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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(94)『ヘブン』川未英子(講談社文庫)

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山本俊輔氏の 『絶望中学』 を読んだのが今年の4月で、まだ大津市の市立中学2年生がいじめで自殺した報道はありませんでした。
現在の中学校の現状をあぶり出す内容で、重たい気分で読み進めたのを思い出します。

今回の『ヘブン』は、大津市のいじめとまったく同じ状況を、目の前にさらけ出しています。
この作品は、「芸術選奨文部科学大臣新人賞」と「紫式部文学賞」を同時に受賞した作品で、初出は2009年9月ですから、大津市事件以前に執筆されています。
受賞作だからではありませんが、もっと社会問題として取り上げるべき内容だと感じました。

14歳の<僕>が、ある日同じいじめを受けているクラスメートの女子<コジマ>から手紙を受け取り、被害者同士として気持ちを分かち合いながら学校生活を過ごす過程が、細かく描写されていきます。

善悪や人間のエゴイズム、友情、家庭問題に対処しながら、14歳の<僕>がどのように変容してゆくのか、圧倒的な技量で書きすすめられていきます。
今の現状をを見つめ直す機会として、ぜひ全中学生に読まんでほしい作品です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(93)『アマルフィ』新保裕一(扶桑社)

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今年の読書(93)『アマルフィ...
テレビを観ませんので読んできた本が、結構ドラマの原作になっているのに驚かされます。
今回の『アマルフィ』は、「フジテレビ開局50周年記念作品」として『アマルフィ 女神の報酬』のタイトルで、2009年7月18日に東宝映画として公開されています。

著者の『ホワイトアウト』も映画化されており、小気味のいい展開はお馴染みで、映画とは違う点があるということで読んでみました。

母と娘が、クリスマスの時期にイタリア旅行に出向いた際、ある目的を達するために、娘を誘拐する事件が起こります。
日本の外務大臣が調印式出席の為、イタリアに出向くことになりますが、事前にテロ行為が行われるという情報で、外交官の<黒田康作>がイタリアの日本大使館に赴任したのを機に、この娘の誘拐事件に関わることになります。
外交官の事なかれ主義とは違う、一匹オオカミ的な行動で、犯人を突き止めてゆく筋立てが展開してゆきます。

映画では母親役は「看護師」、娘は「視力障害者」との設定で、誘拐犯も日本人ですが、小説中では母は外資系の銀行員」であり、娘自身には目の障害もありません。
個人的には、誘拐犯の動機を考えると、小説の設定の方が自然かなと思えます。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(92)『妖怪アパートの幽雅な日常 ⑦』香月日輪(講談社文庫)

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今年の読書(92)『妖怪アパー...
書店の棚にポツリとシリーズ「⑦」が、一冊だけありました。
講談社文庫でシリーズ7冊目だとは、それなりに人気があるのだと感じ、①~⑥は読んでいませんが、手にしてみました。

主人公は、条東商業高校2年生の<稲葉夕士>です。
両親を亡くし、一人住まいとして住んでいるアパートは「寿荘」と言いますが、別名「妖怪アパート」の名の通り、本物の妖怪や幽霊が住んでいるという設定でした。

彼は、ひょんなことから22匹の妖かしを封じた『小(プチ)ヒエロゾイコン』なる魔道書の主に選ばれ、魔術や妖魔を操る「魔書使い(ブックマスター)」という身分を持ちます。

高校生ということで、学園物の内容を絡めながら、奇妙な妖怪たちとの心温まる生活が描かれており、肩を張らずに読み終えれました。

文章中、「手首」だけの料理上手な妖怪<るり子>さんがたびたび登場、作る料理がバラエティーに富んでいておいしそうなのが気になりましたが、単行本として『妖怪アパートの幽霊な食卓 るり子さんおお料理日記』が出ているようで、そうだろうなと納得です。

全10巻のシリーズのようですが、機会があればまた続きを読んでみたいと思います。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(91)『狐火の家』貴志祐介(角川文庫)

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今年の読書(91)『狐火の家』...
前回読みました<乾くるみ>の 『嫉妬事件』 、ミステリー同好会の部室が密室状態の中での事件でしたが、結末も良くなく面白くありませんでした。

密室(殺人)事件のトリックは、古今東西、推理小説の基本中の古典的手法です。
口直しに何か面白い小説はないかと、ふと閃いたのが2004年に刊行された<貴志祐介>の『硝子のハンマー』です。

今回の『狐火の家』も、『硝子のハンマー』で活躍した弁護士の<青砥純子>と、元(本職?)泥棒で、現在は防犯コンサルタントの<榎本径>が、密室の謎解きをする表題作を含めた4篇が楽しめます。

特に2編目の『黒い牙』は「蜘蛛」がキーワードで、昆虫好きとしては、楽しめました。
「蜘蛛の目は8個」 との記述には、著者も本当に「蜘蛛」好きなのかと思わせる描写です。

密室事件にかかわる<青砥順子>と、防犯コンサルタントの<榎本径>のコンビ作品は、第三弾の短篇集が昨年に出版されていますが、文庫本になるのを待ちたいと思います。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(90)『嫉妬事件』乾くるみ(文春文庫)

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今年の読書(90)『嫉妬事件』...
以前に読んだ著者の 『カラット探偵事務所の事件簿1』 が、割と面白かったので、今回この『嫉妬事件』というタイトルが気になり手にしてみました。

城林大学ミステリー研究会の部室にある一番高い所に置かれている本の上に、「うんこ」が置かれているという事件が起こります。
発覚した当日は、年末恒例の犯人当ての作品発表会の日にあたり、美人の<赤江静流>が彼氏を連れてきて、彼の借りたい本を貸す予定でした。
丁度その本の上に「うんこ」が置かれており、知らずに取ろうとすると顔面に直撃するという惨事が起こるはずでした。
生憎と「うんこ」が匂い出し未然に防げたのですが、鍵の掛かっている密室での出来事ということで、ミステリー研究会として犯人探しが始まります。

んん~、なんとも尾籠な話ですが、そのことを抜きにしても、まとまりのない事柄をダラダラと引っ張っている感があり、くどすぎます。
また結末も、「なるほど」と感心できる終わり方ではありませんでした。

著者のファンには申し訳ないのですが、今年(90)冊目にして、初の駄作に当たりました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(89)『平台がおまちかね』大崎梢(創元推理文庫)

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今年の読書(89)『平台がおま...
著者の細かい経歴は分かりませんが、2006年までは某書店で勤務しており、『配達あかずきん』にて文壇デビューをされたようです。

この『平台(ひらだい)がおまちかね』は、大学時代にアルバイトをしていた明林書房の営業マンとして入社した<井辻智紀>の、担当書店をめぐる奮闘記です。

著者自身が書店勤めの経歴の持ち主ですので、書店の裏側の様子がよく描写されており、本一冊をめぐる駆け引きがあますところなく楽しめました。

「平台」は、書店が一押しの書籍を並べる一番いい場所を指す言葉ですが、各出版社やポップ広告を作成する書店側の努力など、本好きとしては面白く読めました。

5話の話しがつまっていますが、第4話の『絵本の神様』は、とくに秀逸でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(88)『アウトバーン』深町秋生(幻冬舎文庫)

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今年の読書(88)『アウトバー...
新たなる女性刑事の誕生です。
多くの作家さんたちが、女性刑事を主人公に小説を書かれていますが、今回も個性的な主人公のデビュー作です。

暴力をいとわず、金で同僚を飼いならし、裏社会の者と情報のやりとりを平然とこなす、上野署組織犯罪対策課の<八神瑛子>です。
誰もが認める美貌を持ちながら、容姿からは想像もできない苛烈な捜査手段で数々の犯人を逮捕してきている経歴を持ちます。

一見連続殺人犯かと思える若い女性殺しの捜査に加わり、<八神>独自の捜査方法で犯人までたどり着きます。

主人公<八神>の夫は、出版社の雑誌記者でしたが、奥多摩にある鉄橋の下で遺体となって発見されました。調査の結果「自殺」ということで当時の捜査を終えています。
<八神>は他署の交通課に勤務する品行方正な警官だったのですが、この事件を契機に変わっていきます。

シリーズ物の決まりとして、この夫の事件の真相を突き詰めてゆく筋立が伏線としてあるようで、どのような方向に物語が進んでゆくのか、見逃せないヒロインの登場です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(87)『図書館革命』有川浩(角川文庫)

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今年の読書(87)『図書館革命...
<図書館戦争シリーズ>も(4/4巻目)として、いよいよ最終巻です。

敦賀原子力発電所が、テロ集団の襲撃に遭うところから物語は始まります。
このテロ行為自体が、作家<当麻蔵人>の書いた小説の筋書きだということで、メディア良化委員会が<当麻>の身柄確保に乗り出しますが、図書特殊部隊が匿い、世間に対して検閲行為の不適切さを訴え続けます。

この事件を通して、メディア良化委員会や図書特殊部隊に配備されていた重火器類の使用は禁止され、少しはおだやかな社会になりつつあることを読者に想像させながら、この物語は終わります。
熱血感あふれる女性隊員の<笠原郁>と、あこがれの王子様こと上司の教官<堂上篤>は、ハッピーエンドの結末を迎え、読者として肩の荷が下りました。

物語はまだ『別冊 図書館戦争Ⅰ・Ⅱ』として2巻の続きがあるようですが、一応今回はこの最終巻で中締めです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(86)『図書館危機』有川浩(角川文庫)

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今年の読書(86)『図書館危機...
<図書館戦争シリーズ>も、(3/4巻目)になりました。

今回も、バラエティーな話題がたくさんつまった一冊でした。
2巻目の 『図書館内乱』 では、主人公の<笠原郁>は、なんとか図書特殊部隊に所属していることを両親に隠し通せましたが、今回は実家のある茨城県への図書館警備の任務があり、母親にばれてしまう事件が起こります。

また、有名人気タレントが自叙伝を出す企画が持ち上がりますが、メディア良化委員会の検閲を避けるために、差別用語として「床屋」ということばが使われず、「理髪店」や「理容師」などの言葉で置き換えなければ発行が難しく、タレントとひと悶着するお話もありました。
(現実に「床屋」というのは、自主規制用語でそうです)

実際著者自らが自主規制させられた体験があり、その時の疑問なりが生かされた内容で、なにをもって差別用語とするのかの問題定義も共感できます。

この<図書館戦争シリーズ>も残り一冊、最後はどのような結末でこの物語が終わるのか、期待が持てる娯楽小説です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(85)『図書館内乱』有川浩(角川文庫)

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今年の読書(85)『図書館内乱...
<図書館戦争シリーズ>の(2/4巻目)として、 『図書館戦争』 に続く物語です。
今回は、図書館を守る図書特殊部隊員それぞれの、個人的なトラブルが中心になっています。

初の女性隊員である<笠原郁>は、両親には単なる図書館員だということにして、図書を守る戦闘隊員の身分を隠していますが、その両親が上京してきて慌てふためく状況がコミカルに描かれています。

上官の<小牧幹久>は、聴覚障害を持つ<中澤毬江>という、10歳年下の幼馴染がいますが、『レインツリーの国』という本を貸すことで、「メディア良化委員会」の査問にあうトラブルに巻き込まれます。

<笠原郁>と同期の<手塚光>は、5歳年上の兄<手塚慧>がいますが、図書館の運営方針の考え方が違い、そのために<笠原郁>がよからぬ嫌疑をかけられてしまいます。

<笠原郁>と寮の同室の<柴崎麻子>も、<手塚慧>の陰謀で、送り込まれた<朝比奈>の正体を知り、<手塚光>により助けられますが、図書館の事務員という身分ではなく「情報部候補生」という隠れた肩書が露見してしまいます。

今回も個性豊かな隊員たちのドタバタ劇、十分に楽しめました。
あとがきで、「プロットを立てずにぶっつけ本番で小説を書くタイプだ」と自己分析されていますが、登場人物のキャラクター設定がしっかりしていますので、自然と筆が進んでゆくんだと思います。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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