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- 今年の読書(61)『仮面警官』弐籐水流(幻冬舎文庫)
恋人<真理子>が、家まで送り届けることなく帰宅した<南條達也>は、その後車にはねられて植物人間となった彼女の事件を調べるうちに、関係したと思われ暴力団の組員を殺してしまいます。
なぜか事件はあやふやな捜査の内にお宮入りとなり、<南條>は真相を探るべく自ら警察官となり、派出所勤務を続けています。
そんな中若い女性が刃物で殺され、また連続して二人目の犠牲者が出てしまいます。
過去のコンビニ強盗事件にて、思いを寄せていた先輩刑事<芳賀>が犯人に殺された過去を持つ<早乙女霧子>は、連続殺人事件を担当することになりますが、今回の事件の捜査責任者は<財前>であり、コンビニ強盗事件の担当者でもありました。
お宮入りの組員殺害事件を一人追う定年間際の<多治見>は、科学捜査研究所に勤める娘の協力で、組員殺害事件の犯人として<南條>にたどり着くのですが・・・。
読み手側は、連続殺人事件の犯人を知りながら、この<南條>を中心とする警察機構の複雑さと、刑事魂をもった<多治見>をはじめ、<財前>・<綿貫>・<早乙女>といった人間関係の面白さに引き込まれてしまいます。
組員の殺人事件と、若い女性の連続刺殺事件は一見関係ないように話は進んでいきますが、最後に二つの事件が複雑に絡み合う構成はさすがだと感じました。
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