今年の読書(157)『複合捜査』堂場瞬一(集英社文庫)
12月
31日
さいたま市で治安悪化に対応する夜間緊急警備班が発足。班長の「若林」警部は、部下の失態で出世街道を外れた男。仕事の虫で部下を無能扱いする彼は、若手刑事から煙たがられる存在でした。
ある夜、放火現場へ急行し、初動捜査にあたります。翌日、繁華街で発見された惨殺死体が、放火と関連があると睨んだ警備班は独自の捜査を進めていきます。
トップの「若林」警部のキャラが秀逸でした。周りからの皮肉を皮肉で返す火に油を注ぐ天才的な頭の回転の良さ、部下にも容赦が無さすぎて周りからも、別の管轄からも露骨に嫌われてるのに気付いてるのに何ともないメンタルの強さ。一生懸命やってるが空回り。
しかし、警察の意地悪さを知った上で『失敗して格好悪くて何だ?皮肉を言われようが嫌われようが市民を助けるのが警察官だろうが!』という凶悪犯を追う熱い刑事魂を、スピード感溢れる筆致で描いている作品です。