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ハッシュタグ「#読書」の検索結果1248件

今年の読書(41)『グレイ』堂場瞬一(集英社文庫)

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1983年の東京が舞台。主人公の<波田憲司>は、奨学金とバイトでなんとか下宿生活を過ごしている法学部の大学2年生です。ある日、「日給1万円」というアルバイト募集のチラシを見つけます。そこはテレビにも出ている<北川啓>が主宰しているアンケート調査研究所でした。通行人からアンケートを取り意識調査を行う研究所は羽振りもよく、主輪に大金を手にいれることができ、契約社員としてアルバイトの取りまとめ役などをしていました。

そんなある日<北川>から怪しげなペーパー商法を行っている「山陽商事」に出入りする人たちを確認するという仕事を与えられ、調査中に相手側に拉致・監禁されてしまいます。運よく警察の強制捜査が入り、<波田>は助けられますが、研究所に戻ると夜逃げ状態で<北川>をはじめ他の社員との連絡が付きません。

アンケート調査に隠れた個人情報の転売会社だと気が付いた<波田>は、<北川>の居場所を探り当てますが、「小物」の裏側には「大物」政治家が絡んでいました。罠にはめられた青年<波田>が、「大物」との立ち回りを経て、大きな心境の変化が生まれるところで物語は終わります。

今後この20歳の<波田>がどのような「大物」になって社会で生き抜いていくのかの続編を読みたくなる結末と主人公でした。

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今年の読書(40)『寄席品川清州亭』奥山景布子(集英社文庫)

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今年の読書(40)『寄席品川清...
落語家を主人公とする小説は多々ありますが、寄席を取り上げた作品は珍しいなと手に取りました。

主人公は3人の弟子を持つ大工の棟梁<秀八>です。「噺(落語)」好きが高じて、寄席の席亭になるのが夢でした。仕入先の材木商<木曾屋庄吉>の勧めで、30両を借り受け(のちに騒動の種になるのですが)、35歳にして席亭となります。

恋女房の<おえい>は、団子屋を切り盛りして<秀八>を支えています。

<秀吉>の「清州城」から名を取り「清州亭」と命名、出演者を集める苦労話、<秀八>や<おえい>の出生にまつわる話、落語家の親子の愛情、<木曾や庄吉>にまつわる話。ご贔屓・大観堂店主<大橋>の計らい等々、寄席にまつわる人情話が<秀八>や<おえい>の人間関係と複雑に絡み合って、テンポの良い講談を聞いているような筋立てで楽しめました。

文章の各所に「噺(落語)」の演目を引用、落語ファンとして、楽しめる構成になっていました。
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今年の読書(39)『夏の裁断』島本理生(文藝春秋文庫)

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今年の読書(39)『夏の裁断』...
著者の<島本理生>(1983年5月18日~)は2018年7月18日、『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞したばかりです。7月10日発売の本書は、最新刊です。2015年の芥川賞候補作「夏の裁断」に書き下ろし三篇を加えた文庫オリジナルです。

「夏の裁断」「秋の通り雨」「冬の沈黙」「春の結論」の順に物語は進んでいきます。小説家の<萱野千紘>は、祖父の残した鎌倉の古民家で蔵書を裁断して「自炊」する生活を始めます。季節ごとに現れるそれぞれの男たちと関係を持ち、時に翻弄され、苦悩する<千紘>の四季が描かれていきます。ここで言う「自炊」とは、書籍を裁断・解体し、スキャナーで読み取り、デジタルデータに変換することです。

パーティ会場で編集者の<柴田>とばったり顔を合わせた<千紘>は、とっさにフォークを握りしめ、彼の手首にフォークを突き立てる。「柴田さんが振り返る。色素の薄い前髪から覗いた目は傷ついたように見開かれていた。被害者と加害者っておんなじだ、とぼんやり思った」という夏の冒頭シーン。<千紘>と<柴田>との間に潜む、ただならぬ事情を予感させる場面です。

「ああ、この世にはまだこんなに人を傷つける方法があったのか、と死んでいくような気持ちで思った」。心が通ったと感じた瞬間に突き放される関係性の中で、<千紘>は深く傷ついていきます。<千紘>は13歳の頃、大人の男性に性行為を強要された経験を持っていました。男は怖いものだという感覚が、大人になった<千紘>にトラウマとして残っています。

<柴田>への膨大な我慢と混乱の時間は、何の意味もないと悟った<千紘>は、会社員の<清野>と<秋>に出会います。軽さと細やかさを内包した<清野>は、どこか<柴田>と似ていた。「ないと分かっていても完ぺきで永遠なものが欲しい」と願う冬を経て、小説家として、人間として<千紘>が変化する春。やや陰りのある登場人物たちに魅力を感じながら、行間の世界に入りこんでいきます。
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今年の読書(38)『墓標なき街』逢坂剛(集英社文庫)

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刊行順とすれば第1作目の『百舌の叫ぶ夜』(1986年2月)に始まり、第5作の『鵟(のすり)の巣』(2002年6月)に次ぐ、久しぶりになるシリーズ復活です。

前作では<大杉>の娘<東房めぐみ>は中学3年生でしたが、本書では28歳の刑事として登場していますので、物語としては13年が経過していることになります。

警察官や右翼関係者を殺戮してきた殺し屋<百舌>は、<大杉>に殺されたあと、死体の行方はわからなくなっていましたが、本書で解き明かされます。

東都ヘラルドの<残間龍之輔>は、<百舌事件>当時の上司であり、雑誌「ザ・マン」編集長の<田丸清明>から、<百舌事件>の原稿依頼を頼まれます。また、武器不正輸出に関するタレこみを受けます。

<残間>は刑事をやめ探偵事務所の所長<大杉良太>にタレこみ事件の調査を依頼しますが、当時の事件を知る警視になっている<倉木美希>が襲われ、「百舌鳥の羽根」が現場に残されていました、武器輸出問題に関連する人物も殺され、やはり「百舌鳥の羽根」が現場に残されていました。

<百舌>を模倣する殺人者へと、<倉木>と<大杉>は近づいていきますが、事件は思わぬ結末を迎えます。

文庫本で500ページを超える大作ですが、<百舌>シリーズとしてまだまだ続きそうなエンディングでした。
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今年の読書(37)『あやかし草紙』宮部みゆき(角川書店)

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今年の読書(37)『あやかし草...
<宮部みゆき>の著作は、ミステリー・ファンタジィー・時代物と幅広く、本書は江戸を舞台とする<三島屋変調百物語>シリーズの5巻目になります。

<三島屋変調百物語>は、川崎宿の旅籠の娘<おちか>を主人公とし、、とある事情から江戸で袋物屋「三島屋」を営む叔父夫妻の元へ行儀見習いとして身を寄せています。しかし店主の身内として習い事に励むよりも、女中として忙しく働くことで自らの過去を頭の隅へと追いやろうとしていた。

ある日、叔父の<伊兵衛>が急な所用のため、訪問が予定されていた客への対応を、<おちか>に任せて外出してしまう。他人に心を閉ざしているおちかは不安に駆られるが、自分を信用してくれた叔父のためにも、客に非礼があってはならないと覚悟を決める。

客は、庭に咲く曼珠沙華に恐れおののくが、<おちか>に対して自分の過去にまつわる怪をぽつり、ぽつりと話し始める。
帰宅後、<おちか>から事の顛末を聞いた<伊兵衛>は、江戸中から不思議な話を集めるとして、<おちか>にその聞き役を務めるよう言い渡すのでした。

本書でも三島屋の「黒白の間」で客の話を聞くというのは変わりませんが、次の間に守り役として控えていた女中の<お勝>と三島屋の次男坊<富次郎>のうち、次男坊が<おちか>とともに客の話を聞き、それをちなんだ絵を描くという趣向が加わります。

本書で百物語の27話まで進み、<おちか>が百物語を始めなければならなかったトラウマの解消と、今後の展開が楽しみなシリーズです。
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今年の読書(36)『彷徨捜査』安東能明(祥伝社文庫)

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本書は、『撃てない警官』 に始まる<柴崎令司>シリーズに次ぐ、<疋田務>シリーズの3作目です。

赤羽署管内の教会とスポーツジムにおいて、身元不明の認知症と思われる老人4人が突如として出現。マスコミにて情報公開されますが、家族は一向に名乗り出てくる気配もなく、生活安全課の<疋田務>と<小宮眞子>は、彼らの会話の訛りと指先の怪我で工場関係者ではないかとのあたりを付けて、宇都宮の工場団地へと出向きます。

老人ホームや工場関係をシラミつぶしの聞き込みのなか、一人の身元が判明。やはり工場勤務の経験がありました。

なおも企業組合の事務局にて捜査を進めていくうえで、組合の企業年金に絡む横領事件が判明します。犯人と思しき事務長<田中>は行方不明。<疋田>たちは、横領事件と老人の拉致事件が絡んでいるとして、捜査を進めていきます。

タイトルの「彷徨」は、認知症特有の「俳諧」を意味しているようで、現代社会を反映した事件構成に考えさせられる一冊でした。
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今年の読書(35)『純喫茶「一服堂」の四季』東川篤哉(講談社文庫)

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本書『純喫茶「一服堂」の四季』は、 『謎解きはディナーのあとで』 で2011年本屋大賞を受賞した<東川篤哉>による、喫茶店を舞台にしたユーモアミステリーです。  

タイトルの「四季」が表すとおり、春夏秋冬4つの事件が納められています。密室で十字架に磔にされた大学教授「第一話 春の十字架」。農家の納屋で首に蛇が巻き付き磔にされた地主「第二話 もっとも猟奇的な夏」。浴室で頭と両手首のない状態にされた作家のアシスタント「第三話 切りとられた死体の秋」。完全に施錠された家屋で惨殺された兄弟「最終話 バラバラ死体と密室の冬」。

古都鎌倉にひっそりと佇む喫茶店「一服堂」の美人店主<ヨリ子>は、客が入店したのを察知した途端に赤面し、どもる恥ずかしがり屋で、極度の人見知りでアガリ症ですがオーナーとして客の前に立ち続けます。だが、未解決事件の話を聞けば態度が豹変し、並外れた推理力で4つの事件の謎に迫っていきます。

 雑誌記者<村崎蓮司>、独身女<天童美幸>、売れない作家<南田五郎>、女刑事<夕月茜>が<ヨリ子>のもとに事件を持ち込み、彼女の前で事件の真相解明を試みます。ところが、彼らの推理を傍らで聞いていた<ヨリ子>は突然客を睨みつけ、「甘いですわね!まるで『一服堂』のブレンド珈琲のように甘すぎますわ。もう少し苦みの利いた推理をお聞きしたかったのですが、わたくし、すっかり失望いたしました!」と、客の推理と自ら淹れた珈琲の味に毒舌を吐く。「安楽椅子」と書いて「アンラクヨリコ」と読ませる彼女の名探偵ぶりが、そこから発揮されます。

何と言っても、エプロンドレスのメイド姿をした美しい<ヨリ子>の豹変ぶりが強烈。キャラの設定、会話のやりとり、トリックの斬新さと言い、サクサクとテンポよく、飽きることなく楽しませてくれます。事件の被害者の描写は凄惨であるにもかかわらず、笑えるポイントが散りばめられています。

本書を読みながら、<岡崎琢磨>のユーモアミステリー 『珈琲店タレーランの事件簿』 や、<折口良乃>の  『汐汲坂のカフェ・ルナール』 を思い出していました。
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今年の読書(34)『黄金の時』堂場瞬一(文春文庫)

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堂場瞬一は好きな作家のひとりで、<警察失踪課・高城賢吾>シリーズ、<汐灘サーガ>シリーズ、<警視庁追跡捜査係>シリーズ、<アナザーフェイス>シリーズ、<捜査一課一之瀬拓真>シリーズ、<警視庁犯罪被害者支援課>シリーズといった警察物を読み継いできています。

2001年のデビュー作『8年』で、第13回小説すばる新人賞を受賞したのは警察物ではなく、野球の世界を描いています。その後の『八月からの手紙』(2011年6月刊行)へと続き本書はその同系列にある作品といっていいのではないでしょうか。

20年以上かかわりがなかった父が亡くなり、作家である私<本谷要>は、遺品整理中に、マイナーリーグの「サクラメント・ゴルドハンターズ」のユニフォームを着た父<総一郎>の写真を見つけます。日本のメジャーリーグの初めての選手は、<藤原雄大>であり、それ以前の写真であることに作家として息子としても興味を引かれ、記録を調べますが、<本谷総一郎>の名前を見つけることはできません。

厳格で仕事一筋の人生を送り、野球の話などしなかった父。死亡を知らないアメリカ人記者からメールが届き、<要>は父の過去を探り出すべくアメリカに出向いていきます。

父親と息子の対立を根底に野球を通してそれぞれの人生観がキャッチボールを返すように描かれていきます。特に父の目線で描かれていく野球の描写は秀逸で、野球好きの著者をよく物語っていました。

野球ファンには、ぜひ読んでいただきたい感動の一冊です。
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今年の読書(33)『極悪専用』大沢在昌(文春文庫)

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今年の読書(33)『極悪専用』...
著者の作品としては、第48回吉川英治文学賞作の 『海と月の迷路』 以来久しぶりに手に取りました本書です。

裏社会の大物である祖父の威光を頼りに、夜の世界で遊びまくっていた<望月拓馬>は、ヤンチャが過ぎさらわれて殺されかかりますが、祖父の息のかかったマンションの管理人助手として、無事に1年間勤めあげれば、自由になれるという条件で管理人<白旗>のもとで働き始めます。

そのマンションは、いわく因縁がある住民専用で、住民のプライバシーの確保優先はあたりまえ、死体が出れば回収処分作業も行われる高額な賃貸マンションでした。

プロの殺人者、もぐりの医者、詐欺師、亡命した独裁者など極悪住人相手の管理業務が、無事に1年間殺されずに全うできるのか、<拓真>と<白旗>絶妙なコンビで楽しませてくれ、軽妙洒脱な文体で最後まで気楽に読め、>『海と月の迷路』のような「重い」内容ではありませんでした。
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今年の読書(32)『敦盛おくり』佐伯泰英(新潮文庫)

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今年の読書(32)『敦盛おくり...
前シリーズの<古着屋総兵衛影始末>は、全11巻で完結でしたが、この<新古着総兵衛>シリーズは、『地に非ず』 で始まり、本書で16巻目になります。



<信一郎>を船団長とする交易船団は、<総兵衛>の母<恭子>の安否を確かめ、オランダとの交易に入ります。新たな交易船「カイト号」の建造という使命を負っていた<信一郎>でしたが、<恭子>の働きもあり、建造途中で倒産した注文の船を引き継げば建造日数も短縮されるということで、<信一郎>は大きな決断を下します。

かたやえどでは、恒例の「古着市」の準備で忙しい大黒屋ですが、偽の関東八州取締りを騙る金銭サギが横行しているとの噂があり、<総兵衛>たちはそれとなく各所に探りを入れます。

ある夜、それらしき一段と遭遇、<総兵衛>は、祖伝来夢想流を使い。幸若舞の「敦盛」を謡いながら、相手をまつり去り、何事もなかったように「古着市」を終わらせます。
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