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神戸:ファルコンの散歩メモ

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  • ハッシュタグ「#読書」の検索結果1758件

『紅染の雨』藤原緋沙子(文春文庫)

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『紅染の雨』藤原緋沙子(文春文...
<切り絵図屋清七>シリーズとして、第1巻目の 『ふたり静』 に次ぐ2巻目が本書です。

勘定組頭<長谷半左衛門>の妾の子として産まれた<清七郎>は、本妻や義理の兄との折り合いが悪く、22歳のときに家を飛び出し武士の身分を捨て<清七>と名を改め、今では絵双紙本屋「紀の字屋」の店主として、絵師の<与一郎>や<小平次<達と、江戸の地図を絵図として制作に勤しんでいます。

本書には3篇が納められていますが、「紀の字屋」の当主<藤兵衛>の経歴と<おゆり>との関係が明らかになり、<清七>は改めて<おゆり>に思いを走らせます。
また、父である<半左衛門>が刺客に襲われたところに遭遇、事なきを得ましたが、何やらよからぬことが起こりそうな予感を残しています。
また<与一郎>の石和の名主である父親がご神体である「夔の神」を江戸にて出開帳に出向き、側室の<お美津>に見せる前に何者かに「夔の神」を盗まれてしまい、<清七>たちは、探す羽目に関わります。

<滝沢馬琴>が亡くなった翌年の江戸を舞台に、<清七>たちの人情あふれる物語が語られていますが、父<半左衛門>のその後と、<おゆり>との今後が気になるところです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『鷺と雪』北村薫(文春文庫)

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『鷺と雪』北村薫(文春文庫)
昭和7年の東京、上流階級の<花村家>の令嬢<英子>の目線を中心に据え、当時としては珍しい彼女の付き人としての女性運転手<ベッキー>(こと別宮みつ子)を推理探偵役に据えた<ベッキー>シリーズは、『街の灯』 に始まり、『玻瑠の天』 に続く3巻目の本書で完結です。

本書は三篇からの構成ですが、最後の章のタイトルともなっている『鷺と雪』で、著者は第141回直木賞(2009年上半期)を受賞しています。

第1章の『不在の父』は、爵位の序列が<公・候・伯・子・男>とあり、そのような身分社会に耐え切れなくなった子爵の市井にて自由な精神での生活に接して、「わたし<英子>」は驚かされます。
第2章の『獅子と地下鉄』は、受験を控えた良家の小学生<巧>が夜の行動をあやしまれ補導されてしまいますが、<巧>は何も喋らず「わたし<英子>」はことの真相を探るために少年の行動を調べていきます。
第3章の『鷺と雪』でもって、「わたし<英子>」と<ベッキー>の3年半にわたる物語の〆となりますが、買ったばかりのカメラに、なぜか台湾に出張している<千枝子>の婚約者が自分の背後に写っている謎解きを依頼されてしまいます。

最終章では能の演目である「鷺」を伏線に、軍国主義に向かう暗雲とした雰囲気を匂わし、「二・二六事件」を絡め、3巻を通して見事に昭和初期の時代を検証しています。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『驚愕 仮面警官Ⅳ』弐籐水流(幻冬舎文庫)

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『驚愕 仮面警官Ⅳ』弐籐水流(...
<仮面警官>シリーズも、 『発覚』 ・ 『告白』 と続き第4作目になりました。

神奈川県警上層部の陰謀のために恋人<真理子>をひき逃げ事件で失った<南條達也>は、真相を知るために警察官となり研修を終え刑事として様々な事件と向き合うなか、9年前に人を殺めた自分の罪の重さに苦しんでいます。

刑事の職務としてアイドルグループの一人のストーカー対策の張り込み中、当事者に飛び降り自殺をさせてしまうというミスを犯し自宅謹慎処分中にもかかわらず、以前の事件で相棒を組んだ刑事<早乙女霧子>が人質としてとらわれている現場に偶然に出くわし、またもや独断で飛び込んでいき懲戒免職かという状況に追い詰められてしまいます。

定年を迎え独自で9年前の事件を捜査している<多治見>は、<南條>に拳銃を手渡した人物が「河内連合」の<邑野>だと突き止めるのですが、危険を察知した「河内連合」の手にかかり殴殺されてしまいます。

<南條>は自分の過去と現状に苦悩するなか、神奈川県警本部長<景山>の陰謀が不気味に漂い、日常的に発生する事件が目まぐるしく展開するなか、<真理子>が生きているかと思わせる場面で4作目は終わります。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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【第14回天神さんの古本まつり】@大阪天満宮境内

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【第14回天神さんの古本まつり...
今日から11日(火)迄、大阪天満宮の境内で、【第14回天神さんの古本まつり】が開催されます。 主催は、大阪・奈良の古書店11店舗が加盟している 「大阪古書研究会」 です。

今年は、関西以外からも名古屋や岡山の書店が参加し、計26店、約8万冊の古書が一堂に会します。

神戸にも、いい古書店がありましたが、年々さびれてゆくようで残念なでなりません。
「大阪古書研究会」も、11店舗ではなく、もう少し会員数があったように記憶していますが、廃業の道も仕方ないご時世間かも知れません。

ほとんどが1冊限りの古書ですので、まずは初日に行かなければと気がはやるのが古書好きの心情で、早速今から出向きます。
最近では宅配の窓口もあり、昔に比べて本を持たずに帰れるのが、ありがたいことです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『ヤマダチの砦』中谷航太郎(新潮文庫)

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『ヤマダチの砦』中谷航太郎(新...
飛騨の山間にある小大名の山谷藩江戸家老の三男<苗場新三郎>は23歳、育ちがよく美形の持ち主ですが、女のことしか考えられないうつけ者です。

ある日、父の使いで京都まで出向く用事を頼まれるのですが、さて自分がどのような用事で出向くのかさえ考えず、頭の中は道中で遊ぶことばかりです。

そんな<新三郎>を付け狙う「ヤマダチ=山賊」に箱根の山奥で襲われ、山奥で隠れるように生活をしている<魁>という19歳の弓の名人のに助けられます。
<魁>は、人里離れた山奥に渡り歩く<宇流那>一族とも交流があり、「ヤマダチ」の頭である<戸神影堂>一味を壊滅すべく、<新三郎>と二人で戦いに臨みます。

生死を分ける経験を積んだ<新三郎>は、昔の軽率な行動をすることもなく、見違えるように一人前の武士の風格が漂う人物に生まれ変わります。
山奥の中で、血なまぐさい死闘が繰り広げられるなか、<魁>との友情が芽生え、また<宇流那>一族の<裟伎>との恋心も生まれたりと、痛快青春時代小説という一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『哲学探偵』鯨統一郎(光文社文庫)

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『哲学探偵』鯨統一郎(光文社文...
本書の登場人物は、警視庁特別捜査班主任の26歳<高島友之>警視、その部下である定年目前の<久保士郎>警部ですが、彼は競馬と現代短歌が大好きという人物です。

本書には8篇の短篇が納められていますが、どれも<高島>と<久保>の取り扱う事件を、<久保>の好きな競馬場で打ち合わせ、その場に居合わせる名もなき馬券師<哲学探偵>が謎を解き明かす構成です。

各章とも、主なG1レースの解説があり、西洋哲学者が多く登場、また現代短歌の名作が楽しめる構成で、ミステリーながら博学の知識が楽しめる構成です。

また各事件の仕掛け作りも奇想天外で、うまく伏線を散りばめながら、それを読み解く<哲学探偵>の明晰な分析が冴えて面白く読み終えれました。
#エッセイ #コラム #本 #誌 #読書

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『コッコロから』佐野洋子(講談社文庫)

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『コッコロから』佐野洋子(講談...
主人公の<佐々木亜子>は、美術学校に通う21歳の学生で、生まれた時から「コケシ顔」と揶揄され、お世辞にも美人とは言えません。

そんなある日、突然<ジョン・ローン>似の男子<沢野正則>に街中でキスをされ、喫茶店に連れ込まれてしまいます。
わけを正すと、現在付き合っている彼女と別れんがための工作で、彼女の目の前で芝居を打ったことがわかります。

<正則>は東大法学部の学生で、祖父は外交官、父は弁護士という家庭に育ったエリート家系です。そんな彼が<亜子>に対して恋愛感情を持ち始め、<亜子>は幼馴染の<ケン>に、今度は逆に「わたしの彼氏だと芝居を打ってくれ」と頼みます。

仲のいいご両親を中心に、<ケン>の母親<すず子>たちの個性ある脇役陣が面白く、一人の女性の恋への憧れを通して成長してゆく姿が、ほのぼのと伝わる一冊でした。
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『達人山を下る』室積光(中公文庫)

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『達人山を下る』室積光(中公文...
主人公<山本俊之>は80歳、岡山県の賢人岳の山奥に42年前に移り住み、炭焼きや陶芸作品で生計を立てており、戦国時代から伝わる「昇月流柔術」の唯一の継承者です。

大学生の孫娘<安奈>が休みを利用して訪れる予定でしたが、来ないのを不審に感じた<俊之>は家に電話をして<安奈>が誘拐されたことを知り、42年ぶりに山を下り息子の家がある東京に出向きます。

<安奈>の妹<寛奈>を案内役として渋谷の街に繰り出し、不良グループの「神南クルー」を手掛かりに、暴力団「東京任侠会」がカルト教団へ拉致したことがわかり乗り込んでいきます。

<俊之>は元検事で、ある事件がきっかけで山奥にこもりましたが、息子<俊憲>も弁護士としてカルト教団と対峙している関係で、娘が誘拐され、<俊之>は一人でオカルト教団を壊滅させますが、教団が集めた金は民権党幹事長<野玉>へ献金されていました。

昔の事件が現代の事件へとつながり、「失禁のツボ突き」などの笑える技を織り交ぜながら、ユーモアあふれる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『中野トリップスター』新野剛志(新潮社)

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『中野トリップスター』新野剛志...
暴力団「迫島組」の<山根勘治>は、カジノの借金で取り上げた旅行会社「中野トリップスター」のオーナーとして、組から<厚見誠>と一緒にシノギの場所として送り込まれます。

組としてのシノギは、韓国のスリ団の宿泊手配での利ザヤ稼ぎです。

本書には連作短篇として5話が納められていますが、韓国スリ団のトラブル処理に走り、またスリ団が盗んできた心霊写真の持ち主に返す仕事を請け負わされたり、添乗員として団体旅行に参加、また韓国語通訳の<中村千栄>のわけあり人生に関わるなど、<山根>の悪ぶっているけど実はお人好しで人情味があるがゆえ、暴力団員としては出世ができない行状が、笑いと涙で綴られています。

暴力団の絡む物語としてはドタバタな抗争もなく、最終章は<山根>の行動からは驚きの出来事が起こりますが、面白く読み終えれました。
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『傍聞き』長岡弘樹(双葉文庫)

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『傍聞き』長岡弘樹(双葉文庫)
本書には、4話の短篇が納められていますが、表題作の『傍聞き』で、2008年日本推理作家協会賞短編部門を受賞しています。

『傍聞き』とは、「傍らにいて、人の会話を聞くこともなしに聞くこと」で、漏れ聞いた言葉は相手から直接聞いた言葉よりも信用されやすいという意味があります。

『傍聞き』は、強行犯係の刑事<羽角啓子>を主人公とし、4年前に同じ刑事だった夫を逆恨みした人物により轢き殺された過去を持ち、今は小学校6年生の<菜月)と暮らしています。
母と子の微妙な会話の葛藤、近所に起こる「居空き」事件、<啓子>が捜査しているストーカー事件とが並行して構成され、母子家庭小説とも警察小説とも、また人情小説とも取れる奥深い世界を築き上げています。

他の3篇も、「救急救命士」・「消防員」・「更生施設長」という自分を犠牲にしてでも他人を助けるという登場人物たちを主人公に据え、職能というプロ意識を主軸にミステリーが組まれ、どれも秀逸な作品に仕上がっています。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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