記事検索

神戸:ファルコンの散歩メモ

https://jp.bloguru.com/falcon
  • ハッシュタグ「#読書」の検索結果1810件

今年の読書(71)『かがみの孤城(下)』辻村深月(ポプラ文庫)

スレッド
今年の読書(71)『かがみの孤...
『かがみの孤城(上)』に続いて『かがみの孤城(下)』です。

前巻(上)では、鏡の中のお城に集められた不登校の7人が同じ中学校だとわかり、3月期の始まる始業式には、みんなで登校しようというところで終わっていました。

予測できたことですが、始業式に出向いた「こころ」は、誰とも会うことができませんでした。逃げ込んだ保健室の先生は、仲間の名前を言ってみても、「そんな生徒はいない」との返事でした。

改めて鏡の中の城に出向いた時の話し合いで同じ中学校に通っているのですが、パラレルワールドの住人ではないかと妙に納得するメンバーたちでした。

願いが叶う鍵が見つからない中、ある日「こころ」の部屋の鏡が大きな音共に爆発、「アキ」が城の門限の掟を破り、メンバーたちが連帯責任で狼に食べられるという事態が起こり、「アキ」は、狼少女は『赤ずきんちゃん』ではなく『七匹の子やぎ』の方だと気づき、「願いの鍵」をついに見つけるのですが、自分の夢を叶えることなく、「アキ」をはじめメンバーの命を助ける願いを託します。

ネタバレになりますので詳細は省きますが、(上)巻が少し退屈な進み具合でしたが、著者の計算された伏線が見事に散りばめられており、後半の「閉城」の章から「エピローグ」にかけては、「なるほど本屋大賞作品だな」と唸らせる見事な展開で、ミステリーファンタジーともいえる心地よい読後感を残してくれました。
#ブログ #文庫本 #読書
ハッピー
ハッピー
悲しい
悲しい
びっくり
びっくり

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(70)『かがみの孤城(上)』辻村深月(ポプラ文庫)

スレッド
今年の読書(70)『かがみの孤...
<辻村深月>による本書『かがみの孤城』は、2017年5月に(ポプラ社)により単行本として刊行され、2021年3月5日上下巻2冊として文庫化されています。

文庫本の帯には、2018年度本屋大賞受賞作で、王様のブランチブック大賞など8冠のベストセラーということもあり、また『ツナグ』『朝が来る』が共に映画化されていることもあって手にしてみました。

同級生の嫌がらせを受け中学校での居場所をなくし、家の自分の部屋に閉じこもっている不登校の中学1年生の「安西こころ」の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めます。手を伸ばし輝く鏡をくぐり抜けた先は、城のような不思議な建物。そこには、狼の仮面を付けた少女がおり、ちょうど「こころ」と似た境遇の1年生から3年生の7人が集められていました。

城のどこかに隠された「希望の鍵」を学年の終わる3月30日までに見つけ出すと、希望がかなえられるといいます。見つけ出すために城に入れるのは9時から5時という時間制限の決まりがあり、時間を過ぎると大狼に食べられてしまいます。また、願いをかなえた時点で城での記憶がなくなってしまいます。

城に集められた7人は、「こころ」と同じようにそれぞれに問題を抱えた不登校生たちでした。お互いの境遇が分かり、「リオン」以外の6人は同じ中学校に通っていることがわかり、意を決して3学期の始業式にそろって中学校に登校することを約束して、(下)巻へと続きます。

少し大きめのポイントの活字と不登校の問題を扱いながら、童話『赤ずきんちゃん』がらみを感じさせるファンタジーぽい構成で、「んん~」と思いながら411ページの(上)巻を読み終えました。
#ブログ #文庫本 #読書
ハッピー
ハッピー
悲しい
悲しい
びっくり
びっくり

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(69)『誰も語らなかったジブリを語ろう 増補版』押井守

スレッド
今年の読書(69)『誰も語らな...
2017年10月20日に発売されました『誰も語らなかったジブリを語ろう』(東京ニュース通信社刊)は、スタジオジブリについて語った<押井守>のインタビューをまとめた1冊でした。

『風の谷のナウシカ』(1984年・監督:宮﨑駿) ・ 『千と千尋の神隠し』(2001年・監督:宮﨑駿)などの劇場公開作を振り返りつつ、<宮﨑駿>や<高畑勲>、<近藤喜文>、<宮﨑吾朗>、<米林宏昌>といった監督たちについて語り尽くしています。

本書増補版(東京ニュース通信社刊)には、40年にわたって親交を結んできたスタジオジブリのプロデューサー<鈴木敏夫>との往復書簡のほか、『攻殻機動隊』シリーズなどで<押井守>とタッグを組んだプロダクションI.G代表取締役社長の<石川光久>、スタジオジブリなどで長らくプロデューサーを務めてきた<高橋望>との鼎談「監督とプロデューサー オレたちのディスタンス」が新たに収録されています。

映画ライターの<渡辺麻紀>が聞き手となり、文・構成を担当。『映像研には手を出すな!』『日本沈没2020』などで知られるアニメーション監督<湯浅政明>がカバーイラストを手がけています。
#アニメ #ブログ #映画 #読書
ハッピー
ハッピー
悲しい
悲しい
びっくり
びっくり

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(68)『刑事の慟哭』下村敦史(双葉文庫)

スレッド
今年の読書(68)『刑事の慟哭...
<下村敦史>の本書『刑事の慟哭』は、2019年9月単行本として刊行され、2021年7月18日に文庫本が発売されています。

新宿署の刑事「田丸茂一」は、捜査本部の方針に反して捜査を進め真犯人を逮捕するのですが、それはキャリアの上層部たちの捜査ミスを、マスコミの前で露見させることになり、厄介者扱いされています。

管内でOL「磯山ゆう子」の絞殺体が発見されましたが、「田村」は捜査の主軸からはずさてしまいます。仕事帰りに寄るバー「麗麗」からの帰宅中に歌舞伎町のホスト「ヨシキ」の刺殺体を発見します。

相棒の「神無木」と捜査を進める中で「田丸」はL「磯山」とホスト「ヨシキ」の二人の思いがけない共通点に気づき、その筋を追うことを会議で提案するも無視され、「神無木」と隠密捜査を進めていきます。

たとえ自分がピエロとなろうとも、犯人を逮捕するという刑事の信念と矜持を持つ男の、孤独な戦いを描いた感動の作品でした。
#ブログ #文庫本 #読書
ハッピー
ハッピー
悲しい
悲しい
びっくり
びっくり

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(67)『向田邦子を読む』文藝春秋編(文春文庫)

スレッド
今年の読書(67)『向田邦子を...
『寺内貫太郎一家』( 1974年1月16日~1974年10月9日) ・ 『時間ですよ』(1970年~1990年)など人気テレビドラマの脚本家、また、第83回直木賞(1980年)受賞作家として、ますますの活躍が期待されていたさなか、台湾での取材帰りの飛行機事故で1981年8月22日、51年の生涯を終えた<向田邦子>さん(1929年11月28日~1981年)が、没後40年を迎えるこの8月です。

8月10日発売の文春文庫『向田邦子を読む』(文藝春秋編)では、直木賞選評、故<田辺聖子>さん、故<森繁久彌>さん、故<山口瞳>さんら交遊のあった作家・著名人の<向田邦子>さんにまつわる随想がまとめられています。

また、2021年5月30日に亡くなられた<小林亜星>さんと<梶芽衣子>さんの対談「輝ける『寺内貫太郎一家』の日々」のほか、<益田ミリ>さん、<伊藤まさこ>さん、<桜庭一樹>さん、<岸田奈美>さん、<石橋静河>さんら幅広い分野で活躍する人たちからのエッセイを掲載しています。

映画ファンとしては、1989年に<高倉健>主演、<降旗康男>監督で映画化された『あ・うん』や、2003年に<森田芳光> 監督により『阿修羅のごとく』などが映画化されているのが喜ばしいことです。
#ブログ #文庫本 #読書
ハッピー
ハッピー
悲しい
悲しい
びっくり
びっくり

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(66)『炎天夢』今野敏(ハルキ文庫)

スレッド
今年の読書(66)『炎天夢』今...
著者<今野敏>の『残照』(2000年4月刊)に始まる「東京湾臨海署安積班」シリーズの文庫本として、警察学校時代から現在の刑事課強行犯第一係長に至るまでの「安積剛志」を描いた短篇集『道標』に続く12作目の最新作『炎天夢』(2021年7月18日発行)です。

多分野での著作も多い<今野敏>ですが、「安積剛志」警部補を主人公とするこのシリーズは実に巧みに警察組織の上下関係の中での捜査の流れが、個性ある登場人物たちと共に描かれていますので、楽しみなシリーズです。

東京湾臨海署管内で強盗事件が発生しますが、安積の強行犯第一係は、同期の交機隊小隊長「速水直樹」の協力を得て犯人を割り出し、夜明けを待ち家宅捜索を開始、犯人の身柄を確保します。
しかし、徹夜明けの非番となる朝、続けざまに事件が発生、江東マリーナで女性の死体が浮かんだという事件を担当することになります。

被害者は、すぐにグラビアアイドルの「立原彩花」と判明、近くのプレジャーボートで被害者のものと思われるサンダルが見つかります。ボートの持ち主は、「立原彩花」と愛人関係との噂がある芸能界一の大物実力者「柳井武春」でした。

芸能界を取り巻くプロダクションをめぐる問題で、事件を担当する本部長の「白河耕助」が赤坂署長時代に「柳井」の事件をもみ消したという噂がある中、安積班はおなじみの捜査員「須田・黒木・村雨・水野・桜井」たちが、事件の真相を追い求めていきます。
#ブログ #文庫本 #読書
ハッピー
ハッピー
悲しい
悲しい
びっくり
びっくり

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(66)『カラスの祈り』吉川英梨(角川文庫)

スレッド
今年の読書(66)『カラスの祈...
本書『カラスの祈り 警視庁53教場』は、第1作『警視庁53教場』(2017年10月刊)に始まるシリーズの第5作目の文庫書下ろし作品になります。

捜査一課の転属を断り警察学校に残った「五味京介」は、窮地に立たされていました。元凶は一昨年に卒業を認めなかった連続強姦魔の「深川翼」を145号室に監禁して閉じ込めていることでした。父親の「深川浩」が国家公安委員長ということで、所轄の警察署長が誰も逮捕状に印を押さないという状況下にある中、同僚の副教官「高杉」と信念を貫き通した結果でしたが、家庭でも教場でも綻びが生じ始めていました。

解決策を見出せずにいる中、法務省矯正局から特任教授の「赤木倫子」が着任してきます。彼女の矯正プログラムによって「深川翼」の閉ざされた状況は少しずつ動き出します。教え子の飛び降り自殺未遂などが起こり、53教場の教官「五味」の最大の危機に歴代シリーズ卒業生も全員集合して「深川翼」の余罪を追い求めて逮捕状取得に捜査が進められていきます。

「深川翼」の犯行へのトラウマの追及、育った環境の驚くべく事実と並行して、「綾乃」との新婚の「五味」の家庭問題や、「高杉」の実子で「五味」の先妻「百合」の連れ子の「結衣」との関係を織り込みながら、驚愕の結末へと一気に読ませる構成に唸る415ページでした。
#ブログ #文庫本 #読書
ハッピー
ハッピー
悲しい
悲しい
びっくり
びっくり

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(65)『コールド・ファイル』山邑圭(角川文庫)

スレッド
今年の読書(65)『コールド・...
著者<山邑圭>には、採用試験を間違えて警察官になった「椎名真帆」を主人公とする『刑事にはむかない女』(2019年)をはじめとするシリーズがあります。本書『コールド・ファイル』は、文庫本書下ろしとして2021年7月25日に発行されています。

本書では、元モデルの経験がある「比留間怜子」が主人公です。2年前までは、捜査一課の刑事でしたが、囮捜査失敗の責任を取らされる形で、捜査資料の電子ファイル化する部署に左遷された32歳の独身です。

窓際の資料課にて、偶然目にした1件の未解決事件の捜査資料が「怜子」の運命を変えます。「怜子」の学生時代に先輩モデルとして活躍していた「村雨マリ」が、4年前の事件で殺されていたことを知ります。すべてを手に入れ、男性を魅了していた彼女に何があったのか。「怜子」は、彼女の死の真相を突き止めるため、単独で捜査を始めますが、資料課の多方面に顔の広い同僚「原田」巡査や、「村雨」事件の被疑者逮捕の不手際の責任を取らされ退職した元刑事の「大庭」の力を借り、事件の真相に迫っていきます。

捜査の進捗に絡め、「怜子」の個人的な問題や家庭環境などが織り込まれ、「怜子」自身の人間性を浮かび上がらせています。

捜査二課のバツイチで5歳の女の子がいる「中谷」との関係や、警備会社を辞めて「探偵業」になりそうな「大庭」、「怜子」自身今回の捜査で一課に戻れそうな終わり方で、「椎名真帆」と同様に今後シリーズ化されそうな予感がしています。
#ブログ #文庫本 #読書
ハッピー
ハッピー
悲しい
悲しい
びっくり
びっくり

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(64)『氷獄』海堂尊(角川文庫)

スレッド
今年の読書(64)『氷獄』海堂...
本書『氷獄』は、2019年7月に単行本が刊行され、2021年7月25日に文庫本として発売されています。

表題作を含む4篇が収録されていますが、圧巻はやはり表題作の『氷獄』でした。

全体的に過去の作品の登場人物やエピソードが絡んできますので、<海堂尊>ファンとしてはとても面白く楽しめましたが、さて、本書が初めてという方には、意味が分かりにくいかもしれません。

『氷獄』では、37歳にして弁護士になった「日高正義」が、手術室で行われた前代未聞の連続殺人事件『チーム・バチスタの栄光』(2006年2月・宝島社)での「バチスタ・スキャンダル」の被疑者「氷室」医師の国選弁護人となった活躍が描かれています。

有罪率99.9%を誇る検察司法の歪みに、「日高正義」が正義のメスを入れるのですが、ここで海堂作品でおなじみの厚生省技官の「白鳥圭輔」が絡んできます。

医療と司法の正義を問うエンタテインメントとして検察と対抗する弁護士としての「日高正義」がいいキャクターで描かれていましたが、最後に「氷室」が東日本大震災に紛れて仙台拘置所から脱走してしまいます。
刑務所内での健康診断と偽って、「氷室」に青酸カリの錠剤を渡した正体不明の女医も不明のままで、まだまだこれから続編が楽しめそうな伏線で、物語は終わっています。
#ブログ #文庫本 #読書
ハッピー
ハッピー
悲しい
悲しい
びっくり
びっくり

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(63)『羊の目』伊集院静(文春文庫)

スレッド
今年の読書(63)『羊の目』伊...
本書『羊の目』は、2008年2月に単行本が刊行されています。(文春文庫)での著者<伊集院静>の作品としては、『星月夜』『悩むが花』を読んでいますが、最近では、サントリーの創業者<鳥井信次郎>の生涯を描いた『琥珀の夢(上・下)』が印象に残っています。

本書は、昭和8年、牡丹の「刺青」をもつ夜鷹の女は、後に日本の闇社会を震撼させるひとりの男児を産み落とします。自分が見初めた男気のある浅草の侠客「浜嶋辰三」の女の家に捨て子として託します。児の名は「神崎武美」。女は病気のために亡くなりますが、その後「浜嶋辰三」に育てられた「武美」は、「親分」で育ての親である「浜嶋辰三」を守るため幼くして殺しに手を染め、稀代の暗殺者へと成長していきます。

実の「親」よりも、ヤクザ世界で出会い結ばれた「親」に絶対的価値観を見出し、これをかたくなに生を全うする男の一生が描かれていきます。

やがて縄張り争いで対立する組織に追われ、ロスの日本人街に潜伏した「武美」は、潜伏先の母娘に導かれてキリスト教に接するのでした。高潔で、寡黙で、神に祈りを捧げる、目の澄み切った殺人者でした。アメリカのマフィアのボスの庇護を受け、刑務所内で安全に25年大人しく過ごしていた「武美」は、25年ぶりに出所日本に戻った「武美」でした。

冒頭の、牡丹の「刺青」が全編を通しての大きな意味を持つ伏線となっており、夜鷹となる前の女が、破戒僧に生娘から僧の女にとなり、突然の僧との別れが、後半につながる壮大な構想に圧倒される、稀代の殺人者の生涯を描いた深い余韻を残す(443ページ)の大河長篇でした。
#ブログ #文庫本 #読書
ハッピー
ハッピー
悲しい
悲しい
びっくり
びっくり

ワオ!と言っているユーザー

  • ブログルメンバーの方は下記のページからログインをお願いいたします。
    ログイン
  • まだブログルのメンバーでない方は下記のページから登録をお願いいたします。
    新規ユーザー登録へ