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神戸:ファルコンの散歩メモ

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  • ハッシュタグ「#読書」の検索結果1756件

『玻璃の天』北村薫(文春文庫)

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『玻璃の天』北村薫(文春文庫)
主人公として語り部でもある「わたし」は、上流階級の一人娘<花村英子>で、父は財閥系企業の社長です。

お抱え運転手が運転するフォォードで女学校に通い、皇族家族の「お姫(ひい)様」と付き合い、ひとりでは街へ出ることもありません。

そんな<わたし」にたいして運転手兼お目付け役が<別宮(べっく)みつ子>で、「わたし」は<ベッキー>と呼んでいます。

昭和8年の帝都を舞台に「わたし」の周りに起こる奇怪な事件に、<ベッキー>は並外れた博識と頭脳で「わたし」の推理を導いて、事件の真相に迫ります。
「浮世絵」、「和歌の暗号」、「建築」と違う世界のキーワードを中心に、当時の世相を反映しながら3篇が納められていますが、面白く読み終えれました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『夜の光』坂木司(新潮文庫)

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『夜の光』坂木司(新潮文庫)
公立高校の天文部の3年生4人を主人公に、それぞれの家庭環境の中で精一杯前向きに生きて行こうとする姿が、真摯な文面で綴られ、その心の動きを隠すかのように彼らにはコードネームが振り分けられています。

天文部の部長の<黄川田祐一>は「部長」から発生した<ブッチ>、<安田朱美>はギャルをもじって<ギィ>、<青山孝志>は芸術家気取りから<ゲージ>、そして<中島翠>は「お嬢様」から<ジョー>と仲間内で呼ばれています。

高校生活や家庭生活を「戦場」や「敵地」とみなし、17歳の男女の心の機微を面白く描き出しながら、大人の一歩手前の4人の結ばれた友情が、爽やかに伝わってくる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『誘拐児』翔田寛(講談社文庫)

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『誘拐児』翔田寛(講談社文庫)
終戦の翌年の夏、<久我恵三>の5歳の一人息子<勇一>が誘拐され、犯人が金の受け取りに指定したのは有楽町の闇市であるカストリ横丁でしたが、大勢の刑事が張り込みながら、闇市取締りの日と重なり犯人を取り逃がし身代金100万円を奪われてしまい、<勇一>も発見されませんでした。

時効寸前の15年後の昭和36年を舞台に、25歳の家政婦<下条弥生>が絞殺死体で発見され、住まいは何者かの手により家探しされていました。

運送会社に勤める<谷口良雄>は、入院先の病院で母<貞子>を亡くし、母思いの息子でしたが葬儀のときから様子がおかしく、恋人であり母の担当であった看護婦の<杉村幸子>は原因を問いただすと、死ぬ間際に母が「お前は誘拐された・・・」と言い残したことを知らされます。

自分の出自に疑問を感じた<良雄>は<幸子>と二人で、母の過去を調べ始めます。
二つの事件が並行に語られ、やがてひとつに収束される構成が見事で、さすが第54回江戸川乱歩賞受賞作だと感じながら読み終えました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『別れの夜には猫がいる』永嶋恵美(徳間文庫)

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『別れの夜には猫がいる』永嶋恵...
何とも面白い仕事の設定に驚きました。

主人公は<皆美雛子>、「オフィスCAT」に勤めていて、<あなたの恋人、友だちのカレシ。強奪して差し上げます>のコピーを、ネット広告として出しています。
基本料金は10万円、いわゆる別れ屋ではなくて「泥棒猫」という立場で男女間の問題を解決していきます。

本書には、6篇の短篇が納められていますが、DV男から別れるためや、本当に好きな彼氏の元に戻るため、愛がないのに逃避のためだけに同居している男と別れるためにと、様々な女性が登場してきますが、<皆実>は分かれた後のことまでを考えての手順を踏み、爽やかな結末を見せてくれます。

特に家庭裁判所調査官<浅野洋子>との、フィリピン人の妻と日本人の夫との子供が絡む親権問題は考えさせられましたし、事務所の所員<篠原茜>の過去がわかる本書のタイトルにもなっている章は、読み応えがありました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『心星ひとつ』<みをつくし料理帖>髙田郁(ハルキ文庫)

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『心星ひとつ』<みをつくし料理...
本書は前作 『小夜しぐれ』 に続く、<みをつくし料理帖>の第6作目に当たります。

前作では料亭『つる家』の主人<種市>と、亡き娘<おつる>との過去が明かされましたが、本書では主人公<澪>の料理か料理人として大きく羽ばたくための難問が繰り出されてきます。

幼馴染の<野江(あさひ太夫)>の楼主<伝右衛門>は、吉原の中に料理屋を構えることを進め、かたやライバルである「登龍楼」の主人<采女宗馬>は、神田須田町の店を居抜きで売るとの話を持ちかけ<澪>は悩みますが、そのまま今の『つる家』に留まることを決意します。

反面、<早帆>と名乗る武家女と知り会い、これが秘かに心を寄せている<小松原(小野寺数馬)>の姉だとわかり、2年ほどの武家見習いの後、養子縁組をして<小松原>と添い遂げられる話しがすすみ、<小松原>の言葉に一度は承諾する<澪>ですが、最後の場面で料理か恋かに悩む場面で第6作目は終わります。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『居酒屋 おくのほそ道』太田和彦(文春文庫)

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『居酒屋 おくのほそ道』太田和...
本書は、著者<太田和彦>と挿絵担当の<松村誠>と編集部の<ミホ>さんの3人が<松尾芭蕉>の旅した「おくのほそ道」(1702(元禄15)年刊行)を辿りながら、俳句を詠んでいくという趣向の本です。

俳句はおまけみたいなもので、また<芭蕉>の歩いた道から逸脱しながらも、東北地方の会津・仙台・一関・盛岡・弘前・秋田・鶴岡などを巡り、各地の居酒屋・バーを巡り、多彩な人間模様、よい酒。よい肴との出会いが綴られ、酒好きとして楽しめる一冊です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『CAW HOUSE カウハウス』小路幸也(ポブラ文庫)

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『CAW HOUSE カウハウ...
主人公<畔木朋>は25歳、総合商社<浅海コーポレーション>の情報戦略企画室に勤務していましたが、上司に暴力を振るったことで<城坂>部長命令で鎌倉にある会社の大豪邸「二条辻邸」の管理人として、婚約者の<美咲>と共に赴任してきます。

着任草々、テニスコートを無断使用している老人<相川無人>と中学2年生<野島ふうか>を見つけますが、管理人としては退去させるべきところ、気の優しい<畔木>は二人が自由に使用できるように取り計らいます。

ある日の会話の中で、偶然<畔木>と<美咲>、<無人>と<ふうか>、そして<城坂>が「丑年」であることがわかり、この大豪邸を『CAW HOUSE』と名付け、<相川>老人と<城坂>部長が昔の知り合いだということがわかり、また部長の過去も明かされていきます。

主人公<畔木>は、中学生の時に阪神・淡路大震災で両親をはじめ仲間を多く亡くした過去を持っていますが、この『CAW HOUSE』を舞台として、子供たちの未来を考えるメセナ活動を企画していきます。

一企業人としての仕事と仲間への愛着、ひとの痛みがわかる優しい心の道用など、大人のメルヘンとして楽しく読み終えれました。
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『土井徹先生の診療事件簿』五十嵐貴久(幻冬舎文庫)

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『土井徹先生の診療事件簿』五十...
ノンキャリアながら優秀な刑事として殉職した<立花直人>を父とする<立花令子>は、国家公務員Ⅰ種の試験を通り、24歳にして警部補として南武蔵野市野署の副所長として赴任してきます。

キャリアの経歴に傷を付けてはいけないと気遣う<佐久間>署長もかっては父の部下であり、仕事を与えられずに暇を持て余していました。
そんな折、大学生時代にボランティアで高齢者の話し相手をしていた経験があるということで、被害妄想らしき警察OBの訪問を命じられ、犬の往診に来ていた獣医の<土井徹>と5歳の孫娘<桃子>と出会います。

<桃子>は「おじいちゃんは動物と話しができる」と信じていて、動物が絡んだ事件を中心に構成されています。

「カメレオン」の習性、猫の「フレーメン反応」、人間は<赤・青・緑>の3原色しか判断できませんが、「カラス」はこれに<黄>が加わることなど、獣医らしい知識で不思議な事件を、ユーモア感を含ませながら解決していきます。
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『QED 諏訪の神霊』高田崇史(講談社文庫)

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『QED 諏訪の神霊』高田崇史...
前作の 『QED~flumen~九段坂の春』 に次ぎ、<QEDシリーズ>15冊目になる本書です。

長野県・諏訪大社は、急な坂を大木でもって滑る落ちる「御柱祭」で有名ですが、今回はその祭りで事故死したことがらをプロローグとして物語は始まります。

諏訪大社の「七不思議」を解き明かそうと、<桑原崇>と<棚旗奈々>は諏訪神社へ旅行に出向き、旧友の<鴨田翔一>達と合流して、大社をめぐりますが、<鴨田>が住む新興住宅街で起こる連続殺人事件と遭遇してしまいます。

本書も著者の諏訪大社に対する博学的な歴史的知識が満喫でき、並行して起こる殺人事件と1200年を超える諏訪大社の謎が絡み合う構成で楽しめる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『吾郎とゴロー』川渕圭一(幻冬舎文庫)

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『吾郎とゴロー』川渕圭一(幻冬...
帝都大学医学部を優秀な成績で卒業した<青山吾郎>は、意に反して帝都大学附属病院の本館ではなく、医療設備も古い分院にて内科研修が始まりました。

同期研修の3人<哲也>・<のり子>・<皆川>(著者と同様に脱サラ後、37歳にて医者になった人物)は皆優柔不断で、<吾郎>は深夜の中庭でひとり愚痴をこぼしていたら、この病院で6年前に亡くなった<菊池ゴロー>という幽霊と遭遇してしまいます。

彼は急性骨髄性白血病のためわずか13日の入院で亡くなった患者ですが、「心に残る未練」があり、<吾郎>に対して「医者とは何か」を諭すように毎夜現れてきます。

遺伝子の分野で世界的に権威のある医者を夢見ている<吾郎>でしたが、<ゴロー>との出会いを通して、改めて「医者とは?」・「医療とは?」を考え直し、「心に残る未練」をも解決に導き、人間的に成長する<吾郎>の姿に共感を覚えながら読み終えました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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