長年昆虫を観察してきていますと空き地の野草などの状態などを見て、なんとなく「いるな」という雰囲気を感じるときがあり、また<葉の虫食い>状態を目にしますと食い主は誰かなと気になり、これまた注意深く周辺を観察してしまいます。 綺麗に咲いている 「フヨウ(芙蓉)」 の花ですが、かわいそうに葉は虫食いで穴だらけです。 注意して見ますと、「フヨウ」の左側の小さな葉の上に 【フタトガリコヤガ】 の若齢幼虫が一匹、やはりいました。 すでに 若齢幼虫 や 終齢幼虫 は記録していますので、今回は気になる雰囲気が分かるように、周辺全体を写してみました。
ベランダの手すりの笠木に、【キイロスズメバチ(黄色雀蜂)】が休憩していました。 この9月から11月にかけては、雄蜂や女王蜂が羽化する時期です。 ハチ目スズメバチ亜科スズメバチ属に分類、スズメバチ属のなかでは本種が一番小さいのですが、攻撃性のあるスズメバチですので、とりあえず後ろ姿で記録です。 腹部は濃い褐色と黄色の縞模様で、全体的に黄褐色の毛で覆われていますので、別名「ケブカスズメバチ」とも呼ばれています。 働き蜂の数がススメバチの中で一番多く、ひとつの巣で1000匹にも達し、数の力で巣作り作業も早く、ある日突然と巣が完成しているのに驚かされます。
体長10ミリほどの<蛾>が窓の網戸にとまっているのを見つけました。 室内側からみますと、頭部側が大きく尻すぼみの「涙型」の体形です。 手を伸ばして目検討での撮影で液晶画面で確認できませんでしたが、表翅の模様の特徴はわかり、手元の資料で確認作業を進めましたが、同定できませんでした。 翅の端部から上に茶色の太目の帯、中間部に「ハの字型」に茶色の筋が入っている特徴があるのですが、手持ちの資料では日本の<蛾>を網羅していませんので、これまた今後のために、記録として留めておきたいと思います。
地面すれすれの低いところを飛翔、「ヒメジョオン」の花にとまり、翅を半開き状態で吸い蜜行為を始めました。 この【ベニシジミ(紅小灰蝶)】は、<春型>(第1化)と<夏型>(第2化)があり、<春型>は3月下旬~6月下旬に発生、<夏型>は6月下旬~9月中旬まで活動をし、9月中旬以降の(第3化)では、また<春型>と同じ紋様に戻ります。 <春型>は表翅の赤橙色が鮮やかで、<夏型>は黒っぽい印象に替わります。 この【シジミチョウ】は幼虫で越冬、成虫では越冬しない蝶として12月半ば頃までと遅くまで観察できる種です。
9月に入り、ようやく今年初めて【イチモンジセセリ(一文字挵)】を捕えることができました。 長い<口吻>を伸ばして、水撒きでこぼれた水を給水していました。 チョウ目(鱗翅目)セセリチョウ科イチモンジセセリ属に分類されている<蝶>ですが、全体が茶褐色で胴が太いので<蛾>と間違われやすい姿をしています。 名称通り後翅裏側には4個の銀紋が縦に並んでいるのが名称の由来で、「セセリチョウ」類はこの銀紋の形状が同定する決め手になりますが、「キマダラセセリ」 のように銀紋がない種もいます。 春から秋にかけて分布を広げ、秋には南に移動する、いわゆる「渡り」をする習性があり、これから秋にかけて多く観察できる<蝶>です。
以前に仲の良い 【ダンダラテントウ】 を見つけた「フヨウ」の株を観察、日数的にその子孫ではないでしょうが、<幼虫>と<蛹>を見つけました。 <幼虫>は体長8ミリばかり、黒色と白色の体色で尖った突起を持っています。 <蛹>はいかにも、「テントウムシ」 の形状ですが、7日~10日ぐらいで羽化、羽化直後の前翅は黄色ですが、3時間程度で茶色くなり、一日たちますと黒い色に落ち着きます。 捕食されることなく、無事にこの<蛹>が羽化で切ればと願っています。
「テントウムシ」の好物は、「アブラムシ」と「ハダニ」・「カイガラムシ」ですが、「フヨウ」の葉の裏で、「ハダニ」を食べている【ナナホシテントウ】を見つけました。 「ハダニ」はダニ目ハダニ科に属し、約70種ほどが分類されています。植物性で、農業害虫として好まれていません。 多くの成虫の体長は0.5ミリ前後と小さく不完全変態で成長、高温多湿を好みますので、梅雨明けから9月頃にかけて繫殖が旺盛になります。 「ハダニ」は<メス>・<オス>がいますが、<メス>は交尾しなくても産卵でき、この場合はすべて<オス>が生まれ、交尾するとすべて<メス>が生まれます。 どちらにしても<メス>一匹がいれば、どんどん繁殖できる特性を持っています。
いつも昆虫の観察に出向きます空き地がきれいに刈り取られ、【チョウセンカマキリ】も見かけることがありませんでしたが、ようやく「フヨウ」の重なり合った葉の上で見つけました。 カマキリ目カマキリ科に分類され、「オオカマキリ」 に良く似ていますが、<オス>で65~80ミリ、<メス>で70~90ミリと、やや体長は小さめです。 捕まえてひっくり返し、一番目の脚の付け根の部分(前基節基部間)の斑紋が橙色ですと【チョウセンカマキリ】で、「オオカマキリ」は淡い黄色の斑紋です。 日本には、この【チョウセンカマキリ】をはじめ、「オオカマキリ」・「ハラビロカマキリ」・「コカマキリ」・「ヒナカマキリ」・「モリカマキリ」・「ウエバカマキリ」の7種類が分布しています。
先ほど<ファルコン植物記>で取り上げた 「ハツユキカズラ」 の新芽に、体長10ミリ程度の【ササグモ(笹蜘蛛)】がいました。 この【ササグモ】は網を張らずに徘徊して獲物を捕まえ、活発に動く蜘蛛として、日当たりのいい草花の上でよく見かけます。 クモ目ササグモ科には9属が分類されていますが、日本にはササグモ属だけがおり、5種が分布しています。 脚はいすれも細長く、鋭い針状の黒い棘をまばらに多数生やし、体色は白っぽく、頭胸部・腹部ともにあいまいな褐色の縦筋が入っています。 新芽の裏側にも小さな蜘蛛がいましたが、カメラを向けましたら、8個ある目で危険を感知されたのか、素早く逃げられてしまいました。
写真では、尖った腹部先端が見えていませんが黄色ですので、獰猛な顔つきを見るまでもなく【オオスズメバチ(大雀蜂)】だと同定できます。 ハチ目スズメバチ科スズメバチ属に分類され、インドから東アジアに分布する大型種で、4亜科からなり、日本産は日本亜種です。 この9月から10月にかけて刺傷事件がよく起こりますが、ちょうど「巣分かれ」の時期に重なっています。 ハチ類のなかで最も強力な毒性だと言われていますが、マウスを使った毒性試験では「セイヨウミツバチ」の方が毒性は強く、「同じ量で比較した場合の強さ」が算定基準であり、「実際に噛みつかれ刺された場合にどれだけダメージを与えるか」の算定は、単純に毒性だけでは決められるものではありません。