南町奉行『妖談しにん橋』 に次ぐ第4巻目が本書です。
仏像を盗むのを専門としていた<庄右衛門>は、処刑されるというときに、弟子の<双助>たちに助け出されます。
その頃深川では、芸者<力丸>の妹分<小力>が、行方不明になり、また、芸者の<鯉丸>が、逆さに吊るされた状態で死んでいるのが発見されます。
すぐに仏像を狙うであろうと考えた<根岸>は。家来の<宮尾>や同心の<椀田>たちを使い警戒にあたるなか、<双助>の不振な動きが寺社方と通じているのではないかと予測、秘仏を守るためにある噂を流し、敵方の裏をかくのでした。
、<蓮丈那智フィールドファイル>シリーズとして5巻目、前作の 『天鬼越』 と同じく<浅野里沙子>が著者の死後完成させた作品です。
最後に、民俗学に興味を持つたちばとしては、はずせない論争の「邪馬台国」の登場です。多くの学者たちが沿いれぞれの学説をうちたてていますが、いまだ結論はなく、存在そのものも怪しげな分野です。
異端の民俗学者<蓮丈那智>のところに、『阿久仁村遺文』と称する書付が持ち込まれ、持ち前の好奇心で、旗師<宇佐見陶子>をはじめ。著者の作品に登場してきた癖のある人物たちが多く顔を出し、、
l著者の作品は、旗師<宇佐見陶子>を主人公とする古美術の世界を描いた 『狐罠』 が最初で、古美術の世界の圧倒的な知識に驚き他の作品を読み始めましたが、残念ながら2010年1月25日に亡くなられています。
本書は、志半ばの著者の意図をくみ取った、婚約者の<浅野里沙子>が残されたプロットを元にして、書き上げられた作品を含めて6篇が収められています。
登場人物たちの会話、事件の流れ等、違和感なく読み進められました。完成された北森ワールドだとおもいますが、完成度の高い難作業に敬意を表したいと思います。
<フィールドファイル>シリーズとして、 『凶笑面』 に次ぐ二巻目の短篇集で、5篇が収められています。
今回も研究室に届いた手紙に興味を持った、<蓮丈>は、研究室の<内藤>と共に現地にでむきますが、またしても殺人事件に巻き込まれます。
歴史の陰に埋もれた悲劇は「きおく」され、同時に「封印」されなければならない二律背反する運命に操られます。
出張経費の窓口のキツネ目の事務員さんが、<蓮丈>と並ぶ民俗学の出身であり、いい味の脇役として存在感があります。
異端で美麗の東敬大学助教授の<蓮丈那智>を主人公に同じ研究室の助手<内藤光國>が活躍する<フィールドファイル>シリーズとして、 『写楽・考』 を既に読んでいますが、本書は、シリーズ一作目に当たり、密度の濃い短篇が5篇納められています。
蓮丈の研究室に、一通の調査依頼の手紙が届き、興味を抱いたふたりは、現場に出向きます。調査の先々で殺人事件に遭遇する二人ですが、民俗学の知識を駆使して謎を読み説き解決していきます。
どの短篇も史実や学説を織り込みながらの構成でフィクションとは思えない力強さを秘めています。自由発想の民俗学者<蓮丈>の面目躍如が楽しめました。
<妖談>シリーズとして『妖談かみそり尼』 に次ぐ第三巻目が本書です。
深川の三十間堀にかかる橋を満月の夜に四人で渡ると一人の影が消えて見えなくなり、数日のうちに死ぬという事件が相次ぎました。
なぜ、一人だけの陰が消えるのか、南町奉行所の<根岸>は、家来の<宮尾>と同心の<椀田>とともに調べ出します。
いつものごとく、大きな事件と共に市井の怪異な事件が並行して解決され、黒猫が白猫になった事件や、ヒモの<雲次>の悪だくみを暴くなどをこなしながら、抜け荷のカラクリを暴き出しますが、首領が意外な人物でした。
同心<椀田>の謹慎もとけ、次作から動きやすい立場になりそうです。
<妖談>シリーズとして、『妖談うしろ猫』 に次ぐ二巻目が本書です。
高田馬場近くの竹林で、カミソリで切りつけられたと思われる若旦那の死体が発見されます。竹林には、二十代後半の美人の尼が人生相談を無料で行っていました。
やがて相次いで、竹林の周りで死体が発見され、南町奉行所の<根岸>は、部下の<宮尾>や同心の<椀田>、<椀田>の姉<ひびき>のkyぷりょくのもと、事件の解明に乗り出します。
今回も<ねぎし>の若かりし頃のとばく関係で知りあった、<スリの銀二>の話題などが事件と並行して描かれ、<根岸>の人間性の奥深さが楽しめました。
l南町奉行所の根岸肥前守を主人公とする「耳袋秘帖」シリーズは、『王子狐火殺人事件』 や 『八丁堀同心殺人事件』 などの<殺人事件>シリーズがあり、本書は、<妖談>シリーズとしての一冊目に当たります。
商いの評判のよかった瓦問屋のもろこし屋の主人がころされ、現場近くでは、「かのち」と書置きを残して失踪した大店の若旦那が目撃されますが、事件の裏側は複雑怪奇でした。
若いころは無茶えおしてきた<根岸>ですが、<鉄造>と呼ばれた若いころの名残の赤鬼の彫り物があり、家来の<宮尾>と、旗本の息子を手荒くあしらったということで、謹慎中の同心<椀田>を直近におき、市井に起こる怪しげな事件を解決しながら、本筋の事件を解いてゆく構成です。
タイトルにある「うしろ猫」は、<根岸>が飼っている猫の名前ですが、人前では顔を見せず、後を向いているところから名付けられていますが、最後にに大きな伏線だったことが分かります。
キリンビール派であり、ウイスキーは昔から、 「ジョニ黒」 一辺倒ですので、あまり、サントリーとのお付き合いはありません。
<開高健>や<山口瞳>を輩出した社風は面白そうだなとは見ていました。
本書は、現在の<サントリー>の創業者<鳥居信治郎>が、14歳で薬種問屋に奉公に出たところからはじまります、一代記です。
「赤玉ポートワイン」の販売で大成功を治め、「やってみなはれ」精神で、本格的な国産ウイスクーの礎を気づいていく果てなき兆戦の過程が面白く読めました。
本日は、<渥美清>(1928年3月10日~1996年8月6日)の没後20年に当たります。
食堂のテーブルでご一緒させていただく<カラサワ>さんは、映画好きで入院中は話しが合いました。娘さんが『寅さんのむこうに』の写真集を手土産に見舞いに来られ、運よく貸していただきました。
長年に渡る<寅さん>ファンとして、<山田洋二>監督や歴代マドンナの回想録、面白く読めました。
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