記事検索

神戸:ファルコンの散歩メモ

https://jp.bloguru.com/falcon
  • ハッシュタグ「#読書」の検索結果1770件

今年の読書(69)『その鏡は嘘をつく』薬丸岳(講談社文庫)

スレッド
今年の読書(69)『その鏡は嘘...
「夏目信人」シリーズとして、第1作目の短篇集『刑事のまなざし』に次ぐ長篇小説としての第2作目が、2016年3月15日に文庫本として発行されています本書『その鏡は嘘をつく』です。

痴漢行為で不起訴になったエリー医師「須賀」が、池袋のマンションで首吊り死体で発見されます。痴漢冤罪を悔やんでの自殺だとされましたが、検事「志藤清正」は他殺と疑い独自に調査します。

その頃、池袋署の刑事「夏目信人」は、首吊り死体が発見された日現場近くで起こった不可解な集団暴行事件を調べていました。カギを握るのは未来を捨てた少年と予備校女性講師でした。

帯のコピーに「泣かずにおれない。」とありましたが、人間の心の深遠に光を当てる著者ならではの視線に感動する一冊でした。
#ブログ #文庫本 #読書

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(68)『おくり櫛』本間之英(祥伝社文庫)

スレッド
今年の読書(68)『おくり櫛』...
7年前の19歳のとき、武家の二男から<十三や六兵衛>の元で櫛職人として修業している<新次郎>の長屋に、許婚の御所院番頭組<神谷中左衛門>の娘<里尾>が住まいだしたころ、長屋の井戸から近衛家と将軍家の家紋が入った「鏡箱」が見つかるところから物語は始まります。

時代背景は殿中において<浅野内匠頭>が<吉良上野介>に切りかかった年であり。この事件を背景として、複雑な人間関係が絡んでいきます。

<新次郎>の周辺で、「鏡箱」を奪い返そうとする不穏な出来事が続き、<里尾>はかどわかされてしまい、<新次郎>は自ら手負いながらも必死に<里尾>の行方を探し始めます。

事件の背後には甲府徳川家と徳川宗家の将軍争いがうごめき、赤穂浪士の仇討の噂が囁かれるなか、剣術の腕前も確かな怒れる櫛職人<新次郎>の活躍が楽しめ、武士の矜持と職人の矜持との対比も見事でした。
#本 #読書

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(67)『舶来屋』幸田真音(新潮文庫)

スレッド
今年の読書(67)『舶来屋』幸...
アメリカ系銀行や証券会社での経験を生かし、著者の作品は経済関係の多くの作品があり、 『財務省の階段』 以来、久しぶりに「商人(あきんど)」を主人公に据えた本書『舶来屋』(2012年2月刊行)を読んでみました。

著者には出身地・滋賀県の<湖東焼>を扱った『藍色のベンチャー(のちに『あきんど 絹屋半兵衛』に改題)』(2003年刊行)があり、緻密な取材に圧倒されました。

本書は、インポートセクトショップの先駆けとして、銀座並木道で開業した「サン モトヤマ銀座本店」の創業者である<茂登山長市郎>の人生を克明に描き、戦後から高度成長期を経て、日本の生活文化に貢献してきた流れがよくわかる構成でした。

<グッチ>や<エルメス>、<トラサルディー>や<エトロ>と、今では誰もが知っているブランドをいち早く日本に紹介した彼は、商人(あきんど)としての信頼関係で取引をしてきましたが、アメリカ型経営の<ヴィトン>などの経営方針に押され、やがて<グッチ>や<エルメス>の商標権の返還をせざることになり、さぞや断腸の思いだったと思います。

<反省しても後悔はしない>という心構えは、また新しい分野に果敢に挑戦、まさに商人(あきんど)の鏡だと感じながら読み終えました。
#本 #読書

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(66)『黒い羽根』誉田哲也(光文社文庫)

スレッド
今年の読書(66)『黒い羽根』...
最近の著者は、女性刑事が活躍する <ジウ>シリーズ (Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ) などをはじめ、テレビドラマや映画にもなりました 『ストロベリーナイト』 を第一作目とする<姫川玲子>シリーズなど刑事物が人気ですが、本来は伝記小説や ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞した 『アクセス』 などのホラー物を得意としていました。

本書もそのホラーサスペンスともいえる内容で、最後まで展開がどうなるのかと一気に読み終え、最後の4行の締めくくりには唸ってしまいました。

23歳の<君島典子>は、右肩に「黒い瑕」があり、幼い頃から激しい痛みと出血に悩んできましたが治癒することなく、病院を転々とした末にたどり着いたのが遺伝子治療でした。

同じような境遇の治験者と山里離れた軽井沢の山奥にある研究所を訪れるのですが、そこには何体もの惨殺された死体が点在していました。
犯人は何者なのか、閉ざされた施設の中で<典子>たちの恐怖の時間が始まります。

DNAという医学的な要素を取り入れたホラーサスペンスとして、楽しめた一冊です。
#本 #読書

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(65)『ゴンベン』小川勝己(実業之日本車文庫)

スレッド
今年の読書(65)『ゴンベン』...
ここ3年ぐらいになるでしょうか、書評などで「イヤミス」(後味の悪い、嫌なミステリー)という言葉が使われ、<湊かなえ><沼田まほかる><明野照葉><真梨幸子> 等の著者名が思いだされます。

本書は2012年12月刊行と少し古いのですが、『ゴンベン』というタイトルに興味がわき手が伸びました。警察関係の小説は好きな分野で、隠語で「汚職」は<サンズイ>と呼ぶように、<ゴンベン>は「詐欺」を意味しています。

主な登場人物は6名、女子大生の<歩>と<夏子>を中心として、その取り巻きが起こす詐欺の手口が描かれていくと同時に、6人が歩んできた人生を並列させ、「詐欺」をビジネスとして面白く描いていました。

本来このような犯罪ゲームは映画『スティング』や、<ジェフリー・アーチャー>の『百万ドルを取り返せ』のように、死人が出ることもなく明るさが魅力的でしたが、冒頭で述べましたように、本書は「イヤミス」的な内容が入り、また「イヤミス」的な終わり方をしています。
#本 #読書

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(64)『三つの秘文字』S.J.ボルトン(創元推理文庫)

スレッド
今年の読書(64)『三つの秘文...
イングランド北東110キロ離れたシェトランド諸島を舞台とするのは、<アン・クリーブス>の 『大鴉の啼く冬』 がありましたが、まさに島に伝わる伝説を生かした構成でした。

夫<ダンカン>と共にシェットランドに越してきた産科医の<トーラ>は、亡くなった愛馬を埋めようと庭を掘り出しますが、そこで出産間もなく亡くなり心臓がえぐられた若い女性の死体を発見、背中には三つの「ルーン文字」が刻まれていました。

女性の身元が分かりますが、彼女は解剖による推定死亡時期よりも前に死んでいることが判明、<トーラ>は産科医の立場から調査を開始、同じく島外から移ってきた女性刑事<デーナ>と協力、文字に隠された不可思議な事件の真相に迫っていきます。

(上・下)2巻に渡る表紙には原題である「Sacrifice(犠牲)」がデザインされていますが、北海の閉鎖的な土壌をうまくとらえた作品で、また翻訳者の<法村里恵>の訳も読みやすく、最後まで面白く楽しめました。
#本 #読書

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(63)『眺めのいい部屋売ります』ジル・ジメント(小学館文庫)

スレッド
今年の読書(63)『眺めのいい...
ニューヨークのイースト・ヴィレッジに立つ築106年のアパートには、エレベーターがありません。画家の<アレックス>78歳と元国語教師の妻<ルース>77歳は、45年間、5階の眺めのいい部屋に住んでいました。

子供が無く、ミニチュア・ダックスフントの愛犬<ドロシー>12歳と穏やかな日々を送っていましたが、足腰が弱ってきた彼らは、エレベーター付きのアパートに変わる計画を立て、自宅を売却することに決心します。

明日がオープンハウスというとき、<ドロシー>に椎間板の異常が見つかり急きょ入院手術、またテロリストと思われる人物が、アパートに近いミッドタウン・トンネルでタンクローリー事故を起こし逃亡するという事件が発生します。

物語は終末の金曜日に始まり、<ドロシー>の病気を気にしながらも。自分たちの新しいアパートも探さなければならず、月曜日までの三日間の出来事が描かれています。
老夫婦の洒脱な会話を中心に、合わせて<ドロシー>の目線で語られ、人と動物の織りなすゆるぎない信頼関係に、犬好きとしてはほっと心安らぐ一冊でした。
#本 #読書

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(62)『八ヶ岳・やまびこ不動産へようこそ』長田一志(祥伝社文庫)

スレッド
今年の読書(62)『八ヶ岳・や...
本書はプロローグと五つの連作短篇から構成されていますが、不動産を扱っている物語だけに、「第一章」との表示の代わりに「物件Ⅰ」といった言葉が使われています。

日本では同じ住宅としても、建築家は「作品」と呼び、ハウスメーカーはいい「商品」と呼び、不動産業者はいい「物件」と呼び分ける慣習があり、おかしな表現だと思うのですが社会的に認知されているところに、日本の住空間の貧しさを感じてしまいます。

本書の主人公<真鍋智也>は36歳、東京出身ですが仕事を辞め、妻と娘には逃げられ、八ヶ岳が見える町を訪れるのですが、貧血で倒れたところを<やまびこ不動産>の社長の奥さんで専務の<望月真知子>に助けられ、そのまま就職してしまいます。

なぜか彼には、「死にたい」という相手の願望を感じ取る力があり、そのことがそれぞれの物件案内を通し、悲喜こもごもの家族や友人との心の絆のとして描かれ、心地よい人生の再生物語が味わえる一冊でした。
#本 #読書

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(61)『無限記憶AXIS』ロバート・C・ウィルソン(創元SF文庫)

スレッド
今年の読書(61)『無限記憶A...
「SF」の分野も大好きで、大御所の<アーサー・C・クラーク>や<アイザック・アシモフ>・<ロバート・A・ハインライン>などはよく読みました。多くの本を処分してきましたが、今手元に残し、数年に一度読み直す単行本が、<ダン・シモンズ>の壮大な物語<ハイペリオン>シリーズ4部作です。

40億年におよぶ地球の相対的時間封鎖を解くと同時に、謎の「仮定体」は、地球と結ぶ巨大なアーチを出現させ、その先は未知の惑星「新世界」とつながっていました。
人類がこのアーチを使い自在に行き来をするようになって30年過ぎたある日、失踪した父親を探すために<リーサ>は夫と共に「新世界」にやってきます。

かたや火星人類の寿命延長措置を受けた「第四期」(幼年期・青年期・成人期をこえた)人たちのもとで、不思議な力を持つ12歳の少年が育てられていましたが、「新世界」に不思議な<灰>が振り注ぎ、「新世界」は一万年からの眠りから目覚めます。

前作『時間封鎖(上・下)』を読んでいないと、少し分かりづらい個所もありますが、「仮定体」として<不完全な自己犠牲および自己集合能力を持つ準有機体>との疑問はそのままで、続編に引き継がれていくようです。
#SF #本 #読書

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(60)『藝人春秋』水道橋博士(文春文庫)

スレッド
今年の読書(60)『藝人春秋』...
単行本の刊行は、2012年12月ですので、若干昔のエピソードになりますが、それはそれでその後の芸能生活の流れがよく理解でき、楽しめました。

本書には、芸能界を生き抜く(ライブドアの<堀江貴文>もいます)大御所と呼ばれる人たちを著者の目線から切り崩し、彼らの実態を浮かび上がらせています。

<そのまんま東(東国原英夫)>から始まり、<石倉三郎>・<古舘伊知郎>・<テリー伊藤>・<北野武>・故<ポール牧>たちとのあからさまな日常が描かれ、著者との交友録として面白く読み終えれました。

最後の「あとがき」で、芸能界一の読書家と言われた故<児玉清>さんが登場、奇しくも明日5月16日(2011年)が命日だと知り、これまた不思議な縁に驚いています。
#文庫本 #読書

ワオ!と言っているユーザー

  • ブログルメンバーの方は下記のページからログインをお願いいたします。
    ログイン
  • まだブログルのメンバーでない方は下記のページから登録をお願いいたします。
    新規ユーザー登録へ
ハッピー
悲しい
びっくり