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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(38)『十二年目の映像』帚木蓬生(集英社文庫)

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本書『十二年目の映像』は、単行本としては、1981年に刊行されています。(集英社文庫)としては、『賞の棺』 ・ 『薔薇窓の闇(上・下)』 に続いて、2014年11月25日に発行されています。

大手放送局に勤務する25歳の<川原庸次>は、かつて学生運動に参加していたという上司<鎗居>からT大時計台闘争の時に立てこもった時計台内部から撮影したというスクープ映像の存在を聞かされます。初めは半信半疑の<川原>でしたが、十二年間にわたり地下に潜伏し続ける男<井田>と出会い、そのフィルムの存在を確信します。しかし彼の不審死を境に事態は急変していきます。テレビ局を舞台にした緊迫の長編サスペンスです。

かたや、<川原>と女優志望の恋人<和田英>との関係や、テレビ局内のドラマ制作の流れ、テレビ業界にしぶとく生き続ける業界人たちの生き様を織り込み、最後まで緊迫感をもって読み進められた一冊でした。
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今年の読書(37)『死命』薬丸岳(文春文庫)

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今年の読書(37)『死命』薬丸...
本書『死命』は、2012年4月文藝春秋から刊行され、2014年11月に文春文庫として発行されています。 『刑事のまなざし』』(2011年6月) ・ 『ハードラック』(2011年9月)に次ぐ作品になります。

『死命』は、胃癌を患い余命いくばくもなく、自らの死と隣り合わせの状態にある2人の男が織りなす、壮絶な物語です。子供のころ受けたトラウマで関係を持った女性を絞殺することに喜びを感じる33歳の<榊真一>と、刑事としての矜持をもちえた妻を亡くした53歳の捜査一課の刑事<蒼井凌>は、所轄の28歳の新人刑事<矢部知樹>と組み、女性を狙った連続殺人事件を追います。刑事人生に心血を注いできた<蒼井>は、病で余命宣告を受けたのを機に、死の恐怖に襲われながらも、残された時間を職務に注ぐことを再決意するとともに、ダンサーを目指す娘<瑞希>や息子<健吾>との関係にも修復を試みます。

そんな<蒼井>に追われるのが、同じく胃癌で余命宣告を受けたデイトレーダー<榊信一>。命のタイムリミットに直面した彼はあろうことか、ずっと抑え込んできた殺人衝動に忠実に生きると決め、連続殺人に手を染めていきます。

余命宣告を受けた者同士でありながら、命との向き合い方も、悟った使命も相反する<蒼井>と<榊>。2人は駆け引きを交錯させながら、スリリングな追走劇を展開していきます。そんな中、2人の「人生」を司る過去も徐々に炙り出され、<榊>を愛する幼馴染の<山口澄乃>を巻き込み、運命は思いもよらない方向に展開していきます。
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今年の読書(36)『友罪』薬丸岳(集英社文庫)

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今年の読書(36)『友罪』薬丸...
2013年5月2日に集英社より刊行された本書『友罪』は、2014年第35回吉川英治文学新人賞候補作になっています。2015年11月20日に同じく集英社から文庫本が発行されています。

ジャーナリストにあこがれる<益田純一>27歳は、雑誌の取材方針を巡って編集者と暴力沙汰を起こしてしまい、首になり生活に困窮していました。日雇い生活を繰り返す中、社員寮のある町工場に職を得るようになります。同時期に<鈴木秀人>という同年齢の男性と共に試用期間に入った<益田>は、慣れない機械仕事に悪戦苦闘。 一方、<鈴木>は溶接などの資格を持っていて不愛想ですが即戦力ともいえる人材でした。

<益田>は中学生時代に友人がいじめを受け自死したことに、罪の意識を感じていました。 ギリギリまで友人の側にいた<益田>でしたが、最後の最後でいじめる側に回ってしまい、その直後に友人は自ら命を絶ってしまいました。 そのことから今でも友人の母のもとを訪ねたりしています。

一方の<鈴木>は、仕事からの帰り道に<達也>という男から追いかけられている工場の事務員<藤沢美代子>と出会います。 彼女はかつて<達也>に騙され、アダルトビデオに半ば強引に出演させらた過去があり、<達也>から逃れるために人目を避けるように暮らしていましたが、<達也>が見つけ出し過去のアダルトビデオ出演の件で強請りに来ていましたが、<鈴木>は<達也>を追い帰します。このことがあり、それぞれの暗い過去を持つ<美代子>と<鈴木>は気持ちを寄せ合います。

ある日、作業中に<益田>は指を切断する事故を起こし、重傷を負います。 しかし、<鈴木>の冷静な対応で、無事に縫合処置ができますが、<鈴木>は切断された指の写真を撮影していました。

入院中の<益田>の元へ<鈴木>の親戚だと名乗る<白石弥生>(矯正局の職員)が接触することにより、<益田>は<鈴木>が14年前に神戸で起こった連続児童殺害事件の犯人でないかとの疑惑を抱きます。

もともとジャーナリズム志望の<益田>は<鈴木>について調べ上げ、犯人の「少年A]であることを確信、週刊誌に暴露記事を書くのですが、本人をはじめ周囲に「少年A]であることが分かり、<鈴木>は社員寮から姿を消してしまいます。

「もしも身近にそばにいる友人が、かって重大な犯罪を起こした人物ならどうするか」という重い命題を軸に、<益田>・<美代子>・<白石>などの登場人物の視点を通して今の<鈴木>の描写が語られますが、<鈴木>自身の心情の表現はなく、読者にゆだねられています。

解説文を含め599ページという長編でしたが、残りページが近づくにつれ終結に期待が高まる一冊でした。
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今年の読書(35)『長い長い殺人』宮部みゆき(光文社文庫)

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1987年、『我らが隣人の犯罪』でデビューした<宮部みゆき>ですが、その後、、『龍は眠る』(日本推理作家協会賞受賞)『火車』(山本周五郎賞受賞)『理由』(直木賞受賞)『模倣犯』(毎日出版文化賞特別賞受賞)などのミステリー小説や、『本所深川ふしぎ草紙』(吉川英治文学新人賞受賞)『ぼんくら』などの時代小説で人気作家となっていきます。

本書は1992年9月の刊行で、比較的初期の作品ですが、人気作家としての素地が垣間見れる内容でした。

本書は10編の連作短編とエピローグから構成されていて、物語の語り手は、登場する人物の「財布」です。それぞれの「サイフ」には、人間並みの地力があり、張力と視力を備えていて、保険金目当ての交換殺人かと思わせる事件に巻き込まれた10人が持つ財布の視点から語られる10篇の物語が次第に繋がっていき、登場人物の人間模様と事件の真相が描かれていく形になっています。

犯人像の性格描写にも「財布」が用いられ、「合皮でできた財布でありながら、自分は本革だと勘違いしている」には、納得してしまいました。
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今年の読書(34)『真実の檻』下村敦史(角川文庫)

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今年の読書(34)『真実の檻』...
乳がんで亡くなった母の遺品を整理していた大学生の<石黒洋平>は、押し入れの天井裏に隠されていた手紙と写真を見つけ出し、自分が殺人事件で死刑判決を受けている元検察官<赤嶺信勝>の息子だと知ってしまいます。

犯罪者の息子であると苦悩する<洋平>ですが、まだ死刑が実行されていないということで、実父は冤罪ではないかとの可能性をかけて、冤罪を主体に活動している雑誌記者<夏木涼子>を訪問、二人して事件の再調査に乗り出します。

二人の調査にからめ、弁護士活動の実態、冤罪事件や現在の司法の状況、警察署の留置所を監獄に代用できる「代用監獄」問題などの問題点が丁寧に取り上げられ、人はいかにして罪に落されていくのかが克明に描かれていきます。

読み手をハラハラさせる事件の進展に、事件の真実は?真犯人は?
<洋平>の身の振り方に一抹の未来を託された感じで、物語は終わります。
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今年の読書(32・33)『激流(上・下)』柴田よしき(徳間文庫)

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今年の読書(32・33)『激流...
著者<柴田よしき>は、特に好きな作家という意識はないのですが読書記として 『求愛』 を初めとして10冊は取り上げているようで、本書は、『水底の森』 と同様に文庫本(上下)で900ページを超す長編作品です。

中学生三年生、15歳の修学旅行として京都に訪れ、自由行動中のA組二班の7人でしたが、同じ班の<小野寺冬葉>が同乗していた路線バスから突然失踪する事件が起こります。 行方不明のまま、時は流れて20年後、それぞれの人生を歩んでいる当時のメンバーである人気歌手で流行作家の<秋芳美弥>、離婚問題を抱えている文芸誌の編集者<三隈圭子>や売春組織に関連している美人の<御堂原貴子>の元に 「わたしを憶えていますか 冬葉」という文面のメールが送られ、物語は不気味な様相で物語は始まっていきます。

20年前に失踪した同級生<冬葉>からのメール。それを発端に修学旅行で同じ班だった同級生たちに様々な事件が発生。その中で登場する同級生たちの現在の描写が丁寧に書かれ、読み手としては、ミステリーとしての伏線と謎に引き込まれていきます。

終章近くなってからは張り巡らせた伏線を回収するためでしょうか、事件を終結させるためにちょっと無理がある展開が気になる部分もありました。登場する2件の殺人事件全てが<冬葉>に絡んだ事件かと思っていましたが、<冬葉>には関連のない事件で終わりましたが、刑事になっている<東萩耕司>の性格付けとしての役割としての効果は出ていたようです。

事件解決までの流れは、どこに集結するのかと楽しみでしたが、結末への伏線が当初から出てこないだけにミステリーの基本を外している感じで、事件物の締めくくりとしては、納得ができませんでした。
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今年の読書(31)『紫匂う』葉室麟(講談社文庫)

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本書の主人公<澪>は、17歳の時に隣家に住む<葛西笙平>に誘われ一度だけ関係を持ってしまいます。将来は<笙平>の妻となるものと思っていました。ところがその後、<笙平>は、江戸詰となり藩を離れることになり、しかも御用人の娘<志津>と結婚をしてしまいます。

失意のまま<澪>は、藩の郡方<萩蔵太>のもとに嫁ぎ12年、夫は極心流の津かいてながら物静かで穏やかな性格、長女<由喜>、長男<小一郎>に恵まれた生活を送っていました。

そんなある日<澪>は、<笙平>が江戸にて不祥事を起こし藩に護送中に逃亡したとの知らせを聞き激しく動揺、疑いは濡れ衣だという<笙平>を、自分がまかされている<芳光院>の茶室に匿ってしまいます。

その後追ってから逃れるべく温泉宿に逃げるのですが、異変を察知した<蔵太>は、藩の実力者である<芳光院>の査定を期待して<笙平>と<澪>を手助けして、追っ手をかわし<芳光院>のところまで<笙平>を送り届けます。

読者は、妻<澪>が結婚前に関係を持った相手が<笙平>と知りながら手助けしてゆく<蔵太>の姿に、男として、武士としての格の違いを感じるとともに<澪>の行動にハラハラさせられます。

<澪>の妻としての心の揺れ、追っ手との駆け引き、緩急の効いた展開に最後まで目が離せませんでした。「人として本当に大切なことは何か」という箇所が随所にちりばめられた一冊でした。
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今年の読書(30)『水曜日の凱歌』乃南アサ(新潮文庫)

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今年の読書(30)『水曜日の凱...
平成最後の月に、隠れた昭和の敗戦に関する秘部に触れた作品と巡り合えました。本書『水曜日の凱歌』は、芸術選奨文部科学大臣賞受賞作品で、文庫本で715ページの力作です。

昭和20年8月15日水曜日は、主人公<二宮鈴子>の満14歳の誕生日でした。父が運送会社を営む二宮家は比較的裕福な家庭でしたが、父は交通事故で亡くなり、疎開先から東京・本庶に戻ってきた母<つたゑ>と<鈴子>は、焼野原のなか、父の友人<宮下>の世話で住居を確保します。

<宮下>は、進駐軍の性暴力に備えるために日本政府が「特殊慰安施設」を造るのに際して、英語のできる<つたゑ>を慰安所の通訳としての仕事を斡旋します。<つたゑ>は<鈴子>と慰安所となる老舗旅館に移住、14歳の<鈴子>には、髪を切り男の子の姿に変装させての生活が始まります。GHQが公的売春に否定的だったため、この施設は閉鎖され、熱海のキャバレーへと移り住みます。

やがて<つたゑ>は、進駐軍の<デビッド中佐>の愛人となり、豊かな生活を享受しますが、<鈴子>は、<宮下>・<デヴィッド中佐>と男を渡り歩く母の生き方に反発を感じ始めます。

敗戦後、生き抜いていかなければならない女性として、母としての<つたゑ>の行動を思春期の少女<鈴子>の目線を通して、国家と権力、戦争と平和に切り込んだ戦後の日本の現代史として、社会性を持った作品だと思います。

本書を読み終わるとタイトルの意味が、性に関する重い題材にも関わらず、その後の希望が持てそうな読後感を与えてくれています。
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今年の読書(29)『川あかり』葉室麟(双葉文庫)

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2012年 、第146回直木賞を『蜩ノ記』」で受賞した著者は、 2017年12月23日に66歳で亡くなれています。

敗者や弱者の視点を大切にした歴史時代小説を多く残し、本書『川あかね』もその系統の一冊です。

綾瀬藩で一番臆病者といわれる<伊藤七十郎>は、勘定奉行の<増田惣右衛門>から、派閥争いの渦中にいる家老<甘利典膳>の暗殺を命じられます。商人と癒着して私腹を肥やしている<甘利>が、江戸から国元の藩に戻り証拠隠滅を図る前に領地手前の巨勢川にて討てとの密使を受け、<伊藤>は出立しますが、大雨の影響で川渡りができません。

<伊藤>は、近くの木賃宿で川明けを待ちますが、相部屋のうさん臭そうな輩たち5人に翻弄されながらも、彼らから「武士」として生きる意味を見つけ出していきます。

まるっきり剣術がダメな<伊藤>を助けるべく、心通わせたうさんくさい仲間が協力して、情が深すぎ優しすぎる<伊藤>の刺客としての役目を「友」として助けます。

武士としての生き様と矜持を、悲しみと笑いの中で見事に描き切っていました。
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今年の読書(28)『白く長い廊下』川田弥一郎(講談社文庫)

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今年の読書(28)『白く長い廊...
本書『白く長い廊下』は、1992年「第38回江戸川乱歩賞受賞作品で、乱歩賞初の医学ミステリー作品になります.文庫本としては、1995年7月16日刊行になりますが、今読んでもさすが乱歩賞受賞作品として、また、著者自らが外科医であるということもあり医学的な描写や病院内部の事情も面白く楽しめました。

外科手術で麻酔担当の<窪島典之>が行った手術終了後、手術室から病室絵向かう廊下の途中で患者<並盛行彦>の呼吸がとまり、翌日死亡します。麻酔の手順に全く問題を感じなかった<窪島>ですが、妻である<並盛義美>と弟の<並盛琢磨>の医療ミスではないかという訴えに対し、病院側は穏便に保険で支払おうと<窪島>にミスを認めさそうとしますが、<窪島>は頑固に拒否。独自に調査を始めます。

そんなおり、薬剤師の<山岸ちづる>が<窪島>に近づいてきて、ミスではなく巧妙に点滴器具に仕掛けがある殺人であると主張。二人で調査の結果、当日ストレッチャで患者を運んだ<榊木十和子>という看護婦と患者の妻は高校の同窓であり、共同犯行という線が浮かび上がります。

<窪島>は警察に一部始終を告発し、病院を追われることになります。また、病院側はこの殺人事件が明るみに出て、評判が落ち、結局以前から売却を打診してきていた関東医科大学の<新郷>理事長が病院を購入、一新して開業します。

そして恋人として信頼していた<ちずる>に対して、<窪島>は隠している事実があると感じた<窪島>は全てを捨て、無医村の幹根島へ渡り、そこで診療所生活を始めます。1年後、<ちずる>が島を訪ね、<新郷>が自分の母親の恋人であること、学生時代から面倒をみてもらって、<新郷>に恩義を感じ、医療事件の顛末を伝えていたことを白状します。<窪島>は近いうちにこの島に渡ってきてほしいことを伝え、物語はハッピーエンドを匂わせて終わります。
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