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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(23)『大人の居酒屋旅』太田和彦(新潮新書)

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今年の読書(23)『大人の居酒...
コロナ禍の影響で、著者の日本全国の居酒屋やバー巡りのテレビ番組もなくなり、カメラを首からぶら下げた赤ら顔のレポーターとしての著者ともしばらくお別れでしたが、呑み助の心をくすぐりそうな『大人の居酒屋旅』を手にしました。
 
兵庫県からは、姫路や明石の「たなか屋」が登場、なんと我が神戸も登場するだけに、興味深く読み通せました。
 
居酒屋記というよりは、文学論を彷彿させる内容で、自分のこれまでの旅と重なり合う部分もあり、楽しく読めました。
 
仲間で騒いだ若い頃の居酒屋巡りはもちろん楽しい思い出でですが、歳を重ねた身には一人旅こそ快適。あるのは誰気兼ねなく好きに過ごせる時間こそが楽しみになり、のれんをくぐる口開けまでの時間を、気になった美術館を巡り、名所の碑文・銘文をじっくり眺め、そうしてその土地をより深く知ったのち、これと決めた名店の飲み屋でやる一杯の美味さを共有出来る居酒屋旅がここに詰まっています。
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今年の読書(22)『我が友、スミス』石田夏穂(集英社文庫)

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今年の読書(22)『我が友、ス...
著者<石田夏穂>(1991年埼玉県出身)の『我が友、スミス』は、2021年・第45回すばる文学賞佳作となり、デビュー作品です。同作は第166回芥川龍之介賞候補にもなりました。
 
スポーツジムにて筋トレに励む29歳の会社員「U野」は、Gジムで自己流のトレーニングを1年ばかりしていたところ、別ジムを設立した「O島」から誘われ、〈20代157センチ以下〉のクラスでのボディ・ビル大会への出場を勧められます。
 
大会に出場に向けて本格的な筋トレと食事管理を始めますが、大会で結果を残すためには、筋肉トレーニングのみならず「女らしさ」も鍛えなければならず、髪を伸ばしピアスの穴をあけ、脱毛・ネイルなどの美容にも気を使わなければいけなくなり、また高さ12センチのハイヒールの着用を指示されます。
 
鍛錬の甲斐あって身体は仕上がっていきますが、職場では彼氏ができてダイエットをしていると思われ、母からは「ムキムキにならないでよ」と心無い言葉をかけられてしまいます。
 
モヤモヤした思いを解消できないまま迎えた大会当日を迎えますが、「U野」は決勝の舞台で思わぬ行動を取り、自分自身を取り戻していきます。
 
スポーツジムやボディービルとも無関係な読者としては、それぞれの専門用語に親しむと共に別世界の詳細が楽しめる内容でした。タイトルの「スミス」は個人名称ではなく、トレーニングマシーンの名称だとは思いませんでした。
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今年の読書(21)『女と男、そして殺し屋』石持浅海(文春文庫)

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今年の読書(21)『女と男、そ...
<石持浅海>による「殺し屋」シリーズ第3弾『弾女と男、そして殺し屋』が、2024年3月10日に文庫本書下ろしとして発売されています。本書には短編4作に加えて、表題作でシリーズ初の中編『女と男、そして殺し屋』の5作品が収録されています。
 
本書の主人公は、普段は経営コンサルタントとして働く「富澤允」と、インターネット通信販売業を営む娘がいるシングルマザーの「鴻池知栄」です。
 
二人には〈副業〉として人知れず殺し屋稼業を請け負っているという裏の顔がありました。
お互いの存在を知らない二人には、さらにもう一つ共通する癖がありました。それは、不可解な殺人の依頼の裏側を〈推理〉する事でした。
 
ビジネスライクに、依頼者も警察につかならないように安心安全に、そして確実に任務を実行するために、彼らは殺人依頼を様々な角度からみつめ、非情にも殺人を実行、その背景を謎解きをしていきます。
 
そんな「富澤允」と「鴻池知栄」が、ある依頼を通して急接近してしまうのが今回のタイトル作『女と男、そして殺し屋』です。
 
殺し屋が日常生活に潜む謎を解く、殺人事件の犯人探しではない、殺人者が殺人の依頼を解く一風変わった物語が楽しめた一冊でした。
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今年の読書(20)『白鳥とコウモリ(下)』東野圭吾(幻冬舎文庫)

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今年の読書(20)『白鳥とコウ...
『白鳥とコウモリ(上)』では、時効が成立した殺人事件の真犯人であり、今回の白石弁護士殺人事件の犯人であると自首してきた「倉木達郎」を巡る事件の概要が描かれ、自供内容が父らしくないと疑問を感じた息子の「和真」と、「倉木達郎」の供述による殺人の動機が、殺された弁護士の言動には納得できない娘の「美令」が、殺人現場でかをを合わせるところでおわっています。
 
(下巻)では、加害者の息子と被害者の娘ということで事件の蚊帳の外の二人はお互いの〈父の真実〉を調べるため、捜査一課の<五代努>の知恵を借りながら、素人探偵として事件の真相を追い求め、禁断の逢瀬を重ねていきます。
過去と現在、東京と愛知、健介と達郎を繋ぐ事件の真相は何かとの描写が続き、やがて「美令」と「和真」は、驚くべき真相にたどり着きます。
 
読み終わると、タイトルの白と黒の反転が意味するところにたどり着く、ち密な構成でしたが、それだけにやや読者を引っ張りすぎかなとも思える(上下)690ページでした。
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今年の読書(19)『白鳥とコウモリ(上)』東野圭吾(幻冬舎文庫)

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今年の読書(19)『白鳥とコウ...
本書『白鳥とコウモリ』は、2021年4月に刊行され、文庫本として2024年4月6日に(上・下)2分冊として発売されています。
 
2017年、東京竹芝の河川敷で善良な弁護士「白石健介」の刺殺体が発見されます。
本庁捜査一課の刑事「五代努」は、所轄若手の「中町」巡査と組み捜査を始めます。自首してきた「倉木達郎」は、1984年に愛知県で起き時効が成立している金融業者殺害事件の犯人だという人物で、倉木が二つの事件の犯人だと自供。事件は解決したかに思えましたが、被害者の娘「美令」と加害者の息子「和真」は、互いの父の言動に違和感を抱きます。
 
被害者「美怜」側はは被害者参加制度で臨むということで元検事の「佐久間梓」弁護士が付き、加害者「和真」側には国選弁護し「堀部」が付きますが、双方ともに事件の違和感が伝わりません。
 
「美令」も「和真」も違和感を持ちながら独自で動いていく中、殺人現場に寄った際にたまたま二人は遭遇するところで、(上巻)は終わります。
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今年の読書(18)『ハコウマに乗って』西川美和(文藝春秋)

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今年の読書(18)『ハコウマに...
『ゆれる』(2006年)・『ディア・ドクター』(2009年)・『永い言い訳』(2016年)・『すばらしき世界』(2021年)などの映画監督<西川美和>(49)のエッセイ集『ハコウマに乗って』が、4月5日に文藝春秋より刊行されています。
 
映画の原作として執筆した『永い言い訳』で第28回山本周五郎賞候補・第153回直木賞の候補となり、映画にまつわるエッセイも多数執筆している<西川美和>です。
 
本書には2018年から2023年末までスポーツ誌の『Number』と月刊誌『文藝春秋』に連載されたエッセイが収録されています。
 
スポーツや時事問題など映画から離れたテーマも多く、自身のランニング体験や青春時代の思い出、コロナ禍でのオリンピック、ウクライナでの戦争、ハラスメント問題など話題は多岐にわたり、これまでのエッセイとは異なる趣になっています。
 
タイトルの「ハコウマ(箱馬)」とは撮影現場にあり、踏み台や物置き、休憩用の椅子、キスシーンの身長差を埋める台などさまざまな用途で使われる木箱のことです。著者はスポーツや時事問題の専門家でない自分が連載を持つことを「(身分不相応の)少し高いところに立っている」と考え、「ハコウマ」を引き合いに出しています。
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今年の読書(17)『罪の年輪』堂場瞬一(文春文庫)

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今年の読書(17)『罪の年輪』...
<堂場瞬一>の「ラストライン」シリーズとして、『ラストライン0 灰色の階段』に次ぐシリーズ7冊目の『ラストライン6 罪の年輪』が、2024年3月10日に文庫書下ろしとして発売されています。
 
立川中央署の捜査一課の主人公「岩蔵剛」も55歳になり、定年延長であと10年は刑事生活が続くと考えているときに本庁に戻らないかとの打診を受け、所轄の立川署の居心地もよく、心揺れるときに、玉川上水の河川敷で、施設に入所していた元小学校教員の「古村春吉」87歳が刺殺体で見つかります。
 
「岩蔵」は若手刑事の「戸澤」と組み身辺調査に当たりますが、事件となるような背後関係は浮かび上がってきません。
 
やがて87歳「三島輝政」が自首してきますが、動機を語ろうとはしません。やがて、居住地立川での66年前の「砂川事件」との接点が見つかるだけで、捜査が進まない中、定年後学習塾を小学生に無料で開いていた被害者の意外な素行が浮かび上がり、事件は意外な展開を見せていきます。
 
主人公の「岩蔵」のキャラクターも生き生きと描かれ、使い物にならない警察署長の息子「戸澤」とのコンビも解消、有望な相棒として「平沼多佳子」との息もぴったりで、「ラストライン7」では、本庁に戻ることになりそうで、30歳の「平沼多佳子」の動向も気になるところです。
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今年の読書(16)『県警の守護神』水村舟(小学館)

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今年の読書(16)『県警の守護...
<水村舟>の本書『県警の守護神 警務部監察課訴訟係』は、第2回警察小説新人賞受賞作品です。警察小説といえば、殺人事件を扱う捜査一課モノが主流ですが、サブタイトルの「警務部監察課訴訟係」という珍しい部署で気になりました。警察が訴えられたときに対処する部署です。
 
主人公は交番勤務の新人女性警察官「桐島千隼」です。上司と共にパトカーで現場に向かう途中、バイクの自損事故を目撃し救助に向かいます。助けようとした「千隼」はひき逃げに合います。数日後病院で目を覚ますと、バイクの少年は亡くなっており、その責任を巡る民事訴訟を起こされていました。
 
そんな彼女の元へやって来たのが、監察課訴訟係の「荒城巡査長」です。裁判では無敗の〈県警の守護神〉と呼ばれている男で、元裁判官で弁護士資格を持つ警察官でした。「千隼」の話を聞いても、大事なのは事実ではなくて嘘をついてでも裁判に勝つことという姿勢で、正義に憧れて警察官になった「千隼」には、納得できません。
 
警察小説ですが、裁判にどう対処するか、どんな証拠や証人を準備して作戦を立てるかというリーガル小説の醍醐味も合わさり、「荒城巡査長」ノキャラクター、「荒城」と「千隼」の対立と友情、原告側代理人の辣腕女性弁護士との戦いが楽しめた一冊でした。
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今年の読書(15)『帆神』玉岡かおる(新潮社)

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今年の読書(15)『帆神』玉岡...
著者<玉岡かおる>は、兵庫県三木市生まれということで、大正から昭和初期にかけて日本一の年商を誇った商社・鈴木商店を、女主人<鈴木よね>の視点で描き織田作之助賞を受賞した『お家さん』、皇室御用達百貨店「高倉屋」の礎を築いた女主人の人生を追った『花になるらん―明治おんな繁盛記―』など、関西発祥の企業を題材にした経済歴史小説や阪神間の話題や出来事の著作『神戸ハートブレイク・ストリート』や『タカラジェンヌの太平洋戦争』などがあり、兵庫県・淡路島在住の<湊かなえ>さんと同様に気になる女性作家の一人です。
 
本書『帆神』は、2021年8月26日に単行本として(新潮社)より刊行され、2023年11月29日に文庫本として発売されています。
 
江戸後期、姫路藩・播州高砂の漁師から身を起こし、兵庫津で廻船問屋を営む海商にまで上り詰めた「松右衛門」は、千石船の弱点である帆に目を付けます。帆の改良で船が速くなれば流通が盛んになり、民の生活が潤います。「松右衛門」は試行錯誤の末、板のように強く、羽のように軽い「松右衛門帆」を発明します。
 
仕事とは金のためでなく、世のためにするものだの信念のもと、現在の神戸市兵庫区で廻船問屋として北前船を駆る一大海商に成長する物語です。その船を駆って蝦夷に行き、ロシアから領土を守るために、択捉島の埠頭や箱館のドックを築造します。
 
「新巻鮭」を発明したのも「松右衛門」だと言われています。日本海運の革命児「工楽松右衛門」を描いた痛快な物語でした。
#ブログ #北前船 #文庫本 #読書

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今年の読書(16)『巡査たちに敬礼を』松嶋智佐(新潮文庫)

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今年の読書(16)『巡査たちに...
元警察官として『女副署長』で華々しくデビューしました<松嶋智佐>の最新刊『巡査たちに敬礼を』が、2024年3月1日に文庫本として発売されています。
 
『小説新潮』に2018年9月号から2022年3月号まで掲載されました6篇が収められています。
 
『障り』では、41歳のバツイチ・子持ちの交通課係長「槇田水穂」が、同じ警察官の元夫の28歳の再婚相手の観察官とのやり取りが描かれ、娘「淳奈」の登場がのちに生きてきます。『罅(ひび)』での、事故係に異動したばかりの若手巡査「蝦川マナ」の、駐車違反にまつわる意外な結末や、『拝命』での、昇任試験を控えた女性警官、『南天』での警察学校在学中運動場の国旗掲揚台での殺人事件、『穴』では、登山にて行方不明になった少女の捜索に出た生活安全課少年係で女性機動隊所属の「内野実咲」の景観としての矜持、『署長官舎』では、郊外の所轄署に勤める定年退職目前の署長「五明」が、行方不明になる事件の真相を追い求める刑事でない総務課の「丸の篤史」の活躍などがおさめられています。
 
解説の<あさのあつこ>さんは、これは警察小説ではないと書かれていましたが、世代もキャリアもバラバラな彼らの前に立ちはだかる仕事と人生の問題を、リアルな人間味に溢れた〈巡査〉としての生き方を描いているのは、まさに警察の舞台ならではの胸に迫る短編集でした。
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