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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(69)『花散る里の病棟』帚木蓬生(新潮文庫)

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今年の読書(69)『花散る里の...
前回(69)での<柚月裕子>の『ミカエルの鼓動』は、二人の心臓外科医を中心とする物語で、医療現場と医者のあるべき姿を見事に描いていました。
 
本書『花散る里の病棟』は、2022年4月に刊行され、2024年11月1日に文庫本が発売されています。
 
九州で四代100年続く「野北家」を1936年から、2021年までを、全10章の構成で、日本の近代史を織り交ぜながら、医者としての視線で、医療現場を眺めながら、医療と医学に対して、精神科医でもある著者の視線を織り込みながら、医療の現場を見事に描いています
 
大正時代、蛔虫退治で評判を取った初代「野北保造」にはじまり、第二次世界大戦に軍医としてフィリピン戦線を彷徨った二代目「野北宏一」。高齢者たちの面倒を見る三代目「野北伸二」。そして肥満治療を手がけてきた四代目の「野北健」はコロナ禍に巻き込まれ、恋人の「理奈」共々奔走します。
 
医者でありながら、フィリピン戦線での、命を助ける医者でありながら消毒液で、命を終えさす命令に従う立場の『兵站病院』の章は、戦争の実態を克明に描いています。隠された歴史の『胎を堕ろす』の章など、九州大学医学部卒業ならではの背景が見て取れ、最後の章として記憶に新しい新型コロナウイルス関連の『パンデミック』の実情が詳しく描かれ、この先地域に生きる町医者としての期待と五代目の医者へとその思いをつなげてほしいと思わせる感動作でした。
#ブログ #文庫本 #読書

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