今年の読書(110)『働かないの』群ようこ(ハルキ文庫)
8月
8日
45歳で有名広告代理店を早期退職し、古い安アパートで暮らす<キョウコ>も48歳になっています、独身の貯金生活者。相変わらず月々10万円でやりくりしています。
巻頭、あの大きな地震に見舞われますが、2階を課していないアパートは倒壊を免れ、取り戻した日常。住人の<コナツ>さんは留守がちですがが、おしゃれで親切な60代の<クマガイ>さんに、若い<チユキ>さんが加わわります。
ゆったり流れる時間が描かれる。散歩、読書、さらに本作では刺繍も。老眼が始まったが、孤独ではない。働かない人生を愉しんでいる。まっすぐ前を向き、深呼吸して歩く。ささやかだが、こんな生き方に憧れる人が本当は多いだろう。