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- 今年の読書(43)『天空の魔手』濱嘉之(文春文庫)
多方面の分野と多くの作家の娯楽小説を読み続けていますが、文庫本として発売が待ち遠しい代表格は、<今野敏>の『隠蔽捜査』シリーズと〈濱嘉之>の『警視庁公安部・片野坂彰』シリーズです。
<濱嘉之>の本書『天空の魔手』は、2023年5月10日に『隠蔽捜査』シリーズ5冊目として文庫書下ろしとして発売されています。このシリーズは単行本が刊行、2.3年して文庫本化というお決まりの流れでは、《今という現在》の《旬》としての楽しみが薄れてしまいますので、文庫書下ろしでの発売は嬉しい限りです。
本書ではウクライナ問題が取り上げられ、ロシアの〈ぷーたろう〉、中国の〈習チンピラ〉、ワグネイルの〈プリコジフ〉など《旬》の登場人物たちや話題が取り入れられ、いつもながら世界情勢の流れが読み取れる内容で、とても面白く読み終えれました。
冒頭では地方のドローン競技大会や新進のゲームソフト会社の記述で始まり、<片野坂彰>の行動がわかりませんでしたが、彼は中国による台湾侵攻への対抗策として、ある恐るべき構想を持っていました。一方チームの面々は、ロシアの急所となる情報を入手すべく欧州に集結し、ロシアに乗り込んでいきます。今回は、第5の新人として6か国語を操る「壱岐雄次」が新規加入してのお披露目の要素もあり、激変する世界情勢のなか、日本を守る公安マンたちの活躍を大胆に描いています。
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