前書 「クランⅢ」 では、劇場「ディライト」まで、警察を牛耳る<神>を追いつめた「クラン」のメンバーでしたが、身代わりの死体だけを発見する羽目になり、また捜査は振り出しに戻ります。
闇組織の首謀者は、<上郷>の上司<洞泉>鑑識課長ではないかということで、<上郷>は、直接本人と対峙しますが、答えを得られません。
そんな折、またもや渋谷のスクランブル交差点にて、テロ集団が集合するという情報が入り、「クラン」のメンバーは、急遽渋谷に集結します。
本書は、<上郷奈津実>の情報分析力が、いかんなく発揮され、渋谷にてのテロ行為を計画していた<神>のもくろみを弱め、未成功に終わらせる結末で終わります。
以後第5巻に物語は続くようですが、まだ第5巻は発売されていませんので、中途半端な気持ちのまま、続巻を待たなければいけません。
<左から 湊かなえ 原田伸郎 さわともか >
本日の<ラジオ関西>の金曜日午後1時からの番組『原田伸郎のびのび金ようび』は、JR明石駅南側にグランドオープンした「パピオス明石」の2階にある「あかし市民ひろば」からの公開生放送でした。
ゲストは、淡路島洲本市に在住の人気作家 <湊かなえ> さんでした。非常に気さくなしゃべりかたが印象的でした。
読者を大切にしている姿勢がよくわかり、東京や大阪だけに読者がいるのではないということで、明日から愛知県豊橋市を皮切りに2年かけて全国47都道府県を回って、サイン会を行う予定とか。
また、地元『神戸新聞』にて、著者初めての新聞連載小説『ブロードキャスト』が、明後日の29日からはじまるそうです。若い世代に新聞を読んでもらいたいとのことで、高校の放送部を舞台とした小説で、気になる連載になりそうです。
警察内部に巣食った巨大な闇組織に対して、警察の正義を貫こうとする密命チーム「クラン」ですが、「クランⅠ」 では、捜査一課の<晴山>警備帆の動きを中心に、「クランⅡ」 では、渋谷を管轄する生活安全課の<岩沢>巡査部長を中心に物語は進んできています。
本書では、渋谷駅で発生した神経ガス噴射事件は、過激環境保護団体<LLF>のテロ行為ということで、公安部の<区界>とFBIの<ワイズ>捜査官が登場、テロ現場に居合わせた<晴山>並びに<岩沢>から事件の解明を試みますが、闇組織の長である「神」の手掛かりは見つかりません。
闇組織の調査に一人で立ち向かい射殺された<北森>刑事は、ジャーナリスト<六原>に資料を渡していたのが分かり、裏金の金庫番は、次期捜査一課課長とされる<上郷>の上司<洞泉>だと判明するなか、「神」の存在を<岩沢>に知らしめたヤクザの親分が射殺されてしまい、「クラン」ノメンバーは犯人<新月>元捜査一課長を追って劇場「ディライト」まで追い詰めますが、<新月>は拳銃での自殺体として発見され、事件は混とんとしたままで「クラン Ⅳ」に続きます。
昨日まで、「富士フィルムフォトサロン大阪」にて、JPS(日本写真家協会)所属の102人の会員による第37回関西メンバーズ展が開催されていました。
本書は、その102人の作品集です。
今回の作品展のテーマは、「フォトジェニック」です。フォトジェニック といえば、 写真写りが良い、写真向きであるという意味の言葉ですが、被写体は、人物をはじめ風景等、各写真家の感性で表現された作品は、どれも素晴らしく楽しめました。
大坂の次は、京都へ場所を移し展示会が引き続き行われます。
【会場】ぎゃらりー西利 京都市東山区四条通祇園町南側 京つけもの西利祇園店3・4階
【会期】2017年1月25日(水)~31日(火)11:00~19:00(最終日は16:00迄)
第一巻の『クランⅠ』で警察組織を牛耳ろうとする闇の団体の捜査に乗り出した<クラン>のメンバー、<晴山>警部補は、<北森>を殺害したのは、同じ警察官の<蓑田>とあたりをつけますが、庁舎内で、<蓑田>は、拳銃自殺してしまいます。
六本木の「マル暴」担当から、渋谷署の「生活安全課」に移転させられた<岩沢>巡査部長は、管内の案内を交番勤務の<足ヶ瀬>巡査に依頼、巡回中の公園で、元警察官僚の銃殺死体を発見、渋谷にて不穏な動きを察知した<岩沢>は、地元のヤクザに情報を求めます。
複雑な構造の渋谷駅の地下に何やら「神」と呼ばれる存在の噂を知り、<岩沢>は、渋谷駅に出向くのですが、外国人のテロリストたちに、神経ガスを浴びせられ、無事に生き延びましたが、<晴山>の部下の<土沢>が殺されてしまいます。
警察組織内、もしくは組織外に確実に「神」と呼ばれる組織が存在することがわかり、<クラン>のメンバーが動き出します。
著者には、隅田署の女刑事<一柳美結>を主人公に 『フェイスレス』 に始まり 『シュラ』 で終わるシリーズがありましたが、本書は、同じく警察を舞台とする連作シリーズです。
鑑識課の敏腕検視官<綾織美香>は、同じ警察官の婚約者<北森>の変死事件が、明らかに他殺なのに自殺と処理されたことに不満を持ち、その後の検視に対して手抜きが続いていました。
捜査に支障をきたすとのことで、<晴山旭>警部補は、上司から<綾織>の内偵を命じられます。
内偵を進めていく過程で、<晴山>は、警察組織を牛耳ろうとする警察内部に存在する巨大な組織の存在に突き当たり、<千徳>首席監察官をリーダーとする「クラン」という秘密裏に不穏な組織を探り出そうとするメンバーの一員として動き出します。
昨年は、看護される立場として初めての入院を経験しました。新聞広告で見た、<小林美希さんの 『ルポ看護の質』 を読み、現在の看護現場の、看護師・介護士の状況が把握できました。
入院中お世話になりました、介護士の <山中>さん が、「おしめ」の取り換え問題で、病院側と意見が合わず辞められたのは、素敵な人だっただけに個人的にもショックでした。
本書は、2004年刊行と、ひと昔前ですが、それだけに現在に至る「看護」のその後の流れがよく理解できました。
当時活躍されている、看護婦・助産師・医師等7人の実践活動と考え方が分かりやすくまとめられています。
「看護」は何気なく日常的に使う言葉ですが、本質的な「看護」を理解して使用されている方は少ないのではないでしょうか。
堂場瞬一の「検証捜査シリーズ」として『検証捜査』・『複合捜査』に次ぐ第3弾『共犯捜査』です。
福岡で資産家の女児誘拐事件が発生。県警捜査一課刑事「皆川」は、追い詰めた犯人らしき人物は車でそのまま埠頭に突っ込んで亡くなってしまいます。身代金もなくなっていて、失態に嘆くも、また新たな誘拐事件がおきます
被害者への手がかりを失い焦る捜査陣でしたが、共犯者の存在が浮かびます。そんな中、誘拐されていた女児の遺体が発見され?そして次なる幼児誘拐が発生しているのではないかと通報が入ります。
確認に行ったが、被害は何もないと家族が言い張りますが、「皆川」は、複雑な連続誘拐に翻弄されながらも、命を張って犯人を追い詰めていきます。若き刑事が暴く驚愕の真相とは。
今年は山岳小説として、<湊かなえ>の 『山女日記』 がありましたが、やはり<笹本稜平>がこの分野の第一人者だと言わざるを得ない骨太の内容でした。
大学山岳部に所属していたころは、一目を置かれるクライマーでありながら、日本の山岳界の体質に合わず、マッキンリーに渡り、現地ガイドとして活躍していた<津田悟>が、単独登頂で消息を絶ったと、身重の妻<祥l子>からの連絡を受けた、<吉沢>は、現地捜索隊に加わり、救出のため冬のマッキンリーに向かいます。
学生時代からパーティー組んでエベレスト登頂を成功させた<吉沢>ですが、マッッキンリーでのホテル建設計画も順調に進み、子供にも恵まれながら、なぜ無謀ともいえる単独登頂に向かったのかの疑問を投げかけながらの探索は、迫力に満ちていました。
当事者<津田>の回想を織り込みながら、「登山」の世界の奥深さを読者に丁寧に描き出す構成は、リアル感あふれ、564ページ最後まで緊張感を忘れさせません。
親の残した建物を民家風の喫茶店と陶器などの小物を展示即売する「小蔵屋」の76歳のオーナー<杉浦草>を主人公に据えた「紅雲町珈琲屋このみ」シリーズも、 『萩をぬらす雨』 を第一作目として、『名もなき花の』 に次いで本書で、四作目になりました。
当初は、身近な事件を解決する短篇集でしたので、「おばあちゃん探偵」の登場かなとみていたのですが、<草>のほのぼのとした人情味に魅かれ読み継いできています。
今回は、大事にしている備前焼の皿の箱紐が切れたことにより、真田紐を買い求めて商店街、通称「ヤナギ」に出向いたところから、物語は始まります。
「ヤナギ」は、数軒しかない小さな商店街ですが新鋭女性建築家<弓削真澄>が、改装工事の設計を進めていますが、世界的な陶芸家の作品が絡んで、<草>は隠された紅雲町の歴史と人間関係に触れ合うことになります。
タイトルもそうですが、いつもながら陶器に対する<草>の愛情がよく描かれており、ほのぼのとした思いを読者に残しながら、さりげなく<草>の日常に戻り、建築家に対する目線も鮮やかで、楽しみながら読み終えました。
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