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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(59)『巨悪利権』濱嘉之(文春文庫)

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今年の読書(59)『巨悪利権』...
第1作目の 『完全黙秘』 で始まった<警視庁公安部・青山望>シリーズとして、第5作目の 『濁流資金』 に次ぎ、本書が第6作目です。

大分県湯布院温泉で、岡広組二次団体三代目博福会顧問の<相良陽一>が変死体で発見され、使用されたのが毒矢に塗られた「トリカブト」だと判明します。

「トリカブト」のDNE検査の結果、<青山>は京都の仏像盗難事件で殺された住職の事件との絡みを掴み、岡広組との関連を捜査する過程で、京都の清水組を中心とする宗教団体や病院経営、中国からの爆買ツアーを隠れ蓑にマネーロンダリングや薬物の密輸の核心に迫っていきます。

福岡と京都のヤクザ組織の対立と同様に、中国マフィアと上海マフィアという中国共産党の代理戦争の構図を描き、宿敵の<神宮寺武人>を逮捕する場面で本書は終わります。

同期4人のカルテットの一人である<青山>のみがまだ独身であり、前作から話題に上っている同期<藤中克範>の妻<節子>の従妹である<武末文子>とのお見合い話がようやく実現され、今後の<青山>の動向も気になるシリーズです。
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今年の読書(58)『濁流資金』濱嘉之(文春文庫)

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今年の読書(58)『濁流資金』...
<警視庁公安部・青山望>シリーズとして、『機密漏洩』 に次ぎ、5作目が本書です。
仮想通貨の取引をしている「京都ゴックス」の社長<武田良一>が銃殺される事件を発端に事件は始まります。

前作の事件で功績のあった<青山望>を含むノンキャリアの同期カルテット4人は、それぞれ重要な部署に配置換えされ、<青山>は公安部公安総務課に復帰、警察内の情報を一望できる部署で持ち前の能力を発揮していきます。

「京都ゴックス」の捜査にからみ、政財界のホープたち11人が次々と不審死で亡くなる事件が気になる<青山>は、仮想通貨を利用してマネーロンダリングする組織の存在を確信、やがては元暴走族グループの<神宮寺武人>や元広岡組の引退した経済ヤクザ<清水保>に焦点を当てていきます。

警視庁と各県警、捜査部門と公安、キャリアとノンキャリアといった対比も面白く、今後の中国マフィア絡みの展開が楽しみなシリーズです。
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神戸ご当地(448)映画『植物図鑑』公開記念キャンペーン

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神戸ご当地(448)映画『植物...
今朝方の『讀賣新聞』の朝刊三面にて、<有川浩>の 『空飛ぶ広報室』 の広告と合わせて、『植物図鑑』 が、6月4日(土)に松竹配給映画として公開されるのを知りました。

原作『植物図鑑』(角川書店)の表・裏表紙の見返りには、野草たちがカラー写真で掲載されていますので、<有川浩>ファンとして、また花好きとして手にした一冊でした。

どういうつながりがあるのか、このたび『植物図鑑』の映画公開を記念して、神戸市交通局と「そごう神戸店・西神店」が<エコショッピング>キャンペーンを、5月10日(火)から5月29日(日)の期間にて実施されます。

キャンペーンは、市営地下鉄各駅や北神急行電鉄谷上駅窓口でスタンプを押したキャンペーンチラシの裏面に、期間中にそごう店で購入した(2160円)以上のレシートを貼って応募ボックスへ投函すると、抽選で30組60人に本作の映画チケットや「原作本・非販売ポストカードセット」がプレゼントされます。
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今年の読書(57)『星々たち』桜木柴乃(実業之日本社)

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今年の読書(57)『星々たち』...
本書には連作短篇として9篇が収められていますが、幕開けは18歳のときに娘<千春>を生んだ<咲子>が登場、奔放な性格で母親に<咲子>の養育をまかせっきりに、スナックに勤務しているところから物語は始まり、この時<千春>は13歳でした。

第2篇目から<千春>が登場、16歳で隣家の大学生に妊娠させられ、その母親に連れられ子供を堕胎、18歳のときにはススキノの「ろまん座」で<杉原麗>としてストリップ嬢になり、22歳では食品会社の配達員をしていたことにより41歳の<木村晴彦>と結婚しますが、長く続きません。
やがて二度目の結婚で娘<やや子>を産みますが、その生活も波状していきます。

読み手としてはこれは同じ<千春>なのかと訝りながらも、反面母親の人生をも代弁しているのに気づかされていきます。

<咲子>から<千春>、そして<やや子>と北海道を舞台として女三代が歩む人生の哀歌を繋げながら、研ぎ澄ました筆致で昭和から平成の時間軸を背景に見事に浮き彫りしてゆく手法は、直木賞を受賞した 『ホテルローヤル』 と同様に読み応えがありました。
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今年の読書(56)『説教師』カミラ・レックバリ(集英社文庫)

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<エリカ&パトリック事件簿>シリーズとして、前作 『氷姫』 に次ぐ第2作目が本書です。

親の遺産整理に生まれ故郷のフィエルバッカに戻った35歳の伝記作家の<エリカ>は、前作でかっての親友<アレクス>の殺人現場に遭遇、幼馴染の刑事<パトリック>と捜査に関わり、事件を解決します。

本書で<エリカ>は<パトリック>と生活を始め9か月の妊婦になっていますが、「クスグスクリュタン(国王の洞窟)」と呼ばれる場所で、若い女性の全裸死体が発見され、その下には古い白骨化した2体の骨が発見されました。
検視の結果、白骨化したのは23年前に行方不明になった女性二人だととわかり、俄然捜査は複雑さを増していきます。

<メルバ>署長は、捜査の指揮を<パトリック>に任せ、なぜか珍しく小言も少ないなか、17歳の少女がまた行方不明になる事件が起こります。
カリスマ説教師の一族を巡る複雑な人間関係を主軸として、本書でも<エリカ>の妹<アンナ>の家族問題が絡んできます。

本書で<エリカ>は、大きなお腹と夏の暑さが相まって、仕事らしい仕事もできない状態で、苦労しながらの孤軍奮闘の<パトリック>の敏腕な捜査が楽しめる構成で、618ページを面白く読み終えれました。
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今年の読書(55)『氷姫』カミラ・レックバリ(集英社文庫)

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副題に<エリカ&パトリック事件簿>とあり、本国のスウェーデンでは人気のシリーズのようで、同じスウェーデン作家<スティーグ・ラーソン>の 『ミレニアム』 シリーズ (1)(2)(3)に次いで読んでみました。

女性の伝記作家である35歳の<エリカ>は両親が亡くなり、ストックホルムから生まれ故郷のフィエルバッカの実家に、遺品整理を兼ねて帰郷してきます。
帰郷早々、23年前に突然姿を消した親友<アレクス>が、自宅の浴槽で手首を切り死んでいるのを発見、彼女の両親から新聞に追悼文を書いてほしいと頼まれ、事件にかかわっていきます。

<アレクス>の夫や共同画廊経営者と接していく過程で、幼馴染の<パトリック>が地元の警察署に勤務していることが分かり、好奇心旺盛な作家として彼と私生活を絡めながら事件の捜査に乗り出していきます。

<エリカ>の妹の<アンア>は、夫から暴力を受けているにも関わらず両親の家を売り出すことを要求してきますし、昔のボーイフレンド<ダーン>は、殺された<アレクス>と不倫関係にあるのがわかるなど、小さな漁師町を舞台として複雑な人間関係が絡み合う重厚な構成に仕上がっています。

鼻持ちならない<メルバリ>署長とは対照的に、同僚の女性事務員<アンニカ>の高い資料作成能力に助けてもらいながら、<パトリック>の地道な捜査は思わぬ結末にたどり着きますが、本国の人気がよくわかるミステリーでした。
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今年の読書(54)『クローバー・レイン』大崎梢(ポプラ文庫)

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元書店勤めの著者は、2006年5月 『配達あかずきん』 で作家デビュー、書店や出版会社の業界物は安心して読めるジャンルです。

本書も大手出版会社<千石出版>の編集部に勤務する29歳の<工藤彰彦>を主人公に据え、出版業界の裏側がよくわかる内容でした。

とある出版パーティで<工藤>は、酔った作家<家永嘉人>をタクシーで自宅まで送り届けます。その時に書き上げられていた『シロツメクサの頃』の原稿を読み、夜間中学を舞台にした素晴らしい小説に惚れ込んでしまい、周りを巻き込みながら何とか出版しようと努力を重ねていきます。

作家<家永>の<娘>(冬実)との関係、ライバル会社の編集員<国木戸>、10歳しか違わない伯父<尚樹>の過去などの人生ドラマを横糸に絡めながら、一冊の本に掛ける<工藤>の情熱がヒシヒシと伝わってくる一冊でした。
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今年の読書(53)『リアル・シンデレラ』姫野カオルコ(光文社文庫)

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今年の読書(53)『リアル・シ...
何気なく手にした本が、地元神戸と関連した内容であったり、前回に読んだ本と関連することなどがたまにあり、不思議な繋がりを感じるときがあります。
今回も『リアル・シンデララ』の主人公<泉(せん)ちゃん>こと<倉島泉>のお誕生日が、1950年4月29日の天皇誕生日(現・昭和の日)であり、日付の巡り合わせに驚きました。

小さな編集プロダクション「ベイエリア」に勤める女性ライターの<私>は、各国の「シンデレラ」物語に付いて調べていたところ、編集長の<矢作>から会社設立当初に会計を担当していた<泉ちゃん>の長篇ノンフィクションをまとめないかと持ちかけられ、彼女が生まれ育った長野県諏訪市に出向き、親族や知人たちを取材していきます。

一つ下の妹は病気がちですが、勉強もでき容姿も優れ、両親に溺愛されています。
<泉>は、彼女を知らない人にとっては仏頂面や無愛想な顔と見られる少女時代を過ごします。紆余曲折の末、結婚して湯治旅館<たから>の女将になるも、夫<亨>は従業員の<奈美>と関係を持ち、離縁するときも騒がず、素直に身を引いてしまいます。

読者は多くの登場人物が語る<泉>の人生をなぞることになりますが、女の倖せとは何か、人生の豊かさとは何かを自ら問わずにはおれない構成でまとめらています。

12歳の時、一人秘密基地で泣きながら「自分周りにいる自分じゃない人にいいことがあったら、自分も嬉しくなるようにしてください」という彼女の願い事が、最後の一ページに出てきますが、<泉>の人生を凝縮した言葉として涙を誘います。
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今年の読書(52)『いちばん長い夜に』乃南アサ(新潮文庫)

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今年の読書(52)『いちばん長...
刑務所務めの過去を背負いながら、谷中根津界隈で細々と暮らす30歳の<小森谷芭子>と、一回り年上の42歳の<江口綾香>を主人公に据えた、『いつか陽のあたる場所で』『すれ違う背中を』 に次ぎ、本書が3作目で完結篇に当たります。

本書には6篇の短篇が収められていますが、<芭子>は刑務所で覚えた裁縫を生かしたペットの服作りも順調に動き出し、<綾香>はパン屋の開店を目指して頑張っています。

本書では2011年3月11日に発生した「東日本大震災」の出来事が、二人の人生に大きな転機を迎えさせる構成で、「あとがき」を読みますと著者自身が当日に本書の取材中だったことが書かれていて、ほぼ実体験が生かされています。

<芭子>は<南祐三郎>という弁護士と仙台で知り合い、過去を打ち明けながら静かなお付き合いが始まり、<綾香>は生まれ故郷の被災地でボランティア活動を始めます。
つつましく仲良く過ごしていた二人ですが、それぞれが自分の考えに基づき歩み出す人生に、応援の言葉を掛けたくなる気分で読み終えました。
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今年の読書(51)『春告げ坂』(小石川診療記)安住洋子(新潮文庫)

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今年の読書(51)『春告げ坂』...
繊細で佇まいの美しい文章で人情の機微を描き出し、手触り感のある細部の描写が素直に伝わる著者の作品は、新潮文庫として 『日無坂』『いさご坂』 と読んできており、本書が3巻目になります。

物語の舞台は、享保7(1722)年12月、将軍<吉宗>の時代に設立された「小石川養生所」を舞台に繰り広げられる短篇5篇が収められています。

主人公はお家のために詰め腹を切らされ、医師<高橋宗庵>家に5歳のときに養子に出された23歳の若き医師<淳之祐>を主人公に据え、病人の身の回りを世話する者たちとの交流と、不治の病の病人たちとの関わりを通して、彼の人間的な成長と医師としての成長が平行しながら描かれています。

藩の不正をただすために自ら切腹をした父<誠太郎>の気骨さが、息子の<淳之祐>にも通じる場面が多々あり、目先の利益を考えない一途な行動に爽やかさを覚えながら、気持ちよく読み終えました。
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