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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(116)『泥ぞつもりて』宮木あや子(文春文庫)

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今年の読書(116)『泥ぞつも...
本書には表題作の『泥(こひ)ぞつもりて』 ・ 『凍(こぼ)れる涙』 ・ 『東風吹かば』の中篇作品が連作として3篇納められています。

物語は、第56代<清和天皇>の正妻<高子>と女御<源暄子>との関係から始まり、第57代<陽成天皇>、第58代<光考天皇>、第59代<宇多天皇>と歴代は流れていきますが、政治の権力争いの男の世界と、その政略結婚に翻弄される女たちのせつない恋情を絡めています。

平安時代の<律令制>の政治を背景として、男と女の複雑な人間関係が繰り広げられる時代絵巻物で、本書の面白さを数行で紹介する技量は持ち合わせていませんが、緻密な時代考証と登場人物たちの心の綾が見事に表現されていて、いい時代小説に当たりました。
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今年の読書(115)『木暮荘物語』三浦しをん(祥伝社文庫)

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今年の読書(115)『木暮荘物...
タイトルにある「木暮荘」は、小田急線の世田谷代田駅から徒歩5分の距離にある木造2階建てのアパートで、築ウン十年のボロアパートです。

全6室のアパートですが、住んでいるのは、1階に大家の70歳を超す<木暮>と飼い犬の<ジョン>、女子大生の<光子>、2階に花屋に勤める26歳の<坂田繭>、サラリーマンの<神崎>の4人です。

音が筒抜けの安普請のアパートを舞台として、死ぬ間際の友人の願望の言葉を聞き、死ぬまでにもう一度セックスをしたいと悩む<小暮>、3年前に分かれた男が突然現れ現在の恋人との奇妙な三角関係で悩む<坂田繭>、複数の男友達が出入りする<光子>、それを2階から覗いている<神崎>等、どこかおかしい住人たちの生活を通して、男と女の性をおおらかに描き切った6篇の連作短篇集でした。
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今年の読書(114)『鷹野鍼灸院の事件簿』乾緑郎(宝島社文庫)

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今年の読書(114)『鷹野鍼灸...
鍼灸院の専門学校を卒業した<五月女真奈>は、院長<鷹野夏彦>の助手として勤めていますが、<鷹野>はなぜか往診ばがりで、また<真奈>自身にも直接指導することはありません。

そんな<鷹野鍼灸院>を舞台として、鍼灸にまつわる5話の中短篇が納められています。
少しばかりおとぼけの<鷹野>の所見能力が素晴らしく、その洞察眼でもってトラブルを解決するとともに、生真面目な<真奈>とのやり取りが小気味よく展開されていきます。

同級生の<小日向友梨>や、オーストラリア人の<クロエ・ブランデル>などの脇役陣も個性的で楽しめました。

まったく知らない鍼灸の世界で、<置針・関元・巨刺(こし)・鍼灸カスミ鍼>などといった専門用語が多く散りばめられ、専門学校の実情や医師との兼ね合いなど、著者自身が鍼灸師の資格を持っているだけに面白く読み終えれました。
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今年の読書(113)『真鍮のむし』田中啓文(創元推理文庫)

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今年の読書(113)『真鍮のむ...
本書は 『落下する緑』 ・ 『辛い飴』 に続く、<氷見緋太郎の事件簿>の第三巻目です。

7話の連作短篇が収録されていますが、語り手は「唐島英治クインテット」のトランペット奏者<唐島英治>ですが、ジャズの演奏現場にて起こる事件を解決するのはテナーサックスを担当する<氷見緋太郎>です。

著者自身がテナーサックス奏者で、自らのバンドを持っていますので、ジャズに関する知識は幅広く、推理小説仕立てでありながら、自然とジャズの世界に引きずり込まれていきます。

音楽に行き詰った<唐島>は、気分転換に日本を離れ<氷見>とニューヨークやシカゴ、ニューオリンズと巡りますが、海外を舞台に世事には疎い音楽バカの<氷見>が、不思議と遭遇する事件を音楽を奏でるように謎を解き明かしていきます。

各章の終わりには、著者お気に入りのアルバムの紹介コーナーがあり、ジャズファンとしては面白く読み終えれました。
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今年の読書(112)『ひそやかな花園』角田光代(講談社文庫)

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今年の読書(112)『ひそやか...
家族とは何かを真正面からとらえた非常に重たい主題の長編作品で、自分がこの物語に登場する「父親」の立場なら、どうするだろうかと考えながら読み切りました。

『八日目の蝉』 や 『マザコン』 と同様に、親子とは血縁とは、女として子を持つということはと、畳み掛けるように幾重もの複雑な問題が展開されていきます。

年に一度だけ山間部のログハウスにキャンプに来る7家族は、年齢の近い子供たちが集まり、各自何らかの問題を心の隅に抱え、疎外された日常生活から切り離された環境で伸び伸びと過ごしていましたが、ある年を境にキャンプはなくなってしまいます。

子供たち7人の母親は、同じクリニックで不妊治療を受け、非配偶者間の人工授精(AID)で子供を授かった仲間でした。

キャンプがなくなって以降の7人の男女たちが年齢を重ねていく視点を通して、各自の人生観が語られ物語は進行しますが、生物学的な父親に対する思いは各自違っています。
自分の根源にかかわる問題として著者は家族とは血縁とは何かを読者に問いかける作品でした。
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今年の読書(111)『南下せよと彼女は言う』有吉玉青(小学館文庫)

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今年の読書(111)『南下せよ...
本書には海外を舞台に、7篇の旅物語が納められています。

高校時代の仲の良い男子三人が、父親の仕事でアムステルダムに転勤、3年前から住んでいる<智也>の案内で<晴彦>・<祐馬>は美術館巡りをするのですが、なぜか話題は画家<フェメール>の絵画についてに集中、三人共が一人の女性に手玉に取られていることに気付く『アムステルダムたち』を筆頭に、異国の地で繰り広げられる人間模様が展開される短篇集です。

タイトルの『南下せよと彼女は言う』は、タイトルとしての作品はありませんが、『南へ・・・!』という作品で、妻<庸子>を亡くした50歳の<村野>は、二人で行く予定だったスペインに葬式を済ませたあとすぐに日本を旅立ちます。
妻の印の付いたガイドブック片手にスペインの町を巡る最中、「とりあえず、南に行こうか」と新しい人生の契機を見つけ出します。

著者には『恋するフェメール』(白水社:2007年刊)があり、本書もたくさんの美術館・画家が登場、街並みにそった映画話やグルメ情報も満載で、ガイドブックとしても面白く読めました。
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今年の読書(110)『働かないの』群ようこ(ハルキ文庫)

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今年の読書(110)『働かない...
既刊 『れんげ荘』 から3年経ち、続編が本書です。

45歳で有名広告代理店を早期退職し、古い安アパートで暮らす<キョウコ>も48歳になっています、独身の貯金生活者。相変わらず月々10万円でやりくりしています。

巻頭、あの大きな地震に見舞われますが、2階を課していないアパートは倒壊を免れ、取り戻した日常。住人の<コナツ>さんは留守がちですがが、おしゃれで親切な60代の<クマガイ>さんに、若い<チユキ>さんが加わわります。

ゆったり流れる時間が描かれる。散歩、読書、さらに本作では刺繍も。老眼が始まったが、孤独ではない。働かない人生を愉しんでいる。まっすぐ前を向き、深呼吸して歩く。ささやかだが、こんな生き方に憧れる人が本当は多いだろう。
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今年の読書(110)『吼えろ!坂巻記者』仙川環(ハルキ文庫)

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今年の読書(110)『吼えろ!...
著者はデビュー作の『感染』をはじめとして、最近読んだ作品では 『潜伏』 ・ 『治験』 ・ 『人体工場』 と、医学的な分野が主体の作家でした。

今回手にしたのは、「中央新聞本社」を舞台に、自分の意見を曲げず「理不尽大王」と異名をとるキャップ<坂巻武士>の生活情報部を舞台に、文化的な記事が書けると期待して移動してきた26歳の<上原千穂>の記者としての成長を描いています。

本書には4話が連作として納められていますが、食品偽装問題・花粉症・老人介護問題と著者自身が「日本経済新聞社」の記者時代の担当分野が生かされ、新聞社内の縦組織と部署内の関係は知悉しているだけに、面白く読めました。

新聞記者出身の作家としては大御所<松本清張>を筆頭に<井上靖>・<司馬遼太郎>・<藤沢周平>などと多く、<堂場瞬一>は「讀賣新聞東京本社」の記者であり 『虚報』 という作品があり、<相場英雄>は「時事通信社」の記者で 『偽計』 と、新聞社を舞台に読み応えのある作品を残しています。
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今年の読書(109)『かなしみの場所』大島真寿実(角川文庫)

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今年の読書(109)『かなしみ...
第152回(2015年)直木賞は <西加奈子> の『サラバ!』でしたが、候補作として著者の『あなたの本当の人世は』が挙げられており、気になり本書を読んでみました。

主人公<果那>は離婚して実家に戻り、アクセサリーなどの作品を作りながら雑貨店「梅屋」に作品を納入している生活を送っています。
「梅屋」のオーナー<篠田>は、年中海外に仕入れと称して飛び歩いていますが、姪の<みなみ>が店を切り盛り、<果那>といい関係を保っています。

<果那>には、幼い頃に誘拐された記憶がうっすらとあるのですが、母親も伯母も口を閉ざして真相は分かりません。

下町の雑貨店を舞台として、浮世離れした両親や伯母一家、離婚した元夫を頼る部下など様々な人々の交流を通して、さりげない日常がほんのりとした文章で描かれ、<果那>の心の変化がじんわりと伝わる一冊でした。
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今年の読書(108)『盤上のアルファ』塩田武士(講談社文庫)

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今年の読書(108)『盤上のア...
登場人物のふたりの男の生き様は一見平行線をたどりそうな関係ですが、心の底辺に流れる情熱は戦う世界が違えども、何がしかの共通項がありそうです。

地方新聞「神戸新報」に勤める<秋葉隼介>は33歳、社会部担当の記者でしたが利己中人的な行動により文化部に左遷、駒の動かし方も知らない将棋担当を命じられます。

ある日<秋葉>が気に入っているバツイチの美人女将<静>の小料理屋「水明」で、タンクトップ姿の泥酔客と口論、相手は奨励会を退会した男で、将棋を馬鹿にしたことで喧嘩になってしまいます。
翌日<秋葉>のマンションにその喧嘩相手33歳の<真田信繁>が表われます。どうやら住所を教えたのは<静>で、彼女を含めて3人の共同生活が始まります。

新規則でアマチュアでもプロになれる道にかける<真田>と、将棋の面白さに芽生えてゆく<秋葉>、女流王位戦で知り合った21歳の挑戦者<遊佐加織>などが脇を固め、背水の陣でプロ棋士を目指す男に思わず声援を送りたくなる緊迫した状況が綴られていきます。

著者は尼崎市出身、「神戸新聞」の将棋担当記者として勤めていましたが、2012年に退社、文筆活動に専念しています。
神戸を中心に阪神間の街並みが登場、登場人物たちの関西弁が場の雰囲気をとても盛り上げていました。
#読書 #本 #詩 #エッセイ #コラム

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