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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(20)『その女アレックス』ピエール・ルメートル(文春文庫)

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今年の読書(20)『その女アレ...
本書は三部構成ですが、一章を読むごとに物語はどんでん返しを繰り返し、終わりはにんまりとしてしまいました。

30歳の看護師<アレックス>は、ある夜見知らぬ男に拉致され、使われなくなった廃屋のなかで木組みの檻に詰め込まれ、裸のまま麻のロープで釣り上げられて閉じ込められてしまいます。
読者はこの哀れな女性に対して、今後どうなるのかと気をもむのですが、傷つきながらも無事に逃げ出し、第二部では<アレックス>は、硫酸を用いた連続殺人犯として身元の分からいまま警察を翻弄していきます。

刑事役の<カミーユ>は、身重の妻を誘拐犯に殺された過去がありながら、地道な捜査で<アレックス>の足取りを追いかけていきます。

第三部で<アレックス>の過去が明るみに出てきますが、<カミーユ>と<アレックス>の交互の視点から物語は描かれており、<カミーユ>の周りの脇役の刑事たちの性格描写も素晴らしく、最後まで一気に読ませるミステリーでした。
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今年の読書(19)『還らざる道』内田康夫(文春文庫)

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今年の読書(19)『還らざる道...
インテリア会社の会長<瀬戸一弘>が、家族に行先も告げずに旅行に出かけ、奥矢作湖で他殺体として発見されるところから物語は始まります。

孫の<雨宮正惠>は、葬儀のあとから祖父<一弘>の遺品が宅急便で届き、意味ありげな文面が気になり、祖父の死の真相を探るべく足取りを確認していきます。

そんな折、<正惠>は明智光秀の取材に訪れていたルポライター<浅見光彦>と知り合い、祖父の事件に興味を持った<浅見>は、事件の解明に乗り出していきます。

いつもながら<浅見>のするどい洞察力と情報の分析力で、50年に及ぶ古い事件とのつながりが炙り出され、悲しい結末で終局を迎えますが、林業を舞台としたよからぬつながりに、幕を下ろす<浅見>でした。
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今年の読書(18)『誰でもよかった』五十嵐貴久(幻冬舎文庫)

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今年の読書(18)『誰でもよか...
真昼間の12時前、書き込み掲示板 ” ちゃんねるQ ”に、「今、渋谷。これから人を殺します」と書き込んだあと、軽トラックでスクランブル交差点に突っ込み、11人を無差別に殺した犯人は、センター街の喫茶店に逃げ込みます。

喫茶店には店員と客を合わせて10人が人質となり、警視庁の交渉人として<渡瀬博之>警部補が担当、犯人との息詰まる攻防が始まります。

犯行に使われていた軽トラックから、犯人は29歳のコンビニバイト<高橋浩二>と判明、「ワイドショを賑わしたい」・「有名になりたい」との台詞が飛び交いますが、本当の彼の目的が<渡瀬>には突き止められません。

縦社会の警察組織として上司の命令には逆らえませんが、なぜか理不尽な課長の命令を前線にいる<渡瀬>や地元渋谷署の<斉藤誠>警部補は訝りながらも、<高橋>に対して必死の交渉を続けますが、籠城事件は思わぬ結末を迎えます。

刻々と時間が経過してゆくなかでの攻防戦は迫力があり、結末が気になり最後まで一気に読んでしまいました。
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今年の読書(17)『バチカン奇跡調査官 月を呑む氷狼』藤木稟(角川ホラー文庫)

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今年の読書(17)『バチカン奇...
バチカン市国の神父であり奇跡調査官の天才科学者<平賀・ヨゼフ・庚>と、彼の良き相棒であり友人の<ロベルト・ニコラス>神父が、世界中の<奇跡>を調査し、その裏に隠された事件を解決してゆく事件簿が<バチカン奇跡調査官>シリーズで、本書で第9巻目になります。

今回は、ノルウェイの伝説として、ラグナロワ(終末)のときに現れる双子の狼<ハティ>と<スコル>の物語を基盤とし、キリストにまつわる聖杯伝説を絡めています。

以前の事件で犯人<ハリソン・オンサーガ>を取り逃がしたFBIの<ビル・サスキン>は閑職に追いやられ、部下の通称<ミッシェル=周弥貝(ジョウ・ミーペイ)>と一緒にノルウェイのオーモットという町に出向きますが、そこで氷漬けで死亡した密室殺人事件と遭遇、<ビル>は旧友である<平賀>と<ロベルト>に調査の応援を頼みます。

<平賀>の名推理で事件の概要は解明しますが、いまだ天才プログラマーのサイバーテロ<ローレン・ディルーカ>、殺人犯である<ハリソン・オンサーガ>の行方は分からぬまま、続巻に持ち越しです。
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今年の読書(15)『外事警察 CODE:ジャスミン』麻生幾(幻冬舎文庫)

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今年の読書(15)『外事警察 ...
国内で活躍する警察モノは多数ありますが、外国の大使館などと関連して諜報機関として動いている外事警察モノは、数少ない感じです。

外事警察の極秘書類がネット上に流失事件が起こり、警察上層部は公安部に移動した<松沢陽菜>に調査をさせますが、犯人はもと上司の<住本健司>だと判明、<松沢>は彼が手ごまとして使用していた日系パキスタン人の姉妹<カリン>と<ジャスミン>に目をつけ、<住本>を探し出します。

片や北朝鮮が、アフガニスタンのテロ組織『ハッカーニ・ネットワーク』に対して、秘密裏に「UF6(六フッ化ウラン)」を売り渡そうとするバイヤーに、<ジャスミン>の夫が関与していることを察知した韓国の諜報部や「FBI]が、この取引阻止のために関与してきます。

目に見えぬ諜報活動を背景に、現実の事件を絡ませながら、身内をも欺きながらのしのぎ合いが楽しめた一冊でした。
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今年の読書(14)『SE神谷翔のサイバー事件簿』七瀬晶(幻冬舎文庫)

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今年の読書(14)『SE神谷翔...
コンピュータプログラムを作成する<エールシステム社>に勤める、26歳のSE(システムエンジニア)<神谷翔>を主人公に据え、コンピューターにまつわる事件や、SNS関連の事件を解決していく話が、三話納められています。

<神谷>自身は、10年前にハッカーとして活躍、一度警察に検挙されたことがありますが、その知識をいかすべく、警視庁のサイバー犯罪対策課の<添島吹雪>警部補の犯罪捜査に協力しています。

会社では上司の<夏木理沙>から、遅刻やボンミスのお目こぼしを受ける立場ですが、コンピューターに関する知識でもって不手際をカバーしています。

10年前に警察に捕まる原因が、高校の先輩<黒川龍>とその妹<美咲>と関連している伏線がありましたが、最後まで読者に解き明かされていませんので、今後、続編として期待したいところです。
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今年の読書(13)『製造迷夢』若竹七海(徳間文庫)

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今年の読書(13)『製造迷夢』...
主人公は、渋谷猿楽町署の29歳の刑事<一条風太>で、3年前の火事場で幼児を助けた際に左ほほに大きな火傷の傷跡が残り、女性と縁のない生活を送っています。

ある日妹の友人が警察署に<一条>を訪ねてきた縁で、モノに残っている残留思念を読み解く超能力者<井伏美潮>と知り合い、彼女の協力で無事に事件を解決、その後の関わり合いを含めて五話が連作ミステリーとして納められています。

<一条>の上司<西村>は、<一条>の神がかり的な事件解明の捜査に目を置くと共に、<井伏>との関係を前向きに応援しながら、上層部に対しては一家言ある刑事として、名脇役として登場しています。

「現行犯逮捕手続書」が各短篇の冒頭に配置され、事件の概要が読者に示されていますが、どの事件もミステリー作家らしい構成で、面白く読み終えれました。
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今年の読書(5)『先生のお庭番』朝井まかて(徳間文庫)

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今年の読書(5)『先生のお庭番...
タイトルにある「先生」は、長崎出島のオランダ商館付の医師として来日した<シーボルト>のことですが、本書は彼を中心とした歴史小説です。

薬草園(植物園)を作るために依頼を受けた植木商『京屋』ですが、職人たちは紅毛碧眼の異国の雰囲気に怖気づき、園丁として出向いた15歳の<熊吉>が、愛妾<お滝>や使用人<おるそん>などとの生活を通して、「シーボルト事件」で日本を追放される(1829年:文政12年)までの4年間の交流を描いています。

母国に多くの日本の民芸品や動物などを阿蘭陀船で届けている<シーボルト>です。
特に植物2000種、植物標本12000種を送り出していますが、園丁<熊吉>の影の努力が丁寧に描かれ、当時の苦労を偲ばせてくれます。

愛妾の<お滝>を<シボルト>は<オタクサ>と呼んでいますが、新種の「アジサイ」の学名には、[Hydorange otaksa]と命名しています。思いつくだけでも、「ミセバヤ」「ギボウシ」「サクラソウ」 など、学名に<シーボルト>の名を冠した植物は多々あります。

年老いた<熊吉>のもとへ、<お滝>の娘<以弥(いね)>が訪ねて来て、<シーボルト>を回想しながら終わる場面は、「お庭番」としての<熊吉>の矜持がよく出ていて、ほんのりとした気分で読み終えれました。
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今年の読書(3)『ビブリア古書堂の事件手帳<4>』三上延

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今年の読書(3)『ビブリア古書...
北鎌倉駅からほど近い簡素な場所にある<ビブリア古書堂>を舞台に、美人で古書に関して博識な知識を持つ25歳の店主<栞子>を主人公とする<ビブリア古書堂の事件手帳>シリーズも、第1巻第2巻第3巻 と続き、本書で第4巻目になります。

今回は、日本の推理小説家の大御所<江戸川乱歩>の蔵書にまつわる長編小説で、いたるところに<乱歩>の小説に関するトリビアな知識が楽しめました。

<乱歩>の長年のファンであり初版本の収集家が亡くなり、その人物が残した金庫が鍵もなく暗号もわからない状況で開けられなく、金庫を開けることが出来れば蔵書を売ることを条件に<栞子>とアルバイト店員<五浦大輔>は、謎解きに奔走します。

<栞子>と妹<文香>を捨てて10年前に姿を消した母親<篠川智恵子>が登場、また「ヒトリ書房」の<井上太一郎>が母<智恵子>を嫌う理由も判明するなか、<大輔>は念願の<栞子>との初デートの夢がかないます。

短篇小説では難しいミステリーとしての伏線も多く散りばめられ、また母親<智恵子>は、ある本を探し出すために家を出たことがわかり、これからの続巻も楽しみなシリーズです。
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今年の読書(2)『翼』白石一文(鉄筆文庫)

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今年の読書(2)『翼』白石一文...
主人公<田宮里江子>は35歳、「浜松光学東京本社」の営業第二課の課長代理として、7年間の浜松勤務から東京に転勤になりました。

大きな仕事の調印を目の前にして体調を崩し、近くのクリニックに出向いた際、大学時代の同級生<聖子>と結婚した6歳年上の内科医の夫<長谷川岳志>と10年ぶりに再会してしまいます。

<里江子>は当時<長谷川>から、「聖子と別れるから結婚してくれ」と言われた過去があり、そのことは<聖子>には言いそびれ、自然と疎遠になってしまっていました。

果敢に<里江子>にアプローチをかける<長谷川>ですが、複雑な男と女の関係は、一筋縄で解決できるものではなく、重たい結末へと読者を引き込んでいきます。
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