著者のお二人は、20代半ばの頃に同じ雑誌部編集部の同僚だったようです。
本書は、1998年7月から2001年1月まで雑誌『フィガロ・ジャポン』で連載されていたエッセイを本にまとめたものです。同じテーマで、「私はこう思うの、あなたはどう思う?」「そうね、私は・・・」というお手紙のやりとりのような構成になっていて、女性同士の会話のスピード感そのままの文章で、ハイレベルな「女の井戸端会議」という印象が残りました。
特に色に関する項目「赤の口紅」・「グレー」・「白い服」・「色もどり」などは、男と違った視点が感じられ、面白く読めました。
常にョ性の美と生き方に前向きな姿勢に、お二人のエネルギッシュさがあふれている一冊でしたが、男性としては少し肩がこる内容でした。、
主人公は郵便配達員として働く30歳の<僕>で、猫と<キャベツ>と暮らしています。
そんな<僕>が、脳腫瘍で余命わずかと宣告されます。絶望的な気分で家に帰ってくると、自分と同じ姿をした男が待っていました。その男は「悪魔」だろいい、「この世から、何かを消す。その代わりに寿命が一日伸びる」という取引を持ちかけられます。
<僕>は、「何かを得るためには、何かを失わなくてはならな」ということで、悪魔との取引に応じてしまいます。
まずは電話・映画・時計と消していきますが、その過程で、<僕>は大切なことに気が付くのです。
「そばめし」 発祥の地として神戸新長田地区界隈を舞台としているだけに、神戸っ子としてはすごく楽しめました。
長田のお好み焼きに欠かせないソースを造り続けている間口ソースが、高利貸しから借りた借金のためにつぶれるということを知った人情暑い三代目川本組の親分<川本甚三郎>は、伝統ある間口ソースを絶やさないためにも会社再建のために一肌脱ぎ、神戸で開催されるB級グランプリに出場するお好み焼き「駒」のために子分共々奔走します。
登場してくる地名や企業名が神戸に密着しているので思わず「ニヤリ」としてしまいます、
「そばめし」の元祖はお好み焼き「青葉」ですが、B級グランプリの会場として登場してくるのが、「青葉小学校」、「伍福」は 珍味処「伍魚福」 のもじり、「オリーブソース」は 「オリバーソース」 かなと思わせます。
また実際に建設される兵庫県と神戸市との 「新長田合同庁舎」 なども登場、粉もん文化の下町の熱い思いが詰まったグルメ人情物語が面白く楽しめました。
2012年に刊行され200万部を超えるベストセラーになった本書ですので、すでに読まれた方も多いと思います。
著者の<渡辺和子>(1927年2月11日~2016年12月30日)さんは、キリスト教カトリック修道女 (修道女名:シスター・セント・ジョン)であり、1963年、36歳にて 岡山県ノートルダム清心女子大学の学長に就任。1990年、学校法人ノートルダム清心学園の理事長に就任という経歴の持ち主です。
本書で初めて知りましたが、陸軍教育総監だった父<渡辺錠太郎>は、昭和11(1936)年2月26日、自宅で青年将校らの銃弾を浴びて射殺されましたが、彼女は座卓の陰に隠れその現場を目撃、難を逃れたという2・26事件の悲惨な経験者という事実に驚愕するとともに、本書にて述べられている言葉の一つ一つが心に重く響く一冊でした。
<堂場瞬一>ファンなら架空の県庁所在地としての汐灘市を舞台にした<汐灘サーガ>シリーズはよくご存じだと思います。
本書は 『長き雨の烙印』 に次ぐ第2作目に当たりますが、単独に読んでも差しさわりはありません。
引退を決意していた汐灘出身の大物代議士<剱持隆太郎>は、後継者指名問題で頭を悩ませていました。一人息子の<一郎>を後継指名と考え、そのための教育を施してきたと言っても過言ではありませんでしたが、秘書の<椎名>から<一郎>のことである相談を受け、正義感と倫理観の狭間で揺れ動きながらも、<一郎>のため、ひいては汐灘の将来の活性化のためにと、ある工作をしてしまいます。
翌日、汐灘の海岸で、顎を散弾銃で撃ち抜かれた女性の遺体が発見されます。顔が半分崩れていたため身元は不明ですが、状況からも、そして鑑識の調べでも自殺と判断されてしまいます。だが、遺体が妊娠していたこと、女性が猟銃で自殺した前例があまりないことなどから、県警本部の刑事<石神謙>は自殺とは断定できずに所轄のけいじの協力を得て、独自に捜査を始めます。しかし有力な情報も得られないまま、上からの命令で捜査は中断に追い込まれてしまいます。密かに捜査を続ける<石神>の元に、遺体の身元を知らせる密告電話が入り、女性が地元の大手ゼネコン・汐灘建設の東京支社に勤めていたことが判明します。汐灘建設、それは現在、<剱持一郎>が社長を務める会社でした。
<剱持>の後継問題にも壁が立ちはだかります。現職の県知事が<剱持>に立候補を宣言、そしてまた別の代議士が県議を候補に立てようと画策していることが判明します。
読者はこのあたりで<一郎>が犯人ではないかとの予測ができるのですが、代議士の政治問題と、<石神>の出生問題も絡み合い、剣持親機だけではない父と息子の関係が複雑に絡み合う収束は見事でした。
「傭兵代理店」シリーズは、『傭兵代理店』で始まり『傭兵の岐路』で終わる全11巻が、シリーズの第一弾です。
本書は第2段目の幕開けの1巻目に当たります。前シリーズでは、日本において非公式に特殊任務をこなし政府にも徴用されていましたが、国際犯罪組織の陰謀で日本における「傭兵代理店」はつぶされてしまいました。
そんな折、アルジェリアで起こったテロ襲撃の調査に出向いた各国のメンバーが拉致される事件が起こります。
日本から出向いたメンバーを救出すべき<藤堂浩志>は昔のメンバーを揃え、拉致された日本人を奪還すべく熱い砂漠での戦いが始まります。
副題に「みをつくし料理長特別巻」とありますように、第1巻の 『八朔の雪』(2009年5月)にはじまり、10巻目の 『天の梯』(2014年8月)で完結した物語のその後が楽しめ構成になっています。
「つる屋」の店主<種一>のあわただしさから、大坂に戻った<澪>を訪ねようとする、珍道中や、<澪>の幼馴染の<あさひ太夫>の郭での生活の裏話、<澪>と添い遂げられなかった<小野寺数馬>夫婦の現況など、「みをつくし料理長」ファンにとっては、おなじみの登場人物たちが、登場しますので、過去の場面を懐かしく思い出しながら読み進めます。
最後の章では、<澪>の実家があった四ツ橋近くにて、料理屋を再開することになり、めでたし目立たしの中で、読み終えることができました。
好きな作家の<今野敏>であり、酒に関連するタイトルが使われていますので、思わず手に取りましたのが本書です。新刊本ではなく1989年に同社からすでに刊行されています。
主人公の<私>は、表向きは相山流の茶道の師匠なのですが、裏の顔として祖父が編み出した中国拳法の極意を継いでいる武道の達人でもあります。
タイトルにお酒の名称が入る連作短編の8話が納められています。
物語の舞台は、富士見ヶ丘商店街のはずれにあるバーで、マスターの<シノ>は、元その筋の人物。そこに集う<私>と、幼馴染で美人の<三木菫子>、神の兵士を辞任するアイルランド出身の神父<ベンソン>のもとに、なにがしらのトラブルがふりかかってきますが、そのたびに<私>の裏の顔をやむなく出さざるを得なくなるという構成です。
その解決方法と結町は、煮たりと楽しめる爽快さでした。
関東大震災で職を失った17歳の<石嶺こより>は、仕事を求めてカンダ神保町の裏通りにあ小さなる古書店「ねんねこ書房」を訪れます。
店主の<根来佐久路>は、本業の傍ら「よろず相談」を引き受けており、たまたま面接時の時に相談者と巡り会わせた<こより>は、<佐久路>から、謎解きを掛けられ、正解すれば店員とする約束を取り付けます。<佐久路>からはヒントとして、<芥川龍之介>の『羅生門』を渡され、<こより>は見事に解き証し無事に店員となります。
本書には、5編の短編が納められ、「よろず相談」の謎解きが文豪の名著を中心に読み解かれ、「世界の答えは、すべて書物の中にかかれている」と<佐久路>に語らせています。
「よろず相談」の報酬は古書店の本を買ってもらうこととし、合わせて震災で行方不明になった<佐久路>の妹<さくら>の情報協力を求めるのですが、本書ではみつかりません。
連作短編として、続巻が発行されそうな筋立てですので、名著の再確認もでき、楽しみなシリーズになりそうです。
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