<湊かなえ>は、
『Nのために』 ・
『少女』 ・
『蝕罪』 などの作品で、ミステリー作家としてのイメージが強いのですが、本書は趣きが異なり少し戸惑いました。
丸福デパートに努める<律子>は29歳。同僚の<由美>は上司と不倫、医者の妻である姉から山登りに誘われた<希美は翻訳のしごとをしていますが親のスネをかじっています。帽子デザイナーの<柚木>っは、以前の彼の面影をひきづっいます。
まじめに、正直に、懸命に生きてきた彼女たちがそれぞれ経験する登山を通して、女性心理を丁寧に描きこんだ連作短篇小説でした。
各登山ルートの描写もこまかく、山岳小説としても楽しめました。