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神戸:ファルコンの散歩メモ

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  • ハッシュタグ「#読書」の検索結果1758件

『ジェノサイド』高野和明(角川書店)

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『ジェノサイド』高野和明(角川...
傭兵の<ジョナサン・イエガー>は難病の息子の治療費のために、高額報酬でコンゴで行われる「汚い仕事」の任務に就くため、他の仲間3人と共に南アフリカで訓練を受け、危険なウイルスに侵されたピグミー族を殺し、<これまで見たこともない生物>を発見した場合は、すぐに抹殺せよとの業務に付きます。

この作戦の暗号名には「ネメシス」と付けられ、アメリカ合衆国大統領<バーンズ>の巧緻な企みが隠されていました。

一方日本では、突然ウイルス学の大学教授<古賀誠治>が病気で急死、息子の薬学大学院生<古賀研人>は、父の友人である新聞記者<菅井>から、『ハイズマン・レポート』に父が興味を示していたことを教えられます。

父の葬儀を終え研究室に戻った<研人>は、亡くなった父からのメールが届いているの気が付き、父の隠れた研究室にたどり着き、父の残した仕事は、<イエガー>の息子の難病と結びついて物語は進んでいきます。

アメリカ・コンゴ・日本を舞台に、まったくつながらない2つの物語が結びつくとき、読者は驚愕の事実をしるところとなり、スリリングな場面展開と共に<これまだ見たこともない生物>に対しての結末に安堵感にひたれます。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『円卓』西加奈子(文藝春秋)

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『円卓』西加奈子(文藝春秋)
中学2年生の三つ子の姉を持ち、祖父祖母両親と8人暮らしの<渦原琴子(通称こっこ)>は、小学校3年生です。

家族から愛されている<こっこ>は、家族や学校に不満ばかりが募り、「うるさいぼけ」と口が悪く、偏屈な性格ですが、逆に「孤独」に魅力を感じています。

<こっこ>の身の回りに起こる学校や家族との出来事を中心に、ひと夏の経験を通じて成長していく姿が、大阪弁の会話でユーモラスに描かれていました。

タイトルの『円卓』は、狭い公団に住む<渦原家>の食卓が、廃業した中華料理店から貰い受けてきたもので、物語の脇役としてうまく利用されています。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『即身仏の殺人』高橋克彦(PHP文芸文庫)

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『即身仏の殺人』高橋克彦(PH...
出羽三山のひとつ、湯殿山の映画ロケ現場から、石棺に入った「ミイラ」が発見された場面から物語は始まります。

もともと湯殿山は即身仏で有名な場所として有名ですが、たまたま秋田県出身の女優<月宮蛍>が撮影に同行しており、公民館に安置されていた「ミイラ」が盗難にあい、<月宮>の大学の同窓であり雑誌記者の<冬掛亜里沙>や推理小説作家の<長山作治>らが、現地に出向いていきますが、副監督の<松本>が絞殺死体で発見、事件は思わぬ方向に進み出していきます。

単なる殺人事件の謎解きだけに収まらず、即身仏とは? 湯殿山信仰とは? 天明の大飢饉とは? などの歴史的事実をこまめに配置した構成で楽しめました。

事件は右に左にと揺れ動く展開ですが、最後には<塔馬双太郎>が登場、<長山>たちの推理を整理して、一連の事件を解決していきます。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『ビブリア古書堂の事件手帳』三上延(メディアワークス文庫)

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『ビブリア古書堂の事件手帳』三...
北鎌倉駅の近くで<篠川栞子>は、古書店「ビブリア古書堂」を祖父の代からひっそりと営んでいる美人の女性店主です。

ある日「俺」こと<五浦大輔>が、亡くなった祖母の蔵書の中に夏目漱石の署名本を見つけ「ビブリア古書堂」に鑑定のために持ち込みます。店には<栞子>の高校生の妹<文香>が留守番をしており、店主の姉は足を怪我して病院に入院していました。

<大輔>は祖母の本を持って病院を訪れますが、<栞子>は古書の博識な知識を駆使して夏目漱石の署名が偽物だと理路整然と説明、本と縁のない<大輔>は、なぜか店のアルバイトを依頼されてしまいます。

本書には4冊の書物にかかわる短篇が連作で納められており、<栞子>の安楽椅子探偵的に病院のベッドの上で事件を解決していきます。
<古い本には中身だけではなく、本そのものにも物語がある>という本好きとしてはよくわかる筋立てだけに、「うんうん」と頷きながら楽しく読み終えました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『小夜しぐれ』<みをつくし料理帖>髙田郁(ハルキ文庫)

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『小夜しぐれ』<みをつくし料理...
<澪>は主人<種市>の料理屋「つる家」に奉公する料理人で、<みをつくし料理帖>シリーズとして 『今朝の春』 に次ぐ第五巻目になります。

いつも通り季節の移ろいと共に四話からなり、本書で初めて<種市>と屋号にしている「つる家」と17歳でなくなった娘<つる>との出来事が登場します。

吉原遊郭の翁屋の楼主<伝右衛門>に依頼された花見の宴席の料理を<澪>は悩んでしまいますが、幼馴染の<あさひ太夫(野江)>のこともあり引き受けますが、献立に頭を悩ましてしまいます。

町医<永田源斉>との結婚を望んでいる両替商伊勢屋の娘<美緒>は、父親<九兵衛>が決めた中番頭<爽介>との結婚を嫌がり、<澪>の店に逃げ込んできます。

本書も料理屋「つる家」を舞台に起こる色々な出来事を通して、最後は<澪>が心を寄せる<小松原(小野寺数馬)>の御膳奉行としての奮闘でまとめられており、この先の二人の関係が気になる終わり方でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『半端者』東直己(ハヤカワ文庫)

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『半端者』東直己(ハヤカワ文庫...
著者の北海道ススキノを舞台とした処女作 『探偵はバーにいる』 (1992年刊行)に始まる<ススキノ探偵シリーズ>として、第11作目の作品ですが、内容は<俺>が24歳でまだ北海道大学文学部哲学科に在籍している時代の物語です。

シリーズを読み続けている読者にはお馴染みの<高田>や<桐原ミツオ>などが登場、シリーズでの人間関係がよくわかる内容になっていました。

フイリピン人のショウパブで知り合った<ピンキー>こと<フェ・マリーン>と知り合い、なぜかわからぬまま深い仲になるのですが、突然仙台の系列店に2週間ほど出向するということで待つ<俺>です。その間、自分が住んでいたアパートの取り壊しに絡み取り残された老人たちを庇い、橘連合菊志会の<ミツオ>と関係していきます。

バー「ケラー」や「荒磯」で呑みまくる生活の傍ら、家庭教師をこなし、チンピラの<清水>との腐れ縁を絡めながら、甘く切ない若き<俺>が描かれている一冊です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『動物学科空手道部2年高田トモ!』片川優子(双葉文庫)

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『動物学科空手道部2年高田トモ...
前作 『動物学科空手道1年生高田トモ』 の主人公<高田友恵(トモ)>も、無事2年生に進級、4月には自分も憧れて入部した空手道部に新人たちが入り、また新学期が始まりました。

動物応用科学科は2年生になるとレポート提出も多く、実家から通っている<岡本藍子>は練習に出てこないので、(トモ)としては心配でなりません。

夏休みには必須科目である10日間の「牧場実習」を、<愛ちゃん>や<マルちゃん>と3人で山形の肉牛農家に出向き、肉牛の世話、枝肉の入札、ベベ(子牛)のセリなどの経験積み重ねる過程で、授業では垣間見れない畜産業の現実を体験してきます。

秋の学園祭、空手道の昇級試験、<愛ちゃん>の一途な恋愛感情を通して、(トモ)が新たなる恋に向かい、部活を通して成長する姿が爽やかに描かれていました。
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『きみはポラリス』三浦しをん(新潮文庫)

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『きみはポラリス』三浦しをん(...
本書には、11話の恋愛に関する短篇が収められています。
短篇集の場合、収録されている作品名からタイトルが付けられる場合が多いのですが、本書は例外で、著者の隠された意図があるのかなと読み進めました。

「ポラリス」とは2100年前後数世紀の間の「北極星」を意味する言葉で、『冬の一等星』の文中に<ほの白い一等星のように、それは冷たいほど遠くから、不思議な引力をまとっていつまでも私をまもっている>という一文があり、恋する女性の心の一面が語られています。

11話の短篇は、同性愛、年齢差、三角関係、片思い、ペット等、規定できない「愛」と「恋」のパターンが組み合わさり、<言葉で明確に定義できるものでも、形としてこれがそうだと示せるものでない>関係ながら、<ひとは生まれながらにして恋を恋だと知っている>という視点でまとめられています。

星の数ほど無限に「恋愛」関係は成り立ち、また見渡せることのできない宇宙の果てと同様に、奥深い神秘な感情であるのだと、著者は示唆しているのかなと感じる一冊でした。
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『荒野 16歳 恋しらぬ猫のふり』桜庭一樹(文春文庫)

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『荒野 16歳 恋しらぬ猫のふ...
第一巻の 『荒野 12歳 ぼくのちいさな黒猫ちゃん』 は、中学の入学式に一人で出向く主人公<山野内荒野>で、父親の恋愛小説家<正慶>は締め切り間近の原稿を書いており、母は他界しています。
入学式に出会った<神無月悠也>に恋心を持ちますが、その<悠也>の母<蓉子>が<正慶>の後妻になってしまいます。

第2巻の 『荒野 14歳 勝ち猫 負け猫』 は、<悠也>がアメリカに留学、<正慶>と義母<蓉子>の三人の生活が始まり、<正慶>の浮気の虫が活発化してきたり、<蓉子>が妊娠したりとの変化が出てきます。

第三巻の本書はそれらを背景にして始まり、生まれた妹は<鐘>と名付けられ、<正慶>は恋愛小説賞を受賞しますが、<蓉子>は<鐘>を連れて若い男と遁走してしまいます。

16歳になり、少女から大人になる微妙な年齢の成長記録として、内面的に揺れる<荒野>に共感を覚える一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『あるシネマディクトの旅』池波正太郎(文春文庫)

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『あるシネマディクトの旅』池波...
<池波正太郎>は『鬼平犯科帳』や『剣客商売』などの時代小説でファンも多く、また美食家・映画評論家としても有名ですが、1990(平成2)年5月3日に没して早や20年が過ぎています。

本書は、フランスを訪れた紀行文である『あるシネマディクトの旅』・『続・あるシネマディクトの旅』・『新・シネマディクトの旅』の3紀行文をまとめています。

著者はグルメならグルメの取材だけ、執筆の下調べは下調べだけと、余分な行動を取る性格ではありませんが、やはり食通らしい表現が随所に表れています。
内容的には30年以上前の紀行文ですので、今は著者が訪れた時代とは随分と変わっていると思いますが、温かみのある目線での紀行文は時代差を感じません。

表紙のセピア色の写真で著者と写っているのは、旧中央市場(レアール)にあるお気に入りの酒場「B・O・F」の亭主<セトル・ジャン>(当時72歳)ですが、この紀行文を読み、わたしも会いたくなる人物でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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