この「ヤナギトウワタ」は随分と花期が長く、「イチモンジセセリ」 ・ 「ツマグロヒョウモン」
・ 「アオスジアゲハ」 ・ 「モノサシトンボ」 など多くの昆虫たちが訪れますので、観察する立場としてはありがたい花です。
チョウ目(鱗翅目)シロチョウ科キチョウ属に分類、同属の 「キチョウ」 と同じ生活形態を持ち、翅の模様も良く似ていますが、前翅の先端が尖り、後翅中心部に薄い灰褐色の斜めの帯が入るので区別できます。
年3~4回発生を繰り返しながら11月頃まで活動、成虫のままで越冬、翌年春先に活動し出します。
「キチョウ」は 「ネムノキ」 をはじめマメ科の多くの植物を幼虫の食草としていますが、本種はマメ科の「カワラケツメイ」だけですので、生殖範囲が限られ、2012年には「絶滅危惧IB類」に指定、埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県では絶滅していて生息していません。
激しく翅を羽ばたかせながら、「ヤナギトウワタ」の花に【アオスジアゲハ(青条揚羽)】が吸い蜜に訪れていました。
チョウ目(鱗翅目)アゲハチョウ科アオスジアゲハ属ですが、属としては5亜属に分かれ、「ミカドアゲハ」と同様に<Graphhium亜属>に属し、亜属としては最も北に分布を広げた種で、東北地方以南に分布しています。
黒い翅に入るアオスジは実際は青くなく、この部分には鱗粉がないために半透明であり、周囲の色や光の加減で、薄い青色から鮮やかな青色まで、青系統の様々な色合いに変化します。
本種も春型と夏型の2種類があり、春型は後翅の下側に茶白色の毛がありますが、夏型には見られません。
また青く見える部分も、夏型の方が細く、春型の<オス>の翅の後ろ側には、赤い斑紋がところどころに入っています。
石垣にとまった瞬間は遠目から、「ルリミズアブ」 か 「アメリカミズアブ」 かなと近づきましたら、何と体形の細長いハエ目(双翅目)の昆虫で驚きました。
ハエ目に属する昆虫は世界中で約12万種が記録されていますが、実際にはまだ名前がついていない未掲載種があと12万種はいるだろうと推定されています。
日本のハエ目は1989年時点で5289種でしたが、昨年には7658種と種数が増えています。昆虫の世界でもハエ目は人気がないようで、研究が進んでいない分野です。
似通った体形・形状の種が多く、それだけに姿・外観からの同定は非常に困難を極めますが、本種は特徴ある体形からモモフトホソバエ科に間違いが無く、体色が黒色ですので日本で確実に知られている【クロフトモモホソバエ】と同定しました。
体長10ミリ程度ですが、和名は名所通り体色が黒色で、第三脚のモモが太く、細長い体形です。
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今年3回目の登場になりました【イチモンジセセリ】ですが、昆虫好きとしては撮影の機会は一期一会、生態の記録としても大事にしたいと考えています。
春先は個体数が少ないのか見かけることはないのですが、秋にかけて次第に個体数が増え、接する機会がぐんと増えます。
秋の初めに発生する秋型は大型で、飛翔力も強く、集団で移動することが知られていますが、どうやら北に住む個体群が越冬のために南下するという説が有力です。
海を越えて移動する 「アサギマダラ」 のように、長距離間での移動ではなさそうです。
神戸あたりでは気温もそう低くくなく、移動の必要性もなさそうに思えますが、自然界のことですので、これだけは未知なる世界です。
赤色の「ヒガンバナ」の花に、吸い蜜にきた【キアゲハ(黄揚羽)】です。
翅の色が黄色ですので、色彩的にきれいな配色になりました。
チョウ目(鱗翅目)アゲハチョウ科アゲハチョウ属に分類され、体長は春型で40~50ミリ、夏型で少し大きくなり50~65ミリになります。
翅の模様は 「ナミアゲハ」 と良く似ていますが、本種は前翅表の付け根の部分が黒ずんだ色彩で塗りつぶされた感じの細長い三角形の部分があり、「ナミアゲハ」のその部分には、黒い横筋模様が入っています。
【キアゲハ】の幼虫は「セリ・ニンジン・ミツバ・アシタバ・パセリ」などセリ科の葉を食草としていますので、生息地も広く、「ナミアゲハ」と同様に都会でもよく見かけます。
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飛翔能力の高い【ウスバキトンボ(薄羽黄蜻蛉)】が、珍しく路上で休憩していました。
めったに休憩することのない「トンボ」で、とまるとすれば枝を抱きかかえるようにぶら下がる姿勢を一般的には取ります。
秋の季節到来を告げるかのようにお盆の頃にたくさん発生することから、別名「精霊とんぼ」や「盆とんぼ」と呼ばれています。
成虫の体長は5センチほどで、翅の長さは4センチほどの中型の「トンボ」です。
和名通り翅は薄くて透明で、後翅の幅広い基部は黄色に染まり、前身が薄い黄褐色で、腹部の背中側に黒い縦筋が入り、それを横切るように細い横縞があります。
寒さに弱い「トンボ」ですので、日本で越冬はできません。
東南アジアからか小笠原当たりなのかルーツはわかりませんが、南方より春先に渡来した【ウスバキトンボ】の第一世代がまずは大二世代を残します。夏場では卵から成虫まで約40日間ほどで次世代が生まれ、その繁殖の早さは他の「トンボ」に比べて群を抜いている早さで日本を北上、北海道当たりで寒くなり死滅してしまいます。
数匹が群だって、 「デュランタ」 の花に吸い蜜に訪れていました。
チョウ目(鱗翅目)セセリチョウ科の<蝶>ですが、「イチモンジセセリ」と同じように体全体が茶褐色ですので<蛾>と間違われやすいです。
前翅長は約20ミリと「イチモンジセセリ」よりも小さく、また翅が縦長く、後翅裏側の模様が小さな銀白点4個ですので、四角形の銀白点が縦に並んだ 「イチモンジセセリ」 とはすぐに見分けが付きます。
幼虫の食草は「イネ」や「ススキ」といったイネ科の植物や、タケ科やカヤツリグサ科の植物で幼虫で越冬、6月~11月にかけて年3~4回発生しますが、神戸では9月頃から見かける機会が多くなります。
先ほど紹介した 「オクラ」 の株の最上部に、体長5ミリほどの昆虫を見つけました。
一瞬カメムシ亜目の 「ウズラカメムシ」 かなと思えたのですが、ひし形の体形ではなく、雰囲気的に「ハムシ」の仲間かなと調べてみましたら、やはりハムシ科の【ブタクサハムシ(豚草葉虫)】でした。
北アメリカからの外来昆虫として、1996年に東京都や神奈川県で発見され調査が進められています。近年勢力を伸ばし、現在では青森県から鹿児島県まで広い範囲で分布が確認されています。
体色は淡黄褐色、微細な毛におおわれていますので光沢はありません。
上翅に特有の黒褐色の縦縞模様があり、この縞の濃淡や長さには個体変異が見られます。
脚は本体と同様に淡黄褐色ですが、触角は黒く、食草的にはキク科の「ブタクサ」や「オオブタクサ」・「ヒマワリ」などを好んで餌としています。
夏から秋にかけての【ナミアゲハ】は、「キアゲハ」と同じように翅色が黄色っぽくなりますが、右前翅の上側の部分に横筋が見えていますので、写真の<蝶>は【ナミアゲハ】だと同定できます。
チョウ目(鱗翅目)の<蝶・蛾>の大部分は植食性で、その多くの幼虫は棲み分けの自然淘汰でしょうか、特定の植物のみを食べるという性質を持っており、アゲハチョウ類は「ミカン科」を食草としています。
孵化したての幼虫は体長も小さく移動性に乏しいので、産卵する<メス>は幼虫の餌となる植物種を正確に探してその葉に 産卵 します。
アゲハチョウには、前脚先端部にある<ふ節>と呼ばれている組織に味覚感子があり、前脚で植物の葉を叩く<ドラミング行為>によって「味覚」を確認して見分けています。
チョウ目(鱗翅目)ヤガ科アオイガ亜科に分類されている【フタトガリコヤガ】の終齢幼虫(写真下段)は、体長40ミリばかりで、黄・緑・黒のコントラストが強い派手な配色模様をしており、お尻に赤色斑があります。
今回、写真中段の終齢幼虫手前の幼虫と、前回写せませんでした「終齢幼虫」のお尻にある赤色斑の<肛紅板>が写せましたので、成長過程として並べてみました。
チョウ目の幼虫は胸部に3対の胸脚と、腹部の第3節~第6節に4対の腹脚、第10節に1対の尾脚を持つのが一般的ですが、この【フタトガリコヤガ】の幼虫は、第3節・第4節の腹脚がありません。
「シャクトリムシ」 では、第3節~第5節の腹脚が退化していて、尾脚と第6節の腹脚だけになっていますが、本種は普通の「毛虫・イモムシ」と「シャクトリムシ」の中間的な存在で、脚の構造上「シャクトリムシ」と似た歩行をします。
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