団地内にある法面の野草を伐採しているようで、チェーンソーの音が鳴り響いていました。
作業中の横を通りますと、なんと左脚をなくした【キリギリス】が道路に飛び出していて、チェーンソーで傷ついたのか、草叢の棲家を追われたようです。
近づきますとぴょこんと右脚で飛び上がり、50センチばかり移動できましたが、これから新しい棲家が確保できるのかと気がかりです。
ふと<松尾芭蕉>の「むざんやな 甲の下の きりぎりす」という俳句を思い出しました。
この当時の「きりぎりす」は「こおろぎ」のことですが、<芭蕉>が加賀の国(石川県)の「多太神社」を訪れ、<斉藤実盛>の兜を見ての作です。<実盛>は平家方の武将として70歳を超えていましたが、老いを隠すために白髪を染めて出陣し打ち取られています。
謡曲『実盛』(世阿弥作)の一節に、「あなむざんやな」という表現があり、<芭蕉>はそれを引用しています。
若い武将と見せて出陣する<実盛>には死の覚悟があったでしょうが、チェーンソーでの襲来は、彼女にとっては不意打でかわいそうな気がいたします。
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昆虫観測に最適だったご近所の空き地、綺麗に野草たちが刈り取られていますので、今年は葉の上で日向ぼっこをしている【サトクダマキモドキ】を見つけるのは、諦めていました。
偶然石壁にとまっている場面に遭遇、真上からスマートな体形が観察できました。
バッタ目(直翅目)キリギリス科ツユムシ亜科に分類、「チッ・チッ・チッ」と鳴きます
「モドキ」の本家は「クツワムシ」で、古名は「クダマキ」と呼ばれ、「クツワムシ」に似て里に棲んでいるところから【サトクダマキモドキ(里管巻擬)】となっています。
いつもきれいな緑色の体形を眺めながら、なぜ素直に「クツワムシモドキ」にならなかったのかが不思議で、常々疑問に感じています。
先ほど紹介しました<バラ>(90)の 「プレイガール」 に、小さな昆虫が寄りついているのに気が付き、近づき観察しましたら【ツマグロキンバエ】でした。
ハエ目クロバエ科ツマグロキンバエ亜科に分類され、体長7~8ミリほどの大きさです。
胸部の背は深緑色で背中に丸みがあり、閉じた翅の先端が黒くなっているのが、名称の由来です。複眼は青緑色に輝く筋模様があり、口器は長く突き出て、花粉や蜜を吸うのに、蕊の奥深く潜り込まなくていいようになっています。
幼虫は動物の死骸などの腐敗物を餌とし、成虫は花粉や蜜を求めて花に集まります。
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ヒユ科の「セロシア」の花蜜が美味しいのでしょうか、「ヒメアカタテハ」 や 「オオハナアブ」 が吸い蜜に訪れていましたが、今回は【キタキチョウ】と「コアオハナムグリ」が、仲良く食事中でした。
お互い無我夢中のようで、「ハナアブ」などの飛来には<蝶>は嫌って離れていくのですが、「コガネムシ」類は安全だと知っているのかもしれません。
気温も下がり、明るい日差しが昆虫たちにとって貴重な日々、微笑ましい光景の写真として、貴重な一枚が撮影できました。
面白い 複眼の模様 を持っていますので、なんとか正面側から撮影したかったのですが、頭を潜り込ませるようにして「セロシア」の蜜を吸っていました【オオハナアブ(大花虻)】です。
ハエ目ハナアブ科ハナアブ亜科に分類され、4月から11月頃まで活動をしています。
黒色で腹部の太い黄色い帯が目立ち、頭部は大きくて半球状になっています。
名称に「オオ」が付いていますが、「ナミハナアブ」と体長は15ミリ前後と変わりませんが、本種のほうが太くて非常に丸っこい体形が印象的で、ミツバチ科の「セイヨウオオハナバチ」を連想させます。
幼虫は水中で育ち、「オナガウジ」と呼ばれ、腐植物などを食べて成長、成虫も湿地に咲く花などによく集まります。
複眼が、粉を散らしたように複雑な模様を持つのが特徴的な【キゴシハナアブ(黄腰花虻)】が、白色の小さな花を咲かせている「クフェア」にとまりました。
本来は植物を撮影するつもりでしたが、この昆虫に夢中になり、花を写すのをしっかりと忘れたようで、写真の整理をして気が付きました。
体長12ミリ程度、胸部上部が幅広く全体的に淡い黄色っぽい体色です。
胸部に明瞭な5本の縦スジ(中央に3本、両側に1本)が入り、胸部・腹部とも光沢があります。
複眼が離れていますので、写真の【キゴシハナアブ】は<メス>です。
久しぶりに、「カイヅカイブキ」に取りついている <ミノムシ> と遭遇しました。
「オオミノガ」に寄生する外来種のヤドリバエ科の「オオミノガヤドリバエ」の繁殖が原因で、1990年後半より激減、地域によっては絶滅種として観察されていません。
<ミノムシ(蓑虫)>といえば、チョウ目(鱗翅目)ミノガ科の幼虫であり、日本には約50種類の「ミノガ」がいますが、一般的には「オオミノガ」を指しています。
写真の<ミノムシ>は「チャミノガ」のようで、「オオミノガ」は長さ5~6センチあり、普通糸で真下にぶら下がり、「チャミノガ」は3~4センチと小さく、角度をつけて接触面が広くなるように取りついています。
<ミノムシ>は秋に「蓑」を作るために俳句では秋の季語であり、秋になると日当たりのよい場所に移動、「蓑」の中で越冬して翌年に蛹になります。
よほどおいしいのか「セロシア(ノゲイトウ)」の花に、へばり付くように蜜を吸っている【ヒメアカタテハ(姫立赤羽)】です。
チョウ目タテハチョウ科アカタテハ属に分類され、開張70ミリほどの中型種です。
前翅の先端は黒地に白の斑点が入り、前翅の中央部には橙色の地に黒の斑点があります。
触角の先端が白いのがタテハチョウ科の特徴で、幼虫はキク科の「ハハコグサ」・「ヨモギ」・「ゴボウ」などが食草です。
体長5~6ミリ、開張は10~15ミリ程度の小さな<蛾>の【イヌビワハマキモドキ】です。
チョウ目(鱗翅目)ハマキモドキガ科に属し、幼虫は名称通りクワ科の「イニビワ」や「ホソバイヌビワ」を食草としています。
日本には30種余りが確認されていますが、夜行性の種も少なくありませんが、昼飛性で、瞬間移動するように敏捷性がある飛翔をします。
また林縁部の各種の葉の表面いとまっていることが多く、スッスッとすばやく前進してピタッととまることを繰り返しています。
一度何がしかの昆虫を観察できた場所は、その後も注意して見歩いています。
今回も 「ビロードスズメ」 を見つけた「カイヅカイブキ」の生け垣で、<ドロバチ>の巣を見つけました。
直径15ミリほどの大きさで、まだ開口部がふさがれていませんので、母親蜂が餌を捕獲中のようです。
<ドロバチ>は、ハチ目(膜翅目)ドロバチ科の昆虫のうち、泥で壺型の巣を作る「トックリバチ」類以外の種の総称ですが、この巣の種は分かりません。
「ミツバチ」のように社会性の蜂ではなく、単独行動で<メス>が巣作りをし、この巣のなかに卵を産卵、麻酔で仮死状態(殺すと腐敗して餌になりません)にさせた蛾の幼虫を、孵化したあとの幼虫の餌となるように巣に詰めてから、口を泥でふさぎます。
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