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- 今年の読書(112)『ひそやかな花園』角田光代(講談社文庫)
家族とは何かを真正面からとらえた非常に重たい主題の長編作品で、自分がこの物語に登場する「父親」の立場なら、どうするだろうかと考えながら読み切りました。
『八日目の蝉』 や 『マザコン』 と同様に、親子とは血縁とは、女として子を持つということはと、畳み掛けるように幾重もの複雑な問題が展開されていきます。
年に一度だけ山間部のログハウスにキャンプに来る7家族は、年齢の近い子供たちが集まり、各自何らかの問題を心の隅に抱え、疎外された日常生活から切り離された環境で伸び伸びと過ごしていましたが、ある年を境にキャンプはなくなってしまいます。
子供たち7人の母親は、同じクリニックで不妊治療を受け、非配偶者間の人工授精(AID)で子供を授かった仲間でした。
キャンプがなくなって以降の7人の男女たちが年齢を重ねていく視点を通して、各自の人生観が語られ物語は進行しますが、生物学的な父親に対する思いは各自違っています。
自分の根源にかかわる問題として著者は家族とは血縁とは何かを読者に問いかける作品でした。
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