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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(45)『ブルースRed』桜木紫乃(文春文庫)

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今年の読書(45)『ブルースR...
<桜木紫乃>の前作『ブルース』(2014年12月刊)では、「影山博人」という一人の男に対して8人の女が繰り広げる物語でしたが、その続編となる本書『ブルースRed』は、2021年9月に単行本が刊行され、2024年8月10日に文庫本が発売されています。
 
小気味よい文体で好きな作家でもあり、場面の展開描写も早いのですが、登場人物たちの性格描写も秀逸で、『家族じまい』以来いつもながらの紫乃ワールドに浸れました。
 
釧路の街を、裏社会から牛耳る「影山莉菜」は、亡父「影山博人」の血をひく青年「武博」を後継者として育て、官僚から代議士への道を歩ませようとしていました。
「男と違って、女のワルには、できないことがない」という亡き父「博人」の言葉を胸に、「武博」の成長を楽しみにして生きていました。
 
無事に「武博」を衆議院議員として当選させ、幹事長の娘との婚約も調うのですが、「影山莉菜」は、「武博」親子の裏切りに合い、釧路の街を出てしまいます。流れ着いた先で見つけた人生の結末まで、一気に読ませる構成は、さすがでした。
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今年の読書(44)『サヴァナの王国』ジョージ・ドーズ・グリーン(新潮文庫)

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今年の読書(44)『サヴァナの...
著者<ジョージ・ドーズ・グリーン>は、MWA新人賞受賞作『ケイヴマン』で衝撃のデビューを飾ってから約30年が経ち、待望の第4作目が『サヴァナの王国』です。本書はCWAゴールド・ダガー受賞作品として、歴史の大きな闇を抉りだす、米南部を舞台とするゴシック・ミステリーの傑作です。
 
ジョージア州サヴァナの春の夜、常連客の集まるバーを出たホームレスの青年「ルーク」が殺害され、考古学者である連れの黒人女性「ストーニー」が拉致されてしまいます。青年の遺体が発見されたのは全焼した空き家で、所有者の土地開発業者「グスマン」が殺人と保険金目当ての放火の罪で逮捕されますが、「グスマン」は、探偵事務所も営み〈サヴァナ〉社交界を牛耳る老婦人「モルガナ」に真相解明を依頼することになります。彼女は次男の「ランサム」と孫娘にあたるバーのアルバイト女性「ジャク」に調査を命じますが、やがて明らかになってくるのは、思いもよらない南部〈サヴァナ〉の街全体の歴史の大きな闇でした。
 
主人公となるべき登場人物たちの家族関係が、緻密に描写されており、複雑な中に、家族の歴史と舞台となる〈サヴァナ〉の歴史が重なり合う時間軸が見事に描かれています。
 
アメリカの奴隷制度の歴史を背景に、〈サヴァナ〉の開発で利権を得ようとする者たちを絡めながら描き、小気味よい文体で、最後まで一気読みさせる構成でした。
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今年の読書(43)『虎に翼』(ぴあMOOK)

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今年の読書(43)『虎に翼』(...
NHK2024年度前期放送の「連続テレビ小説」の第110作として、2024年4月1日より放送されているのが『虎に翼』です。<伊藤沙莉>が主演を務め、日本史上初めて男性ばかりの法曹の世界に飛び込んだ、日本の女性として初めて弁護士・判事・裁判所所長を務めた<三淵嘉子>をモデルとした実話に基づくドラマとなっています。
 
本書『NHK 連続テレビ小説「虎に翼」心に響く名言ブック』は、『虎に翼』の世界を紡ぐ名言の数々が登場しています。
 
主人公「佐田(猪爪)寅子」役の<伊藤沙莉>をはじめ、作者<吉田恵里香>、タイトルバック<シシヤマザキ>、制作統括<尾崎裕和>ら、計8名によるそれぞれのインタビューページでは、ドラマへの深い思いやこだわりが満載です。
 
「キャラクター別珠玉の名言」では、「佐田(猪爪)寅子」のことば〈明律大学法学部の仲間のことば〉など、忘れられない印象的な言葉が選ばれています。
 
さらに、「私の心に響いたセリフ」には、「猪爪はる」役の<石田ゆり子>、「山田よね」役の<土居志央梨>、「花岡悟」役の<岩田剛典>、「桂場等一郎」役の<松山ケンイチ>、ナレーションを務める<尾野真千子>の18名が登場しています。印象的なセリフ、涙なくしては思い返せないセリフなど、数々の名言をその場面ともに振り返ることができます。
 
そのほか、美術セットや衣装をたっぷり掘り下げたページや、知られざる工夫が隠された小道具トリビアなど、読み応え満載の構成で、ぜひドラマと併せてお楽しみください。
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今年の読書(42)『鬼哭の銃弾』深町秋生(双葉文庫)

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今年の読書(42)『鬼哭の銃弾...
<深町秋生>の作品としては、<組織犯罪対策課 八神瑛子>シリーズの『アウトサイダー』以来久しぶりになりますが、期待通り面白く楽しめました。
 
本書『鬼哭の銃弾』は、2021年1月に刊行され、2024年7月13日に文庫本として発売されています。
 
警視庁捜査一課の刑事「日向直幸」は多摩川河川敷発砲事件の捜査を命じられます。使用された拳銃の線条痕が、22年前に無惨にも3人の従業員が殺された「スーパーいちまつ強盗殺人事件」で使用された拳銃と一致したといいます。
 
迷宮入り事件の捜査が一気に動き出しますが、「いちまつ事件」は鬼刑事の父「繁」が担当した事件でした。「繁」は家庭を顧みずに捜査にのめり込み、難航する捜査への苛立ちを妻子にぶつけ、DV野郎に堕ちて家庭を崩壊させた人物です。 事件に執念を燃やす父親と息子がが骨肉の争いを巻き起こし事件の真相を追い求めていきます。22年前当時の関係者を巡り、辿り着いた凶悪事件の真実が明らかになるとき、捜査の山場にたどり着き、壮絶な結末を迎えることになります。
 
本書で取り上げられています、「スーパーいちまつ強盗殺人事件」は、1995年(平成7年)7月30日夜に東京都八王子市大和田町にかつて存在したスーパーマーケット「ナンペイ大和田店」事務所内で発生した拳銃使用による強盗殺人事件「八王子スーパー強盗殺人事件」がモデルだと思われますが、この事件も残念ながらいまだ未解決のままです。
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今年の読書(41)『軽いノリノリのイルカ』(マガジンハウス)

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今年の読書(41)『軽いノリノ...
俳優・タレントの<満島ひかり>(38)の生み出した「回文」をもとに<又吉直樹>(お笑いコンビ・ピース)が「ショートストーリー」を書きおろし、女性向けファッション雑誌『GINZA』(マガジンハウス)に連載されていました『軽いノリノリのイルカ』が、2024年7月17日に刊行されています。
 
上から読んでも下から読んでも同じ言葉になる回文「痛い頭に見聞きした詩 遠い価値観なのに 無二のなんか近い音 親しき君にまた会いたい」など、このポエムのような文章の作者が<満島ひかり>です。
 
回文→物語という文章メインの企画を、文学系の雑誌ではなく、ファッション誌『GINZA』で展開したとても贅沢な連載企画でした。
 
本書は、雑誌『GINZA』連載30回分を全収録、書籍用、書き下ろし回文&ショートストーリー 11本、<満島ひかり>さんと回文作家との対談2本(石津ちひろ・コジヤジコ)、<又吉直樹>さん考案の回文に、<満島ひかり>が応える連載時の逆バージョン、等盛りだくさんな内容で、ふたりの言葉遊びを、カラフルにグラフィカルに楽しめる仕上がりになっています。
 
本書の表紙写真が、1990年代初頭より本格的に写真を始め、独学で自身のスタイルを極めていった異色のフォトグラファー<佐内正史>ということも手にした要因です。1997年に発表した写真集『生きている』は、本質的には異なれど、どことなくありふれた、クルマ、庭木に水をやる人、電線、行き止まりの道、誰もいないグランド、観葉植物などが脈絡なく続きますが、その切り取り方、さらには対象への深い洞察を見たとき、こういう写真集が成立すること自体に驚きを感じた写真家でした。
#ブログ #写真集 #単行本 #読書

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今年の読書(40)『はたらく細胞06』清水茜(講談社)

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今年の読書(40)『はたらく細...
今回取り上げたのは、巷で話題の<清水茜>の漫画「はたらく細胞」(『月刊少年シリウス』(講談社)にて、2015年3月号から2021年3月号まで連載)シリーズ完結となるコミックス6巻目の『はたらく細胞06』です。
 
本書には、5篇の作品<第26話『たんこぶ』・第27話『左方移動』・第28話『iPS細胞』・特別編『乾癬』・第29話『新型コロナウイルス』>が収録されています。
 
それぞれの病状に対して、体内でどのような変化が起こっているのか、新米の赤血球「AE3803」や白血球「U-1146」などを中心に、群集劇の形で細胞たちの日常を擬人化して描いて、小学生でも理解できるように漫画化されています。
 
今年12月13日(予定)には、実写映画化されました『はたらく細胞』(監督:武内英樹)が、<芦田愛菜>・<阿部サダヲ>・<永野芽郁>・<佐藤健>ほかの出演で上映されますので、原作の内容を確かめてみました。
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今年の読書(38)『ナゾコキ・ジパングSAKURA』青柳碧人 (小学館文庫)

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今年の読書(38)『ナゾコキ・...
本書『ナゾコキ・ジパングSAKURA』は、2022年6月に刊行され、2024年7月10日に文庫本が発売されています。
 
本書には、精南大学の男子寮《獅子辰寮》の代表となった「長瀬秀次」と、《獅子辰寮》で同室となるアメリカ ・ロサンゼルス出身の「ケビン・マクリーガル」を主人公として、脇役にロサンゼルスにも研修で出向いたことのある癖のある刑事「田中撫子」と部下の「浦部」、「長瀬」の幼馴染「理沙」が織りなす殺人事件のミステリー5篇とエピローグが収録されています。
 
「ミョーデス!」日本の文化が大好きなだけでなくすぐれた洞察力を持つ「ケビン」と、なにかと巻き込まれがちな「秀次」が、いつの間にか探偵コンビに!となり、「撫子」警部と対抗しながら、「SAKURA」・「 FUJISAN」・「 CHA」・「 SUKIYAKI」・「 KYOTO」といった日本文化を舞台に起こる事件の謎を解いていきます。
#ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(36)『イシュタムの手』小松亜由美(小学館文庫)

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今年の読書(36)『イシュタム...
本書『イシュタムの手 法医学教授・上杉栄永久子』は、『STORYBOX』に掲載された3篇を文庫化に当たり加筆改稿され、書下ろし2篇を加えて、2024年7月10日に文庫本として発売されています。
 
医者ぞろいの家族として、大学受験に失敗し、東京の実家を出て秋田医科大学に進学した「南雲瞬平」です。ある出来事をきっかけに、大学卒業後は博士課程に進み、法医学教室に所属しています。秋田県内で発見された異状死体の法医解剖は全てここで行われます。上司の「上杉永久子教授」は自殺研究の第一人者です。抜群の解剖技術と観察眼を持ち、死者と死者を見送る者への敬意を尊重する一方、その想いが先走り、周囲を振り回すこともたびたびでした。
 
年末、運び込まれてきたのは二体の焼死体でした。高齢で寝たきりの妻とその夫とみられる。無理心中事案と思われていましたが、「上杉」は両者の臓器に似たようなポリープがあることに着目、警察にある指示を出します。これにより、意外な事実が明らかになります。
一家の食中毒事案、生後二か月の乳児の死亡事案、夏祭りでの毒物混入事案、そして、「南雲」が法医学を目指す動機となった過去に起きたある人物の死にまつわる衝撃的な出来事とあわせ「上杉永久子教授」が自殺研究の第一人者となった過去が見事に物語の中で融合し、常識に縛られない「上杉」と、一人前の執刀医を目指す「南雲」のコンビが事件の真相に迫るミステリー仕立ての構成になっています。
 
現役解剖技官の著者が描く、司法解剖のリアルな描写、そして舞台となる自然豊かな秋田の風物や風景・方言を織り込んで、私たちの隣にある「死」について深く考えさせられる、新たな領域に踏み込む法医学ミステリとして、十分に楽しめ、今後の「南雲」の成長と、修士の院生「鈴屋玲奈」との関係も気になり、シリーズ化を大いに期待したい作品でした。
 
表題に使用されています〈イシュタム〉は、神話好きの「南雲」らしくマヤ神話の「自殺を司り、死者を楽園に導く女神」のことを意味し、物語の伏線として適した言葉だと、読後に感じ取れます。
#ブログ #文庫本 #法医学 #読書

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今年の読書(35)『俺ではない炎上』浅倉秋成(双葉文庫)

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今年の読書(35)『俺ではない...
2021年 本屋大賞候補に選ばれました『六人の嘘つきな大学生』 の著書<浅倉秋成>による『俺ではない炎上』は、2022年5月に刊行され 。2024年6月15日に文庫本として発行されています、
 
SNSの炎上をテーマに展開し、無実の中年男が罪をなすりつけられ逃亡するという展開で、最後にはお得意のどんでん返しが展開する、痛快なミステリー小説に仕上がっています。
 
「住吉初羽馬」は、公園で女性を殺害したと思われる画像を掲載した【血の海地獄】と書かれたツイートを発見し、リツイートします。投稿はすぐに拡散され、発信者は大帝ハウス大善支社営業部長の「山縣泰介」だと特定されます。
 
しかし「泰介」は女性を殺害しておらず、それどころかTwitterをやったことすらありませんでした。全く身に覚えの無い「泰介」は、ただのイタズラだと事態を軽く見ていましたが、ツイートが炎上し、正義感を振りかざした世間が「泰介」に制裁を加えようとします。
 
やがて警察からも追われるようになった「泰介」でした。大善署の刑事「堀健比古」は、「泰介」の家族に聞き込み調査などをする内に、事件について疑問を抱きます。また「泰介」の娘の「夏実」は、クラスメイトの「江波戸琢哉」と共に自分自身も巻き込まれた事件について調べ出します。
 
「泰介」の逃亡劇の結末は? 「泰介」のSNSになりすました犯人は誰なのか? 「住吉初羽馬」や「山縣泰介」・「夏実」・「江波戸琢哉」・「堀健比古」などの登場人物たちの目線でスピード感のある文体で物語は進み、ラストには思わぬどんでん返しが待っていました。
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今年の読書(34)『刑事の枷』堂場瞬一(角川文庫)

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本書『刑事の枷』は、2021年1月に刊行され、2024年2月25日に文庫本として発売されています。
 
「忠告だ。影山には近づくな」。
川崎中央署の若手刑事「村上翼」は、管内で起きた人質事件をきっかけに、本庁から来た傍若無人なベテラン刑事「影山康平」に目をつけられ、捜査とは関係なく、「影山」地震の捜査の手足として強引に連れ回されるようになります。
 
身内仲間の不祥事を観察官に暴いたことで、署内の誰からも〈裏切り者〉と敬遠されている「影山」で、だれからも「影山には近づくな」と言われています。実は10年前に起きた未解決の殺人事件を独自に捜査し続けていると知り、「村上」も事件解明へと乗り出しますが、その矢先、新たな殺人事件が発生します。
 
被害者の身元もわからず捜査は難航するかと思われまあしたが、「村上」は2つの事件のつながりに気づきます。
 
さいごまで、「なぜ、影山は裏切り者と呼ばれるのか」の疑問を残しながら、10年前のストーカー殺人事件と、新たな事件を交差させながら、刑事としての執念を見せる「影山」と、新人刑事の「村上」の掲示としての成長を描き、430ページ最後まで一気に読ませる構成でみごとな警察小説でした。
 
今後は、刑事として場数を踏んだ「村上翼」が活躍する再登場を、遠距離恋愛の「長瀬花奈」とのその後も気になるところで、期待しています。
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