記事検索

神戸:ファルコンの散歩メモ

https://jp.bloguru.com/falcon
  • ハッシュタグ「#読書」の検索結果1834件

今年の読書(2)『だいたい四国八十八ヶ所』宮田珠己(集英社文庫)

スレッド
今年の読書(2)『だいたい四国...
四国88か所のお遍路さんは、すべてを一気に巡る「通し」と、何回かに分けてつないでいく「区切り」の二通りがあります。

本書は「区切り」のお遍路ながらも、全行程を歩いて四国一周を果たした体験記です。
文章の頭に、全行程の四国のイラスト図と高低差のわかる図表がありましたので、著者の文章を読みながら、合わせて場所等の確認ができて助かりました。

宗教心も悩み事もない著者は、お遍路自体に意味を見出すことなく、ただ単に四国一周を歩き通したいという理由だけで一番札所「霊山寺」から始め、八十八番札所「大窪寺」、そして「結願」として一番札所に戻るまでの64日が、旅とレジャーの執筆を生業とする目線で綴られています。

足のマメの傷みに耐え、行く先々で「お接待」を受けながらの道中記、<熊倉伸宏>氏の 『あそび遍路』 を読んで以来のエッセイですが、ハウツー物としての知識も増え、面白く読み終えれました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(1)『一匹羊』山本幸久(光文社文庫)

スレッド
今年の読書(1)『一匹羊』山本...
「未年」ということもあり、今年の読書の一冊目は、9編の短篇が収められた『一匹羊』を選びました。

どの短篇もごく普通にあるだろうなという日常的な生活の場面を背景に、それぞれの主人公たちの心の動きをさりげない文体で描き、新しい人生の一歩を踏み出す心のさまが、素直に心にしみ込んできます。

タイトルにもなっている『一匹羊』は、ごく平凡な縫製メーカーに勤める40歳の<大神>は、受注した居酒屋のユニフォームのデザインが他店の盗作だと見破りますが、上司から売り上げのために目をつぶれと諭されてしまいます。
同じ部署には20歳の<沖元美香>がおり、何事に対しても実直で自分の意見を持つ姿勢に、<大神>は若いころの自分の生き様と重ね合わせて好感をもってみています。

ある日中学生が職場体験に派遣されてきますが、<キクチ>という生徒と触れ合ううちに、若かりし頃の自分の気構えを取り戻していきます。
会社の上司に対して反抗することなく、人間性が丸くなったと周囲から見られていますが、本人は「ずるい大人になっただけ」と割り切って<羊>になっていましたが、<沖元>や<キクチ>に刺激を受け、若いころの希望に燃えた<一匹狼>に変貌する姿が、心に爽やかに響く作品でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

ワオ!と言っているユーザー

<生け花>(209)【嵯峨御流】@山陽東須磨駅改札口横

スレッド
<生け花>(209)【嵯峨御流...
2015(平成27)年の年明け一番の<生け花>は、大好きな<佐々木房甫>先生の作品で幕開けです。

お正月飾りということで、縁起が良い「松」・「葉牡丹」・「センリョウ(千両)」が使用され、黄色・赤紫色・白色の「菊」が添えられていました。

左上方に大きく「松」の枝を配置し、右側の「松」の枝とのバランスを取る要として各種の花がまとめられていました。

使用されている花器も素晴らしく、全体を引き締める役割を十分に担ってました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(157)『複合捜査』堂場瞬一(集英社文庫)

スレッド
今年の読書(157)『複合捜査...
本書『複合捜査』は、「捜査シリーズ」として『検証捜査』に次ぐ2段目として、2014年12月16日に文庫本として発売されています。

さいたま市で治安悪化に対応する夜間緊急警備班が発足。班長の「若林」警部は、部下の失態で出世街道を外れた男。仕事の虫で部下を無能扱いする彼は、若手刑事から煙たがられる存在でした。

ある夜、放火現場へ急行し、初動捜査にあたります。翌日、繁華街で発見された惨殺死体が、放火と関連があると睨んだ警備班は独自の捜査を進めていきます。

トップの「若林」警部のキャラが秀逸でした。周りからの皮肉を皮肉で返す火に油を注ぐ天才的な頭の回転の良さ、部下にも容赦が無さすぎて周りからも、別の管轄からも露骨に嫌われてるのに気付いてるのに何ともないメンタルの強さ。一生懸命やってるが空回り。

しかし、警察の意地悪さを知った上で『失敗して格好悪くて何だ?皮肉を言われようが嫌われようが市民を助けるのが警察官だろうが!』という凶悪犯を追う熱い刑事魂を、スピード感溢れる筆致で描いている作品です。
#ブログ #文庫本 #読書

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(156)『居酒屋お夏』岡本さとる(幻冬舎時代小説文庫)

スレッド
今年の読書(156)『居酒屋お...
今年最後の読書は、居酒屋好きの酒呑みらしく『居酒屋お夏』を選びました。

主人公は目黒不動で「酒 飯」の幟を掲げた居酒屋を営む女将の<お夏>ですが、経歴・年齢不詳で客に対して毒舌を絶やさず、「因業婆」・「くそ婆ァ」と呼ばれています。

本書は四話の短篇からなり、市井に起こる事件を、「天女」ともおもえる美女が手助けして解決してゆく人情噺ですが、この「天女」が<お夏>だとはどこにも書かれていませんが、自然と読者に裏世界での顔だと暗示させています。

「くそ婆ぁ~」と罵りながら毎日顔を出す口入れ屋の<龍五郎>、<お夏>の店の寡黙な料理人<清次>を脇役に、人生の機微に戸惑う人々との交流がほのぼのと描かれています。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(155)『こなもん屋うま子』田中啓文(実業之日本社文庫)

スレッド
今年の読書(155)『こなもん...
いやぁ~、関西人としては関西弁の駄洒落・ボケとツッコミ・オチのオンパレードで、抱腹絶倒、笑えた一冊でした。

本書は「粉もん」にかかわる7話の構成で、ストーリーの組み立てはどの章も同じなのですが、前述しました巧みな関西弁の文章力と、「粉もん」屋の店主であり主人公である大阪のおばはん<蘇我屋馬子>の強烈な個性で、一話一話どれもが楽しめる内容でした。

主人公<馬子>のお店は、「粉もん」全般を扱うお店として商店街や飲み屋街の一角に店を構え、<お好み焼き>・<たこ焼き>・<うどん>・<ピザ>などを、<蘇我屋イルカ>という10代と思しき女の子と営業、店に食べに来る登場人物たちの悩みを解決していきますが、彼らが改めて足を運ぶと、お店は初めからなかったように消えてしまっています。

B級グルメ派を自認していますが、第一話の<お好み焼き>を中心とした『豚玉のジョー』の章では「隠れた名店」の条件として6項目ほど記載されている部分があり、<マヨネーズは、できれば「いりますか」とたずねてくれるほうがいい>など、相槌を打つ場面が多々あり、「そうだ、そうだ」とひとりでツッコミを入れながら楽しく読み切りました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(154)『パパは楽しい躁うつ病』北杜夫・斉藤由香(新潮文庫)

スレッド
今年の読書(154)『パパは楽...
<北杜生>が亡くなってはや3年ばかりが経ちますが、2009年に朝日新聞社から発行されていました本書が、新潮文庫に登場していました。

『楡家の人びと』や芥川賞受賞作品の『夜と霧の隅で』などの代表作をはじめ、<マンボウ>シリーズの随筆を高校生の頃に読みふけりました。

著者の「躁うつ病」は有名で、あちらこちらに自ら書かれていますが、当時は今ほど一般的な病名ではなく、同じ精神科医の<なだいなだ>が「北君の社会的貢献は、躁うつ病を世に広めたことだ」と言わしめています。

<斉藤由香>は著者の一人娘で、躁うつ病のために母親と一緒に別居生活を余儀なくされたことや株の投資で破産したこと、日本から独立して「マンボウマゼブ共和国」設立などの裏話が、二人の赤裸々な対談形式で楽しめました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(153)『タルト・タタンの夢』近藤史恵(創元推理文庫)

スレッド
今年の読書(153)『タルト・...
舞台は商店街の一角にある小さなフレンチ・レストラン『ビストロ・パ・マル(悪くない)』です。
登場人物はシェフの<三舟忍>、サブの<志村洋二>、ソムリエの<金子ゆき>、ギャルソン<高築智行>の4人です。

本書には7編の短篇が収められており、<高築>の目線で物語が語られ、客たちの巻き込まれた事件や不可解な料理にまつわる謎解きを、シェフ<三舟>が見事に解決していきます。

フランス料理の基本的な事柄を随所に散りばめられ、<人は楽しむためにも食べるが、生きるためにも食べる>という<三舟>の哲学的な言葉は、料理の基本として感じ入りました。

悩んだいる当事者の心を慰めるために、随所にシェフ特製の「ヴァン・ショー」というホットワインが登場してきますが、機会があれば試してみたい飲み物として心に残りました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(152)『恋都(こと)の狐さん』北夏輝(講談社文庫)

スレッド
今年の読書(152)『恋都(こ...
京都を舞台にした小説は多々ありますが、同じ古都でありながら奈良が登場するのは珍しく、<恩田陸>の旅情ミステリーとしての 『まひるの月をおいかけて』 を思い出しておりました。
著者自身が1986年大阪府生まれ、現在奈良女子大の大学院生ということもあり、奈良が舞台なのは納得です。

主人公である「私」は、大阪の実家から奈良にある女子大学に通う2年生ですが、2月3日に行われる二月堂の節分祭の豆まきで、白い狐のお面を付けた着流し姿の男と出会います。
その傍らには、年上であり美人の<揚羽(あげは)>が付き添っていました。

<女子中・高・大>の環境で育ち、彼氏もいない「私」は、奈良の伝統行事に出向くことで二人との付き合いが始まり、やがて仲の良い<揚羽>を気にしながらも<狐面>の彼に思いを寄せていくのですが、<揚羽>の不注意で彼が子供の頃の花火事故で顔に火傷を負ったことを知り、幼馴染の<狐面>と<揚羽>の仲を取り持つことを考え始めます。

20歳の揺れ動く女心を縦糸として、奈良の寺院や街並・伝統行事を散りばめ、淡い青春物語が詰まった一冊として楽しめました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

ワオ!と言っているユーザー

今年の読書(150)『シティ・マラソンズ』三浦しをん・他(文春文庫)

スレッド
今年の読書(150)『シティ・...
<三浦しをん> ・ <あさのあつこ> ・ <近藤史恵> と好きな著者3人が、「マラソン」をテーマにしたアスリートの物語を執筆しているということで、てっきり同じ主人公を引き継ぎながらの連作なのかなと思いましたが、それぞれ独立した小説でした。

第1話は<三浦しをん>さん、学生時代にランナーでしたが不動産業界に就職してからは仕事ばかりで走る楽しさを忘れてしまった男が、社長の娘の策略で「ニューヨークマラソン」に参加、忘れていた楽しさを思い出します。

第2話は<あさのあつこ>さん、仲のよかった同級生と彼女との三角関係のもつれで無理して走り疲労骨折をしてしまう男は、大学を卒業してスポーツシューズメーカーに就職しますが、先輩技術者から「中途半端だ」と指摘されてしまいます。
同級生の彼から、彼女の事故死を乗り越えて「東京マラソン」に出場すると8年ぶりに電話があり、男は彼のためにマラソンシューズを作る過程で、先輩が言う「中途半端」な部分に気が付きます。

第3話は<近藤史惠>さん、母親がバレー教室をしていた関係で小さいころからバレーに明け暮れていた彼女は、5歳年下の妹の才能にバレーの道を諦めてパリに語学留学します。そこで出会った女性とワンちゃんに感化され、自分もジョギングをはじめ「パリマラソン」に参加する意志をかため、ジョギングの練習を始めます。

それぞれの人生の過程で傷つている3人が、三者三様の些細なきっかけで新しい人生のスタートを切る感動が伝わる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

ワオ!と言っているユーザー

  • ブログルメンバーの方は下記のページからログインをお願いいたします。
    ログイン
  • まだブログルのメンバーでない方は下記のページから登録をお願いいたします。
    新規ユーザー登録へ
ハッピー
悲しい
びっくり