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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(116)『政宗遺訓』佐伯泰英(幻冬舎文庫)

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今年の読書(116)『政宗遺訓...
サブタイトルに<酔いどれ小籐次留書>とありますように、江戸時代を背景にした、連作の時代劇シリーズとして、18作目にあたります。
主人公<赤目小籐次>は、「来島水軍流正剣十手脇剣七手」の剣豪でもあり、酒が好きな人物として描かれています。

長屋に住み、包丁研ぎを生業として市井に生きていますが、日々町中で起こる事件などを、人情味あふれる裁きで解決してゆきます。

今回も、長引く江戸の秋雨が続く中、長屋の一同に炊き出しを振るまうのですが、かまどに隠された金無垢の「根付け」を住人が見つけ出したことから、ひと騒動が起こります。

題名の『政宗遺訓』は、<伊達政宗>を指していますが、後半になりこの「根付け」の持ち主だと言い張る伊達家と三河蔦屋をどう裁くかが、小籐次の腕の見せどこりとなります。

史実に基づいた歴史書ではないだけに、著者の描き出す江戸の町の風情や人情味のある人間関係が描かれ、楽しめるシリーズです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(115)『追撃の森』ジェフリー・ディーヴァー(文春文庫)

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今年の読書(115)『追撃の森...
10月5日は、イギリスにてジェームズ・ボンドが主人公の映画『007ドクター・ノオ(邦題名:007は殺しの番号)』が封切られて50周年でした。
ジェフリー・ディーヴァーが、『007白紙の委任状』という小説で、日本冒険小説協会大賞を受賞していますので、興味を持ち読んでみようと出向きました。
最終的に、手にしたのは国際スリラー作家協会最優秀長編賞を受賞した本書です。

事件を知らせる電話で現場に駆け付けた保安官補の<ブリン>は、森の中の別荘で射殺された夫婦の死体を発見、偶然にも犯人の男二人と撃ち合うことになり、来客として訪れ難を逃れていた<ミッシェル>と出会います。

密林を舞台に、逃げる<ブリン>たちと追いかける男二人との追撃が、迫力ある描写で繰り広げられていきます。
どんでん返しが次々と展開し、どのようになるのかとハラハラしながら読み進み、563ページの内420ページで森での追撃は終わりますが、用心深い犯人はこれまたどんでん返しで逃げ去ります。
犯人究明に執念を燃やす<ブリン>は、息子や夫との家庭問題を抱えた状況の中、捜査を進めてゆきます。

読み応えのあるページ数ですが、場面の展開が早く、飽きることなく読み切れた一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(114)『虚報』堂場瞬一(文春文庫)

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今年の読書(114)『虚報』堂...
『クライマーズ・ハイ』の著者横山秀夫が、群馬の上毛新聞の記者であったことは、ファンであれば承知の事実です。
新聞社の組織構造、真の報道とは何かを考えさせられた一冊でしたが、この『虚報』も、同じ新聞記者出身である<堂場瞬一>の力作です。

大学教授<上山>の自殺サイトがきっかけで、集団自殺事件が起こり、真相を求めて古参の記者<市川>と新人の<長妻>二人を中心に据え、新聞業界の内部組織、雑誌との取材合戦、記者の資質等、現場の経験者でないと感じ取れないリアリティー感を足場に、緻密に構成された人間ドラマが展開していきます。

<上山>自身、「自殺ではない自死だ」という重みのある言葉とともに、年間3万人を超す自殺者の現状を改めて考えさせられる内容でした。自殺した彼らの報道は、新聞に載ることさえありません。
事件性のある時にだけ、自殺問題を取り上げるマスコミの報道姿勢そのものも、考え直さなければいけないと感じさせてくれる一冊です。

「今年の読書」も114冊目ですが、ベスト5に入る候補作品として、挙げておきたいとおもいます。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(113)『若頭補佐 白石光義東へ、西へ』浜田文人(幻冬舎文庫)

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今年の読書(113)『若頭補佐...
一成会若頭補佐で花房組二代目組長 <白岩光義> を主人公に据え、今は薄れた<任侠道>を十分に楽しませてくれる、痛快エンタティメント小説です。

本来は大阪に本部を置く花房組ですが、東京に出てきた際に若い女が拉致されようとする現場に蜂合わせをし、彼女がマレーシア人の留学生で、語学学校と共謀して留学生を食い物にするNPO法人や暴力団が絡んでいる被害者であることを知り、ひと肌脱ぐ行動を取ります。

その裏側で、自分たちの一成会の内部のゴタゴタを取り仕切る話しが平行して進み、<白岩>の男儀のある活躍が楽しめます。

縁遠い<任侠道>の世界ですが、歯切れのいい文章と、小気味のよい脇役たちの登場で、十分に楽しめました。

以前によ見ました黒川博行の 疫病神シリーズ『螻蛄(けら)』 も、関西ヤクザを舞台にしたエンタティメントでしたが、どちらも甲乙つけがたい面白さだとおもいます。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(112)『インビジブルレイン』誉田哲也(光文社文庫)

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今年の読書(112)『インビジ...
前作 『感染遊戯』 では、主人公である<姫川玲子>は直接登場することなく、同僚刑事たちが中心の小説でした。
今回の『インビジブルレイン』では、元気な<姫川>主任が活躍を見せてくれますが、暗いトラウマを持つ彼女がちょっぴり恋心をいだく場面もあり、意外性ある性格を垣間見ることができます。

暴力団のチンピラが惨殺され捜査本部が立ち上がりますが、捜査中に犯人のタレコミが入ります。
名指しされた犯人は、9年前に姉を殺され、犯人とみなされたた父親も警官の拳銃を奪い署内で自殺を遂げ、被疑者死亡のまま事件は終わっていました。

惨殺されたチンピラが、どうやら9年前の真犯人だと見られ、キャリアの官僚は過去の事件の捜査ミスで責任を取らされることを嫌い、名指しされた犯人の捜査をするなとの指示を出しますが、さて<姫川>はどうするのか?という筋書きです。

最後の10ページほど前で意外などんでん返しがあり、殺人事件の真犯人の関係に「なるほど」とうなり、キャリア官僚の保身に対しての小気味よい結末もあり、面白く読み切りました。

テレビドラマに次いで、同じ<竹内結子>主演で映画化が進んでいるようで、文庫本のあとがきとしてよくある「解説」はなく、著者と<竹内>との対談で終わっています。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(111)『シャドー・イン・ザ・ウォーター』インゲル・フリマンソン

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今年の読書(111)『シャドー...
前作 『グッドナイト マイ・ダーリン』(悪女ジュスティーヌⅠ) に続く続編です。

ミステリー小説ですので、前作の時にはあらすじが書けませんでした。
恋人が企画するジャングルツアーに同行した<ジュスティーヌ>ですが、若い女性カメラマンとの関係に嫉妬を覚え、恋人を毒矢で、カメラマンをナイフで殺害してしまいます。
高齢で認知症の継母も、子供の頃に受けた虐待に対して死にいたらしめ、いじめをされた同級生をも、自宅に訪れた際に殺害し、家の前の湖に沈めてしまいます。

ホテルマンの新しい恋人が出来、湖に沈めてから6年半が経過したところから続編が始まります。
ミステリー小説ですから、最後は「殺人事件」が解決して物語が終わるのが一般的ですが、この続編は全く違い、読者の余韻を誘う手法で締めくくられています。

人間の心の奥に潜む自我の怖さを垣間見せてくれる心理サスペンスで、前作に続きスウェーデンのミステリー大賞を受賞したのも納得です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(110)『グッドナイト マイダーリン』インゲル・フリマンソン

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今年の読書(110)『グッドナ...
スウェーデンのミステリー大賞を1998年に受賞した作品ですが、一般の謎解き小説とはまったく趣きが違う作品の構成で、集英社文庫から昨年の7月に刊行されています。
俗に言うフラッシュバックの手法で話しが進みますが、過去と現在という分かりやすい構成ではなく、数多い出来事が時系列関係なく展開されてゆきますので、読み手はどこに話が落ち着くのかと不安になりながら、それでも小気味のよい描写が続きますので、ついつい読み進めてしまう内容でした。

ストックホルム郊外に、少女時代に継母や同級生にいじめられた<ジュスティーヌ>は、過去を閉じ込めたかのようにひっそりとペットの鳥と一人住まいをしており、ホテルマンとの恋が進行しています。

ミステリーですので、細かい内容が書けないのが残念ですが、虐待を受けてきた少女から大人への過程で、悪意と復讐が哀しいほど怖いサスペンスです。

副題には(悪女ジュスティーヌⅠ)とあり、また作品名の『グッドナイト マイ・ダーリン』も文中に出てくるのですが、スウェーデン作家のインゲル・フリマンソンがあえて英語表記をしているのは、これまた哀しい意味合いが含まれています。

<ジュスティーヌ>が主役の二作目、『シャドー・イン・ザ・ウォーター』(悪女ジュスティーヌⅡ)も、スウェーデン推理作家アカデミーの最優秀長編賞を2005年に受賞しており、女性作家で二度の受賞は今のところ彼女だけだそうです。
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今年の読書(109)『怖い話』福澤徹三(幻冬舎文庫)

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今年の読書(109)『怖い話』...
1962年北九州市に生まれた著者のようですが、初めて手にした一冊です。
小説ではなく、「怖い話」をまとめたエッセーに近い形式ですが、飽きずに楽しめました。

文中にも出てきますが、広告の営業や水商売、デザイナー、コピーライター、専門学校講師など、さまざまな職歴を経験されて、2000年『再生ボタン』で作家デビューしています。

各章が、「怖い食べもの」「怖い会社」「怖い虫」と、<怖い>というタイトルが付けられ、その話題に関する事例や知識が楽しめます。

わたしは、「怖い酒」という章に魅せられて手にしてみました。
著者自ら酒飲みであると自認されていますが、<健康というのは、ひとつの思想であって、かくあるべしと一律にくくれるものではない。健康健康と、朝から晩まで体調を気遣っているほうが病的ではないか>には、ごもっととですと相槌を打たざるを得ません。

また病気に関しても病院には行かないと断言し、<医師が診断するまでは、病気ではない。医師が診断するから病名がつく>には、笑わせていただきました。

話しのネタとして雑学的にも内容が濃く、気軽に読むには面白い一冊だと思います。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(108)『人体工場』仙川環(PHP文芸文庫)

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今年の読書(108)『人体工場...
大学生の<真柴徹>は、健康診断で尿に大量のタンパク質が出ていることが発見され、女医<若松>の指示通りCTスキャンなどの検査を受けますが、腎臓自体に悪い所は見つかりません。

ふと以前、高額な報酬に吊られ参加した治験のアルバイトのことを思い出し、当時一緒に治験に参加した<火野美紀>と共に、アルバイト先の調査を始めますが、すでに撤退した後で真相は解明できません。

<若松>の協力や、同僚医師の<小松>の分析でタンパク質の分析にたどり着くのですが、昔の同僚医師がガンに効く成分として研究していたものだと判明します。
人間の体を薬の製造工場として利用するという発想で、尿に出たタンパク質成分を凝縮させる研究です。

<火野美紀>の父親は末期ガンで、危険と知りながら父を助けるべく、再度このタンパク質の製造に協力をしてしまいます。

実際に人体を用いての薬の開発は行われていないと思うのですが、臓器類を生活の為に売る現状では、あながち作り話だとも笑えず、一気に読み終えました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(107)『渇水都市』江上剛(幻冬舎文庫)

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今年の読書(107)『渇水都市...
特に大きな問題もなく、節電対策でこの夏を乗り切れた電力状況でした。
インフラとして電気はいつでも使えるものだという延長に、蛇口をひねれば安全な水が出るという生活も、当たり前だと信じられています。

本書は、水不足が起こっている近未来のサスペンス小説です。
水道事業で全世界制覇を狙う「WE(ウオォーター・エンバイロメント)社」の野望に立ち向かうべく、地底社会の「水の国」の戦士ともども、主人公<海原剛士>が立ち向かう物語です。

2025年には世界人口の60%が水不足に悩まされるという報告もあり、石油問題と同様に水資源の問題も深刻に考えざるを得ません。

水の豊かな国としての日本ですが、エネルギーの代替えは技術や研究で補えるでしょうが、水の問題だけは代替え品が効かにだけに、危機感を感じながら読み終えました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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