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今年の読書(2)『夢の島』大沢在昌(集英社)

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本書『夢の島』は1999年9月に双葉社から単行本が刊行され、双葉文庫・講談社文庫を経て、2021年11月25日565ページと厚みのある集英社文庫として発売されています。

母と離婚して24年間音信不通だった父が亡くなったとのその知らせを受け、駆け出しのカメラマン「絹田信一」は、父「洋介」の最後をみとってくれた静岡県三島市に住む女性「早坂妙子」のもとに出向き、画家だった父の形見として描き掛けの油絵を一枚を持ち帰ります。

すると、急にプロダクションから大きな仕事の依頼が舞い込んできます。さらに、ヤクザに脅され、"父の友人"だという男から妙な連絡があり、どうやら父が残した「絵」に描かれた「島」には莫大な「遺産」の鍵が隠されていることが判明してきます。

そんなおり、友人の「鯉丸」のゲイバーで知り合った「杉並」が麻薬Gメンだとわかり、彼の協力で「島」の宝物は、昔「アイランドスティック」と呼ばれた上質の大麻だとわかります。

「慎一」は、父の遺産を焼き払うべく、単身「夢の島」へ向かいますが、「島」では思わぬどんでん返しが待ち受けていました。

本書が『小説推理』に連載されました1998年は、<小渕恵三>による内閣が発足し、孤独死が社会問題となり、金融機関に対する「モラル・ハザード」議論やイラクで発生した武装グループによる日本人人質事件発生による「自己責任」論が課題として取り上げられていました。また、長野オリンピックが開催され、和歌山毒物カレー事件が発生し、明石海峡大橋が開通しました。夏の甲子園高校野球決勝戦で横浜高校の<松坂大輔>がノーヒットノーラン達成し、「ハマの大魔神」こと<佐々木主浩>投手が活躍した横浜ベイスターズが38年ぶりにリーグ優勝と日本一に輝いた年でした。
#ブログ #文庫本 #読書

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