本好きとしては「図書館」を舞台とする本は気になるところで、新米司書が活躍する短篇集 『れんげ野原のまんなかで』 (森谷明子)に次いで、読んでみました。
本書も5編の連作短篇集で、N市立図書館のレファレンス・カウンターについて4年目になる29歳の<和久山隆彦>を主人公としていますが、行政や利用者への不満から、無力感に苛まされる「役人」として勤務しています。
そんな中、突然副館長として<潟田>が、図書館廃止を目的として市役所の秘書課から赴任、<和久山>の心に仕事への情熱が再び湧き上がってきます。
幅広い書物に関する知識もしっかりと散りばめられており、また児童書担当の<藤崎沙理>との淡い恋心も描かれ、奥深い本の世界で再生してゆく青年の爽やかさが残る一冊でした。
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