今年の読書(65)『駐在刑事』笹本稜平(講談社文庫)
5月
17日
6話の短篇からなる一冊ですが、一篇一篇の話しがつながってゆく連作集です。
主人公の<江波淳史>は、警視庁捜査一課に所属していた刑事ですが、上司の<加倉井>管理官の捜査方針に従って容疑者を取り調べ中に、青酸カリで自殺されてしまいます。
上司の責任を取る形で、花形刑事から、山里にある青梅警察署水根駐在所の所長として左遷されて赴任してきます。
奥多摩の駐在所として、登山に絡む事件や、ひっそりと暮らす住民を巻きこむ事件に対して、元刑事の経験を生かした捜査方針で事件を解決してゆく姿が描かれています。
あいかわらず<加倉井>が顔を出してきますが、部下の<南村>がいい脇役として、また実家に戻ってきた<内田遼子>との出会いもあり、今後シリーズ化になることを期待したい一冊でした。