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- 今年の読書(75)『未踏峰』笹本稜平(祥伝社文庫)
以前に読んだ著者の山里の駐在所を舞台にした 『駐在刑事』 がいたく面白く、今回も山岳巨編ということで読んでみました。
登山家として世界に名を馳せた男<蒔本康平>は、自らの問題を抱えて登山を絶ち、北八ヶ岳の山小屋の主人<パウロ>としてひっそりと暮らしています。
そんな<パウロ>の山小屋に、コンピュータープログラマーとして挫折した<橘裕也>、アスペルガー症候群の<戸村サヤカ>、知的障害を持つ<勝田慎二>の三人が夏場の手伝いとして山小屋で過ごすうちに、ネパールの未踏峰の山を制覇する計画が持ち上がり、<パウロ>の指導のもと登山技術を身につけてゆきます。
世間からドロップアウトした三人が、自分自身を見つめ直し、生きるとは何かということに目覚めながら、山小屋の失火で命を落とした<パウロ>の思い出とともに、自分たちが名付けた未踏峰の山「ビンティ・チェリ(祈りの峰)」の制覇に向かっていきます。
ページ数が少なくなるにつれて、この三人が無事に未踏峰の頂にたどり着くことができるのかと先読みをしたくなりながら、最後まで緊張感を持たせる構成力が素晴らしい一冊でした。
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