小さな羽音を耳にして、バルコニーの網戸を見ますと小さな昆虫がとまっていました。
裏側から見てすぐに「カメムシ」だとわかる体形で、そろりと網戸を開けてストロボ撮影です。
和名は 「クサギ(臭木)」 の木によくいるということに由来しているようですが、多食性で幅広い植物についており、果樹などの農業害虫として古くから知られています。
網目(一目1ミリ)から測定しますと体長16ミリ、体色は全身が暗褐色ですが明暗は個体差があり、わずかに斑模様が入り一面に細やかな黄褐色の斑点があり、前胸部の前縁に四つの小さな白い斑点が横に並んでいます。
6月下旬から7月下旬にかけて孵化し、5齢幼虫 を経て8月頃から成虫が活動しますが、その年には繁殖行為を行わずに越冬します。
一目見て、コウチュウ目(鞘翅目)オサムシ科の昆虫だと判断、頭部・胸部の形状から「オサムシ」類ではなく、<ゴミムシ>の一種だと分かりますが、世界中には4万種、日本では約1600種が分類されているようで、特定の種まで同定できませんでした。
名称に「ゴミ」とありますが、獲物となる小昆虫の多いゴミダメによくたむろしているところから付けられています。
<ゴミムシ>には様々な形態や生態がみられますが、一般的には扁平な体に顎が発達した咬む口と、糸状の触角をもっています。
なんとも悩ましい 「テントウムシ」 を見かけた「フヨウ(芙蓉)」の葉を、まだいるかなと再確認しましたら、一匹の<シャクトリムシ(尺取虫)>を見つけました。
<シャクトリムシ>は主として「シャクガ科」の「蛾」の幼虫で、くねくねと体を逆U字型に曲げながら歩行します。
一般的に「シャクガ科」の幼虫は毛や針がなく、いわゆるイモムシ型なのですが、本種は珍しく毛で覆われていますので、すぐに成虫の名がわかるかなと思いましたが、これまた同定できませんでした。
通常の幼虫は胸部に3対の脚があり、腹部に5対の疣足がありますが、「シャクガ科」の幼虫である<シャクトリムシ>は、腹部の疣足が後方の2対を残して退化しています。
追記:その後チョウ目ヤガ科アオイガ亜科の 「フタトリガリコヤガ」 の幼虫だと判明しました。
マメ科 クズ属の「クズ」を見かけますとつい葉や茎に目が行き、何がしかの「カメムシ」がいないかと観察してしまいますが、一匹の成虫と三匹の幼虫が仲良くたむろしている【マルカメムシ(丸亀虫)】を見つけました。
本種が分類されているカメムシ目の昆虫は、日本では850種を超えており、いかにも「カメムシ」といったものから、「アメンボ」 や「タガメ」、「セミ」類や「アブラムシ」などを含んでいます。
「カメムシ」は危機を感じたときに発する臭気でよく知られていますが、鳥やカマキリの捕食性の昆虫にはこの臭気は効果が無く、天敵から身を守る役割を果たしていません。
異性を誘引するフェロモンとしてか、縄張りを示す効果があるのか、また仲間に警戒を促すアラームとしての役割などが考えられていますが、どれもまだ仮説の段階です。
暑いこの時期、「アゲハ」類の幼虫を見かけますと、餌となる柔らかい新芽が少なく心配ですが、なんとか 「終齢(5齢)幼虫」 手前まで大きくなった 【クロアゲハ】 の「4齢幼虫」を、「レモン」の葉の上に見つけました。
「アゲハ」類の幼虫は、「頭部」のように思える大きな部分は「胸部」で、「頭部」はいつも「胸部」の中に入っています。
頭部の左右に6個ずつの目を持っていますが、おそらく明るさ程度しか判断できない構造ではないでしょうか。
威嚇のために二股に分かれた濃い桃色の<臭角>を出すことがありますが、「ナミアゲハ」の<臭角>は黄緑色ですし、また【クロアゲハ】の幼虫は体表が濡れているような艶があります。
写真でもわかるように、【クロアゲハ】の尾端には体表を覆うように全体に白色をしていますが、「ナミアゲハ」 は左右に白く全体を覆いませんので区別ができます。
体長6ミリほどの<オス>の【ヤミイロカニグモ】が、「レモン」の茎で小昆虫の餌を捕ろうと待ち構えていました。
クモ目カニグモ科カニグモ属、雌雄異体で<メス>の体色は赤褐色ですが、写真は黒色の<オス>です。
頭胸部は長さと幅がほぼ同じ、腹部は後方が幅広く台形に近い形で、腹部の背面には数本の細い白色横線が入り、背甲や歩脚に多数の棘があり、第一脚と第二脚が他より長くて長さは同じです。
眼は2列8眼あり、前列外側の前側眼が最も大きく、よく発達した眼丘に側眼があります。
これらの外見的な特徴は、カニグモ属の多くの種に共通にみられますが、第一脚と第二脚の付け根半分が黒色という特徴は本種のみです。
先ほどは<抽水植物>としての 「ガマ(蒲)」 を紹介しましたが、その水辺に 【アメンボ】 たちがスイスイと水面を泳いでいて、仲のいいカップルと遭遇しました。
「オンブバッタ」 と同様に、上に乗っている小さいのが<オス>で下が<メス>です。
交尾時間は短いのですが、終わりましても<メス>の背に乗ったままで他の<オス>と浮気をしないように見張っているのも「オンブバッタ」と同様で、水中で無事産卵するまでこの状態が続き、<オス>は餌をとることができません。
産卵から一週間程度で<孵化>して幼虫になりますが、日数は気温(水温)によって変動します。
水中で孵化した幼虫は水面を目指して上昇しますが、水面には「表面張力」が働いていますので、これを超えて水面に飛び出すのがひと仕事、すでに腹の横には呼吸する<気門>ができていますので、早く水面に出なければ死んでしまいます。
「フヨウ(芙蓉)」の大きな葉の上に、黒地に赤4紋の小さな<テントウムシ>を見つけました。
一般的な<テントウムシ>は体長が5ミリ~8ミリ程度あり、この<テントウムシ>が5ミリほどの大きさであれば 「ナミテントウ(並天道虫)」 だとすぐに同定できるのですが、本種は体長が3ミリにも満たないだけに考え込んでしまいました。
体長3ミリ程度で、黒地に赤2紋であれば 「ヒメアカホシテントウ(姫赤星天道虫)」 で、頭に「ヒメ(姫)」と付くのは昆虫の世界では「小さい」ことを表していますが、「ヒメナミテントウ」という名称での分類はありません。
たまたま「ナミテントウ」の小型版なのか、変異的に生まれた「ヒメアカホシテントウ」なのか、なんとも悩ましく眺めておりました。
今年は九州以南で分布している 「サザナミシロアオシャク」 という緑色の<蛾>を記録できましたが、今回も緑色の<蛾>です。
開張20ミリほどの大きさで、大きな<蛾>ではなく、翅の端部に灰色の帯があり、縦に黒筋が入っています。
翅中部両脇には白い斑紋が一対あり、細い白い線が囲うような形で翅の後ろに入っています。これだけの特徴を持ちながら、手元の資料では同定することができません。
この<蛾>もまた珍しい部類なのかなと期待して、記録として残しておきます。
(追記)・・・「蛾」とばかりおもっていましたが、カメムシ目頸吻亜目ハゴロモかの【アミガサハゴロモ】だと同定できました。
体長6ミリほどの素早い動きの<蜘蛛>が目にとまり、よく見ますと【アンダんソンハエトリ】の<オス>でした。
クモ目ハエトリグモ科オビジロハエトリグモ属に分類され、性的二形が顕著で、雌雄では体長や斑紋に違いがはっきりしています。
<オス>は蝕脚がやや長く黒色の体色、頭胸部後ろ側に白いU字、腹部全部にも三日月形の白い紋が入っています。
<メス>はくすんだ茶褐色をしていますが、じっくりと観察しますと、<オス>と同様にうっすらと紋らしきものが見て取れます。
本来は「家蜘蛛」として、「アシダカグモ」 や 「チャスジハエトリ」 と共に家屋内にいるのですが、なぜか外壁を移動していました。
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