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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(52)『藁にもすがる獣たち』曽根圭介(講談社文庫)

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今年の読書(52)『藁にもすが...
これはなんとも「痛快な」構成で、犯罪ミステリーの範疇なのですが、娯楽小説としての構成も見事で、楽しめました。

登場人物たちはどうしようもない最低の人間たちなのですが、結末が見えない中、最後まで一気に読ませてしまう面白さがありました。

サウナの受付のアルバイトをしている<赤松寛治>は、60歳。5年前に父親の跡を継いだ理髪店を閉店、まだらぼけの母親とパートの奥さんと生活していますが、夜中に来た客の忘れもののザックの中に現金が詰まっているのを見つけてしまいます。
刑事でありながら暴力団から金を借りている<江波戸良介>は、横領した知人の金を盗み取る算段をしなければ、自分の身が危ない状況に追い込みを掛けられています。
金儲けにと手を出した「FX」で大損をし、サラ金から借りた金を返すためにデリヘルで働いている主婦<庄田美奈>は、デリヘルに来た若い男に自分の暴力亭主を殺すように話しを持ちかけます。

人間の弱さと限りない欲望が交差する、秀逸な一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(51)『機密漏洩』濱嘉之(文春文庫)

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今年の読書(51)『機密漏洩』...
<警視庁公安部・青山望>シリーズも、第1作目の 『完全黙秘』 から第4作目になりました。

長崎・平戸に中国人5人の射殺死体が乗った難破船が漂流するところから物語は始まります。
船内の遺留指紋から、ひとりの人物が浮き上がり、事件情報を入手した<青山>は、持ち前の情報網を駆使して事件の調査を始めるうちに、琵琶湖でも死体が発見されます。

一見つながりのない殺人事件にみえたのですが、第3作目の 『報復連鎖』 に登場した青森県大間の原発工事と絡み、香港マフイアと東北マフイアの抗争に、歌舞伎町の裏社会、中国との政治問題を絡ませながら最後まで目が離せない展開が繰り広げられます。

中国の空気汚染と水の汚染問題を底辺に、日本側の特許技術の機密が絡み、警察小説ながら著者の中国に対する政治的姿勢も垣間見られて面白く読み切りました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(50)『神戸25メートルの絶望』西村京太郎(中公文庫)

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今年の読書(50)『神戸25メ...
今年の読書も、切りのいい(50)冊目になりました。
少し息抜きの意味を込めて、タイトルに「神戸」が付いている西村京太郎の推理小説です。

観光会社の企画した「日本の異国」という神戸の街を巡る豪華ツアーに参加した6人の参加者の内、異人館巡りの観光中にひと組の夫婦が姿を消し、二日後に夫が半径25メートルの円の中心で「公開処刑」され、続けて妻も同じ状況の中で殺されてしまいます。

ツアーの参加者はみな阪神・淡路大震災で被害を受けている人たちばかりで、犯人の動機は倒壊した瓦礫のなかに両親が埋まり、通りがかった夫婦に助けを求めたが無視されたという逆恨みでの犯行なのですが、神戸市民としては違和感を覚えてしまいました。
あの状況下の中で、逆恨みを持つような心情は考えられず、やはり被災者でない作家の机上の発想だなと、いい印象は持ち得ませんでした。

限られた登場人物のなか、参加者の連絡先を知りえる立場と、仕事中のアテンダントの女性が異人館観光中に恋人に電話をする場面を重ね合わせますと、すぐに犯人が読めてしまう組み立てもいただけませんでした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(49)『矢上教授の午後』森谷明子(祥伝社文庫)

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今年の読書(49)『矢上教授の...
主人公の<矢上>は、タイトルでは「教授」となっていますが、実際は70歳のミステリーファン、生物総合学部の担当の日本古典文学担当の非常勤講師です。

舞台は夏休み中のとある大学の取り壊し寸前の5階建ての研究棟が、大雨と落雷で停電、エレベーターも止まり携帯電話も使えない中、非常階段も開かない状況で、見知らぬ男が殺されているのが発見されます。

民族楽器の破損、表彰状の入っていた筒だけが見つかるなど、一見何気ない些細な事件が導入部から続き、読み手側としてどう展開するのか疑問に感じながら読み進めましたが、最後に一本につながる構成はなるほどと「生物総合学部」を舞台にした意味合いが理解できました。

密室殺人事件を大きくとらえた研究棟全体の登場人物たちの行動を、昼過ぎの落雷停電から事件解決までの半日が、計算されつくした構成で楽しめました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(48)『再会』横関大(講談社文庫)

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今年の読書(48)『再会』横関...
第56回江戸川乱歩賞受賞作品で、単行本としては2010年8月の刊行になります。文庫化の際、「余分な情報がないから読者を限定せずに想像力を刺激してくれる」という選考委員と著者の一致した判断により『再会』という漢字2文字に改題されています。

物語の主軸には、小学校6年生の時に起こった銀行強盗事件に関連した拳銃を校庭にタイムカプセルとして埋めた4人、<岩本万季子>・<清原圭介>・<佐久間直人>・<飛奈淳一>が23年後、それぞれの人生を歩んでいた彼らに、<直人>の義兄がタイムカプセルに隠していた拳銃で射殺される事件をきっかけに4人が再会します。

タイムカプセルの埋めた場所と暗証番号は4人だけしか知らないという設定のもと、卒業してからの4人の人生を伏線として、捜査一課の刑事になっている<飛奈>は、仲間を信頼しながらも捜査を進めていかなければなりません。

かなり凝った構成で、随所にミステリーお決まりの伏線が引かれていますが、銀行強盗事件で流れ弾に当たって亡くなった女性の名前が頻繁に出てくるなど、ミステリーファンとしては過剰な伏線だと見抜いてしまえる個所もありますが、<飛奈>と組む本庁の刑事<南良>の冷静な分析が楽しめ、乱歩賞受賞の作品として楽しめました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(47)『歪 捜査一課・澤村慶司』堂場瞬一(角川文庫)

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今年の読書(47)『歪 捜査一...
長浦市の大学4年生の<日向毅郎>は、振り込め詐欺グループのリーダーとして、次なる事業の展開を図るべく動いていましたが、銀行のATMから金を引き出す役の<氏原>は警察に目を付けられたことにより殺害してしまいます。

逃走資金として、振り込め詐欺で儲けた現金を、東北の雪深い実家に隠していたのを取りに戻った時に、偶然高校の同級生<井沢真菜>と駅で出会い、<真菜>も長浦市に住んでいるとのことで、同乗して帰ることになりまが、<真菜>も2歳の娘を凍死させ交際中の男を刺殺していました。

無関係に思われた殺人事件ですが、県警捜査一課の<澤村>は、刑事の感で二人の実家のある東北へと足を向けていきます。
前作 『逸脱』 から引き続いて登場する上司の<谷口>一課長、情報統計官<橋詰真之>、初々しい女性刑事<永沢初美>等の脇役がいい存在感でもって描かれています。 

虚無的な殺人者の性格と、それを追う刑事たちの推理が交差しながら物語は展開、残りのページが少なくなるにつれてどのような結末で終わるのかと、楽しめた一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(46)『少女』湊かなえ(双葉文庫)

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今年の読書(46)『少女』湊か...
女子高の2年生に転校してきた<紫織>から、親友の自殺を目撃をしたことがあるという告白を聞いた<由紀>は、死体ではなく人が死ぬ瞬間を見てみたい考え始めます。

<由紀>の親友<敦子>は、中学生の時に剣道の全国大会で優勝するほどの実力者でしたが、足のけががもとで推薦入学であこがれていた高校を諦めて<由紀>と同じ女子高に入学していますが、死体を見ればもう一度強い自分になれるのではないかと考えます。

夏休みを利用して、<敦子>は老人施設のボランティア、<由紀>は小児病棟の慰問ボランティアと、それぞれ死の瞬間に立ち会いたいという願望を隠して出かけていくのですが・・・。

何気ない登場人物たちが、思わぬところでつながってゆく構成は見事としか言いようがなく、まさに<湊かなえワールド>が楽しめ、現代女子高生の<怖さ>を感じさせる生態を描き切っています。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(45)『ようこそ、わが家へ』池井戸潤(小学館文庫)

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今年の読書(45)『ようこそ、...
物語の導入部は、「倍返しだ!」で有名になった<半沢直樹>の著者かなともおもえぬ、ホラーチックな始まりでした。

主人公<倉田太一>はある夏の日、駅のホームで割り込み男に注意したのがきっかけで、正体不明の男の嫌がらせが始まります。
妻が世話していたダリアの花壇は荒らされ、郵便受けには瀕死の子猫が投げ込まれたりと不審な出来事が起こり、家の中から盗聴器が見つかるなど、親子4人の穏やかな日常が乱されていきます。

かたや銀行に勤める<倉田>は、定年を目の前にして電子部品会社に総務部長として出向、営業部長が取引に関して不正を働いてる事実を、部下の<西沢摂子>と追及してゆくのですが・・・。

家庭を見知らぬストーカーから守り、会社では出向者という肩書で孤軍奮闘する<倉田>の行動に応援をしたくなるほど、中盤からラストまで<池井戸>らしい構成で盛り上がり、最後までページをめくる手が止まりませんでした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(44)『珈琲店タレーランの事件簿3』岡崎琢磨(宝島社文庫)

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今年の読書(44)『珈琲店タレ...
「珈琲店タレーランの事件簿」シリーズとして、『珈琲店タレーランの事件簿2』に続く『珈琲店タレーランの事件簿3』ですが、初の長編推理としての登場になりました。

珈琲店タレーランのバリスタ「切間美星」はバリスタの頂点を決める関西バリスタ大会の本選への出場を果たします。友達以上恋人未満の「青野」や、オーナーである大叔父「藻川」を引き連れて挑んだ大会の競技中、なんと「美星」は異物混入事件に巻き込まれてしまいます

犯人が見つからないまま、第2、第3の事件が起こり混沌とする会場。「美星」は「青野」と共に、密室の謎を軸に試行錯誤を繰り返しながらも、「美星」の洞察力、推理力が冴えわたり犯人捜しに挑みます。

事件は美星がバリスタが集う大きな大会に出場したことで起こります。「美星」にとって「関西バリスタ大会」は憧れの大会であり、大会の第1回王者である「千家」は教えを請いに行くくらい尊敬していた存在でした。しかし、事件を解決していくうちに「千家」に対して、辛い疑惑が持ち上がっていくのです。「憧れ」と「現実」のギャップはどの世界にも起こりうることであり、「やっぱり憧れは、中に入ってみるものじゃありません。外からながめて楽しむのが一番です」の「美星」の言葉には共感が持てます。

大会中2日間に渡り、今まで以上に密に協力しあってきた「美星」と「青野」。ラストシーンでは「美星」が積極的に迫ろうとしますが、「青野」に上手くかわされてしまいます。しかしバリスタの修行のためとはいえ、イタリアに一緒に行く話で盛り上がる二人に、読み手側も甘酸っぱい気持ちにさせられます。
#ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(44)『いつか響く足音』柴田よしき(新潮文庫)

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今年の読書(44)『いつか響く...
物語は、いまや駅から遠く古臭い環境になってしまっている、昭和40年代に建てられた団地が舞台です。

ある日サラ金ローンで夜逃げしてきたキャバクラ嬢の<絵里>は、高校の同級生で中退した<朱美>の部屋に転がり込んできます。

団地にはそれぞれの人生の過程で、最愛の夫や妻を不慮の事故や病気で亡くした高齢者たちが、ひとり寂しく人生の思い出をかみしめながら生きてゆく姿が、6話の連作短篇として納められています。

<人生の明日にいったい何が待っているのかは、誰にも予測できない>との文章が出てきますが、それだからこそ前向きに生きなければという著者のエールを感じ、また人間関係がいかに大事かを知らしめてくれる心温まる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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