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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(57)『想いであずかり処 にじや質店』片島麦子(ポプラ文庫)

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今年の読書(57)『想いであず...
著者の<片島麦子>さんは、1972年広島生まれ。2010年8『ウツボの森の少女』で「第4回パピル新人賞・特別賞」を受賞、作家デビューの予定でしたが、刊行されず、2013年6月「第26回大阪女性文芸賞」の佳作となった『中指の魔法』にて作家デビュー、同署でワルプルギス賞を受賞しています。

『想いであずかり処 にじや質店』には、5話が収録されています。月満月の夜にだけ開店する質店を舞台とし、条件を満たせば、お金を貸してくれる代わりに願いを一つ叶えてくれるますは、そんな不思議な質店に訪れる人々の願いにスポットライトを当て、そこに込められた想いに迫っていく物語です。

物語の舞台となる「にじや質店」は、二階建てのビルほどの大きさの古めかしい白漆喰の建物。そこだけタイムスリップしたような重厚な雰囲気が漂っています。大学生の「間宮いろは」は、たった一度会話を交わしただけの「ある人」との約束で、「にじや質店」へやって来ました。
しかし、そこにいたのは「いろは」が会いにきた人物ではなく、店主の「野々原縫介でしたた。すると「縫介」は「いい満月ですね。では、願いをどうぞ。ここで叶えられるのは、心から求めている願いだけですよ」と、「いろは」に声をかけます。
「いろは」がやってきたのは、願いを叶える質店でした。

「縫介」は、説明します。「代償、と云ってもいいかもしれませんね。願いをひとつ叶える代わりに、あなたにとって今現在大切なものをひとつ失う。何の犠牲も払わずに願いを叶えようなんて虫がいい話ですからね」
自分にとって今現在大切なものは何か? それを失ってまで叶えたい願いはあるか? 依頼者は、願いにかける本気度を試されることになります。

本書はタイトルも表紙もいかにも心あたたまる物語、といった印象を感じさせてくれます。筆致はイメージどおり穏やかですが、意外と物語のエピソードは現実の厳しい側面を切り取った感じです。

「いろは」が「にじや質店」にくるきっかけとなった人物とは一体誰なのか。「いろは」と「縫介」がそれぞれに感じている家族へのわだかまりは解けるのか。本書はやさしさ、あたたかさだけでなく、そこに緊張の横糸が一本織り込まれています
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今年の読書(56)『僕と君の365日』優衣羽(ポプラ文庫)

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今年の読書(56)『僕と君の3...
毎日を無難に過ごしていた高校二年生の僕(蒼也)は、進学クラスから自ら希望して落ちてきた君(緋奈)と隣の席になる。その矢先、僕は「無彩病」にかかっていることを知る。

「無彩病」とは、実際には存在しないフィクションの病であり、次のように設定されています。「十年前からはやり出した原因不明の病」「はじめはある一色から色を認識できなくなり、やがてすべてがモノクロに変わり、一年ほどで死に至る」「発症率は十万人にひとり」。

僕は担当医師より「人間の目の網膜には錐体細胞というものがあります。この細胞は特定の波長を感じることで脳に情報を伝え、今、私たちが見ている世界の色を形作っているんです」「この錐体細胞が少しずつ死滅していき、最後に世界は灰色になり、やがて謎の死を迎える。それが、無彩病です」と説明を受ける。
それでもなお、視覚異常が死に直結する理由などは不明。「無彩病」は、避けられない死の脅威で人々を恐怖に陥れる、得体のしれない病との設定です。

「これから先、学校に来る必要はあるのだろうか。どうせ死ぬんだから、わざわざ勉強なんてしなくてもいいじゃないか」と自暴自棄になっていたある日、僕が「無彩病」であることを君に知られてしまう。

どうしようもない現実に腹を立て、関係ない君に八つ当たりする僕に、君は驚きの提案をする。「あなたが死ぬまでの一年間、私はあなたの彼女になるわ。こうして僕と君の「契約のような」365日間の恋がはじまり、1/365日から365/365日までカウントダウンされていきます。

365/365日。僕がこの日を迎えるまでに、色彩は失われ、死への恐怖はやわらいでいく。刻々と迫りくる死を念頭に置くことで、かえって僕は、生きることを切望し、感謝するようになる。「さよならの時間が目の前に迫っている」なか、最後に僕が見た景色。約3ページに渡るその描写が美しく、鮮烈だった。
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今年の読書(55)『トラブルメーカー 警視庁捜査二課・郷間班』梶永正史(宝島社文庫)

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警視長捜査二課の32歳の女刑事「郷間彩香」警部補を主人公とし、第12回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞受賞作『警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官』(2014年1月刊行)にはじまり、本書はシリーズ5巻目になり、5篇が納められている短編集になります。

「捜査二課の郷間班」に所属する4人のはぐれ刑事、「鈴木」・「秋山」・「三浦」・「佐藤」たちが、「郷間彩香と関わるな。」との噂を聞きながら、それぞれの捜査の過程で「郷間」と関わり、刑事としての役割を見つめ直してきた過程が描かれています。

女刑事の代表的な登場人物としては、<誉田哲也>の『ストロベリーナイト』で始まる 「姫川玲子」 でしょうか。<乃南アサ>の「音道貴子」も好きなキャラクターです。<深町秋生>の破天荒な 「八神瑛子」 もはずせませんし、<秦建日子>の 「雪平夏見」 や<結城充孝>の 「黒葉祐(クロハユウ)」 も個性的です。

ただどの作品にも登場する女刑事は、20~30代という若い年齢で、何となく50歳前後の渋みを持った女刑事の作品が出てこないかなと期待しています。
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今年の読書(54)『操る男』田村和大(宝島社文庫)

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今年の読書(54)『操る男』田...
2018年・第16回「このミステリーがすごい! 大賞」の優秀賞受賞作 「筋読み」 で作家デビューした著者ですが、本書は「筋読み」の主人公「ヨミズナ」こと警視庁捜査第一課の「飯綱知也」警部補を主人公とする第二弾になります。

元かが捜査研究所(科捜研)の職員が相次いで建築工事用の釘打ち機で殺される事件が起きます。現場から採集されたDNAは、強制わいせつ罪で逮捕され、刑期を終え出所したばかりの犯人<北村良雄>のものでしたが、彼は逮捕時から無罪を訴え続け、獄中からも再審請求を出し続けていました。

殺人犯の捜査を進める段階で、捜査本部に公安からの横槍が入り、所轄の「瀬川」巡査長と組んだ「ヨミヅナ」は、「北村」が元科捜研職員によるDNAの不正操作の冤罪だと分かり、意外な犯人の結末に辿りつきます。

DNAをあつかったさくひんとしては、<機本伸司>の 「究極のドグマ」 や <誉田哲也>の 「黒い羽根」 などがありましたが、DNA情報の管理体制の怖さは、<東野圭吾>の 「プラチナデータ」 でも登場していますが、改めて同一人物であるという 絶対的証拠だけに、それを利用する国家権力の怖さを再認識させられる構成でした。
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今年の読書(53)『事典にない大阪弁』旭堂南陵(浪速社)

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今年の読書(53)『事典にない...
書籍のタイトルに「事典」とありますが、「事典風」にまとめられた大阪弁のエッセイ集といった趣の一冊でした。

は、上方講談(講釈師)の大名跡で、著者は三代目<曲堂小南陵>から、四代目<旭堂南陵>を、2006年8月18日に襲名しています。2011年には、寄席芸人として初め博士号(大阪芸術大学)を取得という経歴です。

本書はいくつかの部門から構成されていて、まずは「事典」らしく「大阪弁の言葉(単語)」の解説がまとめられています。

大阪弁に関する著者の使い方を面白く「紹介=笑解」しています。

大坂のうまいもんグルメの紹介、そして、大坂らしい古き良き時代(昭和)の写真でまとめられています。

講談師らしく大坂言葉を大事にされているのが、関西人としてよく理解できる一冊でした。
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今年の読書(52)『御苑に近き学び舎に』荒木源(京都新聞出版センター)

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今年の読書(52)『御苑に近き...
普段気軽に読んでいるエンターティナメント的な小説から少し離れる内容の一冊です。

著者の<荒木源>「1964年~)氏は、京都府生まれ。洛星高等学校卒、東京大学文学部仏文科卒、朝日新聞社に入社。2003年、『骨ん中』でデビュー。2010年に 『ちょんまげぷりん』 (原題『ふしぎの国の安兵衛』)が<錦戸亮>主演で映画化。2015年に『探検隊の栄光』が<藤原竜也>主演で映画化。2016年に『オケ老人!』が<杏>主演で映画化されてきています。

本書は、明治維新間もない京都の町衆が、自分たちの町内会(番組)を中心に、日本で最初の小学校を建設する過程や背景を、市井の豆腐屋「三文字屋」の主人<泰七郎>、妻<たか>一家を中心に据え、史実に忠実にまとめあげられています。

明治から150年が経ち、京都出身の著者ならではの明治維新後の当時の生活感がリアルに感じられ、また母校「京都市立京極小学校」のルーツである「番組小学校」創設にかけた町人たちのの姿を、リアルに描き、歴史書としても面白く読めました。
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今年の読書(51)『警官の目』今野・五十嵐・三羽・誉田(双葉文庫)

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今年の読書(51)『警官の目』...
本書は、警察小説の短編4編を収録したアンソロジーです。どの作家もその世界では第一人者の作家ばかりで、密度の濃い内容で楽しめました。

<今野敏> 『消えたホトケ』
殺人事件ですが、主人公は捜査一課ではなく警視庁捜査第三課の窃盗犯を担当する「萩尾修一警部補」とやる気のある若手の「武田秋穂」とのコンビです。
ビルの一室から血だまりの中にあった死体が消えてなくなったとの事件が起きます。
捜査一課の刑事は手を焼き窃盗を扱う三課に捜査協力を求めてきます。「萩尾」はあるベテランの窃盗犯の話から事件の真相を突き詰めていきます。

<五十嵐貴久> 『汚名』
かって捜査一課の刑事だった父に憧れ刑事になった「千田志朗」ですが、捜査中に同僚を見殺しにしたという汚名をきせられ、退職した父を嫌い、その後縁を切った「志朗」ですが、亡くなった父の遺品整理をしていて事件の意外な真相が浮かび上がってきます。警察官とその家族を絡めた読み応えのある内容でした。

<三羽省吾> 『シェパード
所轄の強行盗犯係の刑事「佐田」は、とんでもない身体能力を持つ窃盗犯に逃げられますが、窃盗事件の事件の背景を調べるとともに、足の速い生活安全課の「那智」を借り受け、事件が起こりそうな住宅を予想、二人で張り込みます。

<誉田哲也> 『裏切りの目』
池袋署刑事課の「本宮夏生」は、管内で起きた殺人事件を担当します。捜査がすすまないとき、捜査一課長から殺された男の妻の過去を調べるようにと命じられます。命令系統の違う指示でしたが、「本宮」は部下を使って妻を調べます。
単純な事件の裏には、何があるのか、読者を最後まで興味をもって読み終えさせる技量はさすがです。
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今年の読書(50)『凍結捜査』堂場瞬一(集英社文庫)

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今年の読書(50)『凍結捜査』...
神奈川県警の不祥事を調査するために全国から集められた5人の刑事が活躍する 、『検証捜査』 (2013年7月19日刊行)に始まる「捜査」シリーズも4作目の 『時限捜査』 (2017年12月14日刊行)に次ぐのが、本書『凍結捜査』(2019年7月25日刊行)です。

捜査を通じて交際を始めた警視庁捜査一課の<神谷悟郎>と北海道警函館中央署の<保井凛>ですが、東京から休暇で出向いた<保井>との逢瀬でしたが、函館で婦女暴行事件を起こした容疑者<平田和己>が、東部に2発の銃弾を撃ち込まれた銃殺死体で発見され、<凛>は捜査に専従。<神谷>は、東京に戻ります。

過去に、<平田>に暴行された被害者<水野珠希>を担当した<保井>は、<珠希>が行方不明であることに危惧を覚えます。<平田>の身辺調査を進めますが、手掛かりが見つからないなか、<水野珠希>が東京のホテルで<平田>と同様の手口の射殺死体で発見され、<凛>は東京出張として<神谷>と協力して東京で捜査を始めます。

そのころから<凛>は正体不明の「女」に付きまとわれ始めます。<神谷>の尾行で「女」は公安の外事関係者と判明、二つの事件は、対ロシア関係が絡んだ事件の様相を帯び、捜査は上層部より打ち切りの指示が出てしまいます。

『検証捜査』に登場した埼玉県警の<桜内省吾>、警視庁の<永井高志>や福岡県警の<皆川慶一郎>などの特殊班のメンバーが要所に顔出し、シリーズとして読んできている読者には、楽しみな彩りです、遠距離恋愛として離婚歴のある<神谷>と<凛>との今後の展開も楽しみです。

よだんですが、<凛>が捜査中、一人取り残された<神谷>は函館の町で「R」という店でハンバーガーを食べるのですが、この「R」は、「ラッキーピエロ」だと思います。



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今年の読書(49)『気候正義』宇佐美誠編著(勁草書房)

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今年の読書(49)『気候正義』...
これからの数世紀にわたり、地球温暖化問題が人類を悩ます最大の課題になることは間違いないことです。気候変動に伴う直接の災害にとどまらず、気温上昇に伴う疫病、居住に適さなくなった土地からのあふれ出る難民、政治紛争など、その影響は計り知れません。

それでも、現状は温暖化への政策対応は遅々として進んでいません。一般の関心は決して高いとはいえない状況です。選挙で具体的な争点になることはなく、新聞・テレビをみても、一応カバーしておかねばならない話題ではあるとしても、その扱いは市民たる者ある程度の知識は持っておこうよという程度のものです。

『気候正義』は、我が国を代表する法哲学者のひとりで、世代間問題の研究をリードしてきた京都大学の<宇佐美誠>教授によって編まれた論文集です。感情に働きかけることを通じ、温暖化問題への関心を高める類の著作ではありません。

温暖化問題への対応策を編み出すにあたって必要な「ものの考え方」について、世界の哲学者の間で交わされている議論を整理し、独自の思考を交えることで、我が国の読者の思考枠組みをステップアップすることを狙いとして編集されています。「ものの考え方」は、人の行動を内面から変えることで、世界の様相を一変する力を秘めています。本書を契機に温暖化問題への世間の関心が劇的に高まることはないでしょうが、「ものの考え方」を変えることを通じ、感情に訴えかけることにもまして、温暖化対策を進める力となることを期待しています。
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今年の読書(48)『去就:隠蔽捜査6』今野敏(新潮文庫)

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今年の読書(48)『去就:隠蔽...
『隠蔽捜査』 に(2008年1月29日文庫刊行)はじまり、前作 『自覚:隠蔽捜査5.5』 に次ぐシリーズ8作目が本書『去就』(2018年2月1日文庫刊行)です。

主人公は大森署署長の<竜崎信也>、東京大学法学部卒のキャリアとして、警視庁総務課長としてエリートコースを歩んできていましたが、息子の不祥事で、警視長の肩書のまま大森署の所長に降格人事を受けながらも、持ち前の警察官としての原理原則を貫きながら、職務に励んでいます。

大森署管内にてストーカー行為を受けていた娘<寺川真智子>が行方不明との通報が母親からあり、本人からのストーカー被害の届出により、拉致したのは、<下松洋平>だとしての捜査本部が設置されます。そんなおり、<真智子>の会社の同僚<中島重晴>が刺殺体で発見され、重ねて<洋平>の父親から猟銃の紛失届が出ている報告があり、二人の逃亡先が絞られ、捜査の結果、被害者に思えた<真智子>が<中島>殺しの犯人説に辿りつきます。

捜査本部が忙しく動いている中、管轄する第二方面本部のノンキャリアの<弓削>方面本部長が横槍を入れてくるなか、<竜崎>は警備指揮権に関する命令を出しますが、これがのちに越権行為だとされ、「特別監査」の対象になってしまいます。

事件解決後の、国家公務員の警察官としての<竜崎>の面目躍如の部分は、おもしろく、また異端児<戸高>刑事とコンビを組まされた<根岸紅美>の登場も期待できるキャラで、今後の活躍が楽しみです。

本文庫本の帯には『棲月:隠蔽捜査7』の広告が載っていましたが、単行本(1728円:2018年1月22日刊行)ですので、文庫化されるまで楽しみに発行を待ちたいとおもいます。
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