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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(30)『衣更月家の一族』深木章子(講談社文庫)

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今年の読書(30)『衣更月家の...
プロローグとエピローグの間に、『廣田家の殺人』・『楠原家の殺人』・『鷹尾家の殺人』と、三つの殺人事件の章があり、一見関連のないそれぞれの殺人事件が、最後の『衣更月家の一族』の章で、見事に繋がりを見せる構成で、読み終り「なるほど」と感動を覚えました。

夫から逃げ出した妻<宮坂晴菜>は、姉<廣田優子>の家に逃げ込みましたが、夫<宮坂弘毅>は訪れた際、応対に出た<優子>を撲殺したことで逃亡したのですが、観念して自首してきます。

<弘毅>の話から、<優子>は愛人宅で生活している夫<聖一>を殺害しようと考えていた節があり、<弘毅>は<聖一>と間違われて殺されそうになったと正当防衛を主張、事件は傷害致死で一件落着しますが、この事件がそのものが、複雑な家族関係とお金に対する強欲な世界の幕開けでした。

著者は東京大学法学部卒の元弁護士であるだけに、犯罪者の心理と状況の分析が素晴らしく、秀逸な犯罪ミステリーでした。
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今年の読書(29)『異人館画廊』谷瑞恵(集英社文庫)

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今年の読書(29)『異人館画廊...
神戸っ子として、「異人館」という言葉が気になり手にしてみました。
書き出しの部分では舞台となる町の名称も表われず、長崎か横浜なのかが分かりませんでしたが、文中に「諏訪山の展望台」が出てきましたので、神戸が舞台だと分かりました。

7歳のときに誘拐に合い、その恐怖で前後の記憶が定かでない<此花千景>は、祖父母と一緒にイギリスに渡り、画家である祖父の影響で「図像学」の学位を飛び級で18歳で取得、祖父<此花統治郎>が亡くなり、先に帰国している祖母<鈴子>が経営する画廊と紅茶専門の喫茶店を併用する「異人館画廊 Cube」に10年ぶりに帰国してきます。

「異人館画廊 Cube」には、祖母<鈴子>をはじめ、西之宮画廊のオーナー<透磨>や、喫茶店のバイトの<瑠衣>、占い師の<槌島彰>などが集っていました。

<千景>は幼いころの記憶が残っている<透磨>から、美術館から盗まれた<ゴヤ>の絵が日本で発見され、その鑑定を依頼されますが、思わぬ方向に事件は進んでいきます。

絵画に隠された「図像」により、観る人を思わぬ悪の世界に引きずり込むことを伏線として、<千景>の読み解き術が冴える内容の絵画ミステリーが楽しめました。
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今年の読書(28)『スイングアウト・ブラザース』石田衣良(光文社文庫)

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今年の読書(28)『スイングア...
大学時代から11年、それぞれ職業は違いますが、33歳になった今でも友人として仲の良い、冴えない3人組を主人公とした、奮闘物語です。

ほぼ同時期に失恋した彼らは、大学時代の憧れの先輩<河島美砂子>が経営する高級エステサロン「サロン・ド・アクア」が開設する<男性問題解決コース>の第1期特待生として、女性に対して魅力的な男になるための講座を受けることになります。

<河島>は、女性心理や教養・ファッション・会話等に関する腕利きの講師陣を揃え、それぞれの課題を3人組に課し、<容姿・経済力・性格>は変えられないことを前提として、内面的な変化を生じさせていきます。

男性側としては3人組の行動を反面教師と見立てて、女性に対する意識の変化が生まれ、女性が読めば身の回りの男性への見方が変わりそうな内容で、面白く読み終えれました。
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今年の読書(27)『ようするに、怪異ではない。』皆籐黒助(角川文庫)

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今年の読書(27)『ようするに...
主人公は、東京から鳥取県堺市にある高校に入学した<冬目皆人>です。

入学式早々、1学年上の<ハル先輩>こと<春道兎鳥>が主催する「妖怪研究同好会」に入部させられますが、彼女は筋金入りの妖怪マニアでした。

本書には妖怪が引き起こしたとされる、部室に出る幽霊、天窓から覗くサングラスをかけたアフロヘアーの男、コンビニでの盗難事件など、妖怪絡みと称する事件が5話納められています。

とある過去の出来事から妖怪嫌いの<冬目>ですが、<ハル先輩>の妖怪事件だという思い込みを解き明かす青春ミステリーとして、肩を張らずに楽しめました。
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今年の読書(26)『マスカレード・ホテル』東野圭吾(集英社文庫)

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今年の読書(26)『マスカレー...
東京都内で起きた3件の連続殺人事件の現場には、暗号めいた数字が書かれた紙切れが残されていました。
警視庁捜査一課はその暗号から、第4件目の犯行現場が、「ホテル・コンテルシア東京」だと確信、それぞれの部署にホテルマンとして潜りこ込み、10日以内に決行されると予測される日まで警備体制を敷いています。

容姿から<新田>警部補がフロントクラークとして配置され、ホテルのフロント担当で年下の<山岸尚美>の指導を受けながら、ホテルマンとしてのにわか教育を受けながら殺人犯の捜査に当たります。

殺人事件の推理小説でありながら、ホテル(ウー)マン<山岸>の細やかな応対を通し、ホテルにくる人々は「お客さま」という仮面(マスカレード)を付けての様々なトラブルを描き、プライドの高い<新田>が捜査の第一陣から離れてフロント業務に携わらなけれないけない理不尽さを対比させながら、「その日」を迎えます。

脇役の地元渋谷署の<能勢>刑事もいい味を出しており、ホテルという業界物と殺人事件の刑事物とが合わさり、一冊で二冊分楽しめる面白さでした。
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今年の読書(25)『花咲家の人々』村山早紀(徳間文庫)

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今年の読書(25)『花咲家の人...
著者には、<コンビニたそがれ堂> シリーズがありますが、この物語の舞台となる花屋さんも、「たそがれ堂」と同じ「風早駅前商店街」にあります。

戦前から続く老舗の花屋<千草苑(せんそうえん)>は、祖父<木太郎>を筆頭として、父<草太郎>、長女<茉莉亜>、10歳年下の高校生<りら子>、小学校5年生の<桂>たちが生活しており、彼らは先祖代々植物たちと会話ができる能力を引き継いでいます。

書き下ろしの本書には4篇の物語が収められていますが、家族それぞれの性格に合った植物たちとの接し方で、まわりの人達に夢と希望を与える筋立てになっています。

<バラは四季咲き性で、冬場は強剪定しなければならない>など、園芸好きには「なるほど」という台詞もあり、それぞれの章で「金木犀」や「桜」・「ゼラニウム」などがいい脇役で登場、メルヘンチックで心和む一冊でした。
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今年の読書(24)『ジャイロスコープ』伊坂幸太郎(新潮文庫)

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今年の読書(24)『ジャイロス...
2000(平成12)年、『オーデュボンの祈り』で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞して専業作家に転身した<伊坂幸太郎>ですが、本書はデビュー15周年を記念して発行された文庫オリジナル短篇集です。

作品としては7篇が収められていますが、最後の『後ろの声がうるさい』は、書き下ろし作品として、前の作品の登場人物たちを受ける形での構成が見事でした。

「あとがき」に替わるインタビューで、長篇は自分の楽しみ、短篇は読書の楽しみを考えるとありましたが、2004年第57回日本推理作家協会賞短篇部門の受賞作品 『死神の精度』 などをはじめ、短編の名手として凝縮された<伊坂ワールド>が楽します。

粋な会話、軽快な文体、著者独特のウイットが楽しめる、短篇集でした。
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今年の読書(23)『見えざる貌』堂場瞬一(中公文庫)

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前作 『ルーキー』 に次ぐ、<刑事の挑戦・一之瀬拓真>シリーズの2冊目が本書です。

前作では、交番所勤務3年を経て千代田署刑事課の刑事になった25歳の<一之瀬拓真>が、勤務初日から殺人事件に遭遇、48歳の先輩刑事<藤島一成>の手ほどきを受けながら捜査のイロハを覚えていくという、まさに新人刑事の登場でした。

あれから1年がたち、少しは刑事らしくなったかなと思わせる<一之瀬>の行動が、本書では楽しめます。

皇居周辺をジョギングする若い女性が二人立て続けに通り魔に襲われ、管轄である半蔵門署に協力する体制で、<一之瀬>は警察学校同期の半蔵門署の刑事<若杉>と共に警戒にあたりますが、第三の犯行として女性タレント<春木杏奈>が被害を受けてしまいます。

<春木>は、スポーツメーカーのPRタレントとして人気があり、商品の宣伝を兼ねたジョギングを止めることはできないということで、<一之瀬>は彼女の警護を担当することになってしまいます。

複雑な芸能界の裏事情を絡めながら、新人刑事2年目の<一之瀬>の捜査に対する思い入れと成長が、ひしひしと伝わってくる2作目でした。
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今年の読書(22)『牽制』堂場瞬一(中公文庫)

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2000年に『8年』で第13回小説すばる新人賞を受賞、2015年10月発刊された『Lillers』が100冊目となる多作な作家で、また2作目の『雪虫』で始まる<刑事・鳴沢了>シリーズをはじめ、<警視庁追跡調査係>シリーズや<捜査一課・澤村慶司>シリーズなど、わたしの好きな刑事物の著作も多く、なかなかすべての作品に目を通すのは大変です。

本書は 『遮断』 に続く<警視庁失踪課・高城賢吾>シリーズとしての8作目に当たります。

主人公の<高城>警部は、娘<綾菜>が7歳のときに行方不明になり、それが原因で弁護士である妻と離婚した過去があり、彼の視点から事件を克明に描く手法が取られています。

21歳の<高木>巡査が拳銃を所持しながら制服のまま交番から姿を消し、渋谷署内が騒然とするなか、失踪課のメンバーも捜査に駆り出されます。
かたやプロ球団<パイレーツ>のドラフト一位を獲得した高校球児<花井翔太>が、キャンプイン前に寮から姿を消し、<高城>は元プロ野球選手の<醍醐>巡査部長と二人だけで<花井>の行方を探す捜査に乗り出します。

事件は無事に解決しますが、捜査の過程で昔住んでいた家の近くで起こった火災現場跡から幼い女の子の白骨死体が発見され、もしや<綾菜>ではないのかと読者に匂わすところで本書は終わり、次巻を読まないとモヤモヤとした気分は一新できそうにありません。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(21)『モナ 聖なる感染』ダン・T・セールベリ(小学館文庫)

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今年の読書(21)『モナ 聖な...
クラスター爆弾で妻子を失った天才プログラマー<サミル>は、イスラエルに復讐するためにコンピューターウイルス「モナ」を開発、イスラエルの銀行のプログラムに侵入させます。

かたやスェーデン王立工科大学教授<エリック>は、脳波とコンピュータを接続し、脳波でパソコンでの立体操作を構築できる「マインドサーフ」を完成、イスラエル信託銀行に勤める妻<ハンナ>と開発スポンサー<マッツ>に試験的に試しますが、二人は原因のわからない昏睡状態に陥ってしまいます。

<エリック>、銀行に仕組まれたウイルス「モナ」が、精神に影響を及ぼす生物ウイルスではなかと考え、ウイルスを開発した人物との接触を試みるために、イスラエルやガザに出向き、モサドやFBIの目をかいくぐりながら、コンピューター開発者として心を通じ合わせた<サミル>から、「モナ」のアンチウイルス「ナディム」を手に入れることに成功します。

歴史的に長いイスラエルとイスラムの宗教的な紛争を基盤として、わずかの期間にコンピューターなしでは世の中が動かない現実を絡み合わせ、犯罪者ながらウイルス名に爆発で亡くなった娘「モナ」や妻「ナディム」の名を冠した<サミル>が、少し哀れに感じるとともに読み終えた、653ページでした。
#本 #読書

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