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『バベルの末裔』赤井三尋(講談社文庫)

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『バベルの末裔』赤井三尋(講談...
4歳で亡くなった娘<彩>の代わりにと、パンパシフィクコンピューターに勤める<敷島>は、2020年にニューロン型コンピューターロボット<シャドウ>を開発、知らぬ間にコンピューターは自意識を持ち始め、自らの意志で行動、そして感情を持つに至ります。

<シャドウ>は生前に本人の記憶を写し取り、脳内の意識回路の発火システムを組み込むことにより、死んでも永続的にコミュニケーションが図れる画期的な技術で、2022年に<アークス>と命名、650人のモニターを募り、実験データーの収集に当たります。

知らぬ間に<アークス>は、コンピューター内部で650人の個人データー同士が疑似社会を構成、子孫を残そうとする意識を持ち始め、東京証券取引所の株価操作や信号機の停電などコンピュータにロジック爆弾を仕掛け、日本政府に不可侵条約の締結を求めてきます。

<ゲーデル>の「不完全性定理」を基本に据え、コンピューター社会の近未来を描く本書は、コンピューター依存社会の警告書として楽しめました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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