビュー20周年の節目として、「父と子の相克」というテーマに真正面から挑み、2021年5月21日に刊行され、2023年11月10日に文庫本として発売されています。
 
36歳の警察官である息子「滝上亮司」と、政治家である父「喜多安武」の親子の確執を元に権力と血脈、信頼と裏切りに翻弄された物語です。
 
銀座の高級クラブで、ガソリンバラマキの放火事件が発生。オーナー「野村真沙美」と容疑者の27歳の女「西方若菜」が命を失います。
 
警視庁捜査一課の刑事「滝上亮司」が、捜査を進めると、亡くなった「野村真沙美」は父の元愛人であることが判明、背後に現在は神奈川県知事である父の存在が浮かび上がります。
かつて政治家の父を憎み、故郷の神奈川県を捨てた「滝上」は、捜査を進める上で「封印した過去」と向き合うことになります。
 
容疑者の女は、不正ドラッグによる催眠行為での放火が浮かび上がり、「滝上」は過去に自分も使用していた薬と対峙することになり、父の元秘書も殺害される事件が起こり、一度捨てた神奈川県へと出向くことになります。破滅するのは、政治家の父か、薬中毒であった警察官の自分かが交錯する状況の中で、事件の真相にたどりつけるのか。
 
物語は事件としての決着がつかないところで終わるだけに、中途半端な気分にさせられて終わりました。タイトルの〈赤〉は、血筋と放火現場の状況を意味しているようです。
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今年の読書(80)『星の王子様のことば』中条あやみ(かんき出版)

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俳優・モデルの<中条あやみ>(26)による初の翻訳書『大切なことを教えてくれる 星の王子さまのことば』が、2023年12月6日に発売されています。

 『星の王子さまのことば』名言集のベースとなるのは、 今年で 80 周年 を迎えます1943年に<アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ>の名著『星の王子さま』フランス語の原書と同時に発売されました<キャサリン・ウッズ>の英訳版です。

本好きの方の本箱には、必ずありそうな単行本『星の王子さま』ですが、原書の世界観を詩情豊かに再現した翻訳には根強いファンが多くおられると思います。

「大切なものは、目に見えない (Le plus important est invisible)」を初めとした本作の言葉は、生命・愛とは何かといった、人生の重要な問題に答える指針として広く知られています。この作品の元になったと思われる、1935年のリビア砂漠での飛行機墜落事故の体験は、<サン=テグジュペリ>による随筆集『人間の土地』(1939年)で語られています。
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今年の読書(79)『ゴースト 二係捜査3』本城雅人(角川文庫)

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「二係捜査」シリーズとして『宿罪 二係捜査1』『逆転 二係捜査2』と続き3ケ月連続刊行として本書『ゴースト 二係捜査3』が、2023年11月25日に文庫本書下ろしとして発売されています。

新大久保の路地裏で、喧嘩の仲裁に入った医師「柿沢孝洋」が殴られ、反撃して相手に重傷を負わせる過剰防衛事件が起きます。医師の「柿沢」は傷害容疑で逮捕されてしまいます。二係捜査担当の「森内洸」は、昨年行方不明となった3歳男児「飛翔」の母親「小深田亜里」が、「柿沢」と大阪で小中学の同級生であり、事件当時に病院を休んでいる事件としての〈端緒〉を見つけ出します。

その母親「亜里」との関係を取り調べで追及された「柿沢」は、突然、「飛翔」を殺したのは自分だと自供を始めるのでした。部屋長「信楽」たちは「二係捜査」の職務としての「遺体なき殺人事件」の真相を追い求めていきます。

物語としての構成は素晴らしく、中央新聞の警視庁クラブ担当の記者「藤瀬佑里」に代わる「向田瑠璃」のキャラクターも良かったのですが、事件の背景となる母親「亜里」のデリヘル問題に登場する男たちの記述が長く、誘拐犯に結び付く背景描写が物足りなくどうかなぁと感じてしまいましたが、作品的には「優」のレベルです。

巻末に「二係捜査4」は2024年秋に発売予定ということで、「藤瀬佑里」の再登場を期待して、楽しみに待ちたいと思います。
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今年の読書(78)『逆転 二係捜査2』本城雅人(角川文庫)

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本書『逆転 二係捜査2』は前作『宿罪 二係捜査1』に続く書下ろし3ケ月連続刊行の第2弾にとして、2023年10月25日に発売されています。

10年前、日野市の女児殺害の容疑で逮捕された「野村栄慈」 は、二審で逆転無罪となっていますが、その「野村」が、再び逮捕されます。茨城で殺害された女児の発見現場付近で、彼の車と姿が防犯カメラに映っていました。

日野市の事件を担当した警視庁の「信楽」と「森内」は、「野村」の余罪を洗うべく捜査を開始します。一方、10年前に「野村」の無罪を勝ち取った人権派弁護士の「岸」は、今回の事件でも弁護人を引き受けます。

二係の「信楽」と「岸」は10年前の事件でトラブルを起こした経緯があり、今回は捜査の表舞台に出ることはなく、部下の「森内」が主人公的な動きで事件の解決に取り組み、衝撃の結末が待ち受ける展開となります。

法廷物でよく使用されます刑事事件での「一時不再理」を芯に据え、「野村」を追い詰めていく筋書きに目が離せませんでした。
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今年の読書(77)『僕が死んだあの森』 ピエール・ルメートル(文春文庫)

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著者の作品としては、『その女アレックス』『監禁面接』以来となる本書は、2023年10月10日に文庫本として発売され、本書は年代ごとの3章で時代ごとに描かれています。

〈1999年〉 母とともに小さな村に暮らす12歳の少年「アントワーヌ」は、サントゥスタッシュの森で、自作した秘密基地(ツリーハウス)の下で興味を示さない隣家の6歳の男の子「レミ」を、誤って殺してしまいます。殺すつもりはなく、いつも一緒に遊んでいた犬が死んでしまったことと、心の中に積み重なってきた孤独と失望とが、一瞬の激情となって木の枝で殴っただけでしたが、幼い子供は死んでしまいます。

死体を森の中のブナの木の穴に隠して家に戻った「アントワーヌ」は、その途中で大事なダイバーズウォッチを無くしているのに気づきます。子供の失踪に村は揺れ、警察もメディアも村にやってきます。母の薬を大量に摂取して「アントワーヌ」は自殺を図りますが、「デュラフォア医師」の往診で、食中毒とされ殺人の件を悟られた感がぬぐえない「アントワーヌ」でした。

〈2011年〉 事件後のクリスマスイブの夜、村は暴風雨に合い、村は洪水となり、捜査も中断されてしまいます。「アントワーヌ」は村を出て医学生となりますが、ブナの木がある森の再開発計画が持ち上がり、子供の白骨死体が発見されてしまいます。

〈2015年〉 母の交通事故で村に戻った「アントワーヌ」は、子供の頃の憧れの「エミリー」と一線を越えてしまい、その後「エミリー」の妊娠がわかり、結婚して医師として村に住み着くことになります。その際「デュラフォア医師」の診療所と営業権を買い取りますが、「デュラフォア医師」から母の人生の裏面を聞かされ、驚く「アントワーヌ」でしたが、殺人事件は迷宮入りになりそうな流れで物語は終わります。

殺人現場で落としたダイバーズウォッチ紛失の件が、その後文中に出てこず、腕にしていないのに母からの指摘もないのが不思議でしたが、後半で集大成的に物語を締めくくる構成は、先読み不可能で、細やかな筆致で「アントワーヌ」心の変化を描く犯罪文学の傑作で、最後の2行には、あまり芋見事な結末の文章で唸ってしまいました。
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今年の読書(76)『ほんまつ』松岡未優(扶桑社)

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俳優<松岡茉優>(28)のデビュー20周年を記念した初の著書『ほんまつ』が、扶桑社から発売されています。映画『桐島、部活やめるってよ』(2012年・監督:吉田大八)やドラマ『初恋の悪魔』(日本テレビ系・2022年 7月16日 から 9月24日)などで共演した<仲野太賀>が表紙写真を撮り下ろしています。

著書『ほんまつ』では、20年の年のキャリアを持つ俳優としての顔、28歳の等身大の姿など、今の<松岡未優>のさまざまな一面を知ることができます。

<松岡未優>自身が執筆した7編のエッセイを収録するほか、<伊藤沙莉>、<是枝裕和>、<三谷幸喜>、<リリー・フランキー>など、これまで作品をともにしてきた俳優や監督、そして<松岡未優>が大ファンと公言するマンガ『BEASTARS』(『週刊少年チャンピオン』にて2016年41号から 2020年45号)の作者<板垣巴留>とのコラボレーション企画などで構成されています。

<仲野太賀>による撮影企画は<松岡未優>の希望によって実現。表紙のほか中面31ページにわたって掲載され、<松岡未優>が親しい友人にしか見せないという素の表情を垣間見ることができます。
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今年の読書(75)『新版三島由紀夫が復活する』小室直樹(毎日サンズ)

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今年の読書(75)『新版三島由...
本日11月25日は、私の大好きな作家<三島由紀夫>(1925年〈大正14年〉1月14日~1970年〈昭和45年〉11月25日)の命日です。三島ファンでない限り、覚えておられる方も少ないと思いますし、NHKラジオ第一の『ラジオ深夜便』での「本日の出来事」にも出てきませんでした。

本書『新版三島由紀夫が復活する』は、今年の4月16日に発行されていましたが、本日に合わせて、じっくりと読んでいました。

自決事件があった〈水曜日〉当時は、中学3年生でしたが、図書委員で三島好きを知ってくれていました担任の国語教師が、「おい、三島が死んだぞ」と教えてくれた時のショックは、今でも強く心に残っています。

三島ファンとして多くの初版本を収集していますが、初めての小説集『花ざかりの森』だけは、中学生には手の出ない金額でした。元町通商店街にありました黒木古書店の店主に見せていた初版本は、夢にまで出てきたものです。

大学生になり、『三島由紀夫全集』が新潮社から全36巻で発行されましたが、毎巻楽しみで揃えました。

生誕100年周年も間近なだけに、どのような企画がなされるのか、今から楽しみにしています。
#ブログ #新書 #読書

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今年の読書(74)『田舎のポルシェ』篠田節子(文春文庫)

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今年の読書(74)『田舎のポル...
著者<篠田節子>の作品は、公害問題と自然の驚異と神秘に触れた『アクアリウム』以後、NHKでも放送が控えていますドラマ『仮想儀礼』の原作となりました、宗教問題を扱った『仮想儀礼』にいたく感動、『沈黙の画布』『冬の光』『銀婚式』『鏡の背面』と読み継いできています、お気に入りの作家です。

本書『田舎のポルシェ』は、2021年4月に単行本として刊行、2023年10月10日に文庫本が発売され、中篇3作品が収録されています。

◆表題となっています『田舎のポルシェ』は、東京の実家の米を引き取るため大型台風が迫る中、岐阜から強面ヤンキーの運転する《軽トラック(=田舎のポルシェ)》で東京を目指す「増島翠」の、波乱だらけの強行軍を、お互いの人生の境遇を綴りながら、家父長制度と気質・田舎と都会の対比に鋭いメスを入れた作品です。
◆「ボルボ」は、妻同士が知り合いで不本意な形で大企業勤務の肩書を失った「伊能」と「斎藤」が意気投合し、「伊能」は20年落ちの《ボルボ》を廃車する前に最後の思い出と学生時代を過ごした北海道へ旅行することになりますが、《ボルボ》の最後は思わぬ展開を迎えます。
◆「ロケバスアリア」は、コロナ禍で劇場が使えない中、貸し切りでレンタルできるとあって、憧れの歌手「宮藤珠代」が歌った会場で唄いたいという「畔上春江」は思い立ち、孫の「大輝」は、勤め先の《ロケバス》をレンタルして、映像と曲のDVD作成のために具術者の「神宮寺」と一緒に「春江」と浜松のホールまで出向きます。

それぞれの作品は、その時代を背景として、登場人物の歩んできた人生を見事な文章で優しく表し、自動車と道路の関係のように、それぞれに登場する《自動車》もまた主人公とするロードムービーならぬロード小説として味わい深く楽しめました。
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今年の読書(73)『もう、聞こえない』誉田哲也(幻冬舎文庫)

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今年の読書(73)『もう、聞こ...
本書『もう、聞こえない』は、2020年8月に単行本として刊行され、2023年10月5日に文庫本として発売されています。

なんとも不思議な構成の『もう、聞こえない』でした。全体的には、殺人事件を中心とする〈警察小説〉なのですが、背景となる二人の女性の〈シスターフッド小説〉や、〈言霊〉としての幽霊が事件解決に導く〈ゴースト小説〉の要素もあり、展開が読めない物語でした。

部屋に押し入った男を正当防衛で殺害、傷害致死容疑で逮捕された週刊誌の記者「中西雪実」でしたが、罪を認め高井戸署の事情聴取に応じるも、こわもての刑事の前では、動機や被害者との関係については多くを語りません。警視庁捜査一課の「武脇刑事」が担当となりますが、突然「声が、聞こえるんです」と言い始めます。一向にわからぬ被害男性の身元でした。

そこに浮上したのが、14年前の「足立美波」の未解決殺人事件でした。ふたつの事件を繫げるのは、「中西雪実」に取りつく〈言霊〉としてこの世に残る幽霊の「足立美波」の未解決事件を追い求めて記者になった幼馴染の「寺田真由」でした。

14年前の殺人事件を追い求める「真由」は「美波」を殺した男に殺害され、自分のあとが待ちして配属された「中西雪実」と協力して、「美波」の無念を晴らそうとします。 

骨太の純粋の警察小説ではありませんが、それなりに楽しめた一冊でした。
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今年の読書(72)『レインメーカー』真山仁(幻冬舎文庫)

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今年の読書(72)『レインメー...
アルツハイマー病を扱った『神域』に続く医療問題を扱った本書『レインメーカー』は、2021年10月に単行本として刊行され、2023年10月5日に文庫本として発売されています。

タイトルの《レインメーカー》は文中にも説明が出てきていますが、米国において「訴訟で大儲けをする弁護士」のことを意味しています。

IT企業を経営している父「野々村喬一」と大学教授の母「結子」の保育園に通う一人息子の「喬太」は、高熱で病院に運ばれましたが、救急小児科医師の懸命の救急治療も及ばず亡くなってしまいます。悲嘆に暮れる「喬一」の県会議員の祖父は、政治的ライバルである病院を、医療過誤だと医療訴訟に強い「日向法律事務所」を使い病院を提訴します。そこで病院から弁護の依頼を受けたのが、先代の「日向法律事務所」から独立した敏腕弁護士「雨守誠」でした。

救えなかったら医師が悪いのか。「法律は悲しみを癒す道具じゃない」との信念に基づいて、「雨守」は医療現場の矛盾や不条理に斬り込んでいきます。

脇役として新聞記者「四宮智子」や、「雨守」の新人所員「多岐だ早苗」などの見せ場がもっとあってもと感じながら、最後は尻すぼみな結末で、「法廷サスペンス」という割には少し落胆しましたが、医療訴訟、小児の医療問題としての子育ての家庭環境、病院のM&A問題等を考えさせられる一冊でした。
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