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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(50)『しんがり』清武英利(講談社+α文庫)

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今年の読書(50)『しんがり』...
本書は1997(平成9)年11月22日、自主廃業に追い込まれた<山一証券>の清算業務に携わった<嘉本隆正>常務を中心とする12名のノンフィクションです。
当時の<野澤正平>社長の涙の会見はまだ記憶に新しく、また海外メディアにも大きく取り上げられました。

りっぱな本社ビルとは違い、目だたない場所に建つビルに監査部門があり、最後まで清算業務と会社内部で行われたいた<あんこ・花替え・飛ばし・握り>といった不正を調査しまとめたのは、社員たちからは「場末」や「姥捨て山」と呼ばれた部署の社員たちでした。

1997年12月19日に調査委員会が正式にスタート、1985年から約13年間にわたる会社の歴史を実名で検証していきますが、自らの就職活動も行わず無給で9か月、清算と社内調査をまとめる経過が委員会メンバーの家庭事情を挟みながらまとめられています。

清算チームの一員であった<長澤正雄>の「コンプライアンスは難しくない。常識的であることだ」の言葉が、三菱自動車による燃費不正問題があっただけに、印象に残りました。
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今年の読書(49)『Nのために』湊かなえ(双葉文庫)

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今年の読書(49)『Nのために...
高級マンションに住む資産家の夫<野口貴弘>42歳は燭台で撲殺、妻の<奈央子>29歳は包丁で刺殺される事件が、自室で起こります。

現場に居合わせたのは大学生の男女4人、<貴弘>のDVから<奈央子>を助け出そうと計画したのですが、<貴弘>が<奈央子>を刺したあと、作家志望の<西崎真人>が、身近にあった燭台で<貴弘>を殴ってしまい、懲役10年の刑期が言い渡されます。

事件のあと10年が経ち、現場にいた<杉下希美>は余命半年の宣告を受け入院中ですが、<奈央子>の救出を考えた経過を振り返り、真実はどうだったのかを回想していきます。
<貴弘>の勤務する商事会社に入社した<安藤望>、<杉下>の高校の同級生<成瀬慎司>たちの回想も順次登場、それぞれ4人の人間関係を描写しながら、登場人物のイニシャルがすべて「N」であるなか、読者に謎解きが投げかけられていきます。

<杉下>の「究極の愛とは罪の共有」という言葉が重く横たわる、愛とは何かを感じさせるミステリーでした。
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今年の読書(48)『モンスター』百田尚樹(幻冬舎文庫)

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今年の読書(48)『モンスター...
瀬戸内海に面した鄙びた田舎町に生まれた<鈴原美帆(田淵和子)>38歳は、20年ぶりに故郷に戻り、ある思いを込めてフランスレストラン「オンディーヌ」を開店させます。

<鈴原>は、子供のころから畸形的までに醜い顔で、周囲からバケモノ扱いされ続け、心を寄せていた初恋の相手<高木英介>にも裏切られ、事件を起こして追われるように東京の短大に入学しますが、家族とは縁を切られてしまいます。

面接を受けてもことごとく落とされ町の工場に勤めますが、目の二重の手術を行ったことにより整形手術の魅力に取りつかれ、費用を稼ぐためにSMクラブに勤め出し、やがてホテトル嬢からソープランドへと転身、莫大な費用をかけて完璧な美人に変身していきます。

男の美貌に対する痛烈な批判を込めながら、女の微妙な心理を絡め、昔足蹴にされた男たちを手玉を取るように扱う<鈴原>の行動は理解できますが、哀れさも感じてしまいました。
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今年の読書(47)『転迷:隠蔽捜査4』今野敏(新潮文庫)

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今年の読書(47)『転迷:隠蔽...
<隠蔽捜査>シリーズとして、前作の 『初陣:隠蔽捜査3.5』 に次ぎ、本書が5巻目になり、前作は警視庁キャリアの同期<伊丹俊太郎>が刑事部長という立場で主人公になりましたが、本書では大森署長としての<竜崎伸也>の活躍で読者を楽しませてくれます。

外務省職員<若尾>の惨殺死体が隣の署内で発生、管内では62歳の無職<八田>が轢き逃げ事件が発生、緊急配備にも関わらず轢き逃げ犯人を取り逃がしてしまいます。

娘<美紀>は、交際相手の<忠典>がカザフスタンに出張中に、搭乗するという飛行機が墜落、詳細情報を求めて警視庁時代のコネを使って外務省の知人に、父親という立場で連絡を入れるも、計らずも殺人事件と轢き逃げ事件の被害者が外務省の関係者で、コロンビアとの麻薬絡みの事件が浮かび上がります。

そんな折、厚労省の麻薬取締官<矢島>が、内偵捜査の邪魔をしたと怒鳴り込んでくるのですが、国家公務員は国のために働くという信念を揺るがすことのない<竜崎>は、縦割り行政の役所方式を批判してやみません。

そして連続放火犯の捜査にのめり込んでいるはみ出し刑事<戸高>が、相変わらずの個性を発揮するなか<竜崎>は、署長という立場でありながら外務省絡みの二つの事件の陣頭指揮を、執ることになっていきます。

警視長の肩書のまま降格処分で大森署長に納まっている<竜崎>ですが、持ち前の頭脳と決断力での事件の取り組みは、心地よい安心感を与えてくれる主人公の一人です。
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今年の読書(46)『見残しの塔』久木綾子(文春文庫)

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今年の読書(46)『見残しの塔...
建築設計を生業としていますので、副題の「周防国五重塔縁起」という文字に興味を持って読んでみましたが、寺院建築に関しての大工と木造建築の用語が散りばめられていて、面白く読み終えれました。

本書が著者のデビュー作品であり、取材に14年、執筆におよそ4年、推敲に1年を費やし、89歳の作品と知り、驚きを隠せません。

室町時代中期に建立された香積寺の「瑠璃光寺五重塔」の解体修理にあたり、斗に描かれた「此のふでぬし弐七」の墨書きの文字から、宮大工を志す九州の隠れ里出身の青年<左右近>を主人公に仕立て、また、<新田義貞>の血を引く若狭新田家の姫<初子>の身の周りの話を平行に置き、五重塔建立に命をかける番匠たちを見事に描いています。

文中に出てくる僧侶<恵海>の、「大工たちは神の手と、仏の慈悲と忍耐を持っている。でなければ、こんなに人の心を打つ堂塔伽藍は建ちあがらぬ」という言葉が、モノ造りをする立場への戒めとして心に残る一冊でした。
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今年の読書(45)『マアジナル』田口ランディ(角川文庫)

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今年の読書(45)『マアジナル...
能登半島の海岸に近い大社町で育った<僕=高木悠司>は、17年前の中学2年生の時に、同級生の<江上理沙>が突然神隠しにでもあったように行方不明になった事件を経験しています。

東京の大学を卒業して入社した出版社は倒産、先輩の口利きでオカルト雑誌を発行している<マアジナル社>に勤め出しますが、UFOに絡む患者たちに興味を持つ精神科医<木部直樹>からのメールを受け取ります。

上司の<岡田淳子>の命で急きょ取材として能登に出向くのですが、かっての同級生6人がUFOを呼び寄せたことにより、それぞれ6人の数奇な人生が語られていきます。

古代神話・天文学・哲学・物理・数学・精神医学・UFO等の幅広い分野の知識を散りばめたファンタジー物語として、最後まで<江上理沙>がどうなっているのかを引きずりながら、最後の4行で「なるほど」と肩の力が抜ける壮大な物語が楽しめました。
#文庫本 #読書

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今年の読書(44)『総理にされた男』中山七里(NHK出版)

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今年の読書(44)『総理にされ...
読み終った読者の多くが、<ケヴイン・クライン>が主演した大統領の替え玉話をコメディに描いたアメリカ映画の『デーブ』(1993年)を、思い出したのではないでしょうか。

売れない役者の<加納慎策>は、国民党総裁<真垣統一郎>と瓜二つで、舞台の前座として総理の物真似で人気を得ていました。
そんなある日<慎策>は見知らぬ男たちに拉致され、総理官邸に連れて行かれますが、そこで内閣官房長官の<樽見>から、総理が病気で入院、彼の替え玉役を引き受けさせられます。

まったくの素人として政治の世界に飛び込んだ<慎策>が見たモノは、国民の生活を無視した不条理な現実ばかりでした。
熱血漢あふれる<慎策>は、<樽見>の指示を仰ぎながら政治・経済問題を処理していきますが、<真垣>が亡くなり、やがて<樽見>も心筋梗塞で亡くなってしまいます。

絶体絶命の窮地のなか、アルジェリアの日本大使館がテロ組織に占拠され、<慎策>はひとりで解決していかなければなりません。

非常にわかりやすく国会や議員の現状が描かれていると共に、日本の問題点を克明に描き出しながら、ユーモアあふれる構成で、ときに涙させる場面も多々あり、面白く楽しめた一冊でした。
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今年の読書(43)『フラッシュモブ』遠藤武文(光文社)

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今年の読書(43)『フラッシュ...
副題の「警視庁情報分析支援第二室<裏店>」は、迷宮入りした事件の資料が捜査継続中という名目のもと各地から送られてくる部署で、そこには変人キャリアの<安孫子>警視正ただひとりが所属している部署です。

本書は 『炎上』 に次ぐ<安孫子>を主人公とする第二冊目に当たり、五つの事件が収録されています。

相も変わらず尊大で気難しく、誰に対しても無礼な命令口調で、しかも面と向かって相手に言い続ける態度には、閉口させられます。
また職務そっちのけで日夜、怪しい研究実験を<裏店>で行っていますが、一度事件に首を突っ込みますと、あざやかな推理で事件を解決してゆく手際の良さを見せつけてくれます。

憎めないキャラクターとして、これからシリーズ化されていきそうな<安孫子>警視正の事件簿として、小気味よい文章で楽しめました。
#本 #読書

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今年の読書(42)『たそがれ歌麿』佐伯泰英(新潮社文庫)

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今年の読書(42)『たそがれ歌...
<新・古着屋総兵衛>シリーズとして、前作第8巻目の 『安南から刺客』 に次ぐ、第9巻目が本書です。

前作で江戸に戻った<大黒屋総兵衛>は、川を挟んだ向かい側の炭問屋「栄屋」の屋敷を買い取り、古着市の会場に使う算段をしながら、橋の架け替えに乗じて二つの屋敷を繋ぐ秘密の通路の算段を進めていました。

そんな折、大目付<本庄義親>邸に赴いた際、居候をしている浮世絵師<北川歌麿>なる人物を紹介されます。屋敷から帰宅中に<総兵衛>は、<歌麿>と間違われ、何者かに襲われます。

橋の架け替え工事が進むなか、江戸に未曾有の野分(台風)が襲い、江戸の町は大被害を受けてしまいます。
町の復旧に奔走する<総兵衛>ですが、<歌麿>が将軍<家斉>を揶揄するような浮世絵を描いているとの知らせを受け、関わった<本庄>の身を案じ、<歌麿>を探し出すべく「影」として動き出します。

実在の浮世絵師<歌麿>を物語にうまく取り込みながら、幕府の「影」としての裏の貌の活躍で、無事に事なきを得た<総兵衛>でした。
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今年の読書(41)『安南からの刺客』佐伯泰英(新潮文庫)

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今年の読書(41)『安南からの...
<新・古着屋総兵衛>シリーズとして、第一巻の 『血に非ず』 に始まり、長年の宿敵薩摩藩との和睦が進んだ第七巻の 『二都騒乱』 まで読み続けています。

人気作家のシリーズですので、書店で急に入手できないことはないと安心していますが、ようやく第八巻目として読みつなぎました。

京都に出向いていた<大黒屋総兵衛>一行は、七か月ぶりに江戸へ戻ってきました。
戻り次第< 総兵衛>は、川を挟んで向かい側にある破産寸前の炭問屋の屋敷を買い取り古着市の会場として利用することを考えながら、本店の大黒屋と地下通路で行き来できるようにと、石工の<魚吉>に算段を考えさせます。

3月に始まる古着市の準備の最中、<糸屋染左衛門>に反発する同業者二人が刺殺され、<総兵衛>は古着市を攪乱させる一派のことをで悩んでいましたが、どうやら自分自身の出身地である安南政庁からの刺客の存在を確認、新たな強敵に立ち向かわざるを得なくなります。

安南に「イマサカ号」や「大黒丸」が交易のために出向いたままですが、まだまだ続くシリーズですので、のんびりと読み続けたいと考えています。
#本 #読書

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