今年の読書(27)『寝台特急「あさかぜ1号」殺人事件』西村京太郎(光文社文庫)
6月
2日
前回(26)の『鬼面女殺人事件』に続いて、息抜き的に<西村京太郎>の〈鉄道ミステリー〉シリーズは、1978年に光文社から刊行されました『寝台特急殺人事件』がシリーズの第1作ですが、その系統としてとしての『寝台特急「あさかぜ1号」殺人事件』です。〈カッパブックス〉(光文社)として1988年12月に刊行、1992年4月20日に文庫本が発売されています。
母の葬儀のために実家のある岩国まで博多行寝台特急「あさかぜ1号」に乗車していた、警視庁の<杉本刑事>でしたが、車中で、老人と旅行中の心惹かれる女性と遭遇しますが、その女性は、早朝岡山で下車するのを目撃、その後車中の個室で男が毒殺されたのが発見されます。被害者は成城に広大な邸を持つ不動産屋の資産家でした。
東京在住のsg比参加「本田剛」ということで、警視庁に捜査依頼が入り、捜査に向かった自宅近くで、<杉本>はその女を見かけます。話を聞くと、女は「本田」とは偶然駅で出会い、一緒に旅をして欲しいと頼まれただけだといいいます。しかし、<杉本>は女が何か秘密を隠していると直感、女の車のナンバーから彼女が「白井マユミ」というモデルだととわかります。<杉本>は、気になる「マユミ」の行動を尾行。飛行機で北海道へ向かった「マユミ」を尾行します。「マユミ」の乗車した「北斗4号」・「おおとり」車中では第二・第三の殺人事件が起こっていました。
美人に惹かれた<杉本>ですが、上司の「戸津川警部」に事情を話すとともに、「白井まゆみ」の捜査に本格的に乗り出します。
〈鉄道ミステリー〉らしいタイトルですが、列車舞台の殺人事件の比重はあまり重くなく、<杉本>の刑事としての男の立場と、事件の背景を探る物語が主体のミステリーでした。