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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(14)『アニメーションと国家』雪村まゆみ(フィルムアート社)

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今年の読書(14)『アニメーシ...
社会学者<雪村まゆみ>による書籍『アニメーションと国家──戦うキャラクター、動員されるアニメーター』が、フィルムアート社から3月26日に発売されています。
 
日本では、年間300本以上のアニメーション作品が放映されています。1963年(昭和38年)に放送が始まりました『鉄腕アトム』以降、日本のアニメーション業界は大量生産が可能な体制を確立していきます。その原動力となったのが分業体制の導入であり、大量生産に不可欠だったのがアニメーターでした。この分業体制の確立と、専門職としてのアニメーターの誕生は戦時中までさかのぼります。そして、そこで制作されたのはプロパガンダ映画でした。
 
本書では、国家の文化政策、アニメーターという職業の誕生、配給システムの変化、戦時下に制作されました『桃太郎 海の神兵』をはじめとする作品の分析を通して、アニメーションが国民文化となっていく過程を浮き彫りに。その流れの中で、より深くアニメーションと日本の関係を捉え直していきます。
 
日本だけでなく、戦時下のフランスのアニメーションについても論じられています。国家の介入による制作体制確立だけでなく、植民地へのまなざしの変化、自国文化の優位性の確保、敵国人の描き方など、日本との共通性を明らかにしていき、加えて、<高畑勲>や<宮﨑駿>が影響を受けた<ポール・グリモー>の『やぶにらみの暴君/王と鳥』(1952年)にも触れ、戦時中から続くアニメーションにおける空間表現の特質を浮き彫りにしていきます。
 
さらに、アニメーションの舞台を巡る〈聖地巡礼〉や、現代のアニメーターの労働状況、<宮﨑駿>の監督作『君たちはどう生きるか』にも言及して、現代におけるアニメーション文化の展開についても考察しています。
#アニメ #アニメーター #ブログ #映画 #書籍 #読書

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今年の読書(13)『偽装同盟』佐々木譲(集英社文庫)

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今年の読書(13)『偽装同盟』...
改変歴史警察小説の前作『抵抗都市』に続く『偽装同盟』は、2021年11月に刊行され、2025年2月25日に文庫本が発売されています。
 
ロシア帝国との日露戦争に負け、ロシアの属国として統治されている日本ですが、前作から1年後の日露戦争終結から12年たった大正6年の東京を舞台としています。
 
敗戦国の日本は外交権と軍事権を失い、ロシア軍の駐屯を許していました。3月、警視庁と組む巡査の「新堂裕作」は、連続強盗事件の容疑者「杉原」を捕らますが、身柄をロシアの日本統監府保安課に奪われてしまい、手が出せなくなってしまいます。
 
そんなおり、外神田で新たに女性殺害事件が起こり、捜査に投入された「新堂」でしたが、ロシア首都での大規模な騒擾が伝えられるなか、当初身元不明の女性の捜査を、所轄の刑事「飛田」と組み、進めていきます。
 
自動車での移動もありますが、市電を利用しての捜査が、時代背景として有効に使われ、捜査は足で稼ぐと言われた刑事の基本を改めて認識させられました。属国となることで、ロシア将校とロシア語が重要な背景として生かされているのが、違和感なく読み進められるのは、著者の文章力だと認識させてくれる一冊で、とても面白く読み終えれました。
#ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(12)『ウェス・アンダーソンの世界展』(ボーンデジタル)

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今年の読書(12)『ウェス・ア...
『ウェス・アンダーソンの世界展 ーThe Museum of Wes Andersonー』が、2025年3月4日に、著者<ヨハン・キアラモンテ>と<カミーユ・マチュー>で、<平谷 早苗>の 編集として発売されています。
 
<ウェス・アンダーソン>監督の映画世界を構成する魅力的な品々を展示したこの本書では、スタイリッシュでこだわりのディテールにあふれた作品世界に浸り、監督のインスピレーションの源をたどるべく、216ページのカラーで楽しめます
 
長編監督初作品『アンソニーのハッピー・モーテル』から『フレンチ・ディスパッチ』まで、全作品を取り上げ、場面ショット、アクセサリー、衣装、小物、セリフから、作品世界と”監督自身”を掘り下げていきます。
 
展示の例として、テネンバウムズ家の子供たちの衣装の謎(『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』)、コンシェルジュのコロン「ル・パナシェ」の秘密(『グランド・ブダペスト・ホテル』)、カフェ「ル・サン・ブラーグ」の「サンドイッチ」のレシピ(『フレンチ・ディスパッチ』)
 
掲載作品は、『アンソニーのハッピー・モーテル』・『天才マックスの世界』・『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』・『ライフ・アクアティック』・『ダージリン急行』・『ホテル・シュヴァリエ』・『ファンタスティック Mr.FOX』・『ムーンライズ・キングダム』・『カステロ・カヴァルカンティ』・『グランド・ブダペスト・ホテル』『犬ヶ島』『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』『アステロイド・シティ』です。
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今年の読書(11)『火山のふもとで』松家仁之(新潮文庫)

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今年の読書(11)『火山のふも...
<松家仁之>の『火山のふもとで』は、2012年9月に単行本が刊行され、かなり遅れていますが、2025年2月1日に文庫本が発売されています。
 
建築設計を生業としていましたので、〈若き建築家の成長とひと夏の恋〉というキャッチフレーズと、第64回「読売文学賞」受賞作品ということで、気になっていました。
 
主人公「坂西徹」は、敬愛する建築家「村井俊輔」の主催する「村井設計事務所」に、国立現代図書館の設計コンペ対策要員として就職します。「村井設計事務所」は、毎年7月末になると、北浅間の「夏の家」に仕事場を移動します。静かな情熱を秘めた先生とともに働く喜び、社内恋愛禁止の中、所長の姪「麻里子」との密やかに進行してゆく恋。浅間山のふもとでのかけがえのない日々と、建築設計者としての成長が、ち密な建築業界の取材を背景として描かれている一冊でした。
 
終章のコンペの成り行きや結末は、少し単調さを感じましたが、主人公「坂西徹」の視線ということでは、無難な終わり方なんだと思います。
 
わたしも学生時代、恩師と共に漁村の古民家を2年がかりで改修、夏休みには、研究室の学生たちの合宿所として過ごした経験があります。またイランのパーレビ国王時代の国立国会図書館のコンペに参加していますので、本署は、平行定規の製図板に向かい合っていた自分の青春時代をトレースしているようで、残念ながら〈恋〉はありませんでしたが、思い出させてくれる一冊でした。
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今年の読書(9)『家庭調査官・庵原かのん』乃南アサ(新潮文庫)

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今年の読書(9)『家庭調査官・...
生年は違いますが、誕生日が同じということで、デビュー作『幸福な朝食』(1988年11月・ 新潮社)以来読みつないできています<乃南アサ>の作品です。
 
ここしばらくは、台湾の紀行シリーズが続きましたが、ようやく本書『家庭調査官・庵原かのん』となり、2022年8月の単行本から、2025年2月1日に文庫本が発売されています。
 
本書の主人公「庵原かのん」は、大学卒業後ホテル業界で3年働き、その後家庭調査官に転職した35歳で、福岡家庭裁判所北九州渋に勤務、中学の同級生で動物園に勤めるゴリラ担当の彼氏「栗林(クリリン)」を東京に残し、遠距離恋愛のなか、仕事に励んでいます。
 
少年少女たちは、なぜ罪を犯してしまったのか、その原因を探るのが「家裁調査官」です。本書には7章が収められ、「庵原かのん」はそれぞれの章で、自転車窃盗、女子高生の売春、バイクの暴走族、女性猥褻行為など毎日数多くの事件に直面し、当事者である子どもたちの声に耳を傾けるうちに、彼女はそれぞれの事件の深層を探り出し、少年少女たちの更生に期待をかけていきます。
 
3年ごとに移動がつきものの家庭調査官の仕事ということで、続編では、新天地での活躍と〈クリリン〉との関係も気になる新シリーズになりそうですが、すでに2冊目として2023年6月に『雫の街―家裁調査官・庵原かのん―』 が、刊行されていますので、また文庫化を待ちたいと思います。
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今年の読書(8)『死の扉』小杉建治(双葉文庫)

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今年の読書(8)『死の扉』小杉...
本書『死の扉』は、2020年10月21日より単行本が刊行され、2025年1月15日文庫本が発売されています。
 
横浜地検の「華岡徹検事」は元プロ野球選手である「三和田明」の妻の殺人事件を起訴しましたが、犯人逃走を目撃した「田中真司」の証言が決め手で無罪となりました。
 
証言した「田中真司」の息子「田中淳」は、飛び降り果事故死か不明のまま「マンションからの落下で入院後、亡くなっていました。「華岡徹検事」は、「田中淳」に対する安楽死問題で、担当した「山中征爾」医師を取り調べているところでした。
 
全く関わりのない2つの事件に共通点が発見され、徐々に真相が明らかになっていきます。同時期に「華岡検事」の母親に対する終末期鎮静についても、義父から決断を迫られていました。
 
法廷劇が得意な著者ですが、本署は事件調査する検事の手腕もさることながら、家族の終末期医療・安楽死問題のあり方を問う、ヒューマンミステリー仕立てで、考えさせられる一冊でした。
#ブログ #安楽死 #文庫本 #終末期医療 #読書

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今年の読書(7)『機械仕掛けの太陽』知念実希人(文春文庫)

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今年の読書(7)『機械仕掛けの...
著者<知念実希人>は現役の医者ということで、『幻影の手術室』『時限病棟』『生命の略奪者』などを読み、評価は高くありませんでしたが、この『機械仕掛けの太陽』を読み、見直しました。
 
単行本として、2022年10月24日に刊行され、文庫本として、2025年1月10日に発売されています。刊行当時すぐに読んでおれば、感動もひとしおだったのではないかなと感じる内容でした。
 
主な主人公3人が登場、未知のウイルスとの戦いに巻き込まれ、戦場に身を投じた主人公たちの目線でのコロナ物語です。
 
大学病院の勤務医で、呼吸器内科を専門とする「椎名梓」は、彼女はシングルマザーとして、男の児を育てながら、基礎疾患のある高齢の母と同居していました。コロナ病棟の担当者として、最前線に立つことになり、ホテル暮らしで帰宅できない状況が続きます
 
同じ病院の救急部に勤務する20代の女性看護師「硲瑠璃子」は、結婚目前の彼氏「定岡彰」と同棲中ですが、独身であるがゆえに、コロナ病棟での勤務を命じられます。
 
そして、70代の開業医「長峰邦昭」は、地域に根差した町医者として、開業から30年が過ぎ、息子にはそろそろ引退を考えるように勧められていますが、コロナ禍で思い掛けず、高齢で持病もある自身の感染を恐れながらも、町医者の使命感で現場に立つことを決意します。
 
コロナ禍が進んでいく中、あのとき医療の現場では何が起こっていたのか、時系列でリアルな現場の描写が進んでいきます。立場の違う 3人は、それぞれの立場に苦悩しながら、医療従事者としての自己犠牲を強いられていくのかノンフィクションかと思わせる現場の状況と共に描かれていきます。
 
全人類が経験したあの未曾有の災厄の果てに見いだされる希望とは。自らも現役医師として現場に立ち続けたからこそ描き出せた久々に感動した(525ページ)の人間ドラマの一冊でした。
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今年の読書(6)『告発者(下)』ジョン・グリシャム(新潮文庫)

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今年の読書(6)『告発者(下)...
『告発者(上巻)』では、「マクドゥーヴァー判事」と結託しているマフィアのボス「デュボーズ」の悪事の告発者の真意を確かめようと調査を始めました「レイシー」と「ヒューゴ」でした。
 
自動車事故と見せかけ、二人を消そうとした「デュボーズ」の企みで、「ヒューゴ」がなくなりました。重症の「レイシー」も。おせっかいな兄「ガンサー」の看病もあり、無事に復帰となり、今度はFBIと組み、調査を進めます。
 
「デュボーズ」は先住民のカジノから上納金を巻き上げ、金と暴力で部下を支配していました。邪魔者は躊躇なく始末し、海外企業を使って身を隠しているため、正体は誰にも知られていません。
 
FBIは、「アリー・パチェコ」を中心として、自動車事故の関連を調べ、実行犯を逮捕、司法取引で「デュボーズ」たちの犯罪を暴いていきます。
 
上巻での伏線を踏まえながら、小気味よいテンポで下巻は進み、捜査の顛末は、前代未聞の大規模な逮捕となり、マフィアの幹部たちは収監されて「ヒューゴー」の仇は一応取れ、死刑の冤罪の人物は助け出され、魂を売った悪徳判事「マクドゥーヴァー」も裁かれて、悪人は全て報いを受ける理想的な幕切れでした。
 
解説によりますと続巻があるようで、捜査協力した「アリー・パチェコ」と「レイシー」の関係が進展しそうで、シリーズとして楽しめそうです。
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今年の読書(5)『告発者(上)』ジョン・グリシャム(新潮文庫)

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今年の読書(5)『告発者(上)...
弁護士でもある著者<ジョン・グリシャム>ですが、『評決のとき』・『ザ・ファーム法律時事務所』『ペリカン文書』『依頼人』・『レインメーカー』など多くの著作が映画化されています。
 
本書『告発者』は、単行本としての刊行はなく、いきなり文庫本として2024年11月1日に(上・下)2冊の文庫本として発売されています。文庫本(上下)で1980円、おそらく単行本では、4000円近くになり、売れないと判断されたんだと思います。
 
物語は、判事の不正を調べる「司法審査会」が舞台です。フロリダ州司法審査会に、「マクドーヴァー」という女性判事が、コーストマフィアと組んで、無実の人間に死刑判決を下したという情報が寄せられます。不当判決はほかにもあり、見返りに多額の賄賂を毎月受け取っているといいます。この告発は真実なのか、独身の女性調査官の「レイシー」と5人の父親である「ヒューゴ」が捜査を進めていくと、先住民が経営するカジノとの関係が浮き彫りになってきます。
 
文中に「マクドーヴァー判事」が、現金を受け取る場面や、裏金旅行の詳細が語られていますので、読者は「マクドーヴァー判事」が黒だと分かった上で読み進むことになりますので、痛快に解決する結末に期待がかかりますが、上巻の終わりで、調査を中止させるために「レイシー」と「ヒューゴ」の車に自動車事故が起こり、「レイシー」は重傷を負いますが、「ヒューゴ」が亡くなってしまいます。読者としては、思わぬ展開で進み驚くと共に、下巻へ引き継ぎことになります。
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今年の読書(4)『ゴジラvs.自衛隊 アニメの「戦争論」』小泉悠・他(文春新書)

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今年の読書(4)『ゴジラvs....
<小泉悠>、<高橋杉雄>、<太田啓之>、<マライ・メントライン>が手がけた(文春新書)が『ゴジラvs.自衛隊 アニメの「戦争論」』です。
 
本書は、アニメや特撮の世界を軍事専門家らが語る構成になっています。
 
「『機動警察パトレイバー』首都防空通信は実際に自衛官の目にどう映ったのか」・「『新世紀エヴァンゲリオン』の世界ではソ連は崩壊していない」・「『風の谷のナウシカ』のバカガラスはナチスドイツで開発されたギガントと同様の運用がなされている」・「『宇宙戦艦ヤマト』の多層式航宙母艦の運用構想は、日本海軍の三段式時代の空母『赤城』と同じなのか」・「『シン・ゴジラ』で使用が検討される核兵器は、名前が違う?」といったトピックが語られています。
 
私たちがアニメや特撮や仮想戦記について語るときには、いつの間にかそこに仮託された何か別のものについて語っているという形がが多いようです。「ゴジラ」に投影された「戦後ニッポン像」というテーマは、本書に限らず繰りし語られてきたものですが、では「エヴァゲリオン」の中の日本ではどう扱われているのでしょうか。
 
本書は、アニメをきっかけとしたサブカル風時事評論集としても楽しめることができる一冊です。
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