書物を読んで感動するのは、まずミステリーファンとしては緻密な構成と登場人物の個性に負うところが大きいとおもいます。
また博識な知識が、宝石のようにあちらこちらに光る文体も、これまた感動を覚えますが、この一冊は正に後者の一冊でした。
江戸の片隅に、恵まれない育ちを背負いながら、それぞれが自立するために手に職を持つ女たちを主人公にした、七篇からなる短篇集です。
『竹夫人』は三味線の師匠として生きる<澄(すみ)>、『三冬三春』は絵師として生きる<阿仁>、『夏雨草』は根付け作りに情熱を傾ける<ふさ>、『秋草風』は糸の染色に生きる<萌>、『細小群竹』は髪結いの見習いの<すず>、『逍遥の季節』では踊りの<藤枝>と生け花の<紗代乃>の葛藤等、その世界で生きる女たちの心の憧憬を見事に描き切っています。
パソコンも携帯電話もない時代に生きる、「男と女」・「親と子」・「師匠と弟子」の人情味あふれる生き様が、爽やかさを残してくれる一冊でした。
この<生け花>を生けられている佐々木房甫先生、最近は精力的に生け替えられているようで、新しい作品を次々と鑑賞できるのが楽しみです。
丈の長い青色の花器が使われ、「雪柳」の枝を巧みに伸ばした中心部に、黄色い「フリージア」が配置されていました。
「雪柳」の枝も、手で曲げられて加工されているとおもいますが、曲げる方向性の微妙な形で空間の広がりを感じさせる手法は、どうやら房甫先生のお得意技かなと拝見しておりました。
映画全盛期の時代の新開地は、映画を観た後、家族で安くて美味しい料理を食べて帰るのが楽しみでした。
ホーコー鍋を良く食べた中華料理の「春陽軒」(今は 豚まん専門店 )や、和食の店「赤のれん」(今は三宮に移転)など懐かしいお店がすぐに浮かびます。
また歴史ある洋食店も多く、上川シェフの「金プラ」や山本シェフの「グリル一平」は、新開地の代表格といえます。
そんな強豪店が並ぶなか、阪神・淡路大震災後に開店したのが、米崎シェフの【赤かぶ】です。
作り置きをせず丁寧な仕事ぶりは、老若男女の幅広い客層からも支持されているのが良く分かります。
本日は、「ハンバーグと海老フライ」(880円)にライス(170円)の組み合わせにしました。
柔らかくてジューシーなハンバーグ、甘みを感じる細かな目の海老フライの衣等、どれもが満足できる内容です。
テーブルには、ナイフとフォークもありますが、箸も置いてくれていますので助かります。
今を盛りに咲き誇る【モクレン(木蓮)】の花を見かけました。
モクレン科モクレン属の落葉低木種で、樹高は3~5メートルです。
【モクレン】は本来この赤紫色の花が本種ですが、今は「シモクレン(紫木蓮)、白色の花弁は「ハクモクレン(白木蓮)」と呼び分けているのが一般的になりました。
中国南西部が源地産地ですが、英語圏に紹介された際に「Japanese magnolia」として紹介されたために、日本原産かとの誤解を生じています。
似た花姿に、同じモクレン属の「コブシ(辛夷)」がありますが、こちらは日本原産ですので、感違いが生じたのかもしれません。
花弁の外側は濃い紅色から赤紫色をしており、内側は白色もしくは極薄紅色で対比が美しく映える花姿です。
「シモクレン」の花は全開せずに半開状態の姿ですが、「ハクモクレン」は日が射し明るくなると花弁を開き、暗くなると閉じる性質を持っています。
写真に撮りますと周辺の灯りの影響でしょうか、鮮やかな赤紅色的な感じに写ってしまっていますが、目で見た色は黒紫色で、正にブラックです。
ユリ科チューリップ属の明らかに園芸品種ですが、広げた花弁の花径は12~13センチと大輪です。
【ブラック・パーロット】の名称からも分かりますが、<パーロット咲き>に分類される品種で、花弁が<オウム(=parrot)>の鶏冠(とさか)のように、切れ込んだり波打つ形状から「パーロット」と呼ばれています。
「ダリア : 黒蝶」 ・ 「チョコレートコスモス」 ・ 「スイートピー : ショコラ」 等、黒色系の園芸品種が作出されていますが、花の華やかさを感じるのには難しい色合いです。
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