『風の中のマリア』百田尚樹(講談社文庫)
2月
25日
物語の世界は、学名で<ヴェスパ・マンダリニア>と呼ばれる「オオスズメバチ」たちの世界を描いています。
「オオスズメバチ」の戦士<マリア>は、「疾風のマリア」と呼ばれるほど素早い行動で餌を捕獲してきますが、働き蜂としての寿命はわずか30日しかありません。
その誕生から、命尽きる日までの彼女の一生を、『シートン動物記』のように昆虫学的なしっかりとした裏付けを持って、自然界での波瀾万丈が描かれています。
なかなか凶暴な性格の「オオスズメバチ」ですが、本書は彼女たちの生態を知る上でも貴重な昆虫学の本としても、楽しめる一冊でした。