大好きな<フロスト>警部シリーズも第6作目の最終巻 『フロスト始末(上・下)』 が発行されていますので、今回は長年気にしていました第5作 『冬のフロスト』 です。
寒風が吹き荒れる1月、<フロスト>は、夜勤の間に経費の水増し作業を作り終えて、録画したサッカーの試合を楽しみにしていましたが、思い通りに事は運ぶことなく、幼い少女の行方不明事件に始まり、枕カバーに盗品を詰め込んで逃げる「枕カバー強盗」、売春婦の連続殺人事件、大騒ぎするフリーガンの一団事件とせわしく対応しなければならない状態で署内はてんてこ舞いです。
マレット署長が、点数稼ぎのため所員を他の署に貸し出しているため、<フロスト>一人に捜査が押し付けられてしまいます。残っている部下は<タッフィー兄ちゃん(芋兄ちゃん)>こと<モーガン>で、<フロスト>の足をひっぱる厄介者です。
厄介な事件の数々の詳細が(上)では語られ。どう解決するのか<フロスト>警部はと気になりながら読み終えた503ページです。
著者は、兵庫県生まれで神戸市須磨区在住、本書がデビュー作になります。
主人公の<キョウコ>は、母親を病気で亡くし、小学2年生になった夏、自衛隊に勤務する父が再婚します。再婚相手の<スミレ>さんは<キョウコ>の1歳年上の男の子を伴っていました。それが<キョウスケ>との出会いになります。
母を亡くして以来独りの時間が多かった<キョウコ>にとって、家族4人で過ごす時間は、日々の些細(ささい)なことでも美しく、かけがえのないものでした。しかし幸せな時間は長くは続きません。ある朝突然<スミレ>さんは借金問題のトラブルでいなくなり、そして独り残された<キョウスケ>も、<キョウコ>の前から姿を消します。
<キョウスケ>との再会は十数年後。父の元を離れ、従業員五名の「芝山商事」に勤め、職場近くのマンションで一人暮らしを始めた<キョウコ>のもとに、無頼な生活を送る「あかんたれ」となった義兄が突然現れます。
阪神・淡路大震災の傷跡残るオフィス街や歓楽街に接する下町を背景に、懸命に生きる兄妹や住民たちの姿が丁寧に描かれています。
警察組織を牛耳る裏組織の<神>と呼ばれる存在にあと一歩まで迫った場面で終わった 『クラン Ⅳ』 から。待ちに待った続編が7月25日に刊行されています。
裏組織根絶の為立ち上がったメンバー<クラン>ですが、渋谷スクランブル交差点で予定されていた<神>のテロを未然に終らせたことで、<クラン>の存在が相手方に分かり、<神>の組織は、<クラン>の主要メンバー<千徳>や<洞泉>たちの抹殺をはじめます。
あろうことか<神>組織は、都内でテロ行為を繰り出し、我々は<クラン>だと名乗り、メンバーの名前をテレビ放送を通じて明かし、指名手配とさせ、自由に行動できなくさせてしまいます。
身動きが取れなくなった<クラン>メンバーですが、あらかじめ手配されていた<千徳>の機転で首相との面談ができ、総理自ら警察の指揮を執る行動を起こし、<クラン>の指名手配を取り下げる約束を得た場面で第5巻は終了。次巻に引き継がれていきます。
関ヶ原の戦いから100年。太平の世の東北の寒村の山村に隣り合う二藩があり、片方の村に怪物は突然現れ、村人を殺し村を焼き尽くした。
<朱音(あかね)>の住む村に、怪物に襲われて傷だらけになった少年<蓑吉>が逃げてきます。迫りくる怪物の恐怖。<朱音>は、浪人<榊田宗栄>、絵師<菊地圓秀>とともに、村を守るため、知恵と勇気をふりしぼって怪物との戦いに挑んでいきます。
一方、朱音の兄で藩の重臣<曽谷弾正>は、怪物を自ら操ろうと企む。怪物との戦いの蔭で繰り広げられる愛憎劇。やがて明らかになる怪物誕生の意外な真相。そこに浮かび上がるのは、罪深い人間の業だった。朱音たちと怪物との戦いの行方は?
怪物はなぜ現れたのか?どうすれば倒すことができるのか?怪物と人間たちの死闘を描いたエンターテインメント時代劇です。
理不尽な藩の圧政にもめげず、自然の中で暮らしている農民たちの力強さを感じさせてくれる一冊でした。
小学校一年生の時、<結衣子>は二歳年上の姉<万祐子>と神社の境内で秘密基地づくりをしていましたが、先に姉は家に帰ったのですが、自分が帰宅した時には、姉は帰宅していませんでした。必死に捜索するも少し離れたスーパーで<万祐子>の麦わら帽子が届けられていただけです。変質者が疑われるなか、母親はスーパーのはり込みを続けますが、手掛かりは得られません。
二年後失踪した神社で、突然<万祐子>が戻り、自分との記憶に矛盾はありませんが<結衣子>は、姉とは違う違和感を抱き続けていました。
だいがくせいになり、実家を離れ神戸で一人暮らしをはじめましたが、母親が入院したということで、実家に戻ってきますが、休憩中の駅の喫茶店から、姉とその友人らしき女性を目撃、抱き続けていた疑問の答えを見つけ出していきます。
1970~80年代の神戸のライフスタイルをまとめた雑誌「タイムトリップ神戸70-80s」(1058円)が、京阪神エルマガジン社(大阪市)から発売されています。
旧居留地や北野、元町などファッションの最先端だった地域を、当時流行した洋服やディスコ、バーなどの写真とともに特集。ページをめくれば、バブル時代のパワフルな神戸の姿が甦ります。
巻頭は、70年代後半から流行した、海外ブランドなどを取り入れた神戸発のファッション「ニュートラ」スタイルや、当時若い女性たちから爆発的な人気を集めたブティック「アルフィー」の特集。皆が欲しがったショップバッグなどのアイテムが紙面を埋めています。
ディスコ全盛期を振り返るページも。バブルならではという夜遊びの思い出を、当時の経験者たちが行きつけの店や定番の音楽とともに語り尽くしています。
また、現在まで店を続ける経営者らが「神戸らしさ」を語るコーナーや、今後の神戸ファッションの中心とする店の紹介もあり、当時を知っている人も知らない人も楽しめる内容になっています。
前回読んだ著者の 『ケモノの城』 があまりにもグロテクスで衝撃的な内容だっただけに、WOWOWで8月12日(土)より連続ドラマ化されるという本書で、口直しができるかなと読んでみました。
雑多な住人が共同生活をする「シェアーハウス」を舞台としています。色々な性格の登場人物たちを描けるということで、『新子岩 パラダイス』<又井健太> や 『荻窪 シェアーハウス』<小路幸也> などの作品がありました。
本書は、覚せい剤使用で執行猶予中の30歳<吉村貴生>とフリーライターの<僕>の二人の視線で物語が進んでいきます。
執行猶予中ということで無職の<貴生>は、火事で住む所がなくなり、保護司の世話で、<朝田潤子>が経営する『プラージュ』というシェアーハウスに住むことになります。住人達は、何某かの犯罪の過去を持っていますが、物語の進行に伴い各人の過去が露わにされていき、<僕>の意外な過去の結末に、読者は驚かされ、読後の余韻に浸されることになります。
時間にはルーズ、書類の片づけはできない、口は悪くゲヒンナコウドウトツマラナイジョークと荒唐無稽な性格の主人公<フロスト警部>を主人公とするシリーズも今回の『フロスト始末(上)(下)』で最終巻となります。
著者<R.D.ウィングフィールド(1928年6月6日~2007年7月31日)が既に亡くなっていますので、前作 『冬のフロスト(上・下)』 が発行されたときは、定価の高さ(1冊1404円)に躊躇してしまい、また、今後の作品も今回の本書が最終巻とわかっていましたので、のんびりと見逃してしまいました。
いよいよ最終巻ともなれば読み切らなくてはなりませんが、本書も1冊(1404円)ですので、未読の『フロスト気質(上・下)』と合わせますと4冊で(5616円)となり、チト値が張ってしまいます。
余裕ができるまでと諦めなければいけないようで、文庫本の高騰化は、読書意欲を低くしてしまいます。
最近は、著者の作品としては警視庁を舞台とする <隠蔽捜査>シリーズ を読み続けていますが、本書の舞台は函館にある有名男子進学高です。1971年、「僕」は寮に入り、新しい友人たちとの高校生活を始めます。
著者<今野>自身が1971年函館にある「ラサール高校」に入学していますので、半自伝的な青春へのノスタルジーを感じ取ることができます。
憧れの都会の高校生活に沸き立つ「僕」だったが、「入魂会」と呼ばれる、上級生の新入生つるし上げに面食らう。数日後、入魂会のリーダー格である2年生が屋上から転落死する。事故か自殺かわからない状況が続く中、寮には「毎年、入魂会を企画した寮生の誰かが死ぬ」という伝説がありました。彼はなぜ死んだのか-。事件と噂の伝説の謎を追って、「僕」を含めた同部屋4人の1年生探偵団が活躍します。
歯切れの良い警察捜査モノとは違い、モラトリアムの環境での探偵ごっこですが、青春学園ミステリーとして、楽しめました。
東京墨田区、荒川と隅田川に挟まれたY町の水路には、江戸時代に象が船で運ばれたという話しが伝わっています。その水路がある下町に73歳の元銀行員の<政>こと<有田国政>と、同い年の幼馴染であるつまみ簪職人の<源>こと<堀源二郎>、その弟子20歳の<吉岡徹平>と年上の彼女<マミ>たちを主な登場人物として連作短篇が六話が収められています。
性格が真反対の<政>と<源>ですが、ともに戦争を潜り抜けた無二の親友として仲良く付き合ってきています。
<政>の妻<清子>は、仕事一筋の夫に愛想を尽かせて、娘の家に出向いたきり家出状態です。そんなおり、<徹平>と<マミ>の結婚話が持ち上がり、師匠の<源>の奥さんは早くに亡くなっていますので、<政>に仲人の依頼がかかります。あわてる<政>です。
江戸っ子気質の<政>と<源>の二人が、下町で繰り広げる幼馴染と夫婦関係の妙が楽しめた人情譚の一冊でした。
- ブログルメンバーの方は下記のページからログインをお願いいたします。
ログイン
- まだブログルのメンバーでない方は下記のページから登録をお願いいたします。
新規ユーザー登録へ