ファルコン昆虫記(756)旅路の果てに(22)【キリギリス】(16)
10月
18日
作業中の横を通りますと、なんと左脚をなくした【キリギリス】が道路に飛び出していて、チェーンソーで傷ついたのか、草叢の棲家を追われたようです。
近づきますとぴょこんと右脚で飛び上がり、50センチばかり移動できましたが、これから新しい棲家が確保できるのかと気がかりです。
ふと<松尾芭蕉>の「むざんやな 甲の下の きりぎりす」という俳句を思い出しました。
この当時の「きりぎりす」は「こおろぎ」のことですが、<芭蕉>が加賀の国(石川県)の「多太神社」を訪れ、<斉藤実盛>の兜を見ての作です。<実盛>は平家方の武将として70歳を超えていましたが、老いを隠すために白髪を染めて出陣し打ち取られています。
謡曲『実盛』(世阿弥作)の一節に、「あなむざんやな」という表現があり、<芭蕉>はそれを引用しています。
若い武将と見せて出陣する<実盛>には死の覚悟があったでしょうが、チェーンソーでの襲来は、彼女にとっては不意打でかわいそうな気がいたします。
投稿日 2015-10-18 18:44
ワオ!と言っているユーザー
投稿日 2015-10-18 20:48
ワオ!と言っているユーザー