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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(43)『鍵のない夢を見る』辻村深月(文春文庫)

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<辻村深月>による『鍵のない夢を見る』は、第147回直木三十五賞受賞作品で5篇の短編が長練られており、収録されています短編『芹葉大学の夢と殺人』は第64回日本推理作家協会賞短編部門候補作品です。2012年5月に単行本が、2015年7月10日に文庫本が発売されています。

『ツナグ』原作本)・『朝が来る』原作本)・『ハケンアニメ!』など映画化された作品も多く、読んだ最近作としては『かがみの孤城(上・下)』がありますが、短編集は初めてです。

著者が、今作ではより経験豊富な年代の人にも読んでもらいたいと読者に委ねる書き方を意識して執筆された作品が並んでいます。

誰もが顔見知りの小さな町で盗みを繰り返し転校を余儀なくされる友達のお母さん、結婚をせっつく田舎の体質にうんざりしている女の周囲で続くボヤ、出会い系サイトで知り合ったDV男との逃避行。人生に夢を持ち続ける男との関係を自ら清算しようとするする女、育児ノイローゼで、子供を放置する母親、普通の町に生きるありふれたごく普通の女性5人を主人公に、ふと魔が差す瞬間、転がり落ちる奈落を見事にとらえる五篇の短篇集になっています。
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今年の読書(42)『嵐を呼ぶ女』吉崎道代( キネマ旬報社)

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映画ファンとしては気になる、76歳の映画プロデューサー<吉崎道代>の自伝『嵐を呼ぶ女 アカデミー賞を獲った日本人女性映画プロデューサー、愛と闘いの記録』です。

<吉崎道代>は、大分の映画館が1つもない土地からローマの映画学校へ渡り、子育てしながら多くの映画を手がけてきました。書籍には<クリント・イーストウッド>、<レオナルド・ディカプリオ>、<ロバート・デニーロ>、<アラン・ドロン>、<アンソニー・ホプキンス>、<エマ・トンプソン>、<カズオ・イシグロ>、<大島渚>、<フェデリコ・フェリーニ>など・俳優や映画監督たちとの思い出や、関わった映画にまつわるエピソード、世界を目指す若き世代へのメッセージが収められています。

著者は「ディストリビューターとして買い付けた映画作品、そしてプロデューサーとして製作した映画の秘話に愛とセックス、結婚、子育てといった私生活も含めた私の映画人生を語っていきたい」と綴っています。

映画字幕翻訳の第一人者の<戸田奈津子>(86)は「日本を飛び出し、映画の道で成功したいと願っている若い人たちの必読の書です」と応援コメントを寄せています。
#ブログ #単行本 #映画 #読書

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今年の読書(41)『クジラアタマの王様』伊坂幸太郎(新潮文庫)

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<伊坂幸太郎>の『陽気なギャングが地球を回す』(2003年2月10日・祥伝社)を原作とする<リー・ユー>監督作『陽光劫匪(原題)』や『マリア・ビートル』(2010年9月24日・角川書店)を原作とする<デヴィッド・リーチ>監督作『ブレット・トレイン』の公開が控えていますが、『首折り男のための協奏曲』以来の《伊坂ワールド》が楽しめた『クジラアタマの王様』は、2019年7月に単行本が刊行され、2022年7月1日に文庫本として発売されています。

主人公となる登場人物として、製菓会社に勤める「岸」、都会議員の「池野内」、ミュージシャンの「小沢ヒジリ」の3人が登場。彼らは共通する「夢」=「体験」を持っているというつながりがありました。

夢の中で巨大な鳥「ハシビロコウ」と戦う彼らは、現実の世界で複雑に絡み合い「夢」の中で負けるとと現実世界で災いが起こり、勝てばいい方向に人生が進むという現実に気が付きます。

新型インフルエンザが流行する前に、「鳥インフルエンザ」禍のパニック状況を先取りした結末はこれぞ《伊坂マジック》ともいえます。

また文中に<川口澄子>さんの本文挿画としての「台詞のない漫画イラスト」が、本文の行間を埋めるのに多大な貢献をしている一冊でした。
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今年の読書(40)『鯨の岬』河﨑秋子(集英社文庫)

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失礼ながら著者のことは知らず、文庫本の帯に「つよく猛々しく、共感を拒絶する思考」とのコピーが、読み続けてています<桜木紫乃>の推薦文ということで手にしました本書『鯨の岬』です。

本書は書下ろしの『鯨の岬』と第46回北海道新聞文学賞受賞作『東陬(とうすい)遺事』の2篇が収録され、2022年6月25日に文庫本として発売されています。

『鯨の岬』は、札幌の主婦「奈津子」は、孫が笑いながら見ていた鯨が腐敗爆発する動画を見て、子供のころ住んでいた鯨の町の記憶を思い出します。後日、釧路の母を介護施設へ訪ねる途中、捕鯨の町にいた幼い頃が蘇ってきます。記憶の扉を開けた彼女は、母の訪問を辞めて子供のころに住んでいた霧多市へと足を向けるのでした。

『東陬遺事』は、江戸後期の蝦夷地野付に資源調査のため赴任した「山根平左衛門」でした。死と隣り合わせの過酷な厳寒の中で、下働きの「たづ」の家族と親しくなり、その父や弟を通して、壮絶な極地での生活を体験していきます。命を見つめ喪失と向き合う人々の凄絶な北の大地の物語が描かれています。
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今年の読書(39)『弾丸メシ』堂場瞬一(集英社文庫)

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<堂場瞬一>といえば、警察小説とスポーツ小説を軸に多彩な作品をハイペースで生み出す作家で、日本の戦後警察シリーズとして文庫本で『焦土の刑事』『動乱の刑事』『沃野の刑事』の三部作を読み終えたばかりです。著者の作品の中にはジャンルを超えて共通する特徴があり、それが食の描写です。

マメに家庭料理を作るシングルファーザーを登場させる一方で、カレーとファストフードばかりの刑事を描いています。珈琲にこだわりのある刑事を出したかと思えば、ストイックなまでに栄養管理をするランナーの話も出てきます。その食の描写は、そこに著者が人間と生活のリアル感を追及しているに他ならない部分ではないでしょうか。

本書『弾丸メシ』は、2019年10月25日に単行本が刊行されていますが、文庫版書下ろしが一篇追加されて、2022年6月25日に文庫本が発売されています。著者が料理を食べてそれをレポートするという極めてオーソドックスな構成ですが、ルールが設定されています。①日帰りであること、②食事は1時間以内に済ませること、③食べ残さないこと、の三つです。それゆえにタイトルの『弾丸メシ』に納得です。

紹介されるている12篇は福島の円盤餃子や横浜での各国料理、函館のハンバーガー、高崎のソースカツ丼、熊本の太平燕、東広島の美酒鍋、ヘルシンキのカラクッコ、アントワープのフリットとワッフルなどが登場していますが、 日帰りの「弾丸メシ」でヘルシンキやアントワープとは、そこは本文を読めば「そういう日帰りなのか」と納得できます。

各料理の描写は割愛しますが、とにかく具体的で美味しそうで食べたくなりますが、それだけならグルメ情報を読めばすみます。やはり面白いのは〈堂場瞬一の目線での描写〉なのです。

本人に言わせると本書は「ルポ」なのだそうですが、かって<堂場瞬一>は「エッセイ」は書かないと言っていました。本書はまさに、<堂場瞬一>自一自身がしっかりと描かれた食エッセイではないのかなと読み終えました。
#グルメ #ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(38)『劇場アニメーション「犬王」誕生の巻』松本大洋・湯浅政明(河出書房新社)

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<湯浅政明>が監督を務め、2022年5月28日より公開されました長編アニメーション『犬王』の公式書籍『劇場アニメーション「犬王」誕生の巻』が、6月20日に発売されています。

<古川日出男>の小説『平家物語 犬王の巻』(2017年5月・河出書房新社)をもとにした『犬王』では、室町時代に実在した能楽師「犬王」と、その囃子方となった琵琶法師「友魚」の友情、そして2人がエンタテイナーとして人々を魅了していくさまが描かれています。

キャラクター原案を<松本大洋>、脚本を<野木亜紀子>、音楽を<大友良英>が担当しています。「犬王」に<アヴちゃん>(女王蜂)、「友魚」に<森山未來>が声を当てたほか、<柄本佑>、<津田健次郎>、<松重豊>らも参加しています。

本書には<松本大洋>が描いた多数のスケッチのほか、<湯浅政明>のエッセイや絵コンテが収録されています。<湯浅政明>、<松本大洋>、<古川日出男>による鼎談も掲載されています。
#アニメ #ブログ #単行本 #映画 #読書

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今年の読書(37)『沃野の刑事』堂場瞬一(講談社文庫)

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<堂場瞬一>の〈日本の警察〉大河シリーズとして三カ月連続刊行として、第1作目『焦土の刑事』・第2作目『動乱の刑事』の第3作目の『沃野の刑事』ですが、2019年11月20日に単行本が刊行され、2022年6月15日に文庫本が発売されています。

第2作目から18年が経った1970年。大阪万博を控え、高度経済成長で沸き立つ日本を舞台としています。

捜査一課と公安一課を対立させたある爆破事件以降、袂を分かった刑事の「高峰靖夫」と公安の「海老沢」は、それぞれ理事官に出世し、国と市民を守ってきましたが、かつてふたりの同級生だった週刊誌編集長「小嶋学」の息子「和人」の飛び降り自殺で亡くなったことがきっかけで、再び3人の立ち位置の違いがありながら絡み合っていきます。

「小嶋」は、息子が学生時代に参加した学生デモの参加で逮捕されたことが原因で自殺したと思い、公安か警察が情報を流したと信じており、「高峰」や「海老沢」が独自に自殺の真相を調べを進めるうち、総合商社に勤める「和人」に関して、アメリカの戦闘機導入にまつわる汚職事件の存在が徐々に明るみに出てきます。

尊重すべきは国家の利益なのか、それとも名もなき個人の名誉なのか。「警察の正義」を巡り、「高峰」と「海老沢」はまたしても踏み絵的な事件に向き合うことになります。

本書で三部作として完結ですが、「高峰」の高校生の息子「拓男」が将来の職業として「警察官」の夢があるようで、高峰家の「警察官」三代目としての伏線なのかなと期待しながら読み終えました。
#ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(36)『美しき愚か者のタブロー』原田マハ(文春文庫)

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今年の読書(36)『美しき愚か...
<原田マハ>の美術関係として『異邦人(いりびと)』を読んだばかりですが、本書『美しき愚か者のタブロー』は、2019年5月31日に単行本が刊行されていますが、2022年6月10日に文庫本が発売されています。

主人公に「日本に美術館を創りたい」という夢を追い求めた不世出の実業家・初代川崎造船所の社長であり『神戸新聞』の創業者<松方幸次郎>を据え、関係する人物に美術史家「田代雄一」や「吉田茂総理」・画家「クロード・モネ」といった人物を配し、第2次世界大戦下のフランスで「松方」の絵画コレクションを守り抜いた孤独な飛行機乗り「日置釭三郎」など、史実に沿いながら、著者<原田マハ>の世界をつくりあげ、文庫本で解説を吹極め483ページ、面白く読み終えました。

建築設計者の立場としては建築家<ル・コルビジェ>と国立西洋美術館の誕生にまつわる逸話や、画商や西洋絵画(タブロー)にまつわる秘話が楽しめた物語でした。

日本人のほとんどが本物の西洋絵画を見たことのない時代に、ロンドンとパリで絵画を買い集めた「松方幸次郎」は、絵画に対して「審美眼」を持ち合わせない男でした。絵画収集の道先案内人となった美術史家の卵「矢代幸雄」(文中名:田代雄一)との出会い、『いりびと』でも重要な役割を果たしていた『睡蓮』の「クロード・モネ」との親交、何より「ゴッホ」や「ルノアール」といった近代美術の傑作の数々によって美に目覚めていく「松方」でしたが、戦争へと突き進む日本国内では経済が悪化、川崎造船所の破産の憂き目に晒されます。

志半ばで帰国した「松方」に代わって、戦火が迫るフランスに単身残り、絵画の疎開を果たしたのは謎多き元軍人の「日置」でしたが、日本の敗戦とともにコレクションはフランス政府に接収されてしまいます。しかし、講和に向けて多忙を極める首相「吉田茂」は、コレクション返還の可能性を探ります。

1枚の絵画に秘められた、特に表紙になっています「ゴッホ」の『アルルの寝室』(現在:オルセー美術館蔵)は、物語のキーポイントとなるタブロー(絵画)として印象に残る場面で使用されていました。
#ブログ #文庫本 #絵画 #読書

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今年の読書(35)『俺たちは神じゃない』中山佑次郎(新潮文庫)

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今年の読書(35)『俺たちは神...
医者を著者とする小説は多々ありますが、現実的な記述が多く興味ある分野です。本書『俺たちは神じゃない』は文庫書下ろしとして2020年6月1日にはつばいされていますが、消化器外科医として執刀する立場だけにリアル感ある手術の描写が楽しめました。

主人公40歳独身の「剣崎啓介」は、600床の敬愛会麻布中央病院に腕利きとして知られる中堅外科医です。そんな彼が頼りにするのが「松島直武」です。生真面目な「剣崎」と陽気な関西人の「松島」。ふたりはオペで絶妙な呼吸をみせます。

タイトルとバディーの組み合わせで、アメリカ映画『俺たちは天使じゃない』(1989年・監督:ニール・ジョーダン)のオマージュを意識されているのかもしれません。

著者は、連作短編の本書を通じて外科医の医者としての本質を問うています。文中の「患者を救い傷つき、患者を失い傷つく」という短い言葉が重く心に響きました。

院長から国会議員の大腸癌切除を依頼された「剣崎」は、「松島」を助手に得意なロボット「HOKUSAI」で手術を進めますが、その行く手にはある危機が待ち受けていました。現役外科医が総合病院という組織を背景に、日夜起こるドラマをリアルに描いています。

今後シリーズ化されるのかは不明ですが、麻酔科医の「瀧川京子」のキャクターも気になる存在でした。
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今年の読書(34)『清明』今野敏(新潮文庫)

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今年の読書(34)『清明』今野...
本書『清明』は、著者<今野敏>の「隠蔽捜査」に始まるシリーズの『棲月』(隠蔽捜査7)に続く、スピンオフの2作品を含めシリーズ10作目となり、単行本は、2020年1月に刊行、文庫本として2022年6月1日に発売されています。

大森警察署長から神奈川県警刑事部長に着任した異色の警察官僚「竜崎伸也」でしたが、着任早々、東京都の県境で死体遺棄事件が発生、警視庁との合同捜査になり、昔の面々と再会しますが、署長の立場と違いどこかやりにくさを感じます。

捜査中、ペーパードライバー講習中の妻「冴子」が自動車教習所で事故を起こし、「竜崎」は教習所所長のもと県警OBの「滝口」とひと悶着を起こします。

死体遺棄された被害者は、中国人の不法入国者と判明、公安と中国という巨大な障壁が立ちはだかり、事案は複雑な様相を呈してゆきます。横浜中華街の華僑とのつながりが事件の核心となり、「竜崎」は県警OB「滝口」の人脈を頼り、中華街の大物との面会ができ、政治・思想がらみでの事件の様相を見せてきます。当初は「安倍晴明」が関係するのかと思っていましたが、表題となっています「清明」が<杜牧>の七行詩だと分かり、生臭い事件に一抹の清涼感を与えています。

着任早々の事件も、警察官としてブレない「竜崎」として無事に終えますが、馴染みの登場人物に加え、新たな展開として「阿久津参事官」が脇役としていい味を出しているで、今後の展開(といっても新刊本として『探花』(隠蔽捜査9)がすでに刊行されています)が楽しみです。
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