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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(131)『二畳で豊かに住む』西和夫(集英社新書)

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今年の読書(131)『二畳で豊...
かっては「ウサギ小屋」だと海外から揶揄された時代がありましたが、最近は耳にすることもなくなりました。
現在では「ネットカフェ難民」などという言葉が、一人歩きしているようです。

人間が生活をしてゆく上で、住宅の広さの適正規模が存在するものかは、住宅の設計を生業としていながら難しい問題のひとつです。

著者は、内田百閒の二畳の生活空間や高村光太郎の三畳の山小屋、被爆地長崎で活躍した医師永井隆の<如己堂>と呼ばれたやはり二畳の家等を取り上げ、住空間の意味を検証しています。

それぞれの人たちは、<自分の意思で住みこなそうとしていること>、<狭い中に閉じこもる生活ではなく、友人や地域の人たちとの精神的なつながりがあること>、<狭いけれども精神的な豊かさがあること>を指摘しながら、充実した濃密な空間であったことを確認してゆきます。

わたしの学生時代は、四畳半一間の下宿生活で風呂もトイレも共用でしたが、狭いながらも密度の濃い空間であったことを、思い出しながら読み終えました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(130)『犯意』乃南アサ+園田寿(新潮文庫)

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今年の読書(130)『犯意』乃...
(新潮文庫)では、 『いつか陽のあたる場所で』 に続く、著者の40冊目に当たる本書です。

一般の小説の形式を取らずに、作家の<乃南アサ>が問題定義をする犯罪小説を書き、その犯人に対する刑法上の解釈を、甲南大学法科大学院で刑法の講義をしながら弁護士業務もこなしている<園田寿>さんが、解説をするという形式で書かれています。

身近に起こりえる犯罪のサンプル集として、12編の事件が取り上げられていますが、人間が犯罪に手を染める弱さを感じながら、刑法のお勉強ができる構成に仕上げられています。

単なる犯罪小説に終わらず、人間観察の目線でまとめられた短篇集として、面白く読み終えれました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(129)『大局観』羽生善治(角川oneテーマ21)

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今年の読書(129)『大局観』...
プロ棋士養成機関の奨励会、6級から三段までを6年間という早やさでのぼり、中学3年生でプロ棋士としてデビュー、将棋界始まって以来の全タイトル「七冠制覇」を達成している著者です。

将棋を指すことはありませんが、勝負の世界として囲碁や麻雀をたしなんできた身としては、相通ずる気持ちで読み通せました。

小学2年生で何気なく将棋を指し始めた著者ですが、「羽生マジック」といわれる源が垣間見れる一冊でした。

過去の棋譜を検討するのも手法としては大事なことだと考えながら、反面、あくまでそれらは過去のことであり、その手順が正しいのかは分からないと言い切るあたり、さすがです。
常にこれからの先を「読み」・「考え」、過去の失敗は繰り返さない姿勢、『大局観』に立った目線だと感心しました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(128)『ブラックランス』ベリンダ・バウアー(小学館文庫)

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今年の読書(128)『ブラック...
主人公は12歳の少年<スティーヴン>で、19年前に起きた連続児童殺害事件の犠牲者として殺された、母の弟<ビリー>の遺体を見つけようと、野草の茂る荒野に出かけてはシャベルで掘り返しています。

被害者の母である祖母は、毎日を鬱積した気持ちで過ごし、母も弟への愛情が、同じ年頃になった長男<スティーヴン>と重なり合い、複雑な感情を抱いています。

なんとか家族の傷をいやし、明るい家庭を取り戻そうと考えた<スティーヴン>は、獄中にいる殺人犯<エイブリー>へ<ビリー>をどの場所に埋めたのかと問う手紙を書き始めます。
手紙の差出人が12歳の少年だと気付いた<エイブリー>は、押さえていた変質者としての感情が甦り、刑務所を脱走して一路<スティ-ヴン>の住む町を目指します。

英国ゴールドタガー賞にノミネートされた作品で、結末がどうなるのかとヤキモキしながらのスリラータッチは、読み応えがありました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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閉店@書店【神文館】メトロ神戸(新開地タウン)

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閉店@書店【神文館】メトロ神戸...
本日をもちまして、書店【神文館】が閉店です。
初代のお店は新開地本通りにあり、一時期は本店とこの新開地タウン店のニ店舗の営業でした。

わたしがはじめて親父さんから書籍を買ってもらったのが小学一年生のときで、新開地本通りの【神文館】でした。
『豊臣秀吉』と『レ・ミゼラブル』です。
あれから何千冊と本を読んできていますが、読書の原点であり、飲み屋さんの行き帰りなどに、お店を覗いておりました。

表だって閉店のことは知らせていないようでしたが、二代目の店主に「長いあいだありがとうございました」と頭を下げれば、一番寂しい立場の店主さんは言葉がなく、無言でうなずかれました。

活字離れと言われて久しいですが、50年以上親しんできた本屋さんがなくなるのは、亡くなった親父の思い出が消えてゆくようで、涙が出てしまいます。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(127)『孤独なき地 K・S・P』香納諒一(徳間書店)

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今年の読書(127)『孤独なき...
十分に読み応えのある、骨太の警察小説でした。
<K・S・P>とは、歌舞伎町特別分署の略称で、著者の想像した架空の警察部署です。
犯罪の多い地域として、主人公の刑事<沖幹二郎>以下3名の部下でもって歌舞伎町界隈を取り締まるのですが、近隣各署と縄張りが違いますし、同じ署内でも捜査一課とは反目しあっています。

新署長が赴任してくる日の朝、署の正面玄関で空きす巣を働いた容疑者を連行中の刑事達が狙撃され、出勤中の目の前で起きた事件に<沖>は射撃犯を追い求め、一人は仕留めますが、もう一人の犯人を逃してしまいます。

歌舞伎町でのヤクザとチャイニーズマフィアの抗争だと思えた事件が、複雑に絡み合い、警察内部の密告者や政界の人物も絡み、複雑な裏組織の実態が浮きあがってきます。

スキンヘッドの主任<沖>をはじめ、個性ある部下たち、新署長の秘書といいながら現場で頑張るキャリア警部<村井貴里子>等、脇役もしっかりと固められています。

読者に結末を想像させながらの小気味よい展開で物語は進みますが、思わぬラストの悲しい結末に裏社会の現実を感じました。

著者は<K・S・P>シリーズを10冊は書きたいと言われているようで、これは第一作目になりますが、現在4冊まで刊行されています。
この事件で絆が生まれた<沖>と<村井>のその後の関係も気になりますので、順次読み進めたいシリーズです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(126)『嗤うエース』本城雅人(幻冬舎文庫)

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今年の読書(126)『嗤うエー...
スポーツ紙の元記者として、プロ野球などに精通しているだけに、野球賭博が主題のスポーツ小説かと思いながら読み始めました。

主人公<浪岡龍一>は、少年時代から名の売れたピッチャーで、甲子園の出場を経て、プロ野球チーム「スターズ」のエースとなります。
東京オリンピックを境に、高度成長してゆく時代を背景に暴力団の賭博の実態を織り込んでいますので、日本社会の裏面を垣間見ることが出来ます。

少年野球時代からプロ選手として活躍してゆきますが、常に<浪岡>の回りには八百長賭博の疑惑が付きまとい、読者は最後まで結末が分からないままに付き合わされるミステリー仕立ての構成です。

高校野球の同僚<四之宮>は、<浪岡>に野球部を追放された恨みを持ちながら、週刊記者として<浪岡>の八百長を必要に追い求め八百長記事を書き続けます。
暴力団絡みで自殺した父を持つ刑事<半澤>も、キャリアながら暴力団に対しての反感から、野球賭博の捜査に執念を燃やしています。

<四之宮>や<半澤>の脇役が物語を引きしめていて、最後まで飽きることなく、読み終えられました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(125)『襖貼りの縊り鬼』野火迅(ポプラ文庫)

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今年の読書(125)『襖貼りの...
江戸・本所深川で立て続けに起こった三件の縊り事件は、みな共通の手口に見え、主人公である同心<柊夢之助>は犯人と思える男<勝蔵>に、幼馴染である仲間の同心<尾形兵庫>との協力で辿り着きます。

が、<勝蔵>はみずから自身番に名乗り出てきます。
妙にすがすがしい顔色の<勝蔵>を見て、何か裏がありそうだと感じた<夢之助>は、解決かと思えた事件に対して、みずから再調査に乗り出してゆきます。

副題に<浮世の同心>とあるように、取り調べを行う役所的な鯖きではなく、庶民の目線で物事を判断しようとする心意気が、詠み手側によく伝わってきました。
<勝蔵>の子供の頃の忌まわしい事件を背景に、江戸言葉を随所に使い分け、庶民の生活がきれいに描かれています。

今後シリーズ化になりそうな主人公<夢之助>ですので、次作を楽しみに待ちたいと思います。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(124)『ピンクの雨』新野彰子(幻冬舎ルネッサンス)

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今年の読書(124)『ピンクの...
今回の『ピンクの雨』(2009年12月刊行)は、阪神・淡路大震災から復興をとげた、12年後の神戸の街を舞台に描かれています。

震災で家を失い母を亡くした6歳の<神崎真子>は、叔母に連れられイギリスに移住しますが、叔母の夫によって性的虐待を受け家を飛び出し施設で育ちます。
震災の時に父親は別の家庭で生活をしており、その心の痛みを抱えたまま、やがて神戸の資産家の養女となり12年ぶりに神戸に戻ってきます。名前も<吉永薫>と男名に改め、外見も「男」として私立森北学院大学に入学し、美術部に籍を置いていました。

美術部の新入生勧誘の誘いに応じてきた二歳年下の<美里>こそが、自分たちの家庭を捨てた父親の異母妹だと知った<薫>は、心に秘めた策略で復讐を果たそうと考えます。

大震災で数々のトラウマを抱えた暗くて切ない一人の少女が、一人の人間として成長してゆく物語です。
少女趣味的な文意を感じるところも多々ありますが、全体の構成は悪くありませんでした。
大学のある阪急岡本駅を中心に三宮・北野町・南京町等、神戸市内の街並みの描写は、神戸っ子としてはお馴染みの場所ですので、安心して読めました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(123)『まんまこと』畠中恵(文春文庫)

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今年の読書(123)『まんまこ...
主人公の<麻之助>は、江戸の神田で8つの支配町をもつ古名主、<高橋宗右衛門>の22歳になる跡取り息子です。
若い頃は親も自慢の才気あふれる若者でしたが、16歳を境に突然お気楽な極楽とんぼの生活が始まりました。

同じ古名主の跡取り息子でもあり幼馴染の<八木清十郎>や、今は同心見習いをしている<相馬吉五郎>たちを中心に遊んでいますが、町名主ともなると支配町の揉め事をまとめるという役目が背負わされています。

心の奥に、二歳年上の幼馴染であり、今は<清十郎>の義母となっている<お有由>の面影がちらついているのですが、このことが横線となりながら物語は続いて行きます。

本書には6編が収められていますが、挙式以前に身ごもった娘さん、万年青の盆栽をめぐる争い、隠し子騒動、<清十郎>の義弟の誘拐事件等、自分の支配町で起こる何事件を、<麻之助>を中心に<清十郎>や<吉五郎>達が大岡裁きにも似た活躍で治めてゆきます。

心温まる江戸市井の人情味と、<麻之助>の<お有由>への淡い恋心が揺れ動くせつなさが、胸に残る一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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