今年の読書(95)『妖談うしろ猫』風野真知雄(文春文庫)
8月
10日
商いの評判のよかった瓦問屋のもろこし屋の主人がころされ、現場近くでは、「かのち」と書置きを残して失踪した大店の若旦那が目撃されますが、事件の裏側は複雑怪奇でした。
若いころは無茶えおしてきた<根岸>ですが、<鉄造>と呼ばれた若いころの名残の赤鬼の彫り物があり、家来の<宮尾>と、旗本の息子を手荒くあしらったということで、謹慎中の同心<椀田>を直近におき、市井に起こる怪しげな事件を解決しながら、本筋の事件を解いてゆく構成です。
タイトルにある「うしろ猫」は、<根岸>が飼っている猫の名前ですが、人前では顔を見せず、後を向いているところから名付けられていますが、最後にに大きな伏線だったことが分かります。