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神戸:ファルコンの散歩メモ

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  • ハッシュタグ「#読書」の検索結果1769件

『最後に咲く花』片山恭一(小学館文庫)

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『最後に咲く花』片山恭一(小学...
ファンドマネージャーとして投資会社に勤めている<永江>は5年前に離婚した39歳、偶然大学時代の同級生<由希>と再会しますが、彼女は心肺同時移植をしなければ助からない病気を患い、<永江>に安楽死を求めます。

かたや<永江>は、テレビ局に勤める20代の恋人<沙織>と結婚を前提に付き合っていましたが、行動的な<沙織>に違和感を感じ始め、女性として見ていなかった<由希>に対していつしか心の安らぎを感じ始めます。

そんな折、大学時代の山岳部の仲間で建設会社の副社長である<波佐間>が、単身登山に出掛けたまま戻らないと彼の妻から連絡を受け、彼を探すべく山に捜索に出かけていきます。

人間社会の拝金主義や、体外受精での胚の選択など、現代的な世相を反映させながら、人間本来の生き方は何なのかという根源的な問題に対して、真正面から取り組んだ作品として評価できる一冊です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『凸凹デイズ』山本幸久(文春文庫)

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『凸凹デイズ』山本幸久(文春文...
主人公の<凪海(なみ)>は22歳、<大滝>と<黒川>が主催するデザイン事務所「凹(ぼこ)組」で働いています。
デザインという仕事を楽しみ、前向きで希望と夢を抱えており、彼女の眼を通して仕事と周囲の人間関係が語られていきます。

元々の「凹組」は<大滝>・<黒川>、そして<醐宮純子>が立ち上げた事務所でしたが、<醐宮>は設立早々デザイン賞を受賞してすぐに独立、現在は「QQQ」という会社の社長として君臨しています。

小さなな「凹組」が参加した遊園地『慈極園』のコンペで、<凪海>が提案したキャラクターが当選、3人の小さな事務所の「凹組」では仕事がこなせないというもとで、<醐宮>の事務所に出向という形で<凪海>は出向きます。

<醐宮>との仕事の合間に、10年前の<大滝>・<黒川>・<醐宮>との関係が回想的に語られ、デザイン業界の裏側の世界が楽しめる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『ジウ Ⅱ』誉田哲也(中公文庫)

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『ジウ Ⅱ』誉田哲也(中公文庫...
前作 『ジウ Ⅰ』 にて、9歳の<本木沙耶華>の誘拐事件を素早く制圧したSAT隊員の<伊崎基子>巡査は、巡査部長へと特進、決まりにより上野署の交通課に移動になりますが、マスコミ取材の攻勢を受け、轢き逃げ捜査から外れてしまいます。そんな時、フリーライターの<木原>から、誘拐グループの首謀者<ジウ>が、歌舞伎町に出没するというを噂を聞き、追い求めていきます。

一方<門倉美咲>巡査は、<沙耶華>の誘拐犯として拘留している<竹内>の取り調べを<東弘樹>警部補と組み取り調べを続けていますが、<新世界秩序>の思想を語る<竹内>に手こずりながらも、新たな情報を引き出すのですが、翌日彼は拘置所内で自殺をしてしまいます。

<伊崎>の行動と<門倉>の捜査を描きながら、突然「私」という人物が語る章が挟み込まれ、読み手になんだろうと疑問を投げかけるのですが、この「私」が<ジウ>の育ての親だとわかり、また闇の世界のフィクサーとして存在する人物でした。

首謀者<ジウ>の捜査中に、信用金庫に強盗・立てこもり事件が発生、犯人は<竹内>を<ジウ>に紹介した元自衛官の<西尾>だと判明しますが、SAT隊員が強行突入した際に爆破が起こり、隊員は全滅してしまいます。

エピローグでは、新しいSATの制圧一班の新隊長として<伊崎>が復帰、任命されるところで『ジウ Ⅱ』は終わりますが、「私」の伏線を知らされている読者には、この<伊崎>の移動自体が、不気味な前触れとして次作に引き継がれていきます。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『the TEAM ザ・チーム』井上夢人(集英社文庫)

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『the TEAM ザ・チーム...
著者は、1982年のデビュー以後、<徳山諒一>と組んで創作ユニット<岡嶋二人>として活躍していましたが、1989年に発表された『クラインの壺』を最後に解散しています。

本書の『ザ・チーム』、エンターティメントととして面白く楽しめました。
霊媒師の<熊城あや子>は盲目で耳も聞こえにくいのですが、いまやテレビタレントとして超売れっ子で、個別の相談料は30分8万円にもかかわらず大人気を誇っていますが、実は相談相手のことを調べる専門スタッフを持っています。

スタッフはの<草壁賢一>は、ピッキングのプロとして相手方の住まいに侵入して秘密を探り当てる名人で、<藍沢悠美>は、パソコンに精通して情報を探り当てるのを得意としています。

<熊城>の霊感はインチキだという週刊記者<稲野辺>の執拗な取材を手玉に取りながら、それぞれの相談者に関する事件が8篇納められています。また<熊城>自身が盲目になった事件の真相も明かされ、夫婦や親子の問題を絡めながらの構成で、無断侵入などの犯罪性を忘れさせるほど、痛快な展開が楽しめた一冊でした。
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『はるがいったら』飛鳥井千砂(集英社文庫)

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『はるがいったら』飛鳥井千砂(...
登場人物はデパートで働く<水原園(その)>と、その弟で高校3年生の<佐々行(ゆき)>です。
9年前に両親が離婚、<園>は銀行員の母親に、<行>は中華料理店を営む父親と別々に暮らしていますが、父親は<行>と半年しか違わない義兄<忍>を連れた<真奈美>と再婚しています。

姉の<園>は何事においても完璧主義で、自己管理を徹底していますが、婚約者のいる幼馴染と不毛な恋愛を続けています。
弟の<行>は子供のころから体が弱く、高校も一年留年したことにより、中学の後輩だった<夏美>と同級生になり、大学の進路に悩んでいます。

<行>は9年前の春先に公園で拾ってきた雑種犬<ハル>の介護をしていますが、<行>が肺炎で入院、久しぶりに<園>が面倒をみることになり、二人の人世に転機とも思える出来事が進んでいきます。

老犬<ハル>を通して性格の違う姉弟の変化が微妙に描かれている青春小説で、著者は本書で2005年「第18回小説すばる新人賞」を受賞、作家デビューとしての一冊目でした。
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『奥入瀬渓谷殺人情景』風見修三(光文社文庫)

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『奥入瀬渓谷殺人情景』風見修三...
主人公<矢島耕平>は29歳、企画プランニング会社『ロスロコ』に勤め、趣味は「駅弁」を食べることです。

東北新幹線の新青森駅の開通に伴い、イベントの企画として商工会議所まちづくり課へ仕事として出向きますが、打ち合わせの最中に課長の<長尾>が地獄沼にて溺死体で発見される事件に遭遇、持ち前の好奇心で素人探偵よろしく真相を探る奔走が続きます。

事件は宿泊施設の違反開発で10年前に起きた十和田山の崩落事故に発端があるようで、環境開発派と環境保護派の対立と思われたのですが、まちづくり課職員の新たな絞殺死体が発見され、事件は思わぬ方向に発展していきます。

旅情ミステリーとして、見どころある観光地も多く登場、また現地のグルメも情報もあり、「駅弁」は2種類しか出てきませんでしたが、副題に<駅弁味めぐり事件ファイル>とありますので、今後シリーズ物として楽しめそうです。
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『空ばかりみていた』吉田篤弘(文春文庫)

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『空ばかりみていた』吉田篤弘(...
著者は、2001年講談社出版文化賞(ブックデザイン賞)を受賞している装丁家であり、本書の青紫色の地に右上に「エンゼル」(本書の内容に関連しています)が描かれたカバーも、著者自らのデザインです。

本書の主人公<ホクト>は、高校を卒業すると父親の散髪店を継ぐために理容学校に入学、さらに腕を磨くためにフランスに留学しますが、そこで高名な女性パントマイミストに出会い、弟子として修業している途中、父親が急逝したために日本に戻ります。

一時的に父親の理容室を引き継いでいましたが、ある日を境に<ホクト>は、店を持たない理髪師として好きな時に好きな所に赴き、好きな人の髪だけを切る旅人として世界中を巡る旅に出てしまいます。

本書には12篇の短篇が納められており、<ホクト>が係る先々での出来事が描かれ、最後の章で<ホクト>が父親の理髪店を飛び出した理由が明かされて締めくくられています。
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新刊書店の古本市 @元町商店街:海文堂書店

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中学生の頃より休みの日になりますと、元町商店街を西から東まで歩き、古書店巡りが楽しみでした。
書籍離れが言われ出してだいぶ年月が経つようですが、古書特有の匂いのするお店が少なくなり、個人の古書店、共同の古書店がそれぞれ1軒づつしかなく淋しさを覚えます。

一般の新刊書店も、丸善がなくなり、2軒残っておりましたが、1軒は教科書専門店に変わったみたいで、これまた元町商店街には海文堂書店さんしかありません。
その本屋さんの2階ギャラリーで「古書市」が開かれています。今年2回目の企画ですが、6店舗の個性ある古書店が出店されているようで、面白い企画だと足を運びました。

インターネットで書籍が買える重宝な時代ですが、本の持つ重みや感触を楽しみながらの掘り出し物探しは、なかなかやめることが出来ません。新刊、古書とジャンルは違いますが、共存共栄で本が大事に扱われることはとてもいいことではないでしょうか。
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『ユニット』佐々木譲(文春文庫)

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『ユニット』佐々木譲(文春文庫...
32歳の<真鍋篤>は7年前、17歳の<川尻武夫>に妻と1歳の娘を殺された過去を持ち、成人だったら死刑相当の事件にもかかわらず少年法により無期懲役に留まってことに納得が出来ず、一流会社を辞めて酒浸りの生活を送っていました。

31歳の<門脇裕子>は、刑事である夫の暴力に苦しんでいましたが、 意を決して5歳の息子<晴也>を連れて官舎を飛び出します。

55歳の配管設備工事の社長<波多野正明>は、妻に逃げられ従業員も辞めて手薄になった会社のためにハローワークに出向いた際に二人と知り合い、従業員として雇い入れることになります。

<真鍋>は依然の会社の同僚から<川尻>が7年で仮釈放されたことを知り、法で裁けぬなら自らの手で復讐をと考え、興信所に彼の身辺調査を依頼、一度は殺そうと試みるのですが、失敗に終わり精神的に復讐は吹っ切れてしまいますが、逆に<川尻>は反逆にでて<真鍋>を殺そうと考えます。
平行して<裕子>の夫<門脇>は、警察の力を利用して、彼女の居所を突き止めるために行動を起こします。

<真鍋>と<裕子>の二人が<川尻>と<門脇>に追い詰められてゆくスリルを味わいながら、最後は二人の未来に希望を託せる終わり方で、一気に読み進んでしまう519ページの長篇でした。
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『前線 捜査官ガラーノ』パトリシア・コーンウェル(講談社文庫)

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『前線 捜査官ガラーノ』パトリ...
マサチューセッツ州の警察捜査官<ウィンストン(ウィン)・ガラーノ>を主人公とするシリーズ 『捜査官ガラーノ』 に次ぐシリーズ2冊目が本書です。

美人で政治権力と自己愛が強い地区検事<モニーク・ラモント>の命令で、<ウィン>は45年前に発生して未解決である盲目のイギリス人被害者<ジェニー>の絞殺事件を再調査するように命令されます。

<ウィン>はとまどいながらも、事件の発生したウォータータウンの女性刑事<スタンプ>の協力のもと捜査を始めますが、<スタンプ>は連続して発生している銀行強盗の捜査で忙しく、また<ウィン>は祖母の家に置いていたバッグを盗まれ、<ラモント>が不思議な行動で入り込んだ屋敷の中でそのバッグを発見します。

秀でた容姿と頭脳明晰な推理力でもって緻密な捜査を積み重ねていく過程で、<ラモント>と<スタンプ>の関係や、ロンドン警視庁とFBIとの関連が交錯し、最後はなぜか自分の上司の身の保全を計る<ウィン>の機転の良さに驚きながら読み終えました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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