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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(30)『精神科医が狂気をつくる』岩波明(新潮文庫)

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今年の読書(30)『精神科医が...
全8章からなる構成ですが、歯に衣を着せぬ明快な文章で綴られ、最後まで尽きぬ興味で読み終えれました。

特に科学的根拠もなしに一般市民に対して影響を与える著書や著者を、一刀両断に論破する箇所は、自らの考えに自信がないとできないことです。
また医療制度に対する国側の姿勢、製薬会社・マスコミの現状にも切り込んでいます。

精神疾患の治療と称して行われている「うつ病には・・・・が有効である」や一時流行しました「脳トレで認知症は治る」といったまやかしが、取り返しのつかない重篤な患者を生み出している現状等を、患者の症例を用いながら詳しく述べられていました。

また、精神科医の範疇を超える博覧強記な知識や史実が随所に散りばめられ、精神科の歴史の知識も得れる内容でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(29)『廃墟に乞う』佐々木譲(文春文庫)

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今年の読書(29)『廃墟に乞う...
1979年に『鉄騎兵、跳んだ』で「オール讀物新人賞」を受賞して以来、数々の賞を受賞している著者ですが、本書はデビュー30年目にして「第142回直木賞」受賞作品で、作家生活32年目に受賞した <白石一郎> に次いで遅い受賞者になります。

本書の主人公は、誘拐監禁事件で不注意から女性を助けることができず、逃亡した犯人が自殺するという幕引きになり、心身的に衰弱、休職扱いを受けながら自宅療養している北海道警<仙道孝司>警部補です。

休職中ということで警察手帳は持っていませんが、逆に道警の管轄以外に行動ができるという利点を生かし、知人からの依頼に対して探偵役的に調査をすすめ、決してでしゃばることなく事件の手柄は所轄の刑事に譲るという立場を貫き通しています。

著者は夕張市生まれ、現在は中標津在住という立場から北海道の地理に精通しており、納められた6話の短篇はどれもそれぞれの地域特性を生かした登場人物を絡めさせる構成は見事です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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ファルコン植物記(1444)<梅>(6)【西王母】

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ファルコン植物記(1444)<...
品種名の【西王母(セイオウボ)】は、中国で古くから信仰された女神(仙女)の名前で、3000年に一度だけ実を結ぶ不老不死の霊薬とされる桃の木の所有者です。

幕末の頃、金沢で育成された<椿>にも、同名の「西王母」の品種があります。

梅の原種に近い野梅系の紅筆性として淡い桃色をした一重咲き、花径20~25ミリの中輪で、開花時期は2月~3月頃です。

本来の<桃>には「西王母」という品種がないのかなと調べますと、山形県天童市にあります<イシドウ>が、「川中島白桃」と「ゆうぞら」を交配させ選抜育成させた「西王母」を、2004年11月に品種登録をしていました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(28)『光』三浦しをん(集英社文庫)

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今年の読書(28)『光』三浦し...
何とも重たい主題に、読み終えて唸ってしまいました。
ひとつは、来月11日で4年目を迎える東北大震災ですが、本書の初出は遡ること5年前の2006年11月から『小説すばる』に連載(~2007年12月)が始まっていることです。

伊豆大島に近い美浜島に、ある日突然津波が押し寄せ島全体が壊滅、中学生の<信之>と同級生の<美花>、幼馴染の<輔(たすく)>、そして船で釣りに出ていた<輔>の父親と釣り客の<山中>、灯台守の爺さんだけが生き残ります。

自衛隊が救援作業中、<山中>は<美花>を襲い、目撃した<信之>は<山中>を殺してしまい、<輔>はそれを目撃、写真を撮影していました。

時は20年が経ち、<信之>は市役所に勤め5歳の娘を持ち平凡に暮らしていたのですが、20年ぶりに<輔>は<信之>の前に現れ、現金を要求してきます。

それぞれの登場人物が相手のことを想いながら、真実の愛情とはなにかという重い主題を織り込み、人間の弱さと凶暴性は表裏一体だと改めて感じさせてくれる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(27)『こいわすれ』畠中恵(文春文庫)

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今年の読書(27)『こいわすれ...
本書は、江戸町名主の跡取り息子<麻之助>を主人公に据えた 『まんまこと』 シリーズの第三弾目になります。

相変わらず幼馴染の同じ町名主で色男で女たらしの<清十郎>、堅物で品行方正な見習い同心<吉五郎>とともに、神田町内や江戸に起こる謎めいたことや揉め事の解決に紛争する様子が6話、ユーモアたっぷりに描かれています。

『鬼神のおつげ』では、「富くじ」を題材に江戸時代の「庚申待」などの風習を絡ませて、江戸物として興味深く読めました。

本書では女房<お寿ず>が懐妊、町名主の跡取りとして頑張る<麻之介>でしたが、早産で無事に生まれず女房も亡くなってしまいます。
全体の物語の流れからして、突然に<お寿ず>を亡くならす必要性があるとも思えず、今後の展開に向けての伏線なのかなと、少し寂しい気分で読み終えました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(26)『パインズ-美しき地獄ー』B・クラウチ(ハヤカワ文庫)

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今年の読書(26)『パインズ-...
第2次湾岸戦争に従事した<イーサン・バーク>は、除隊後シークレットサービスの捜査官になり、同僚二人が行方不明になっている「ウェイワード・パインズ」という地方都市に出向きますが、そこで交通事故に合ってしまいます。

身分証明書も現金、携帯電話も失ったまま「パインズ」の保安官事務所に助けを求めるのですが、なぜか外部との連絡も取れず、みずから病院を抜け出して自動車で町からの脱出を試みるのですが、なぜか元の町に戻りついてしまいます。

ある日町の住民全員が、<イーサン>の町からの脱走を阻止すべく集結、手助けしてくれた一人の女性はなぶり殺しにされてしまいます。
彼女がまだ試みていない森の奥に脱出できる道がないかと逃げる<イーサン>ですが、行く手には見たことのない異形の生物が現れます。

これでもかと町から脱出させないように保安官や住民たち、病院の医師や看護師の行動に読み手側もハラハラ・イライラとさせられるのですが、結末は意外な方向に向かい、予測不可能な衝撃のラストが待ち受けていました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(25)『ガウディーの鍵』マルティン&カランサ(集英社文庫)

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今年の読書(25)『ガウディー...
建築に携わる者には、スペインのバルセロナを中心に活躍した建築家<アントニオ・ガウディー>の名は知れ渡っていますが、一般的に彼の名が知られるようになったのは、30年ほど前に流れていたサントリーローヤルのテレビCMで、「グエル公園」が登場していました。

本作品は、<ガウディー>が1926(昭和元)年6月7日に路面電車にはねられる場面から始まります。
美術史家の<マリア>は、祖父から自分は<ガウディー>の後継者で、彼は「七人の騎士」の代表者であるがゆえに、悪魔の結社「メンスラ団」の<アスモダイ>に殺されたのだと教えられ、ソロモン王の時代から「七人の騎士」が守り通してきた『キリストの鍵』の謎を解いて、<ガウディー>の使命をを完成させるようにと打ち明けられます。

<マリア>は恋人である数学者の<ミケル>の協力のもと、バルセルナに点在する<ガウディー>の建築物を巡り、「メンスラ団」の妨害を受けながらも、謎解きの世界に没頭していきます。

キリスト教を中心とする宗教的な要素と<ガウディー>の建築物の神髄を絡ませながら、バルセロナの歴史を背景に、壮大なスケールのミステリーが楽しめました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(24)『プリティが多すぎる』大崎梢(文春文庫)

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今年の読書(24)『プリティが...
(文春文庫)としては、高知のよさこい祭りを舞台に中学生時代に一緒に参加した名前も知らない女性を人を捜し求める大学生の<篤史>を主人公とした 『夏のくじら』 に次ぎ、本書が2冊目になります。

本書は、大手出版社の<千石社>に入社して2年目の<新見佳孝>が主人公ですが、『週刊千石』の編集部から中学生の少女を対象にした『ピピン』の編集部に移動させられるところから物語は始まります。

文芸書籍の編集担当を目指している<新見>は、少女のファッションや小物のカタログのような雑誌の編集に気合いが入らず、企画も無視され撮影の段取りなどの失敗を繰り返してしまいます。

雑誌の編集作業には、カメラマンやスタイリスト、モデルと言った人間関係の調整が伴い、また10代前半のモデルたちのライバル心の葛藤をも取り入れ、<新見>の仕事の成長ぶりと業界モノとしての裏側が垣間見れる構成で、知らない雑誌編集の世界が楽しめました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(23)『歪んだ顔』西村京太郎(双葉文庫)

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今年の読書(23)『歪んだ顔』...
このところミステリー作品を続けて読んできていますので、少し軽めのモノと思い、気楽に読める<西村京太郎>の登場です。

本書には9編の短篇が収められていますが、『歪んだ顔』は、冒頭の短篇のタイトルです。
警察学校を出てきたばかりの<梶原巡査>は、アパートで発生した心中事件の現場に出向きますが、女性のほうは青酸カリで死んでいましたが、それより若い男は睡眠薬だけでしたので、一命を取り留めます。
「自分が殺した」という男の自白に疑問を感じた<梶原>は、再度事件の捜査を続けていきます。

それぞれの犯罪に隠された裏側の真実を求める内容の短篇集として楽しめましたが、この文庫本は2014年9月(単行本は2007年)に刊行されていますが、文中に出てくる値段や固定電話が小道具に使われていたりと、作品的には古い短篇が並んでいました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(22)『キャベツ炒めに捧ぐ』井上荒野(ハルキ文庫)

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今年の読書(22)『キャベツ炒...
物語の舞台は、東京の各駅電車しかとまらない私鉄沿線の商店街にある「ここ家」というお総菜屋さんです。

オーナーの<江子>は61歳、従業員の<麻津子>は60歳、従業員募集のチラシで入った<郁子>は、彼女たちよりも年上です。

<江子>は10年前に<恵海>と共同でお店を始めましたが、夫の<白山>は<恵海>と一緒になり、離婚したあとも友達付き合いが続いています。
<麻津子>は離婚した幼馴染の2歳年下の<旬>に恋心を描き、<郁子>は息子を2歳で亡くし、昨年夫とも死別した過去を抱えています。

タイトルの『キャベツ炒めに捧ぐ』を含め、『ひろうす』・『豆ごはん』・『トウモロコシ』など惣菜に関するタイトルの短篇が11編連作で楽しめ、三人三様の彼女たちの人生を絡ませながら、季節感あふれる惣菜を通して明るく前向きな姿勢に元気づけられる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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