今年の読書(42)『鬼哭の銃弾』深町秋生(双葉文庫)
8月
10日
<深町秋生>の作品としては、<組織犯罪対策課 八神瑛子>シリーズの『アウトサイダー』以来久しぶりになりますが、期待通り面白く楽しめました。
本書『鬼哭の銃弾』は、2021年1月に刊行され、2024年7月13日に文庫本として発売されています。
警視庁捜査一課の刑事「日向直幸」は多摩川河川敷発砲事件の捜査を命じられます。使用された拳銃の線条痕が、22年前に無惨にも3人の従業員が殺された「スーパーいちまつ強盗殺人事件」で使用された拳銃と一致したといいます。
迷宮入り事件の捜査が一気に動き出しますが、「いちまつ事件」は鬼刑事の父「繁」が担当した事件でした。「繁」は家庭を顧みずに捜査にのめり込み、難航する捜査への苛立ちを妻子にぶつけ、DV野郎に堕ちて家庭を崩壊させた人物です。 事件に執念を燃やす父親と息子がが骨肉の争いを巻き起こし事件の真相を追い求めていきます。22年前当時の関係者を巡り、辿り着いた凶悪事件の真実が明らかになるとき、捜査の山場にたどり着き、壮絶な結末を迎えることになります。
本書で取り上げられています、「スーパーいちまつ強盗殺人事件」は、1995年(平成7年)7月30日夜に東京都八王子市大和田町にかつて存在したスーパーマーケット「ナンペイ大和田店」事務所内で発生した拳銃使用による強盗殺人事件「八王子スーパー強盗殺人事件」がモデルだと思われますが、この事件も残念ながらいまだ未解決のままです。