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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(19)『ヒトイチ 画像解析』濱嘉之(講談社文庫)

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<警視庁人事一課観察係>シリーズとして、第1作目の 『ヒトイチ』 に次ぐ第2作目です。
主人公は、人事一課、通称「ヒトイチ」のエリート監察係長<榎本博史>です。

第一作目と同様に中篇3篇が収録されています。殺人事件を追うミステリーではありませんが、警視庁という大組織のキャリア官僚を中心とする階級社会・人間関係の複雑な背景が、実にリアルに楽しめます。

庁内で拳銃自殺した事件背景を追う『拳銃自殺』、電車内で痴漢容疑で捕まった黙認する警部補の事件『置換警部補の沈黙』、出産に関してマタハラを受けたとする女警察官の事件『マタハラの黒幕』、一見単純に思われたな事件の裏側には複雑な事情があることが、巧みな構成で、地道に解き明かす過程は、警視庁出身者ならではのリアリティーで迫ってきます。

続編が楽しみな<警視庁人事一課観察係>シリーズです。
#文庫本 #読書

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今年の読書(18)『院内刑事(デカ)』濱嘉之(講談社α文庫)

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今年の読書(18)『院内刑事(...
著者には、警視庁勤務の経歴を生かした著作が多く、公安部の <青山望>、諜報課の <榊冴子>、人事一課の <榎本博史> 世田谷駐在刑事 <小林健> といった個性ある主人公たちを産みだしてきていますが、本書でも<廣瀬知剛>という元公安部警部が活躍します。

福岡から東京への飛行機の中で、元内閣官房長官<新宮啓介>が脳梗塞を発症、急遽川崎殿町の病院に搬送されます。検査の結果、血圧を高めるジギタリスを呑まされたことが判明、病院のリスクマネージメント担当の<廣瀬>は、事件性を察知して、古巣の公安部に連絡、閑職に追いやられている元部下の<秋本>を調査担当者として推薦、事件の究明に乗り出します。

また勤務している病院では、ヤクザ絡みの対処、勤務医によるパワハラ・セクハラ問題の解決と忙しく立ち回りながら、川崎殿町病院理事長の<住吉幸之助>の右腕としての活躍が楽しめます。

患者の生命と病院内の平和を守る<廣瀬>の活躍が、今後もシリーズとして期待できそうな新しい主人公の誕生です。
#文庫本 #読書

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今年の読書(17)『ビッグイッシュー307号』

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今年の読書(17)『ビッグイッ...
『ビッグイシュー』 は、ホームレスの社会復帰に貢献することを目指すとする企業であり、またイギリスを発祥に世界で販売されるストリート新聞のことです。
日本では定価350円ですが、そのうち180円が販売者の収入になります。

久しぶりにタイトルの「どこにもない食堂 ―― 誰もがふさわしい場」に魅かれて読んでみました。

ただめし、シェフが日替わり、多彩な性の人々、サインで注文──そんな個性ある食堂が4店舗取り上げられています。
「未来食堂」(東京・神保町)は、カウンター12席だけの日替わり1種だけの定食屋。50分の手伝いで1食分が無料になる「ただめし」券を発行、”誰もが受け入れられ、誰もがふさわしい場所”をつくろうとしている。
「コムカフェ(comm cafe)」(大阪・箕面)は、外国人市民が日替わりでシェフとなり、多文化な家庭料理を提供。素の自分でいられて、仲間ができる居場所でもある。
「irodori」(東京・渋谷神宮前)は、LGBTの人たちが働き、多様なセクシュアリティ、年齢、国籍を超えた人々が集まる”アジアンビストロ”。
「サイン・ウイズ・ミー(Sign with Me)」(東京・文京区本郷)は、手話が公用語で、ろう者が接客し、聴者から「ありがとう」と言われる評判のスープ食堂。

どこにもない〝ユートピア〟食堂として、4つの食堂の起業と日々の経営に込められた思いが描かれています。。

#読書 #雑誌

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今年の読書(16)『ヒトイチ』濱嘉之(講談社文庫)

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著者の作品は、『完全黙秘』 で始まる<警視庁公安部 青山望>シリーズを9作目の最新刊 『国家簒奪』 まで読み進めていますが、今回新しいシリーズ物として<警視庁人事一課観察係>を手にしてみました。「人事一課」の通称をタイトルにした本書『ヒトイチ』は、シリーズ第一作目に当たります。

本書には、3篇が収められています。主人公は、人事一課観察係長<榎本博史>です。警視庁という大組織の中で囁かれる噂や、匿名の内部告発に基づいて、仲間の警察官の不祥事をあばいていきます。

「職務上警察官は権力を持っています。権力を盛った者には誘惑も多い。誘惑に弱い者は、不正になびいてしまうのだろう」という<兼光>課長の言葉が、どの査察対象者にも当てはまります。

殺人事件を解決するミステリーではありませんが、警察組織の裏側が垣間見れるシリーズとして楽しめそうです。
#文庫本 #読書

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今年の読書(15)『警視の因縁』デボラ・クロンビー(講談社文庫)

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今年の読書(15)『警視の因縁...
<警視キンケイド>シリーズも、前作 『警視の偽装』 に次いで、本書で第13作目になります。

3歳の娘<シャーロット>を花屋の主人に預けたまま、テキスタイル・アーティストの<サンドラ>が失踪して3ヶ月、こんどは、その夫<ナツ>がベビーシッタに<シャーロット>をあずけたまま姿を消してしまいます。<ナツ>の知人であり、<ジェマ>の友人でもある<ヘイゼル>から相談を受けた<ジェマ>は、私的に調べ出しますが、<ナツ>の死体が公園で発見され、<キンケイド>も捜査に乗り出してきます。

作品を重ねるごとに社会派ミステリーの色彩が濃くなっていくようで、前作『警視の偽装』では、第二次世界大戦下のドイツのユダヤ人迫害が事件の背景に隠されていましたが、本書では、イギリスの移民問題やバングラデッシュなどの女性の処遇問題を絡めています。

最後に<ヘイゼル>の段取りで、<キンケイド>と<ジェマ>は、仲間に見守られて結婚式を挙げますが、残された3歳の遺児<シャーロット>のその後が気になる終わり方でした。
#文庫本 #読書

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今年の読書(14)『警視の偽装』デボラ・クロンビー(講談社文庫)

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新聞広告で、<警視キンケイド>シリーズの第14作になる最新刊『警視の挑戦』が目に留まり、 第11作目の 『警視の覚悟』 以後、本書と『警視の因縁』も読んでおらず、3冊まとめて購入してきました。しばらくは、キンケイド警視の世界に浸れます。

<キンケイド>の恋人<ジェマ>警部補の友人<エリカ>は、戦争中ドイツから逃れてきたユダヤ人ですが、彫刻師の父が持たせてくれたダイヤのネックレスがオークションにかけられているのを知ります。ネッックレスは、逃避中に奪われたモノでした。

<エリカ>は<ジェマ>に調査を私的に依頼するのですが、聞き込みに応対したオークション会社の女性従業員がひき逃げ事故で死亡、また<エリカ>の夫<ディビッド>が、移民まもなく刺殺されている事件を<ジェマ>は見つけ出します。

第二次世界大戦の歴史を引きずる事件を、<ジェマ>は母親が白血病で入院するというアクシデントを抱えながら、<キンケイド>と事件の真相を突きとめていきます。
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今年の読書(13)『珈琲店タレーランの事件簿5』岡崎琢磨(宝島社文庫)

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京都の路地奥にある「珈琲店タレーラン」の女性バリスタ<切間美里>が解き明かす日常の謎を中心とするミステリーも 『事件簿4』 に次ぎ5作目になりました。

本書では、理想のコーヒーを求めて「珈琲店タレーラン」に辿り着き、常連客となった<アオヤマ>の中学生時代の8歳年上の初恋の女性<眞子>との逸話で始まり、標題の「タレーラン」の意味や理想のコーヒーを求める<アオヤマ>の背景が読者に提示されます。

11年ぶりに再会した8歳年上の<眞子>の過去を中心として、京都らしく『源氏物語』の登場人物を横糸に組み込みながら、<切間美里>の推理が冴える、ラブミステリーが楽しめました。
#文庫本 #読書

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今年の読書(12)『特捜本部』堂場瞬一(中公文庫)

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所轄の千代田署勤務の刑事<一之瀬拓真>も、前作 『誘爆』 で、巡査部長試験に合格、第4巻目の本書から研修を終えて本庁の捜査一課に配属されています。

公園のごみ箱から、切断された女性の腕が発見され、その指に<一之瀬>が卒業した大学のカレッジリングがはめられていたので、母校の聞き込みに向かいます。

捜査一課として殺人事件は3件ほどこなしてきている<一之瀬>ですが、「とくそうほんぶい」が立ち上げられての捜査は、初めての経験です。
被害女性の身元もわかり仕事は、IT関連のライターで、、所属していたサークルの「IT研究会」の人脈をしらべだしますが、あらたな切断死体が発見され、連続殺人事件かとざわめく特捜本部です。

前作まで<一之瀬>の教育係だった<藤島>や堂場ファンならにやりとする <失踪課> シリーズの <高城賢吾>や <アナザーフェイス>シリーズの<大友鉄>などが同じ警視庁仲間として登場、ファンサービスも十分の構成でした。
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今年の読書(11)『虎の尾を踏む新』佐伯泰英(新潮文庫)

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前作 『死の舞い』 に次ぎ<新・古着屋総兵衛>シリーズも、本書で13巻目になりました。

怪しげな偉人たちに襲われた<総兵衛>でしたが、影様こと<九条文女>が江戸城より下城がなく、どうやらてきがたにらちされたようで杳として行方がわかりません。
焦る<総兵衛>は、おわい船の作業に紛れ込み江戸城に侵入、手がかりをもとめます。

やがて、異国のガリオエ船の「死の舞い」のメンバーと老中「中牧野忠清>との陰謀だとはんめい、無事に<九条文女>を取り戻し、<中牧野>の家臣を人質にしとめます。

偉人のガリオンふねが、詐欺沢一族の不仲櫛を狙っているとの知らせで、<総兵衛>は、イマサカ号でもって、敵船と全面対決、敵将の銃でけがをするも、相手を駿河湾に沈めて勝利します。

また「古着市」が近づき、異国との交易に出なければいけない忙しい時期を迎える<総兵衛>は、新しい造船に希望をたくし、次巻に続きます。
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今年の読書(10)『誘爆』堂場瞬一(中公文庫)

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今年の読書(10)『誘爆』堂場...
千代田署に配属された新人刑事<一之瀬拓真>は、『ルーキー』 で登場した時は25歳でした。通り魔事件 『見えざる貌』 などの事件を経て、本書では、巡査部長試験に合格した27歳になっています。

管内にある商社<極東物流>のビルに爆破予告の電話があり、予告通り時限爆弾が爆発しますが、けが人はでませんでした。<一之瀬>は、総務課社員の不審な態度から恐喝事件と睨んで自ら進んで事情徴収しますが、不首尾に終わります。

そんなおり、現金1千万を抱えた刺殺死体が発見され、<一之瀬>は殺人事件の捜査にまわされます。被害者は、過去に振り込め詐欺の前科があり、身辺調査を進めていくと大麻販売グループとの交友関係が浮かび、その仲間が、<極東物流>の海外でのスキャンダルをネタに、恐喝を行っていたことが判明、ふたつの事件が結びついていきます。

巡査部長試験に合格したことにより、刑事としての功名心に走る<一之瀬>ですが、研修を終えて、次作では、所轄から本部へ移動した捜査一課での活躍が楽しめそうです。教育係だった<藤島>刑事も移動となるようで、また恋人<深雪>との進展も次作への楽しみです。
#文庫本 #読書

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