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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(36)『イシュタムの手』小松亜由美(小学館文庫)

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今年の読書(36)『イシュタム...
本書『イシュタムの手 法医学教授・上杉栄永久子』は、『STORYBOX』に掲載された3篇を文庫化に当たり加筆改稿され、書下ろし2篇を加えて、2024年7月10日に文庫本として発売されています。
 
医者ぞろいの家族として、大学受験に失敗し、東京の実家を出て秋田医科大学に進学した「南雲瞬平」です。ある出来事をきっかけに、大学卒業後は博士課程に進み、法医学教室に所属しています。秋田県内で発見された異状死体の法医解剖は全てここで行われます。上司の「上杉永久子教授」は自殺研究の第一人者です。抜群の解剖技術と観察眼を持ち、死者と死者を見送る者への敬意を尊重する一方、その想いが先走り、周囲を振り回すこともたびたびでした。
 
年末、運び込まれてきたのは二体の焼死体でした。高齢で寝たきりの妻とその夫とみられる。無理心中事案と思われていましたが、「上杉」は両者の臓器に似たようなポリープがあることに着目、警察にある指示を出します。これにより、意外な事実が明らかになります。
一家の食中毒事案、生後二か月の乳児の死亡事案、夏祭りでの毒物混入事案、そして、「南雲」が法医学を目指す動機となった過去に起きたある人物の死にまつわる衝撃的な出来事とあわせ「上杉永久子教授」が自殺研究の第一人者となった過去が見事に物語の中で融合し、常識に縛られない「上杉」と、一人前の執刀医を目指す「南雲」のコンビが事件の真相に迫るミステリー仕立ての構成になっています。
 
現役解剖技官の著者が描く、司法解剖のリアルな描写、そして舞台となる自然豊かな秋田の風物や風景・方言を織り込んで、私たちの隣にある「死」について深く考えさせられる、新たな領域に踏み込む法医学ミステリとして、十分に楽しめ、今後の「南雲」の成長と、修士の院生「鈴屋玲奈」との関係も気になり、シリーズ化を大いに期待したい作品でした。
 
表題に使用されています〈イシュタム〉は、神話好きの「南雲」らしくマヤ神話の「自殺を司り、死者を楽園に導く女神」のことを意味し、物語の伏線として適した言葉だと、読後に感じ取れます。
#ブログ #文庫本 #法医学 #読書

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今年の読書(35)『俺ではない炎上』浅倉秋成(双葉文庫)

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今年の読書(35)『俺ではない...
2021年 本屋大賞候補に選ばれました『六人の嘘つきな大学生』 の著書<浅倉秋成>による『俺ではない炎上』は、2022年5月に刊行され 。2024年6月15日に文庫本として発行されています、
 
SNSの炎上をテーマに展開し、無実の中年男が罪をなすりつけられ逃亡するという展開で、最後にはお得意のどんでん返しが展開する、痛快なミステリー小説に仕上がっています。
 
「住吉初羽馬」は、公園で女性を殺害したと思われる画像を掲載した【血の海地獄】と書かれたツイートを発見し、リツイートします。投稿はすぐに拡散され、発信者は大帝ハウス大善支社営業部長の「山縣泰介」だと特定されます。
 
しかし「泰介」は女性を殺害しておらず、それどころかTwitterをやったことすらありませんでした。全く身に覚えの無い「泰介」は、ただのイタズラだと事態を軽く見ていましたが、ツイートが炎上し、正義感を振りかざした世間が「泰介」に制裁を加えようとします。
 
やがて警察からも追われるようになった「泰介」でした。大善署の刑事「堀健比古」は、「泰介」の家族に聞き込み調査などをする内に、事件について疑問を抱きます。また「泰介」の娘の「夏実」は、クラスメイトの「江波戸琢哉」と共に自分自身も巻き込まれた事件について調べ出します。
 
「泰介」の逃亡劇の結末は? 「泰介」のSNSになりすました犯人は誰なのか? 「住吉初羽馬」や「山縣泰介」・「夏実」・「江波戸琢哉」・「堀健比古」などの登場人物たちの目線でスピード感のある文体で物語は進み、ラストには思わぬどんでん返しが待っていました。
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今年の読書(34)『刑事の枷』堂場瞬一(角川文庫)

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今年の読書(34)『刑事の枷』...
本書『刑事の枷』は、2021年1月に刊行され、2024年2月25日に文庫本として発売されています。
 
「忠告だ。影山には近づくな」。
川崎中央署の若手刑事「村上翼」は、管内で起きた人質事件をきっかけに、本庁から来た傍若無人なベテラン刑事「影山康平」に目をつけられ、捜査とは関係なく、「影山」地震の捜査の手足として強引に連れ回されるようになります。
 
身内仲間の不祥事を観察官に暴いたことで、署内の誰からも〈裏切り者〉と敬遠されている「影山」で、だれからも「影山には近づくな」と言われています。実は10年前に起きた未解決の殺人事件を独自に捜査し続けていると知り、「村上」も事件解明へと乗り出しますが、その矢先、新たな殺人事件が発生します。
 
被害者の身元もわからず捜査は難航するかと思われまあしたが、「村上」は2つの事件のつながりに気づきます。
 
さいごまで、「なぜ、影山は裏切り者と呼ばれるのか」の疑問を残しながら、10年前のストーカー殺人事件と、新たな事件を交差させながら、刑事としての執念を見せる「影山」と、新人刑事の「村上」の掲示としての成長を描き、430ページ最後まで一気に読ませる構成でみごとな警察小説でした。
 
今後は、刑事として場数を踏んだ「村上翼」が活躍する再登場を、遠距離恋愛の「長瀬花奈」とのその後も気になるところで、期待しています。
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今年の読書(33)『じんせいに諦めがつかない』森川葵(講談社)

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今年の読書(33)『じんせいに...
俳優の<森川葵>(29)が、雑誌『小説現代』(講談社)での連載エッセイをまとめた単行本『じんせいに諦めがつかない』が、新たな描き下ろしも収録して誕生日の6月17日に発売されています。
 
<森川葵>は2010年に『Seventeen』モデルとしてデビューし、2015年まで専属モデルとして活躍。以降、映画『渇き。』(2014年)、ドラマ『ごめんね青春!』(2014年)、ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016年)、映画『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』(2016年)、ドラマ『B面女子』(2020年)、ドラマ『褒めるひと褒められるひと』(2023年)、映画『ある閉ざされた雪の山荘で』(2024年)、ドラマ『ヴィレヴァン!』シリーズ、ドラマ『賭ケグルイ』シリーズなど話題作品に出演。現在放送中の日本テレビ系ドラマ『街並み照らすヤツら』(毎週土曜 22:00)では、「SixTONES」の<森本慎太郎>が演じる主人公のケーキ屋・正義の妻でホステスの「彩」を演じています。
 
書籍化に際しては、『小説現代』の2年間連載エッセイを加筆修正、新たに書き下ろしが加わり(全26篇)のエッセイと自身による手描きのイラストが収録されています。文章を書くことについて、女優としての思い、愛猫のことなど、何事も器用にこなす<森川葵>の日々の諦めきれなかったエピソードがつづられています。
 
装画の担当は、King Gnuのアートワークを手掛けるクリエイティブチーム「PERIMETRON」の<荒居誠>で、メインビジュアルには<森川葵>の飼い猫である黒猫の「吉」と白猫の「ヤン」が躍動感あるイラストで描かれています。
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今年の読書(32)『陰からの一撃』堂場瞬一(ハルキ文庫)

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今年の読書(32)『陰からの一...
本書『陰からの一撃』は、「警視庁追跡捜査係」シリーズとして、『不可能な過去』に続くシリーズ12作目として書き下ろされ、2024年1月18日に文庫本として発売されています。
 
昨年発生した新橋の社長殺しの容疑者「佐木」が千葉で交通事故死しました。警視庁捜査一課は特に不審な点は無いと判断して、一件落着の流れでしたが、追跡捜査係の<西川大和>の自宅に宛名の書かれていない封筒が投げ込まれていました。そこには「真犯人は今も逃げている」、そして「追跡捜査係に情報を提供する」との文言があり、<西川>は、怪しいと不信を感じながらも情報収集を優先し、夜の晴海ふ頭を一人で訪れ、暴漢に頭部を打撃されてしまいます。
 
追跡捜査係の<沖田大大輝>とともに、<西川>に恨みを持つ人物の犯行ではないかと調べ出しますが、ほどなく闇バイトの<屋島>が逮捕されますが、入院中の<西川>がさらに襲撃されてしまいます。
 
そんなおり、元警視庁捜査一課で、げんざいは地元に戻り剣世知会社の社長となっている<南野>が浮上すると共に事故死した<佐木>の事件の真相が解明されます。
 
 
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今年の読書(31)『チョウセンアサガオの咲く夏』柚月裕子(角川文庫)

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今年の読書(31)『チョウセン...
著者<柚月裕子>の『朽ちないサクラ』を原作とする映画『朽ちないサクラ』が、2024年6月21日より公開されます。
 
デビュー作『臨床心理』以降、著者の作品は読み継いできていますが、おそらく短編集は本書のみで、2022年4月に刊行され、2024年4月25日に文庫本として発売されています。
 
本書には、デビュー後の<柚月裕子>らしさの13篇が収録されており、表題の『チョウセンアサガオの咲く夏』が最初に登場、植物好きとしては、毒のある植物としての「チョウセンアサガオ」「キョウチクトウ」「ジンチョウゲの実」などはおなじみですが、ニヤリとできる終わりかたで、短編集としての期待が高まる幕開けでした。

その他「佐方貞人」シリーズ、「孤狼の血」シリーズ、『盤上の向日葵』・『慈雨』など数々のベストセラー作品を世に送り出してきた著者が、ミステリー、ホラー、サスペンス、時代、ユーモアなどでまとめた内容で、楽しめた一冊でした。
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今年の読書(30)『白光』朝井まかて(文春文庫)

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今年の読書(30)『白光』朝井...
著者<朝井まかて>は、シーボルトを描いた『先生のお庭番』や植木屋稼業の『ちゃんちゃら』など植物好きとして《植物系小説》として読み始めましたが、小気味よい文体で読みやすく、江戸時代の介護問題を扱った『銀の猫』、江戸随一の遊郭・吉原を舞台とした『落花狼藉』 など、史実に沿った歴史的な主題作品を読み継いできましたが、本書『白光』は、2021年7月に単行本として刊行され、2024年3月10日に文庫本が発売されています。
 
主人公は日本初のイコン画家<山下りん<で、彼女のその情熱と波瀾の生涯を描いた文庫本552ページに及ぶ読み応えのある大作です。

明治維新の10年前に茨城・笠間に生まれた「山下りん」は、「絵師になりたい」という一途な願望で、15歳で故郷を飛び出し江戸を目指しますが、すぐに戻されてしまいます。その情熱に負け、母や兄も根負けし、東京に出ることを許され、工部美術学校に入学を果たし、西洋画の道を究めようと決意します。
 
やがて、ロシア正教会の信徒となり、の宣教師「ニコライ」に導かれ、明治13年、聖像画(イコン)制作を学ぶため帝都ロシアに渡り、ノヴォデーヴィチ女子修道院にて聖像画の画師として修業に励むのですが、自分の求める芸術としての修行ができず、女子修道院でも周囲と衝突を繰り返し、芸術と信仰のはざまで葛藤しながらもがき苦しみます。
 
日本に予定より早く帰国した「りん」は、また「ニコライ」のいる大聖堂に戻り、聖像画の作成を続けるうちに、聖像画は、単に宗教的主題を描いた絵画ではないことに気づきます。
 
明治初頭からの日本の社会状況を背景に、ロシアとロシア正教、画師としての女性のいきざまを、膨大な資料を下敷きとして、<山下りん>の生涯を見事に描いています。
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今年の読書(29)『ジョージ・ミラーとマッドマックス 』ルーク・バックマスター (竹書房)

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<アニャ・テイラー=ジョイ>が主演を務めた<ジョージ・ミラー>監督のシリーズ最新作『マッドマックス:フュリオサ』が、5月31日より全国で公開中ですが、書籍『ジョージ・ミラーとマッドマックス シリーズ誕生から伝説までのデス・ロード』(著者:ルーク・バックマスター・焼く:有澤真庭)が、6月4日に発売されています。
 
<ジョージ・ミラー>が手がけたシリーズ第1作『マッドマックス』(1979年)から『マッドマックス2』(1981年)・『マッドマックス/サンダードーム』(1985年)第4作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』までの軌跡がつづられています。
 
無名だった<メル・ギブソン>を起用して製作された1979年の『マッドマックス』の舞台裏を中心に、当時のオーストラリア映画界では珍しかったアクション映画がいかにしてヒットし、世界中のファンを熱狂させる主人公「マックス」が生み出されたかに迫ります。
 
なお、『マッドマックス:フュリオサ』は、ならず者のバイカー軍団を率いる暴君「ディメンタス将軍」によって、幼い頃に〈緑の地〉からさらわれた「フュリオサ」の怒りに満ちた15年間がつづられています。
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今年の読書(28)『最愛』小杉健治(集英社文庫)

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今年の読書(28)『最愛』小杉...
弁護士がらみの作品が多い著者<小杉健治>の「鶴見弁護士」シリーズ15作目としての本書『最愛』は、文庫本書下ろしとして2024年4月25日に発売されています。
 
「鶴見弁護士」は、司法修習同期生の「的場成美」から強盗殺人容疑の「栗林優太」の弁護について相談を受けます。
 
容疑者「栗林」は、闇バイトで強盗に入ったことは認めていますが、殺害は否認しています。闇バイト仲間の「イチロー」が殺したと主張するも、その男の存在が証明出来ないといいます。
 
片や、「鶴見」は元半グレの廃品回収業の社長「高井秋人」撲殺事件の容疑者「吉富純也」の弁護を引き受けます。「高井」は、前社長「今川修三」が交通事故死の後会社を引き継いでいました。また、逮捕された「吉富純也」は、「今川」の妻の愛人でした。

「鶴見」事件を調べていく中で、「今川」は部下だった「高井」と「須田」に殺された可能性が浮上してきます。
 
廃品回収業にまつわる闇バイト事件を背景に、愛の暴走が生み出す冷酷な犯行の真相が明かされていきます。
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今年の読書(27)『法外捜査』石川渓月(双葉文庫)

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今年の読書(27)『法外捜査』...
本書『法外捜査』は、文庫書下ろしとして、2024年4月13日に発売されています。
 
元警察庁キャリアの「来栖修」は、設立した組織「秀和」の所長として、表向きはコンサルタント会社ですが、裏では政官財の不祥事の後始末を請け負い、違法行為で解決していきます。
 
9月のある日、新宿駅東口で爆破事件が発生します。無差別殺人かテロか。警視庁捜査一課と公安の特別合同捜査本部が設けられますが、互いの捜査の主導権争いと相次ぐ極秘情報のリークで、本部は機能不全に陥ってしまいます。
 
「来栖」は、古巣である警察庁の「佐々倉」から呼び出され、警察とは違うやり方で犯人を探るように命じられます。
 
「秀和」のメンバーで、元捜査一課の刑事だった「滝沢」は、都市伝説ともいえる「スサノウ」と呼ばれる謎の組織を嗅ぎつけ、元自衛官の「霧島冴香」、もと警察官の「矢沢翔太」たちと調査を進めますが、半グレ集団「紅蓮」の傭兵ににたどり着きますが、「矢沢」が拉致され、傭兵との一戦を交え無事吸湿しますが、その背景に「Z]という存在が浮かび上がります。
 
傭兵たちとの銃撃戦で、「冴香」は「Z]が、子供の頃に分かれた自分の兄ではないかと感じるところで本書は終わりますが、明らかに「Z]を突き止める続編の下敷きと思える終わり方でした。
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