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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(62)『スクイズ・プレー』ポール・ベンジャミン(新潮文庫)

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久しぶりに私立探偵が主人公の海外作品の『スクイズ・プレー』ですが、<ポール・ベンジャミン=ポールオースター>の40年前の幻のデビュー作品で、2022年9月1日に本邦初訳(訳:田口俊樹)として文庫本が発売されています。

学生時代に良く読んだ<レイモンド・チャンドラー>の「フイリップ・マーロウ」、<ダシール・ハメット>の「コンチネンタル・オプ」、<ロス・マクドナルド>の「リュー・アーチャー」、<ミッキー・スピレーン>の「マイク・ハマー」、<ロバート・B・パーカー>の「スペンサー」などの私立探偵の主人公たちには、早川書房の「ハヤカワ・ポケットミステリー」シリーズなどで随分と楽しませてもらいました。

本書の主人公である私立探偵「マックス・クライン」もまさに正統派のハードボイルド探偵で、楽しめる一冊でした。

私立探偵「マックス」が受けた依頼は、元大リーガー「チャップマン」からの依頼でした。メジャーリーガーの絶頂時に交通事故で片脚を失い、今は上院議員候補と目される彼に脅迫状が送られてきたのです。殺意を匂わす文面から、5年前の交通事故に疑いを抱いた「マックス」は、事故の調査を始めますが、マフィアが関連しているところを瑠希止めたあたりから「マックス」自身も危険な立場に立たされ、挙句に依頼人自身が毒殺され、依頼人の妻「ジュディース」とも関係を持ってしまいます。

タイトルの『スクイズ・プレー』は、文中別れた妻と暮らす9歳の息子と野球観戦する場面があり、ホームラン以上にスクイズが有効な場面の描写がでてきます、「マックス」の行動を暗喩させる言葉の象徴として使用されているようです。

元検事(あるいは刑事)で離婚歴がある、軽薄なセリフでタフガイで女好きというステレオタイプの主人公ですが、翻訳も軽快で40年前の正当派ハードボイルドの世界でした。
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今年の読書(61)『消えそうで消えないペン』岩田稔(ベースボール・マガジン社)

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猛虎一筋16年−。高校時代に発症した1型糖尿病と共に生き、勝てない日々にも前を向いて腕を振り続けた元阪神タイガース投手<岩田稔>が、困難に立ち向かう思考と、これからの夢を明かす『消えそうで消えないペン』が。2022年9月5日に刊行されています

<岩田稔>は大阪桐蔭高2年時に「1型糖尿病」を発症しています。本書によりますと、高校3年の夏、ある大企業の社会人野球チームから内定を取り消されています。

<岩田稔>は常に血糖値測定器とインスリン注射器を持ち歩き、1日4回インスリン注射を打たなければなりません。

本書で岩田氏は、1型糖尿病は、生活習慣病である2型とは異なると強調しています。誤解を避けるためにも、〈インスリン欠乏症〉といった新しい名称に変えることを提案しています。

<岩田稔>は2021年シーズン終盤に球団から戦力外通告を受けました。通告に<岩田稔>は動揺することなく、自然に感謝の言葉を球団側に伝えたといいます。その夜、中学生と小学生の子供たちにも現役引退を伝えています。

2020年10月1日、<岩田稔>は甲子園での中日戦に先発。6回3分の2を無失点で抑え、454日ぶりの勝利を挙げています。この勝利が現役最後の白星となりました。

同じ病を抱える人たち、その家族や、悩みを抱えるすべての人へのエールとなる一冊です。
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今年の読書(60)『落日』湊かなえ(ハルキ文庫)

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著者<湊かなえ>の作家生活10周年の節目の作品として書き下ろされたミステリー長編『落日』は、2019年9月に刊行され、2022年8月18日に文庫本が発売されています。

新進気鋭の映画監督「長谷部香」は新人脚本家「甲斐千尋」に、映画の脚本の依頼を持ち掛けます。その元となるのは、15年前、引きこもりの兄が高校生の妹を自宅で刺殺後、放火して両親も死に至らしめた『笹塚町一家殺害事件』でした。そして事件が起きた小さな町、笹塚町は「甲斐千尋」の生まれ故郷でした。

判決も確定しているこの事件を、「香」はなぜ映画として撮りたいのか。「千尋」はどう向き合うのか。生き詰まる展開が待ち受けています。

物語は、主人公「香」と「千尋」の二人の目線でそれぞれの過去が語られていき、ジグソウパズルのピースを埋めるように衝撃の真実に辿りつきます。
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今年の読書(59)『生命の略奪者』知念実希人(新潮文庫)

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今年の読書(59)『生命の略奪...
著者<知念実希人>は現役医師として活動、ベストセラーを実写化したテレビドラマ『祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録』が10月8日より日本テレビ系で放送が始まります。

本書『生命の略奪者』は、文庫書下ろし作品として2022年9月1日に発売され、「天久鷹央の事件カルテ」シリーズとして13作目に当たります。

シリーズ6作目の『幻影の手術室』を読んでいますが、あまりいい印象ではありませんでした。現役医師としての医学的要素のミスイェリーを求めすぎていたかもしれません。ギャグ的な作品としてみれば、それなりなのかもしれません。

東京から新横浜へと向かう新幹線の中で、移植のための心臓を運んでいたコーディネーターが襲撃され、臓器が奪われてしまいます。さらに、腎臓が盗まれるという同様の事件が天医会総合病院でも発生します。
心臓、肺、肝臓、腎臓。臓器の移動の最中、死者の臓器提供の願いを踏みにじられる事件が連続して起こりますが、いったい誰が、何の目的なのか。
天医会総合病院の副院長の「天久鷹央」は、部下である「小鳥遊優」と研修医「鴻ノ池舞」と真相解明に乗り出しますが、その背景には思いもよらぬものでした。

エジプト考古学が絡み、意外な分野での展開、評価は少し上がりました。
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今年の読書(58)『ぼくの死体をよろしくたのむ』川上弘美(新潮文庫)

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今年の読書(58)『ぼくの死体...
表題からミステリーなのかなと手bにしました<川上弘美>の『ぼくの死体をよろしくたのむ』は、2017年(平成29年)3月に単行本が刊行され、2022年(令和4年)9月1日に文庫本が発売されています。全18篇の独立した短編が収められていますが、一部つながる物語が意外な展開で楽しめました。

どの短編も、タイトルからは連想できない内容の思わぬ展開が楽しめる作品で、恋愛小説からSFまで、ジャンル分け不能な、奇妙で奇想天外的な18の短編の解説はとてもできそうにありません。

時間軸を考えた背景を感じさせながら、非日常的で登場人物たちの年齢にはあまり意味がない印象が、妙に残りました。
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今年の読書(57)『ふるさと銀河線』高田郁(双葉文庫)

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<朝井まかて>の『落花狼藉』を読み、江戸時代の遊郭「吉原」が舞台ということで<高田郁>の『みおつくし料理長』の主人公「みお」と幼馴染の「あさひ太夫」の感動的な幕引きを思い出し、そういえば『花だより』以後の作品を読んでいないことに気が付き、手にしたのが本書『ふるさと銀河線 軌道春秋』です。文庫オリジナル作品として2013年11月17日に発売され、購入した文庫本には「大阪ほんま本大賞」受賞の帯が付いた2022年8月25日14刷版で人気の高さがうかがえます。

本書には、両親を喪って兄とふたり、道東の小さな町で暮らす少女。演劇の才能を認められ、周囲の期待を集めますが、彼女の心はふるさとへの愛と、夢への思いの間で揺れ動いていた、表題作の『ふるさと銀河線』を始め9篇の短編が収められています。

苦難のなかで真の生き方を追い求める人びとの姿を、美しい列車の風景を織りこみながらやさしい目線で人生のさりげない場面を舞台に愛情ある目線で描いています。

大阪~神戸の私鉄沿線から見えるつつましやかな部屋を舞台とする『車窓家族』、内容から下町側の「阪神電車」沿線かな?。また、大阪環状線の私鉄と接続するT駅(てんま・玉造・鶴橋・寺田町とT名は多いのですが、私鉄と接続ということで天王寺駅かな?)を舞台とする『ムシヤシナイ』など、「大阪ほんま本大賞」受賞という作品にふさわしい内容でした。
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今年の読書(56)『落花狼藉』朝井まかて(双葉文庫)

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著者<朝井まかて>は、デビュー作『実さえ花さえ、この葉さえ/(改題):花競べ 向嶋なずな屋繁盛記』(2008年)をはじめ、シーボルトを描いた『先生のお庭番』や植木屋稼業の『ちゃんちゃら』など植物好きとして《植物系小説》として読み始めましたが、小気味よい文体で読みやすく、近作では江戸時代の介護問題を扱った『銀の猫』が面白く楽しめました。

本書『落花狼藉』は、2019年8月に刊行され、2022年8月7日に文庫本として発売されています。

戦国の気風が残る江戸時代初期、徳川幕府公認の傾城町・吉原が、西田屋の「甚右ヱ門」の働きにより誕生しました。吉原一の大見世「西田屋」女将の「花仍」は、幼いころに迷子として西田屋に身を寄せ大きくなりました。自身の商いは二の次で町のために奔走する夫「甚右衛門」を支えながら、店を切り盛りしています。

幕府からの難題、遊女たちの色恋沙汰、陰で客を奪う歌舞伎の踊子や湯女らに悩まされながらも、何度かの大火に会いながらもやがて町の大事業へと乗り出していきます。<朝井まかて>ならではの切口で、江戸随一の遊郭・吉原の黎明と、そこに生きる人々の悲喜交々を描き出しています。

𠮷原ならではの「しきたり」や「太夫」関連の描写では、<高田郁>の『みおつくし料理帳』の主人公「澪」と水害で離ればなれになった幼馴染の「あさひ太夫(野江)」を思い出しながら読んでおりました。
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今年の読書(55)『反=恋愛映画論』佐々木敦・児玉美月

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今年の読書(55)『反=恋愛映...
好んで観る「恋愛映画」ではありませんが、社会の中で変化し、多様化してきた恋愛という営み、それをつねに反映してきた 無声映画時代の名作から最新の話題作まで数々の恋愛映画を取り上げ縦横無尽に語り合う、一風変わった恋愛/映画論『反=恋愛映画論』が(Pヴァイン)から刊行されています。

映画、音楽、文学、美術、演劇などジャンルを超え、執筆を続けてきた批評家の<佐々木敦>と、LGBTQ映画を中心とした批評で注目を集める映画執筆家の<児玉美月>の「恋愛映画に距離を感じている」というふたりが新旧の恋愛映画を語り合っています。

全8章で構成されており、第1章「リアリティと作為性――2010年代の日本映画」では、『花束みたいな恋をした』『寝ても覚めても』『愛がなんだ』など、第2章「多様化する恋愛像――2010年代の外国映画」では『はちどり』『テイク・ディス・ワルツ』『ロブスター』『お嬢さん』など、第3章「恋愛映画の巨匠?――ホン・サンス」では、<ホン・サンス>(61)が手がけた『逃げた女』『それから』・『川沿いのホテル』・『カンウォンドのチカラ』などが取り上げられています。

第4章 「クリシェとそれを超えるもの――キラキラ青春映画」では、『君の膵臓をたべたい』『殺さない彼と死なない彼女』『私がモテてどうすんだ』 、第5章「 肉体と精神/リアルとフィクションードロドロ性愛映画」では、『愛のコリーダ』・『火口のふたり』・『愛の渦』・『ニンフォマニアック』・『倦怠』 など、第6章 「恋愛/映画」に惹かれるものーオールタイム・ベスト恋愛映画・日本編」として、『あなたがすきです、だいすきです』・『unloved』・『ともしび』・『渚のシンドバット』 など、第7章 「恋愛/映画」に惹かれるもの――オールタイム・ベスト恋愛映画・海外編」では、『カルメンという名の女』・『牯嶺街少年殺人事件』・『ポンヌフの恋人』・『燃ゆる女の肖像』など、第8章 「恋愛映画の現在――2022年公開の新作では、『アネット』『チェリまほ THE MOVIE 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』『TITANE チタン』『リコリス・ピザ 』などが取り上げられています。

映画ファン必読の(2640円)の一冊です。
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今年の読書(54)『301号室の聖者』織守きょうや(双葉文庫)

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今年の読書(54)『301号室...
著者<織守きょうや>は元女性弁護士で、<木村&高塚弁護士>が登場した連作小説集『黒野葉月は鳥籠で眠らない』につらなる、長編小説が本書『301号室の聖者』で、2016年3月に単行本が刊行、2022年8月7日に文庫本が発売されています。

新米弁護士の「木村龍一」は、所属する事務所の顧問先「笹川総合病院」の、ある医療過誤訴訟をめぐる損害賠償請求事件を担当します。訴訟にむけた調査や準備を進めるなか、誤嚥が原因で亡くなった患者がいたその病院の、その301号の病室で、短期間のうち立て続けに、他患者の急死、不自然な医療事故が起きます。看護師の過失か、医療器具の不具合か、あるいは何者かの意志による犯行か。先輩弁護士の「高塚」の助言を受けながら原因を探る「木村」でした。

冒頭病棟違いで301号室を訪ねた「木村」は、その部屋で14歳の「早川由紀乃」と知り合うことになります。タイトルと「早川由紀乃」の登場で、ミステリーファンとして先走り、彼女が関連しているのではと先走りましたが、見事にはずされてしまい、意外な結末になるほどと感心してしまいました。

末期の患者とそれを見守る家族、担当医、看護師の目線を通して病院を舞台とするリーガルサスペンス、弁護士という職能を通して本職らしい描写が垣間見られ、面白く読み終えました。シリーズ化期待の主人公の登場です。
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今年の読書(53)『珈琲店タレーランの事件簿8』岡崎琢磨(宝島社文庫)

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今年の読書(53)『珈琲店タレ...
巻かれていた帯に「10周年記念」とありましたので、この「珈琲店タレーランの事件簿」シリーズも『珈琲店タレーランの事件簿』(2012年8月4日発行)が発売されてから10年が過ぎたようです。

前作の『珈琲店タレーランの事件簿7』は、全7話の短編集でしたが、2022年8月18日に文庫書下ろしとして発売されました本書『珈琲店タレーランの事件簿8』は、長編推理小説になっています。

珈琲店「タレーラン」のバリスタ兼店長である「切間美星」と、恋人として正式にお付き合いを始めた「アオヤマ」でした。そんな折、イベント会社「サクラチル」の企画する京都で開催されるコーヒーの飲み比べイベントに出店することになります。企画を担当する「中田朝子」にアドバイザーとして付いているのが、『珈琲店タレーランの事件簿3』で登場したかつて関西バリスタ大会で競った「イシ・コーヒー」の問題ある人物の「石井春夫」ということもあり、「切間美星」はトラブルが起きなければと参加を決意します。

「美星」の予想通り岡崎公園で二日間行われるイベントの初日から、妨害事件が起こり、二日目には、「タレーラン」の販売ブースや3店舗目にも妨害事件が起こりますが、参加6店舗の関係者12人の中に犯人がいるとにらんだ「美星」の洞察力と推理力で、犯人を突き止めていきます。

平安神宮が近くにある京都岡崎公園のロケーションをうまく取り込んだ構成が、京都を舞台とする本シリーズとして生かされていました。
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